平成19年10月、事後重症の裁定で、障害厚生年金3級から
障害基礎厚生年金2級に変更になりました。
先日変更裁定書が届いたのですが、障害基礎年金は通常額でしたが、
障害厚生年金が594,200円→526,700円に減額されていました。
法律改正があったためとの記述があるのですが、
本当にそんなことがあったのでしょうか。
社会保険事務所に問い合わせてみましたが、あまり障害年金に
詳しくないようで、はっきりした説明は貰えませんでした。
裁定書の通り以下に書き出しますので、お教えいただけるよう
どうぞよろしくお願いします。
項番 1
支給額等変更年月日 19年10月
裁定・変更理由 ※障害の状態が憎悪したため障害基礎年金を裁定しました。
障害厚生年金・基本となる年金額(円) 526,700
項番 2
支給額等変更年月日 20年4月
裁定・変更理由 遡って裁定等をしたところ、発生以後に法律改正があったため、年金額を変更しました。
障害厚生年金・基本となる年金額(円) 526,700
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問の件ですが、まず平成12年に物価スライド制が導入され、
さらに、平成16年に中規模な年金制度改正がありました。
これらの過程で「マクロ経済スライド制」が導入され、
物価の上昇に伴う社会保障費の増大を抑制してゆく、という目的から、
年金額の計算方法の改正(報酬比例部分に対して)が行なわれることとなりました。
障害厚生年金の額は上記の改正を踏まえ、報酬比例によって、
平均標準報酬額(平成15年3月までは「平均標準報酬月額」)をもとに、
被保険者期間に応じて、以下のように計算されます。
────────────────────────────────────
報酬比例の額 = A + B ‥‥ 計算式
A: 平成15年3月までの被保険者期間の分
B: 平成15年3月以降の被保険者期間の分
1.
AとBとで、平均標準報酬額に対する掛け率を分けることとした
×7.125/1000 ‥‥ A
×5.481/1000 ‥‥ B
期間Aの平均標準報酬額 × 7.125/1000 × 期間Aの月数
+ 期間Bの平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 期間Bの月数
= 報酬比例の額
2.
平成12年法改正に基づき、計算式を
報酬比例の額 = (A + B)× 0.998
と読み替えることとした
但し、計算結果が 1 < 2 となる場合に限り、
AとBそれぞれに対する掛け率を、以下のように読み替える
×7.500/1000 ‥‥ A
×5.769/1000 ‥‥ B
期間Aの平均標準報酬額 × 7.500/1000 × 期間Aの月数
+ 期間Bの平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 期間Bの月数
= 報酬比例の額
3.
平成16年法改正に基づき、計算式をさらに
報酬比例の額 =(A + B)× 1.031 × 0.985
と読み替えることとした
但し、計算結果が 2 < 3 となるか 1 < 3 となる場合に限り、
これを適用する
────────────────────────────────────
障害厚生年金3級は、
本来は、上述した計算式に基づいて計算されなければならないもので、
質問者さんの場合には、計算式によれば 594,200 円 ではありません。
しかし、実際には、
障害厚生年金3級では、いわば特例措置的な「最低保障額」が定められており、
その額が 594,200 円です。
つまり、質問者さんがもともともらっていた障害厚生年金3級はこの最低保障額で、
被保険者月数などを反映した「本来の計算式による額」ではないのです。
ですから、人によっては、
障害厚生年金3級については、
本来の計算式で得られる額よりもかなり多い額を受け取る、
という場合があります。
質問者さんの場合には、まさにこの例にあてはまったと考えられます。
────────────────────────────────────
障害増悪による額改定の結果、
質問者さんは障害厚生年金2級になったわけですが、
2級以上には、最低保障額の定めがありません。
つまり、法改正や被保険者月数などが厳格に適用されることになります。
事実、質問者さんには、上述した1~3が適用されています。
一般論で言えば、
「3級よりも2級、2級よりも1級のほうが障害が重いのだから、
障害厚生年金の額も、3級 → 2級 → 1級 と多くなってゆくはず」
と考えることと思います。
確かにそのとおりなのですが、
こと 障害厚生年金3級 → 障害厚生年金2級 の場合には、
上述した最低保障額との絡みで、2級になったときに障害厚生年金部分の額が下がってしまう、
ということが起こり得るのです。
この結果として、質問者さんは
以前の障害厚生年金3級と比較して、障害厚生年金部分の額が下がってしまいました。
つまりは、こういうことなのです。
むずかしい内容だとは思いますが、概略だけでもご理解いただけたらと思います。
参考URL:社会保険庁 資料(障害厚生年金)
http://www.sia.go.jp/infom/text/kounen08.pdf
*
この回答への補足
大変詳しいご説明をいただき、ありがとうございました。
教えていただいた順に計算してみたらその通りの金額でした。
(すっきりしたような、がっかりしたような…。)
専門家の方とのことですので、お分かりになるようでしたら
もう一つ教えて戴きたいのですが、
障害厚生年金の1級または2級の受給権が発生した当時、
受給者によって生計を維持されていた配偶者がいる場合に
加給年金が加算されるとありますが、
今回のような事後重症で2級になった場合はどうなるのでしょうか。
平成19年の裁定書には加給分がありませんでした。
因みに、裁定請求日と現症日は平成19年で、認定日は平成4年、
結婚したのは平成14年で、平成16年から扶養配偶者になりました。
細かい話で申し訳ありませんが、お教えいただけると幸いです。
No.4
- 回答日時:
ANo.1への補足質問への回答をさせていただきます。
まず、お間違い・勘違いのないようにしていただきたいのですが、
平成19年10月に行なったのは「事後重症請求」ではありませんよ。
「障害増悪による額改定請求」のはずです。
「事後重症請求」というのは、
障害認定日時点において1~3級のいずれの状態にも該当せず、
まだ1度も障害基礎年金・障害厚生年金を受け取れなかった人が、
その後障害が悪化して、初めて1~3級のいずれかに該当した際に行なう
裁定請求のことです。
質問者さんは、ANo.1の補足内容によれば
平成4年に障害認定日があり、
そのときの状態が障害厚生年金3級であった、ということになります。
そして、このときに受給権が発生し、
かつ、その後障害が悪化すれば1~2級への額改定も行なわれる、
という権利を有しました。
平成19年10月に行なわれた
障害厚生年金2級(+障害基礎年金2級)への改定は、
上述の額改定の定めによるものです。
診断書付き現況届の提出の結果による職権改定であったか、
あるいは、質問者さん自身が障害給付額改定請求書を提出したはずです。
(注:ですから、この請求は、裁定請求でも事後重症請求でもありません。)
配偶者加給年金は、
最初に受給権を獲得した時点において生計維持している配偶者がおり、
かつ、その受給権が障害厚生年金1級・2級であった場合に支給されます。
ここは非常にわかりづらいのですが、
上記の受給権が障害厚生年金3級であったとき、
障害増悪による額改定でその後に2級以上になった場合でも、
実は、該当しません。
あくまでも、最初の受給権が獲得されたときの配偶者の状況で決まり、
その「最初の受給権」が障害厚生年金1級か2級でなければならない、
ということなのです。
ですから、平成19年の額改定でも配偶者加給年金はありません。
これは、どうにも納得ゆかないことと思います。
同様に、たとえば障害厚生年金1級・2級の受給権を得た独身者が
その後結婚して配偶者を扶養する場合であっても、
実は、配偶者加給年金は付きません。
受給権を獲得したときには配偶者はいない、という状態だからです。
この矛盾については、超党派の議員連盟が問題視しており、
既に、国民年金法・厚生年金保険法の改正案が前国会に提出されました。
受給権獲得時点の配偶者の有無にかかわらず、
その後に配偶者を得た場合は配偶者加給年金を付けよう、という方向性が柱で、
現在、継続審査中です。
以下を参照して下さい。
(画面上でURLが切れて表示されていることがありますが、支障はありません。)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian …
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian …
この回答への補足
ご回答どうもありがとうございます。
配偶者加給年金も現法では受給できないのですね…
でも、老齢年金だけじゃなく、ちゃんと障害年金も
制度を見直されていたのでちょっと安心です。
非常に解り易くご説明いただきありがとうございました。
状況をきちんとお伝えしないと失礼かと思いますので、
今さらで恐縮ですが、以下に書かせていただきます。
平成19年秋:てんかん(平成3年発病)で障害年金の裁定請求
平成20年4月 :原処分決定
(平成4年認定日時点=3級、平成19年請求時点=3級)
6月 :原処分に対する不服申し立て<審査請求>
8月 :処分の変更決定……(1)
(平成4年認定日時点=3級、平成19年請求時点=2級)
※不服申立てを取下げず審査継続
9月 :(1)の2級変更分が先行して支給開始
現在:原処分の審査請求について裁定待ち
間もなく審査結果が通知されるようです。
No.3
- 回答日時:
補足(修正)です。
ANo.1の一部を、以下のとおり修正します。
────────────────────────────────────
期間Aの平均標準報酬額 × 7.125/1000 × 期間Aの月数
+ 期間Bの平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 期間Bの月数
= A+B
期間Aの平均標準報酬額 × 7.500/1000 × 期間Aの月数
+ 期間Bの平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 期間Bの月数
= A+B
────────────────────────────────────
障害厚生年金の額は、1~3級についてそれぞれ次のようになります。
(※ 配偶者加給年金額 = 227,900円)
1級:
報酬比例の額 × 1.25 + 配偶者加給年金額
2級:
報酬比例の額 × 1.00 + 配偶者加給年金額
3級:
報酬比例の額 × 1.00
※※
3級では、配偶者加給年金額はなし
※※
3級では「報酬比例の額 × 1.00 < 594,200円」となったときは、
一律 594,200円とする(最低保障措置)
質問者さんの場合には、
報酬比例の額 × 1.00 < 594,200円 となっているはずです。
このようなとき(報酬比例の額 × 1.00が594,200円未満のとき)には、
3級に限り、報酬比例の額 × 1.00 の計算結果にかかわらず、
一律に 594,200円を最低保障額として支給します。
つまり、質問者さんの場合、3級ではこの額でした。
しかし、2級によると、この定めは適用されず、
本来の 報酬比例の額 × 1.00 = 526,700円 となります。
以上により、障害厚生年金部分については、
594,200円 ⇒ 526,700円 へと減額になった次第です。
(ANo.2で言われていることと同じ意です。)
また、法律改正の経過は、ANo.1に記したとおりです。
報酬比例の額について、遡って適用しているはずです。
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