A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
経済統計が出揃うのにはタイムラグがあって、
まだリーマン危機前までの8月までしかデータがないのですが、
破綻前の時点でもう実体経済の悪化は鮮明になってきています。
■個人消費
国内の個人消費が萎縮する傾向は顕著になってきました(1)。
原油下落で次第に底を打つことを期待したいところに、
世界的な金融混乱が押しかかってきたため、底が抜けてしまいそうになっています。
今後は、
(a)プラス:原油・食料価格下落で消費者心理のストレスが減退する
(b)マイナス:株価暴落によって資産が減ったと感じた個人は必需品以外の消費を減らす
(c)マイナス:失業者の増大、先行き不安、給与の伸び悩みで消費が鈍化する(2)
(d)マイナス:値下げを期待する消費者は、消費を先延ばしにしようとする
といった効果が合成されることになります。
プラスとマイナスはどちらが大きいかというと、
マイナスが大きくなる可能性は十分考えられます。
■産業活動
産業活動の減退も無視できないレベルになってきています(3)。
生産が急速に鈍化したのみならず在庫も積みあがっており、投資もさらに鈍化しそうです。
サービス産業は、まだ建設業や輸出製造業よりも変化が鈍いかもしれませんが、
消費や投資の減退を通して、影響が波及してくるのは避けられません。
単に外需の悪化が原因なのではなく、先に内需が弱含んでいる状態に、
比較的好調だった外需が崩れたため、内需・外需総崩れになってしまいました。
株式や不動産では、海外資本の急な撤収が事態が悪化させている一方、
日本の海外資産も急に撤収して円高を進行させ、実体経済に害を出しています。
政府は内需を喚起させようと減税等の財政政策を打とうとしていますが、
景気を回復に転じさせるほどの威力はないでしょう。
日銀が思い切った政策に転じてくれれば、もっと影響は緩和できるかもしれませんが、
何かと後手回りなので、極端な事態にならない限り静観しているかもしれません。
■輸出
(a)海外の経済悪化も夏以降にますます深刻さを増している。
アメリカの実体経済悪化は、むしろこれまでは本番前の穏やかなものに過ぎず、
ここから先が正念場。アメリカだけではなく、
ヨーロッパや資源国、いくつかの新興国も実体経済の悪化が深刻。
(b)資源・食料高と株価・住宅価格下落の中、日本の主力輸出品の自動車や電子系統が、
特に必要ない消費としてカットされたため、特別打撃が大きくなってしまった。
(c)ヨーロッパ、資源国・高金利国・新興国に対する円高傾向が激しい。
このため、米国の不振を米国以外で補おうとした企業の計画が狂ってしまっている。
といったことから、輸出環境は厳しさを増してきています(4)。
海外の経済情勢は不確実性が大きく、
さらに新しい問題が起こって情勢が悪化する可能性もあります。
現時点の見通しでは、大恐慌のような極端な事態になる可能性は低く、
戦後の不況の中で深刻なレベルとなっています(5)。
実体経済の悪化は続き、これまで考えられていたより長期間の低迷が続くかもしれません。
(1)萎縮する個人消費
・家計消費支出(前年同月比)
2008年 2月 -3.2%
2008年 4月 -1.8%
2008年 6月 -0.5%
2008年 8月 -4.0%
・百貨店売上高(前年同月比)
2008年 2月 +0.9%
2008年 4月 -3.4%
2008年 6月 -7.6%
2008年 8月 -3.1%
2008年 9月 -4.7%
・消費者態度指数(カッコ内は対前年時比)
2008年 2月 36.4(-12.2)
2008年 4月 35.4(-12.2)
2008年 6月 32.9(-12.3)
2008年 8月 30.5(-13.6)
2008年 9月 31.8(-12.3)
(9月は15日で、リーマン危機後の混乱を十分に反映していない)
(2)悪化する雇用情勢
・有効求人倍率(季節調整値)
2008年 2月 0.97
2008年 4月 0.93
2008年 6月 0.91
2008年 8月 0.86
・完全失業率(前年同月比)
2008年 2月 3.9%
2008年 4月 4.0%
2008年 6月 4.1%
2008年 8月 4.2%
・総実労働時間(前年同月比)
2008年 2月 +1.9%
2008年 4月 +0.1%
2008年 6月 -1.3%
2008年 8月 -2.5%
(3)縮小する産業活動
・第3次産業活動指数(前年同月比)
2008年 2月 +1.7%
2008年 4月 +0.7%
2008年 6月 -1.0%
2008年 8月 -2.3%
・鉱工業生産指数(前年同月比)
2008年 2月 +5.1%
2008年 4月 +1.9%
2008年 6月 0.0%
2008年 8月 -6.9%
・鉱工業在庫率指数(前年同月比)
2008年 2月 -1.1%
2008年 4月 +0.4%
2008年 6月 +4.0%
2008年 8月 +9.5%
(4)悪化する輸出環境
・輸出数量指数(前年同月比)
2008年 2月+14.7%
2008年 4月+ 9.0%
2008年 6月- 2.3%
2008年 8月- 3.2%
・円高進行率(対前月比、+は円高、-は円安)
2008年 6月 対米ドル-2.4% 対ユーロ-2.5% 対豪ドル -2.8% 対インドルピー- 0.5%
2008年 7月 対米ドル 0.0% 対ユーロ-1.3% 対豪ドル -1.2% 対インドルピー 0.0%
2008年 8月 対米ドル-2.3% 対ユーロ+2.8% 対豪ドル +6.3% 対インドルピー- 2.1%
2008年 9月 対米ドル+2.2% 対ユーロ+6.5% 対豪ドル +9.8% 対インドルピー+ 8.4%
2008年10月 対米ドル+4.3% 対ユーロ+9.7% 対豪ドル+19.4% 対インドルピー+11.0%
(10月は先週分まで)
(5)世界経済見通し(IMFより)
・経済成長率
2007年 日本+2.1% アメリカ+2.0% EU+3.1% 中国+11.9%
2008年 日本+0.7% アメリカ+1.6% EU+1.7% 中国+ 9.7%
2009年 日本+0.5% アメリカ+0.1% EU+0.6% 中国+ 9.3%
2010年 日本+1.2% アメリカ+2.0% EU+1.9% 中国+ 9.8%
・失業率
2007年 日本+3.8% アメリカ+4.6%
2008年 日本+4.1% アメリカ+5.6%
2009年 日本+4.5% アメリカ+6.9%
・日本の過去の不況における経済成長率と失業率
1996年 成長率+2.7% 失業率3.3%
↓1997-98金融危機
1997年 成長率+1.6% 失業率3.4%
1998年 成長率-2.0% 失業率4.1%
1999年 成長率-0.1% 失業率4.7%
2000年 成長率+2.9% 失業率4.7%
↓ITバブル崩壊
2001年 成長率+0.2% 失業率5.0%
2002年 成長率+0.3% 失業率5.4%
2003年 成長率+1.4% 失業率5.3%
2004年 成長率+2.7% 失業率4.7%
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