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給付金について、下記コラムに違和感があります。
http://diamond.jp/series/uesugi/10063/

「給付金の財源は(将来の)税収ではなく、埋蔵金だから」的なことが書いてあるのですが、財源が本質的な問題なのでしょうか?

そもそもお金に「税収」や「埋蔵金」という色がついているかのような考え方がしっくりきません。まるで借金のある家でも、借金は定期収入(税収)で返すのだから、臨時収入(埋蔵金)を使うことには問題ない、と言っているような気がします。

A 回答 (4件)

最後まで読んだら吹いちゃいました。


どっちも経済理論に即して同じものを目指してるのに
結局ケンカになるんだなぁと(笑)
漫才のネタを解説するのは無粋ではありますが
余興として平たく解説してみたいと思います。長文ですがご容赦ください。





まず経済学はどうして生まれたのか。
大航海時代や産業革命により、輸出入が増大しました。すると弱い国では
自国の産業が圧迫され始めます。これを守るために「保護主義」という
発想が生まれます。関税を沢山かけて物の流れを止めてしまうのです。


「保護主義」が始まると、世界経済は急速に悪化していきました。
そこで世界初の経済学者「アダム・スミス」が生まれます。
彼は「人間はお互いを儲けさせるために働くから、国は介入しない方がいい」
と主張したのです。この発想を「自由放任主義」といいます。
この発想により、世界経済は回復に向かいます。




ですが数年後、規制が無く放任された市場は拡大しすぎて崩壊し
「世界大恐慌」が発生します。ここで登場するのがケイジアンです。
経済学の中興の祖J.M.ケインズの理論を基に経済を考える人たちのことで、
彼の理論の結論だけ言うと「経済は買う力を持った需要で規模が決まり、
それは政府が支出をすることで増やすことができる」という発想を提示しました。
この理論により大恐慌は克服されました。いわゆる「公共投資」は
これを元に行われています。



とはいえ、実際にはこの理論は多少の古さがあります。
「オイルショック」のときに機能しなかったんです。
この原因は諸説あるのですが、公共投資によって「需要」の側を
しっかり作っても、「供給」に問題があれば機能しないとか、
そもそも人気取りの政府主導ではまともな使い道ができないとか
大規模すぎて先を読まれちゃうとか。まぁ、現在言われているような
批判そのものですね。

(とはいえ、日本の大学はこの理論ばっかりやっているので
かなり理論的に"遅れている"んです。これをもって上杉さんと池田さんは
ケインズ支持なんてお前日本の経済学者だろ=遅れた経済学者だろ、
とお互いに言っているわけです。元気だなぁ。)






そんなこんなで、民主党のカーター大統領が失脚後、共和党レーガン大統領の
時代になると反ケインズ学派(オーストリア学派)が脚光を浴びます。
彼らは「公共投資は通貨発行しないと経済の規模を増やさないし(その場合
将来インフレが起きる)一時的効果しか無い」という観点から
「政府の介入は控えるべき」という結論に達します。

じゃあ何もしないの?というとそうではなく「市場に流れるお金を絞ったり緩めたり
するだけでも景気への刺激になる」という考えから、「政府は金利を監督すべき」
という結論に達します。これを受けて政治思想・政策面にも変化が現れます。
民主党政権下でばら撒かれていた医療福祉への垂れ流しを引き締め、
政府が行っていた事業を民営化し、数々の規制を撤廃することで
新たな商売の機会を生み出していきました。政府の介入規模を減らしていったのです。

以前失敗した「自由放任主義」を改良し、政府の役割を監督機能に絞ったこの
政治思想を「新自由主義」と言います。これにより、世界は空前の好景気に沸く
こととなったのです。




さらにその先。
今日、新自由主義が批判的な意味合いを持つようになったのは
この監督機能が機能していなかったことが判明したからです。
これだと最初の世界恐慌を引き起こした「自由放任主義」と変わらないですからね。







この解決法として、オバマさんは公共投資を増やして
ケインズの時代に戻ろうとしてない?と分析し、
このあたりの解釈で経済学者同士でケンカをしているわけです。

共和党寄りの経済学者から見れば、今回の不況は管理できなかったことが
原因であって、政府がお金を使わなかったことが原因じゃないんだから、
昔に戻るのは対策としてふさわしくない。ちゃんとした対策というのは
規制を緩和しつつ、監督機能だけを強化することじゃない?
という発想が根底にあるわけです。









さて、ここからが質問者さんの質問への解答となります。

まずケインズの理論が正しいと考えた場合。
政府支出を増やして国民に購買力を持たせる給付金は許容範囲の政策です。
しかし、増税が財源ならば国民は購買力を持たなくなるので、失敗します。
発想としては税の後払いでしかないですから、買い控えが起こるわけです。


次に自由主義・新自由主義の発想が正しいと考えた場合。
国の介入を減らす"減税"が一番の経済効果を持つので、定額減税である
給付金は許容範囲の政策です。しかし、増税が財源なら、給付金は減税ですら
なくなるのです。

そして、麻生さんは就任直後は「新自由主義」寄りの発言と公約を世界に向けて
していた経緯があります。しかしながら、1月28日の演説で、
「小さな政府ではダメ」「増税が必要」という新自由主義とは
真逆の政策を打ち出しました。結局どっちなんでしょうか?もちろん
どちらの理論でも増税がまずいことは自明です。



これはもうだめかもわからんね。
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この回答へのお礼

丁寧な解説、ありがとうございました。

経済が管理主義⇔自由主義の繰り返しで動いている歴史の流れが、とてもよくわかりました。
すごく安直に考えると次は管理主義の番なのでしょうか。

成否の程は定かではないですが、この市況の中で政府が給付金という政策を考えるのは、
逆らえない歴史的な流れという気がしてきました。

お礼日時:2009/01/31 16:23

>「給付金の財源は(将来の)税収ではなく、埋蔵金だから」的なことが書いてあるのですが、財源が本質的な問題なのでしょうか?



給付金の財源をどこから持ってくるかは、確かに重要な問題ではありますね。
「埋蔵金」というのは、いろんな人がいろんなロジックで使うのでなかなか本質が見えませんが、ようは「積み立て貯金の取り崩し」と「無駄の見直し」によって生まれた金ですね。

で、上杉氏は「定額給付金」はこうした「埋蔵金」などを使うので、「(消費税)増税」とは別問題だ!と主張しているようです。
一方、池田氏は「定額給付金」は「国債という借金」が財源になるので、「(消費税とは限らないが)増税」で返すしかない!と主張しているようです。

とはいえ、上杉氏の

「この時期の「増税」への言及は(中略)国民の消費マインドを冷やしたことは間違いない」
「いまや「減税」「給付金」「公共投資」が世界の趨勢となっている。」

との二つの指摘は、ごもっともと思いますね。
定額給付金が効果を持つのは、「余分なお金が貰えたから消費しよう」という風に人々が思うことで、「貰ったお金以上に消費する」ことを期待し、消費が増えたことで景気が回復するように持って行こうという政策です。
しかし、「3年後に増税しますよ」なんて言っちゃうと、「余分なお金が貰えたけど、将来の増税に備えて貯金しよう」って人が増えてしまいます。
こうなると、「定額給付金」も結局「ただのバラまき」になってしまいます。
上杉氏は、「財源云々」よりも、こっち(つまりマインド)の方を重視して指摘しているみたいですね。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

お二人のスタンスの違いが分かったような気がします。
しかし、埋蔵金という言葉に対する胡散臭さは募るばかりです。

> 「積み立て貯金の取り崩し」と「無駄の見直し」
つまり過去のものであれ、未来のものであれ、財源は国庫の中にある税収なのですよね。

今回の質問はその是非を問う意図はありませんが、埋蔵金というレトリックを使うのは不誠実だと思いました。マインド重視から出た言葉かもしれませんが、逆に「国民には(財源は)埋蔵金と言ってればOK」と見下されている気分です。

お礼日時:2009/01/31 16:43

確かに趣旨、目的次第で埋蔵金だから問題ないとは言えないです。

たぶん質問者さんはこの埋蔵金を借金返済や福祉に当てれば有意義ではとの意味合いにおいて、給付金のような減税政策よりも埋蔵金を使うべきところがあるだろうという趣旨という事ですよね?

ただ現在経済情勢は埋蔵金が仮になかったとしても、財政出動で経済を支えなければ市場が崩壊しかねない大変な状況です。ここで国が介入して公共事業だ減税だ雇用対策支援だとお金を使わないと破滅状態になってしまいます。これは全く大げさな事はなく、遅れれば傷はより一層深くなります。

現在の国会の問題はとにかく”遅い事”です。与野党双方の言い分があれど、この国会の紛糾状態は間違いなく経済の足を引っ張っています。遅れれば遅れるほど効果も薄くなります。現在中央銀行が民間企業の社債を銀行に変わって買い上げているほどの異常事態です。現在できる対策は国家の財政出動で延命する他ないというかなりネガティブな状況です。が、崩壊を防ぐだけの効果は間違いなく発揮します。

まずは市場の破壊を防ぐ為だけにでも現在の政策は行われるべきです。また埋蔵金の切り崩しから資金を捻出することは、なし崩し的にならないと言う意味では、財政面においてもプラスです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。

給付金の是非について論じる意図はありませんでした。
誤解を与えてしまったようで、すみません。

私が気になったのは、給付金の財源は、将来の税収からではなく埋蔵金から、という説明が耳触りの良いレトリックに聞こえたことです。どちらもつまるところ国庫のお金であり、違いはないのでは?と思ったのです。

ただ今回は政治家ではないプロのコラムニストがそう説明していますので、実際はレトリックなどではなく、私が知らない仕組みがあるのかもしれないと思いました。その辺りのお話を聞かせていただければうれしいなと思い、質問させていただきました。

お礼日時:2009/01/29 17:24

> 財源が本質的な問題なのでしょうか?



給付金のと言うよりも、国の財政事情が問題なのだと思います
細かい事情は、自分で調べてみてください

・今年度の新規国債発行額
・新規国債発行額の増額理由
・消費税引き上げ理由および2011年と言う時期について

私には、どうせ、これだけ借金したんだ、返すことよりも、増やすして返した方が良いだろ!って、パチンコで負ける人の言い分のようにも聞こえる
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

国の財政問題については、話が広がりすぎて散漫になりそうなので、この質問では触れるつもりはありませんでした。
ただご指摘の細かい事情につきましては、確かに興味がありますので、別途調べてみたいと思います。

アドバイスありがとうございました。

お礼日時:2009/01/29 16:21

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