
登記事項証明書の内容って個人情報ではないのですか?
個人情報の管理の徹底が叫ばれるこの世の中、いわゆる法務局で取得する登記事項証明書には、抵当権の登記が記載されており、○○に△△円借りた事実がバッチリ載っていますよね。これって例えば私は金持ちだぞって言っている人たちはどこでお金を借りているかなんて近所の方には知られたくはないわけで、これが自由に拝見できる登記事項証明書の交付は個人情報の管理上問題あると思うのですが・・。
また極端な事例ではありますが、芸能人の所有物件さえわかれば現在は沖縄や稚内の法務局からも1000円でそういった情報がわかってしまう。それも抵当権の内容だけではない、本人の住所・連帯保証人名まで・・・。
これは今後相当な問題を生じると思うのですが、これを現在において誰も指摘しないのはなぜでしょう?
不動産登記の制度を根本的に覆してしまうから、また不動産取引という経済流通を阻害してしまうから誰も「腫れ物には触れず」ってとこなんでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
まず、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。
)をさします(個人情報保護法2条1項)。個人情報保護が人権として認められる根拠は、憲法13条から生じるプライバシー権にあります。しかし13条に明記されている通り、人権は公共の福祉の為に一定限度の制限を受ける物であり、個人情報の保護を考えるためには他人の人権や社会制度等との兼ね合いを考慮する必要が在ります。
不動産登記制度の目的は、不動産登記に関する物理的状況(表題部)と権利関係(権利部)を登記記録に公示して国民の権利の保全を図り、不動産取引の安全と円滑に資することです。
個人情報保護とこの目的のいずれを優先すべきかが問題となりますが、仮に個人情報の保護を非常に重視する立場に立って、やむにやまれぬ目的の為に必要な不可欠な限度でのみ個人情報を公開することができるとしましょう。
登記制度がなかった場合、どの範囲が誰の所有に属する土地か、ということが明らかでない場合に、国民はどのように不動産取引を行うことができるでしょうか。動産であれば現在占有している者が所有者であると考えることができますが、不動産であれば公示がなければ所有者を探すことすら非常に困難です(例として、山林の所有者を登記簿を使わずに探すことを考えてみてください)。
また登記がない場合、抵当権者はその不動産を抵当権設定後に購入した人間に対して主張することができるでしょうか。主張できないとすれば抵当権は事実上その存在意義をなくしますし、設定者との間での契約書等さえあれば主張できるというのであれば、買い受けた人の権利が酷く害されます(貴方が土地を購入した後にいきなり抵当権を実行されて一円も残らないところを想像してください。もちろん債務者に求償はできますが、通常は金がなくて抵当権を実行されているのですから、求償してもとりかえす事はできません)。
このように、不動産の情報を公示する事は国民の財産権に密接に関係します。不動産を購入するか否かの決定をする権利=自己決定権にも影響し、社会全体の取引の安全が酷く害されます。また、そもそも行政機関で保有すべきでないというのであれば徴税すら不可能になります。
閲覧を制限しろ、という主張も一部にはありますが、制限(例えば取引を行うことを証明した場合にのみ閲覧させるなど)した場合には、誰が権利者であるかを知りたい場合(知らないとそもそも取引に入るかどうかの意思決定ができません)には閲覧できないということになり、結局上記の目的を達成することができません。
従って、登記制度はやむにやまれぬ目的の為に必要不可欠であるということになります。
実際にはプライバシー権を制約の適否の判断には、より緩い指標が用いられますから、なおさら登記制度は正当化されることになります。
行政機関個人情報保護法においても、法令に基づく場合(もちろん法令が違憲でないことが絶対条件ですが)における個人情報の提供は認められています。
第八条 行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
また、ご質問の事例で、所有物件がわかっているのであれば現地に行けば住所等はわかるでしょうし氏名もおそらくわかるでしょう。また、氏名等というのは通常社会に公開することが予定されています。所有権や抵当権に関しても、権利者は社会に対してそれを主張することが通常ですから、登記制度を犠牲にしてまで保護する必要が有るという事は、この点から見ても言う事ができません。
従って、登記事項証明書の内容は個人情報ですが、個人情報保護によって国民が得る利益よりも、登記制度の維持によって得られる利益のほうが大きく、公共の福祉の観点から後者が優先される、ということになります。
上記の問題点を全て解決しつつ、個人情報を保護する方法があれば別ですが。
なるほど・・・。よくわかりました。
不動産登記制度の意義は、(1)国民の権利保全を図り、(2)不動産取引の安全と円滑に資するという柱によって成り立っているのですね。単なる登記上の個人情報とそれらの重要性を比較考量する視点が私には抜けていたようです。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
不動産の取引をするにあたって、所有者の住所氏名を確認することや、担保の設定状況などを知ることができなければ、リスクが多すぎて不動産の取引が行われなくなり、流通性が悪化して、不動産の価値も下がってしまうと考えられます。
登記は、国民全体の権利を守るための制度といえますし、登記を行う人にとっては、第三者対抗力という強い法律的な効果が得られるものです。
登記事項証明書には個人の情報も記載されますが、それ以上に対抗力を備えることや、登記制度の重要性が高いと認識されているのだと思います。
もちろん、興味本位で財産調査をされることは誰しも望まないことです。
登記の中でも、よりプライバシーの保護が尊重される情報については、「利害関係人のみ」が証明書を取得したり、閲覧したりできる制度もあります。
例えば、
1.不動産登記の際に法務局に提出された申請書や添付書類は、誰でも見られるわけではなく、利害関係人のみが閲覧できます。
2.後見登記制度というものがありますが、成年被後見人が誰で、後見人が誰かといったことを証明する後見登記事項証明書は、利害関係人しか交付請求できません。
3.債権譲渡登記や動産譲渡登記という制度もありますが、会社が持っている売掛金債権や倉庫に保管している商品などを担保にして融資を受けたり、誰かに譲渡したりしているという情報が記載されている登記事項証明書は、利害関係人しか交付請求できません。
もっとも、債権譲渡登記や動産譲渡登記に関しては、以前は誰でも取得できる会社の登記簿謄本の「その他事項欄」に債権譲渡や動産譲渡の内容が記載されていて、利害関係人でなくても誰でも調べることができました。
しかし、そのような情報が企業の信用を損なう恐れがあると考えられ、現在のように公開される範囲を狭くしたという経緯があります。
不動産登記事項証明書の記載内容や公開のあり方も、社会通念や一般常識の変化により、変わっていく可能性も0ではないと思います。
No.1
- 回答日時:
何をバカげたことをおっしゃっているのでしょう?
何で、登記事項が「個人情報」になるのでしょうか?
あなたが、もし、不動産買ったら、登記しないでそのまんま前の所有権者のままにしていたらいかがですか?
民法177条読んでから質問して下さい
「腫れ物には触れず」ですか・・・
不動産屋に謄本見せろ、と言っても最近、「個人情報にあたるからお見せできません」っていう業者がやたら増えてますが、そのような物件ですと、騙されて買わされる可能性あるから、逆に怖くてその不動産を買う気にすらなりません。
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