人にはさまざまな音楽の楽しみ方があるものと思います。
しかし、本当に「音楽」という対象そのものを愛せる人というのは割合からしてあまり多くないのではないかと言う気がしています。
☆「音楽」という対象そのもの
とは、独断ですが、
★「和声(進行)を美しいと感じる」
(付随的に)「その土台があって、上に乗るリズム旋律あるいは最終的に歌詞など にたいして美的感覚をつのらせる」
というものと感じています。つまり、「和声」(コードと言ってもいいでしょうGM7とかE♭m7の4和音やテンションの効いた和音とかがAやF7の単純和音よりもより高度で美しいと感じるかどうかが、あるいは、和声そのものを聞いて飽きずに美しいと思うか、そして、その複雑で洗練された和声進行をもとにした、より濃厚で濃密な構成度の高い曲に感受性があるかどうか)そのことが本当に音楽を愛せるのか、興味があるのか、感受性があるのかの指標ではないかと感じております。
しかし、世にあふれているポピュラーヒット曲、あるいはクラシック名曲というものは、あまり和声に凝ったものでない、あっさり味のシンプルなものが多いですよね。つまりこの事実から、世の中の人はあまり「和声」に感受性がない。ゆえに実は音楽そのものを愛しているわけではない(おもにそれに付随したスターとか振り付けとかそういうものに共感している)と言うことになるのではないかと思われるのですが、どうお考えでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
難しい問題提起ですね。
音楽に限らず、芸術は、美を追求するための人間の挑戦だと思いますが、どこまでを美的とするかという範囲(以下では美的範疇と呼びます)は人によって様々ですね。
芸術は美的範疇を徐々に拡大してきた歴史を歩んできたことは事実だと思います。
たとえば音楽の美的範疇についてはどうでしょうか? 中世では、単純な三和音の響きのみが受け入れられました。半音関係にある2音がまるで衝突するかのように同時に鳴ることに積極的に美を見出すのは、J.S.バッハなどのバロック音楽からでしょう。また、ハイドンを経て、ベートーヴェンの時代に入ると、さらに音楽は形式美を追求するようになります。また、詩などの文学と結びつけたり、BakaAliceがおっしゃるように、和声の可能性をどんどん拡大してあらゆる響きが大衆に受け入れられるようになりました。
こうやって徐々に音楽の美的範疇は拡大して現代に至るのですが、現代では、昔から受け継がれてきた音楽は、完全に調性や形式などのあらゆるシステムが崩壊して音のオブジェ化した現代音楽に受け継がれた一方、マスメディアの台頭によって、簡単に受け入れられる音楽(ポピュラー)が氾濫しています。これだけ情報化が進むと、私たちは自分の好きな音楽のみを多くのものから選択して聴くということができるようになりました。
非常に長い期間を経て、音楽は多くの天才によってその美的範疇を拡大してきたのですが、人間一人一人の生涯は有限な時間ですから、子供のころから音楽教育を受けた者と、まったく音楽に触れてこなかった者との間には、美的範疇の広さに違いが見られます。ですから、理解できる・受け入れられる音楽の範囲は人によって様々です。しかし、美的範疇が狭いからといって、音楽を楽しめないわけではなく、理解しやすい音楽を選択すれば、音楽を楽しむことができます。
このように、美的範疇の違いによる、音楽の理解の差はあっても、各レベルで十分に楽しむことができる世の中です。
ところで、「音楽を愛する」といっても、その愛し方は、恋愛における愛し方と同様に、これも千差万別です。個々の美的範疇による各レベルでの愛し方があって良いと思います。美的範疇の広い人が、自分より狭いと思う人に向かって、「あなたは音楽そのものを愛していない」ということはできないと思います。もちろん、音楽への愛とは何かの定義付けによってこの辺の議論は変わってきますが、人の愛し方を批評するときには、個々人の美的範疇のレベル(広さ)は関係ないと思います。
たとえば、「和声進行をとらえる耳があってこそ、音楽は愛せるのだ」という主張に対しては、「和声進行なんて無くても、リズムさえあれば立派な音楽はできる」と反論する民族はいるでしょう。そのような民族にとっては、リズムこそ音楽の柱であり、自分達の愛する音楽に無い和声進行を、音楽への愛の評価尺度にされたらたまらないと、不満をもらすでしょう。
美的範疇は、人・民族・地域によって大きな差異がありますから、愛し方もそれぞれです。そして、音楽という大きな美的範疇の中で、西洋音楽のたった1世紀くらいの間にもてはやされた「和声」というシステムを、音楽を美しいと感じるための必要条件とし、しかもその中でも単純な三和音・ハイテンションノートが無いコードが主体の楽曲を好む者は、音楽を愛していないというのは、美的範疇の問題と、音楽への愛を混同されているのではないかと思います。前に書かれた3名様の回答は、以上のようなことを短い文章で表現されたのではないかと思っています。
また、補足すると、三和音が音楽的にレベルが低いということはありません。ハイテンションな音ばかりを連ねたって、ふにゃふにゃするだけのこともありますし、ポピュラーの作曲家は、「ここはただの三和音でいこう」という「あえての三和音」を選択することもあります。また、現代音楽では、三和音を使用することは、非常に刺激的で良いとされることが多いのです。
さて、BakaAliceさんのおっしゃりたいことも、実は分からないわけではありません。音楽の楽しみ方は自由、愛し方は自由……といっても、美的範疇が広い人からすると、狭い人に対しては「音楽の深遠な領域を分かっていないで何が良いと思っているんだ……」とつぶやきたく気持ちも分からないでもありません。私も、何でこんな歌が流行るのかなと思って苦笑するときはありますが、しかし、それで売上げが伸びているのだから、商業用音楽としては成功なのです。スター性や振り付けなどの音楽と直接的に関係のないものを付けて、人気が出れば、それは、商業音楽としての目的を果たしていることになります。それに、そのような音楽を愛する人を、音楽的な美的範疇が自分からみて狭いからといって、音楽そのものへの愛を否定することはできません。これはBakaAliceさんのことを思っていいますが、美的範疇が広いからといって、狭い領域での音楽を見下げてはいけません。現代は、個々人が音楽を自分の好みによって自由に選択できる時代です。そして、その愛し方も自由だと思います。
(1)BakaAliceさんが、もし、今までになかった新しい音楽の構築を目指されているのであれば、自分こそ本当の意味で音楽を愛せている人なのだと自負してもらっても良いと思います。かつてベートーヴェンがそうであったように、自分こそ最も神に近いと本気で思えないと、新しいことなんて生み出せないという面もありますから。ですが、あまり人には大きな声で「君は音楽に対する感受性が低い」などと言うのは、喧嘩になるのでやめておいたほうがいいです。自由こそ、芸術分野で優先されるべきことだと思います。
(2)ですが、もし、BakaAliceさんが最先端の音楽ではなく、ジャズやポピュラーや、すでに広く知られている音楽を対象とした仕事や趣味をお持ちなら、美的範疇については、さらに上が居ると思った方が良いし、音楽への愛し方を議論するより、さらにご自分の美的範疇を広げるための勉強に注力された方が良いと思います。
(1)(2)のいずれの場合なのかは分かりませんが、音楽がお好きなら、美の認識レベルを、和声にとどめるのではなく、さらに美的範疇を広げられることを期待します。
こういった、美的範疇による個人差や、芸術を愛するレベルについてお悩みでしたら、次のURLの今道 友信の「美について」をおすすめします。BakaAliceさんのような悩みをお持ちの方に最適だと思います。私も、ずいぶんとお世話になった名著です。(NeoAlien55)
http://www.amazon.co.jp/%E7%BE%8E%E3%81%AB%E3%81 …
この回答への補足
ここに、独断的な例を示しましょう。
大体誰でも知っているポピュラーソングのコード進行を2つ例示し、そこからなにか問題を提示できると思います。
ひとつは「赤いスイートピー」もうひとつは「涙そうそう」です。
この2曲ぜんぜん雰囲気が違いますね。そう「雰囲気」であって理論ではありません。それがどこから来ているのか。コード進行をしましましょう。
赤い(key A♭)
A♭ B♭m7 Cm7 Fm7 B♭m7 E♭7 A♭(第一主題)
(第二主題省略)
A♭M7 Cm7 D♭M7 B♭7/E♭ A♭M7 Cm7 D♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭(サビ)
特にサビのD♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭はすごいですよ。これだけで涙が湧いてきますね。
全体を概観してもわかるとおり、かなり凝った濃厚なコード進行を持っていますし、代理コード、テンションも使われます。
大して
涙(key B♭)
B♭ F/A E♭ B♭ E♭ B♭ G7/B Cm7 F7(第一主題)
F/A B♭7 E♭M7 B♭ Cm7 F(サビ)
というシンプルで3和音のしかもIIVVの主要和音中心の構成になっています。
この構成から来る両曲の性格の差は明らかですよね。一方は濃厚で技巧的であり、一方は単純で簡素です。
そして、どうしても私の感性は、後者の性格を持った曲(ヒット曲に相当多く含まれるパターンですよね?)に対して感受性がない。美しく感じられないのです
ご回答ありがとうございます。
私が根本的にわからないのは、
「音楽の深みがわからない人」「美的範囲が狭い」
と言うような言い方です。
これはわかるとか広い狭いの問題じゃなく、「感じる」かということだと考えます。
私だって、どうして「赤いスイートピー」の和音進行が感動的なのか、まったくわからずに感動していました。美的範囲だって知れたものです。でも何もわからなくても、美しいものは美しいと思う。
それとも、その「感受性」がある、ということだけで、美的範囲はある程度広いと言えるのでしょうか?
絵画の場合はちょっと違うと思うのです。最も原始的なスケッチ画と言う志向性ならば誰でも理解できる。でもある問題定義をする現代絵画は、そのような芸術性を持った頭が要求される。これは大脳の問題です。しかし、赤いスイートピーの和声が美しいかは、大脳の問題ではありません。
>マスメディアの台頭によって、簡単に受け入れられる音楽(ポピュラー)が氾濫しています。これだけ情報化が進むと、私たちは自分の好きな音楽のみを多くのものから選択して聴くということができるようになりました
現代音楽は、美的に感じないのですよね。快さと言ってもいい。それを求めて大衆はポピュラーに走った。
>子供のころから音楽教育を受けた者と、まったく音楽に触れてこなかった者との間には、美的範疇の広さに違いが見られます。
そうでしょうか。これが疑問です。私は特に受けなかった。でも「理解しやすい音楽」は生理的に受け付けなかった。
>しかもその中でも単純な三和音・ハイテンションノートが無いコードが主体の楽曲を好む者は、音楽を愛していないというのは、美的範疇の問題と、音楽への愛を混同されているのではないかと思います
確かにそうです。しかし、私はリズムだけの音楽もまたエイサイティングだと思うし、場合によっては3和音音楽も「和み」ます。感受性があるかないか?感受性がないのに楽しめるのか?
1)2)の区分については間違いなく2)です。そんなに想像性のある人間ではありません。
ご推薦の本はちょっと難しそうですね。見かけたら買ってみます
No.3
- 回答日時:
#1の回答にもある通り質問者様は和声とコード進行の違いが分かっておられないようですね。
「和声とは何か」を知ってからもう一度考えてみると良いでしょう。
それに、いわゆる和声が存在しないのに高い芸術性を持った音楽、がある事をご存じないのでしょうか。
・4声の和音が3声の和音より高度
・和声と言う土台があって、その上にリズム旋律あるいは最終的に歌詞などが乗る
・和声そのものを聞いて飽きずに美しいと思うか、… そのことが本当に感受性があるのかの指標
・和声に凝ったものでないが好き=音楽そのものを愛しているわけではない
・クラシック名曲というものは、あまり和声に凝ったものでない
いずれも大変稚拙で狭量な、そして誤った考えです。
コード進行に魅力を感じる事や、仮説を立てるのは結構なことですが、もう少し質問者様は音楽の事を包括的に勉強なさるとよいでしょう。
お若い方なのでしょうか
中二病って知っていますか?
質問者様はそのように感じます。
この回答への補足
ここに、独断的な例を示しましょう。
大体誰でも知っているポピュラーソングのコード進行を2つ例示し、そこからなにか問題を提示できると思います。
ひとつは「赤いスイートピー」もうひとつは「涙そうそう」です。
この2曲ぜんぜん雰囲気が違いますね。そう「雰囲気」であって理論ではありません。それがどこから来ているのか。コード進行をしましましょう。
赤い(key A♭)
A♭ B♭m7 Cm7 Fm7 B♭m7 E♭7 A♭(第一主題)
(第二主題省略)
A♭M7 Cm7 D♭M7 B♭7/E♭ A♭M7 Cm7 D♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭(サビ)
特にサビのD♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭はすごいですよ。これだけで涙が湧いてきますね。
全体を概観してもわかるとおり、かなり凝った濃厚なコード進行を持っていますし、代理コード、テンションも使われます。
大して
涙(key B♭)
B♭ F/A E♭ B♭ E♭ B♭ G7/B Cm7 F7(第一主題)
F/A B♭7 E♭M7 B♭ Cm7 F(サビ)
というシンプルで3和音のしかもIIVVの主要和音中心の構成になっています。
この構成から来る両曲の性格の差は明らかですよね。一方は濃厚で技巧的であり、一方は単純で簡素です。
そして、どうしても私の感性は、後者の性格を持った曲(ヒット曲に相当多く含まれるパターンですよね?)に対して感受性がない。美しく感じられないのです
No.2
- 回答日時:
もともとコード理論ってのが、
・世界に多種多様ある音楽のうち12音階に基づいた西洋音楽という一分野の
・3要素(メロディー・リズム・和声)のうちのひとつである和声を
・馬鹿でも判る様、構成音(とバス)だけに注目して単純化
したものなので、それだけが音楽の根幹を成していると考えるのはお門違い。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、質問者はさらに上を行って「木の皮の手触りで森を論ずる」だね、こりゃ。そういう楽しみ方もあるし、音楽の一分野を成すにふさわしいと思うけど、一般論にするには視野が狭すぎだよ。
この回答への補足
ここに、独断的な例を示しましょう。
大体誰でも知っているポピュラーソングのコード進行を2つ例示し、そこからなにか問題を提示できると思います。
ひとつは「赤いスイートピー」もうひとつは「涙そうそう」です。
この2曲ぜんぜん雰囲気が違いますね。そう「雰囲気」理論ではありません。それがどこから来ているのか。コード進行をしましましょう。
赤い(key A♭)
A♭ B♭m7 Cm7 Fm7 B♭m7 E♭7 A♭(第一主題)
(第二主題省略)
A♭M7 Cm7 D♭M7 B♭7/E♭ A♭M7 Cm7 D♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭(サビ)
特にサビのD♭M7 Dm7♭5 B♭m7/E♭はすごいですよ。これだけで涙が湧いてきますね。
全体を概観してもわかるとおり、かなり凝った濃厚なコード進行を持っていますし、代理コード、テンションも使われます。
大して
涙(key B♭)
B♭ F/A E♭ B♭ E♭ B♭ G7/B Cm7 F7(第一主題)
F/A B♭7 E♭M7 B♭ Cm7 F(サビ)
というシンプルで3和音のしかもIIVVの主要和音中心の構成になっています。
この構成から来る両曲の性格の差は明らかですよね。一方は濃厚で技巧的であり、一方は単純で簡素です。
そして、どうしても私の感性は、後者の性格を持った曲(ヒット曲に相当多く含まれるパターンですよね?)に対して感受性がない。美しく感じられないのです。
ご回答ありがとうございます。
もちろん、音楽の根幹はいろいろあり、和声は一要素に過ぎないと言うことはわかった上で、その上で、しかし!あえて「和声」の美が音楽の嗜好と一致するという結論を得たのです。いや、得たつもりである。
その「和声」で何かを感じること、それがこの質問の狙いです。
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