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そもそも発話は、アとかウとか、単純な言葉によって、目の前の事実を、他者に知らせるために発生したものであると考えられます。したがって、今の複雑な言語構造も人類の歴史から、ある程度解明できるのではないかと思われます。
私が見る限り、世界には、アルファベット系列と漢字系列に分けられるのではないかと思われますが、このような差異はどのように発生したのでしょうか。

A 回答 (4件)

 


質問は、「文字の発生」と考えます。

まず、文字は世界の諸文化や社会において、「絵文字」あるいは「絵符丁」から開始しています。例えば、人の姿の絵を描くと、それが何を意味しているかは別に、「人」だとは分かります。同様に、鹿の絵を描くと、鹿を獲物として欲しいという意味か何か解釈が色々ありますが、「鹿」だとは分かります。

「人」の絵に、「矢」を描き加え、矢が人の絵の胸に刺さっている絵を描くと、これは、人を矢で殺したという意味か、いまから殺すという意味か、何にしても、何かの意図が伝わります。どういう絵があって組み合わされると、どういう意味を示すかは、文化的にルールとして決まります。

人の絵や鹿の絵は、大体、知っている人は見れば、人・鹿だと分かります。問題は、鹿や人をどうしたいのか、どういう意味でそういう絵を描くのかという意図です。この「意図」を解読する手順は、文化的に伝承され、学習で解釈が可能になります。これは「絵文字」であり、色々なメッセージを伝えることができます。

北米インディアンの絵文字が、この典型ですが、世界中にこのタイプの絵文字は自然発生的にあります。どれぐらいの範囲まで、絵文字の「解読法」が広がっているかで、その絵文字の適用範囲も決まります。人口数千人の部族のあいだでしか有効でない絵文字もあれば、数十万人の人に解読できる、アメリカ大陸ぐらいの広い場所で通用する絵文字もあるのです。

系統的に、非常に複雑かつ、明瞭に意味を表現できた「絵文字」はシュメール人が確立したとされます。これは、絵文字であり、表意文字であり、表音文字であり、非常に精緻であったのです。「くさび形文字」と呼ばれますが、これは文字を書いたのが粘土板であったので、それ以前の皮などに書いていたときは、字体が少し違っています。

シュメールの文字は、バビロニアに継承され、バビロニア楔形文字となります。バビロニアの楔形文字は、シュメールの表意文字と、バビロニアの表音文字が組み合わされていて、非常に複雑な構造をしています。しかし、バビロニア文字も後期になって来ると、段々単純化します。

バビロニア楔形文字は、アケメネス朝ペルシアが採用し、古代ペルシアの楔形文字は、表音文字になっています。当然、文字数は、非常に少なくなっています。

このような楔形文字が表意文字から、古代ペルシアの純然だる表音文字になるまでの歴史があります。

他方、シュメールで発明された系統的な表意・表音文字システムは、自然発生的な古い絵文字システムよりは、高度に意味やメッセージや記録を作ることができたので、古代エジプトに伝わります。古代エジプト文字は、シュメールの楔形文字とは、全然別の文字です。

しかし、古代エジプト文字は、シュメール文字のシステムにインスピレーションを受けて作成されたとされます。つまり、シュメール文字のようなシステム的な文字を、エジプトは自分たちの絵文字を展開して作ったのです。

古代エジプト文字は、やはり表意・表音文字で、表意文字であって同時に表音文字でした。シュメールの古代楔形文字が非常に文字数が多かったのと同様、古代エジプト文字も非常に文字数が多いです。数千の規模に及びます。

シュメールや古代エジプトの文字が、表意文字で、表音文字だったというのは、日本のカタカナやひらがなの例で考えると分かります。カタカナは漢字の一部を取り出したもので、ひらがなは、漢字の草書体から来ています。どちらも、元の漢字の表意する意味は消え、「音」だけで利用されます。

こういう例の複雑なことが、古代シュメール文字は古代エジプト文字ではあったのです。漢字で喩えると、当て字のようなものです。「朱鯉」とは「すごい(凄い)」という言葉の当て字ですが、「朱(す)」も「鯉(ごい)」も、元の漢字の意味と無関係で、ただ音だけを取っています。

(あくまで、ここで仮の例として、「トート神」の象形文字と「アンク」という幸運を示す絵の象形文字と、「アメン神」を表す象形文字を並べると、「トート・アンク・アメン」となり、「トゥタンカーメン」というファラオの名は、このような方法で記されます。……これは仮の説明です。別の文字が使われ、更に入っています)。

シュメールの文字システムは、紀元前3千年期以前より存在した東西文化交流・交易のルートを辿って、極東の中国にも伝わります。中国でも絵文字システムがありましたが、これを元に、シュメールのシステムと同様の文字システムが発明されます。これが「漢字」の起源になります。

古代エジプト文字、古代漢字は、シュメールの文字システムからインスピレーションを得て、システムを持つ文字を構築したのだろうとされます。

シュメール、エジプト、バビロニア、そして中国の漢字のような、複雑で、しかもシステムを持つ、膨大な表意・表音文字システムは、これしか知られておらず、その起源はシュメール文字にあるとされます(シュメールの文字システムは、南北アメリカ大陸にまでは伝わらず、その結果、北米では絵文字システムがあり、中南米では、マヤやアステカの絵文字システムがありますが、これらはシュメールの文字システムとは少し違っています。……あるいは、これもシュメールの影響かも知れません)。

古代エジプト文字は、紀元前第一千年期または、第二千年期には、原始アルファベット・システムを作ります。古代エジプト文字は、表意・表音文字であったので、表音文字部分を整理すると、アルファベットの原型ができるのです。

これを、古代フェニキア人が、継承し、独自のフェニキア・アルファベットを作ります。フェニキア人は、地中海の交易商人であったので、フェニキア文字の簡単さと、合理性に、この文字は地中海世界に広まります。

更に、東西の交易路を通じて、東の方、アケメネス朝ペルシア(イラン)や、ユダヤや、インドや西域にまで伝わります。また、北は、北欧まで伝わります。

ここに参考1の表にあるような、広大な地域の様々な文字がフェニキア・アルファベットから生まれます。ギリシア文字、ラテン文字、ヘブライ文字などが生まれ、ペルシアでは、楔形文字のアルファベットになり、エジプトでは、エジプト象形文字のアルファベットができます。またインドでは、デーヴァナーガリ文字となり、多数のドラヴィダ系文字(タミル文字、テグル文字など)や、東南アジアの各種文字にもなり(タイ文字など)、北アジアでも、モンゴル文字、満州文字までも展開します。

ラテン文字またはフェニキア文字から、北欧のルーン文字が生まれ、ギリシア文字から、ロシア語で使うシリル文字が生まれます。またアラビア文字も、ヘブライ文字などから生まれます

原フェニキア文字からフェニキア文字が生まれ、それは、ユーラシア大陸に広く伝播したのです。

しかし、文字の起源は、各地に存在した自然発生的な地域文化の絵文字があり、その高度に洗練されたものが、古代シュメール文字で、シュメール文字から、エジプト象形文字と漢字が、インスピレーションを得て、体系的に作られたという歴史があります。バビロニア楔形文字は、シュメール文字の直系だとも言えます。

そして、古代エジプト文字からか、原フェニキア文字が、表音文字として作られ、これが完全表音文字としてのフェニキア文字となり、これが、ラテン文字、ヘブライ文字、デーヴァナーガリ文字などとなって世界に広まったのです。

なお、フェニキア文字で、Aという文字は、「雄牛」を表す表意文字です。原フェニキア文字は、エジプト表音文字から生まれたと書きましたが、これを、参考4では、「原シナイ文字」と呼んでいます。

アルファベットの大体の表意文字としての意味は、参考4に載っています。また、フェニキア文字の展開は、参考1に載っています。参考3には、ヘブライ文字、ギリシア文字、ラテン文字、シリル文字の比較表があります。

>参考1:アルファベット発祥の地
http://www.ne.jp/asahi/fuse/abraham/med/lebanon/ …

>参考2:第1回 文字と発音(詳細)
http://homepage1.nifty.com/suzuri/gg/ggk001.html

>参考3:ギリシア・ラテン・ヘブライ文字 ...
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/sophia7/s1-alpha.html

>参考4:基礎現代ギリシア語講座
http://akademeia.info/main/lecture2/kiso_gendai_ …
 

参考URL:http://www.ne.jp/asahi/fuse/abraham/med/lebanon/ …
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No.1を投稿した者です。

No.1でアラム文字と投稿してしまいましたが、フェニキア文字の勘違いです。失礼しました。アラム文字はモンゴル文字やアラビア文字のご先祖ですね(^^; もっとも、フェニキア文字もアラム文字も北セム文字を共通の起源に持っていますので、ヨーロッパのアルファベットもアラビア文字もモンゴル文字も、元をただせば同じ文字から発展したことになります。
 No.2への補足ですが、Aについては知りませんがBは家という意味のセム語「beth」です。もともと、Bは家を意味する表意文字でしたが、発音だけが残って意味が失われました。同様に、他のアルファベットの多くにも元の意味があります。ただ、アルファベットが表音文字化して世界にひろまっていってから、最初から「発音記号」として追加された文字はその限りでありませんが。一般的にアルファベットのオリジナル文字は子音の22文字と言われますね。(母音はなかった) ここでいうアルファベットとはローマ字、キリル文字系のアルファベットだけでなく、アラビア文字なども含みます。
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差異が発生したというより、それぞれの起源が違う、と考える方が自然だと思います。


仮に元々起源が同じだと考えるとすると、象形文字の時代に4大文明同士である程度人々の交流があり、言語が高度になるにつれ、交流がなくなっていった、という不自然な推測をしなければならないからです。

文字の原形が象形文字、あるいは数字など極単純な表意文字なのは当然でしょう。そこからが問題なんでしょうが、例えば食文化なら食材というわかりやすい要素があるので推測もしやすいんですが、文字となると要素がいろいろありすぎて厄介ですね。
人種ごとにある脳の微妙な構造の違い、農耕民族か狩猟民族か、人口の絶対数や密度、などなどいろいろありますね。

アルファベット系列が象形文字の時代がわずかだったのに対して、漢字が未だに象形文字を残しているという事実は興味深いですね。
中華民族の頭が柔軟だったのか、より限られたスペースで表現する必要があったのか、発音がわからなくても文字さえ読めれば意味がわかるようにする必要があったのか。

回答になってなくてすみません。興味をひかれたもので。

この回答への補足

あるふぁべっとのAは、表意としては何を表しているのでしょうか。

補足日時:2003/03/27 14:13
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2003/04/11 19:45

 アルファベット系列と漢字系列といいますが、それって「言語」ではなく「文字」の問題ですよね? 言語と文字は分けて考えた方がいいのではないかと思えますが、どうでしょう?


 表音文字と表意文字という違いはありますが、言語自体への影響はそれほど大きくないと思います。表意文字の代表である中国語の文法はアルファベットを使う英語とにているところがありますし、日本や韓国のように、表意文字(漢字)と表音文字(かな、ハングル)を併用する言語もありますよね。
 それに、今では表音文字の代表のように言われているアルファベットも、その起源はアラム文字であり、さらに元をただすと表意文字であるメソポタミアのくさび形文字やエジプト文字にたどりつくといいます。
 たぶん…「記号」として発生した「文字」は基本的に表意文字として発生しており、後に意味が形骸化して発音だけが残ったということはあっても、最初から表音文字として自然発生した文字はないのかもしれません。(ハングルは最初から表音文字ですが…自然発生とは言い難い部分がありますし、日本語のかなと同様、遠因は漢字にありますから…)

 やっぱり、言語の発生を考えるのに、文字の種類はあまり関係ないような気がします。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2003/03/27 14:16

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