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なんとなくは分かるのですが、いまいちしっくり来ないので教えて下さい。
化合物や医薬関連の特許の拒絶理由への対応については(この分野に限りませんが)、意見書、補正書、また引例との違いを証明するための実験成績証明書等が使われたりします。これらの対応について、「明細書のこのくらいの記載があれば、このくらいのことまでは弁明できる」という感覚がいまいちつかめません。進歩性を証明するためにいろいろと言い訳をしたりしますが、どのくらいの範囲までなら認められるかなどなどです。特に実験成績証明書については、当初明細書にどのくらいの記載があれば、どのくらいの証明書が提出できるのかが全く分かりません。
この辺のことについて詳しい方や、参考になる書籍等の情報ソースをご存知の方、ご教示下さい。

A 回答 (1件)

 なかなか回答がつかないようですね。

仕方ないでしょう、かなり専門的な話ですし、プロのノウハウですから、こんな公の場では教えたくないという人だって多いかと思います。これはプロの飯の種に影響しかねない質問ですよ。(苦笑)

 まず、引用例を引かれた場合の意見書の話をします。

 進歩性については、引用例と炭素数が少し違うだけとかではダメですが、【化学的常識から見て性質が異なると考えるべき置換基】を持っていて、そのせいで引用例の物質と比較して産業上の有用性の点で違いがあれば、主張を認めてもらえる可能性が高いです。

 「化学的常識から見て性質が異なると考えるべき置換基」については、プロのノウハウでしょうけど、当業者レベルの化学的知識を持っていればわかるかも知れませんね。

 ここで言う有用性はもちろん、出願当初の明細書に記載されているものに限ります。どの程度書いてあればいいのかという点については、取り敢えず用途及びその用途に用いた時の作用効果が発明の詳細な説明に【常識的な範囲】で書いてあれば大丈夫だと思います。

 「常識的な範囲」が具体的にどんなものかということを知りたいのだと思いますが、ごく普通の意味ですよ。ごく一般的な化学物質発明の明細書に記載されている程度のもので構いませんから、特許電子図書館で過去の出願を参考にして下さい。

 次に実験成績証明書の話をします。

 実験成績証明書を提出するのはいくつかの場合がありますけど、oilpapaさんが知りたいのは引用例を引かれた場合のことですから、そこに絞ってお話ししますね。

 似たような構造を持つ化学物質を記載し、しかも同じ用途に用いることができると記載した引用例が見つかった場合、効果の差が大切になってきます。そういう時に実験データを提出して本願発明の方が優れていることを証明するわけですが、この時に主張できる効果はもちろん出願当初の明細書に記載されているものでなければなりません。

 また、このような場合、引用例の化合物と比べて効果の差が証明できたもの以外は特許性を認められませんから、引用例の化合物についても実験を行って、厳密に比較できるデータを提出することが大切です。

 化学物質によって違ってくるから一概には言えませんが、一例として有機化合物の発明であって、基本骨格が同じで、何か所かの部分が基R、R'、R''、R'''・・・などのように選択肢として書かれていて、そのうちの1か所が引用例の化合物と違うというような場合、他の選択肢はすべて同じという化合物について比較実験を行った方が、データの信憑性が増します。

 また、引用例と異なる1か所が何種類かの置換基からの選択肢になっている場合には、上に書いた【化学的常識から見て性質が異なると考えるべき置換基】のそれぞれについて少なくとも1つ以上比較実験を行うべきでしょう。この場合ももちろん他の選択肢についてはすべて同じという条件で比較した方がいいですね。

 他の選択肢もまた何種類かの置換基からの選択肢になっている場合に、すべてについて実験を行った方がいいかどうかは微妙です。例えば
本願発明では
 Rがアルコキシ、
 R'がアルキル、アルコキシ、アルキルチオ・・・から選択され、
引用例では
 Rがアルキル、
 R'がアルキル、アルコキシ、アルキルチオ・・・から選択される
というような場合であって、R'がアルキルである本願発明の化合物とR'がアルコキシである引用例の化合物とでは同じような効果があるんじゃないかと【化学的常識から見て】疑惑を持たれるような場合には、実験を行うべきでしょう。結局ここでも化学の専門知識がものを言いますね。

 もちろん、共通する選択肢についてすべて厳密に比較した方が信憑性が増しますから、クレームに書かれたすべての化合物について実験データを提出しても構いません。でも、当然ですが効果の点で差が出なかったものはすべてクレームから削除しなければならないでしょう。

 化学物質でもポリマーなどはまた少し違ってくることもありますし、無機化合物だとまたかなり違ってきます。ケースバイケースでいろんなことが考えられますから、ここで全部を説明するのは困難です。長年の経験に基づき、その時その時で判断するしかないですね。正にプロの腕の見せ所だと思いますよ。

 さらに、微妙なケースについては、審査官によっても違ってくるような気がします。確実に特許を取りたければ、拒絶理由通知中の審査官の主張をよく読んで、審査官がどういうことを要求しているのかを理解し、おとなしくそれに従っておくのが無難です。
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この回答へのお礼

多忙のためお返事が遅れてすみません。
ご指摘の通り、私もこの場でおうかがいする事項はなかったと思い削除を管理者へお願いしようと思っていましたが、詳しく教えていただいて恐縮です。
私が主に知りたかったのは実験成績証明書の部分でしたので、大変よく分かりました。
今後経験を積んで、確度の高い対応ができるよう精進します。

お礼日時:2003/06/29 15:33

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