電子書籍の厳選無料作品が豊富!

事実を公然と公開して他人の名誉を傷つけると、
公開者が当該事実の真実性を客観的に証明しても、
その事実が、(1)公共の利害に関する事実であり、
(2)公開の目的が専ら公益を図ることである、
という二条件を満たさない限りにおいては、
名誉毀損罪(親告罪)が成立し得ます。
しかし例外的に、公務員に関する事実に関しては、
当該事実が真実であることを証明さえすれば、
名誉毀損罪には問われないこととされています。
(刑法230条3項)

果たしてここでいう「公務員」とは、
どこまでの範囲を指すものなのでしょうか?

「公務員」には、公選による首長や議員はもちろんのこと、
一般行政事務職の公務員(官僚・官吏)のみならず、
いわゆる国営企業に携わる職員や、地方公営企業職員、
公共企業体(旧三公社)職員などの現業職員に加え、
みなし公務員をも含むと解するのが一般的です。

では、以下の各種職員については、
同条における「公務員」とみなされるのでしょうか?

【A】国立大学法人・公立大学法人の教員や事務職員
(→法人化後は職員の身分が非公務員)

【B】健康保険組合などの公法人(公共組織)の職員たる民間人
(→主務大臣による認可の下で一部公権力行使あり)

名誉毀損罪に詳しい先生方、教えてください。

A 回答 (2件)

国立大学法人の職員はすべて、刑法上「公務員」とみなされる「みなし公務員」です。



国立大学法人法
(役員及び職員の地位)
第十九条  国立大学法人の役員及び職員は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。



健保組合については,健康保険法上、健保協会の運営委員会の委員のみ、みなし規定が置かれていますが、健保組合の職員についてはみなし規定がありません。

(委員の地位)
第七条の二十  運営委員会の委員は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

ただし、健保組合の職員について、みなし規定が無いからと言って、刑法上、絶対に公務員扱いされないというわけではなく、あくまで、刑法7条1項でいう「法令により公務に従事する」職員であるかどうかを個別具体的に判断することになります。

公権力行使に従事する範囲で、みなし規定が無くとも「公務員」となると思われます。
    • good
    • 1
この回答へのお礼

ありがとうございました。

やはりこの点も、規定のない細かい部分については、
「個別具体的」な判断が加わってくるのですか。
法学や法の実務運用は、理系の学問や実用技術とは違い、
法則だけではスッキリと片付けられず、
社会的価値判断が避けられそうになさそうですね。

お礼日時:2011/01/31 20:53

どちらも範囲外です。



公務員が事実の証明のみで名誉毀損罪にならないのは、
公務員の職務や資格に関する事実はすべて公益目的であるという擬制があるからです。

そしてその擬制が認められているのは、公務員法の「公務員は公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」という規定があるためです。

なので、地方公務員法などの法律が適用されない事務職員や民間人には230条3項は適用できません。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2011/01/31 20:54

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!