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等温、等積変化の際の熱平衡条件で、ヘルムホルツエネルギーが極小となることがありますが、このことについて混乱しています。
(1)そもそもヘルムホルツエネルギーなどの状態量は熱平衡の時にしか考えないのではないか。(熱平衡状態で極小とはどういう事か)
(2)等温、等積変化でかつ不可逆変化ならヘルムホルツエネルギーは減少しますが、「dF=-SdT-PdVだからdT=0、dV=0よりdF=0」というのはどこが間違っているのか。

どうぞよろしくお願いします。

A 回答 (3件)

>dF=dU-TdS-SdT=dQ+dW-TdS-SdT≦-dW-SdT…☆(特に体積仕事のみの場合dF≦-PdV-SdT…※)


>よって、V=const,T=const⇒dF≦0…*。
>において、dF=-PdV-SdTが正確に成り立つことを知っているから、※で等号が常に成り立つことは自明。

これはこの系(壁のない容器に気体が封入されており、体積仕事のみ)の場合には非準静的等温過程でも
ΔF = W (W: 外からされた仕事)
が成り立つという意味でしょうか。でしたら、間違っています。
(この系でも、非準静的等温過程では ΔF ≦ W しか言えません)

全微分の式 dF = -SdT -pdV の意味に注意が必要です。
まず、普通の気体の普通の平衡状態は、TとVだけで一意に指定される、という事実があります。
よって、「平衡状態におけるヘルムホルツ自由エネルギーF」や、「平衡状態における圧力p」はTとVの関数と思えます。これをF(T,V),p(T,V)と書くことにします。
全微分の式は、∂F(T,V)/∂V = -p(T,V) を主張しています。つまり、dF = -SdT -pdV のpは、「TとVで指定される平衡状態にあるときの圧力」を意味します。
これは全微分の式なのだから、二つの平衡状態間の自由エネルギーの差ΔFを、これを積分して求めることは、できます。
ΔF = -∫S(T,V)dT -∫p(T,V)dV …… (a)
特に等温過程では、 ΔF = -∫p(T,V)dV …… (a')
この式自体は、非準静的過程でも使えます。使えますが、その際、このp(T,V)は、(先ほども書いたように)「TとVで指定される平衡状態にあるときの圧力p」を使わないといけないのです。
ところが、一般に非準静的過程の最中に実測される圧力pは、p(T,V)とは異なります。気体が不均一になる場合を考えればいいでしょう。するとその状態が温度T、体積Vを持っていたとしても、その圧力は場所によって異なり、それは一般にp(T,V)と異なります。
なので、実測される圧力を単にpと書けば、非準静的等温過程では一般に
ΔF ≠ -∫pdV …… (b)
となります。(あるいは等しいとは限らない、と言うべきか)
(そしてこれはエントロピーと同じ性質なのですが、(a)式から分かるように、非準静的過程における自由エネルギー変化は、その始点から終点までを仮に準静的に遷移させた際の -∫(SdT+pdV) として計算できる)

では、非準静的等温過程におけるΔF と -∫pdV には何の関係もないのかというと、そうではなく、その関係を示したのが質問者さんの書かれた ※式です。等温過程で
ΔF ≦ -∫pdV …… (c)
ここでこの p は、外からされた仕事 W と W = -∫pdV で結ばれるpですから、動かしている壁付近の圧力となります。(ただし、(c)は壁のあたりで圧力が定義できる場合の話ですが。非準静的過程では壁の上の方と下のほうで圧力が異なる、ということはありえますので)

ただし、この系の場合に「温度と体積が変わらなければ自由エネルギーは変わらない」というのは正しいです(これは体積仕事以外があってもです)。これは全微分の式やそれを積分した(a)式を見れば分かることで、この系では始点と終点の温度・体積が同じならば自由エネルギーは変わりません。


>体積仕事のみを考えている場合でかつ一番最初の証明のような系を考えている時、>V=const,T=const⇒dF≦0」…◎
>というのは間違いではないけれど、
>V=const,T=const⇒dF=0」と書いたほうが親切ですよね。
これは、そうですね。ただしFは非準静的過程の最中には定義できないので、正しくは最初と最後の自由エネルギーの差についてです。そうすると、上に書いたように体積仕事以外があってもイコールです。内部に壁などのない、単純な系ではそうなります。
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この回答へのお礼

何度も本当にありがとうございました。
ようやく混乱が解けました。

お礼日時:2011/06/11 22:11

>例えば回答者様の例では、系の自由エネルギーの形はdF=dF1+dF2=(-S1 dT1 - P1 dV1)+(-S2 dT2 -P2 dV2)であり、


>この時、等温、等積の条件はd(T1 +T2)=0,d(V1 +V2)=0であるから、一般にdF≠0である。)

等温条件はdT1=dT2=0 の間違いですね。
あと、もしかしたらこれは分かっているのかもしれませんが、
dF=-SdT-PdV という式は、関数 F(T,V) の全微分の式としては正しいのですが、一般には不可逆過程の途中の微小変化では、Fやpなどが定義できない(できるとは限らない)ため適用できないので、注意して下さい。
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この回答へのお礼

度々すいません。また少し混乱してきたのでまとめます。

よく見る以下のような証明:
dF=dU-TdS-SdT=dQ+dW-TdS-SdT≦-dW-SdT…☆(特に体積仕事のみの場合dF≦-PdV-SdT…※)
よって、V=const,T=const⇒dF≦0…*。
において、dF=-PdV-SdTが正確に成り立つことを知っているから、※で等号が常に成り立つことは自明。
さらに*において、体積仕事しかない場合にはこれからFが減少する方向に進むとは言えない。実際、全微分の式よりFは常に一定である。特に気体ならば状態方程式より状態すら変化しない。)

例にあったような「系の集まり全体」を系として考えた時の関係式:
dF=d(F1+…Fn)=…≦-d(W1+…+Wn)-(S1・dT1+…+Sn・dTn).
こそが(体積仕事のみの場合においては)重要である。
(一般の場合には☆自体が重要な結論)
ということでしょうか。

体積仕事のみを考えている場合でかつ一番最初の証明のような系を考えている時、「V=const,T=const⇒dF≦0」…◎
というのは間違いではないけれど、
「V=const,T=const⇒dF=0」と書いたほうが親切ですよね。
(色々な所で◎がさも重要なことであるように書かれているのはおかしい?)

お礼日時:2011/06/07 20:01

等温過程でなおかつ系が外から仕事を加えられないとき、ヘルムホルツの自由エネルギーは必ず変わらないか減少するかのどちらかです。


ところが、普通の気体では温度と体積(と物質量)を固定するとその状態は一意に指定されてしまうので、質問者さんが(2)に書いたように、ヘルムホルツの自由エネルギーは(というかそもそも状態が)必ず不変に保たれるように見えます。

しかし、もう少し複雑な状況を考えると、少し事情が違います。
たとえば、よく話に出されるのは、系の内部に壁がある状況です。
透熱壁でできた箱の内部に、一枚の仕切り板があるとします。そしてその右側と左側に、それぞれ気体が入っているとします。
そこで、何らかの仕掛けを用いて、この壁を動かせるように(可動壁に)するとします。
このとき、容易に分かるように、この壁は左右の圧力が釣り合うところで止まるのですが、実はこのとき、系全体のヘルムホルツの自由エネルギーが最小になっています。

ご質問者さんが懸念されているように、本来状態量とは平衡状態のときにしか成り立たない概念です。そこで、以下のように考えてみてください。
最初は壁を固定しておいて、この系のヘルムホルツエネルギーを調べ、次に壁を動かせるようにし、系が落ち着くのを待ってから、再び系のヘルムホルツエネルギーを調べます。
このとき、系が落ち着いた後のヘルムホルツエネルギーは、最初の状態のヘルムホルツエネルギーよりも小さいです。
ところで、この最初の状態における壁の位置というのは、少し動かしてもいいわけです。壁をもっと左に寄せても、右に寄せても。そしてそのどの状態から始めても、同じ状態に落ち着き、そして常にヘルムホルツエネルギーは減少します。
よって、実は壁の位置に関してヘルムホルツエネルギーが最小になるところが、壁を可動壁にした際の平衡状態になるんだ、ということが分かります。

系の拘束条件等を決めれば「平衡状態」は一義に決まるはずなので「ヘルムホルツの自由エネルギーが極小になる」という文章は(比べる対象が不明瞭で)おかしく感じるわけですが、系の内部の壁の位置(あるいは壁の有無そのものすら)変えてしまうことを考えれば、系全体の体積と温度が一緒でも様々な平衡状態が考えられ、その中で(そのとき動かしているパラメータに関して)「極小」になる、ということです。
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この回答へのお礼

私が言葉にできなかったところまで質問の意図を読み取っていただきありがとうございます。まさに私が求めていた回答です。

なるほど、熱平衡状態同士を比べて極小ということですね。
つまり、「熱平衡条件」というよりは、「系が最終的に到達する熱平衡にあるための条件」とでも言うべきでしょうか。

そして、(2)での私の間違いは、系のヘルムホルツの自由エネルギーの表式を特殊なもので書いてしまったこと。
例えば回答者様の例では、系の自由エネルギーの形はdF=dF1+dF2=(-S1 dT1 - P1 dV1)+(-S2 dT2 -P2 dV2)であり、
この時、等温、等積の条件はd(T1 +T2)=0,d(V1 +V2)=0であるから、一般にdF≠0である。)

ということでよろしいでしょうか。

お礼日時:2011/06/06 23:33

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