【大喜利】【投稿~9/18】 おとぎ話『桃太郎』の知られざるエピソード

詐欺取消により悪意の転得者から物を取返す場合には、相手方への取消しの形成訴訟
と転得者への不当利得返還の給付訴訟を行うのでしょうか?

また、通謀虚偽表示の場合に、悪意の転得者から物を取返すためには、相手方への無
効の確認訴訟と転得者への不当利得返還の給付訴訟を行うのでしょうか?

また上記の場合の相手方が行方不明になっている場合があると思いますが、その場合
には相手方は欠席裁判により敗訴が確定するのでしょうか?

A 回答 (3件)

訴訟類型には、3種類ありますね。

給付、確認、形成訴訟です。
このうち形成訴訟については、他の訴訟と違い、やや特殊な訴えで
すから、この訴訟からまず理解していきましょう。

形成の訴え。通常民法でいう、取消し権、解除権などの形成権
は、要件に合致すれば法律上当然に生じ、あえて裁判上認め
られなければ効力が発生しないということにはなりません。
では、形成の訴えってどうしてそんなものがあるのか、不思議
になると思います。これは、先ほどの詐害行為取り消し訴訟
のときでもお話しいたしました通り、取消の遡及効は絶対的無効
とすると、取引の安定が阻害されるということと密接な関連を
持っています。

というのは、いかな形成権が要件に合致すれば当然に認められる
とは言っても、多数の利害関係者がいますと、私取消権行使した
んでー。と一人の人にいったり、「あ、要件にあてはまっちゃった
ならOKだよねぇ~」と自己進行されると、常に多数の利害関係者が
その事情を知っているわけではないために、重大な齟齬を生んで
仕まう恐れがあるためです。

ですから、一定の事実について形成の訴えは、裁判所の判断を
まって、初めて効果が生じるとすることにより、「画一的に、公正に、
周知できるように!」発生させる必要があります。

これはあくまでも例外的な訴えですし、ご丁寧に法律上
形成の訴えによることが明記されているものがこの訴えの
対象となります。ですから、詐欺取り消しも、法律上形成の訴えに
よる。と明記されていない限り、訴訟として別に主張する必要は
ございません。

婚姻の取消、離婚等の人事訴訟や、株主総会等の
決議の取り消しの訴えなんかがそうです。

ですから、給付訴訟を提起し、その中で詐欺の要件が認定
されれば十分でしょう。

今度は確認訴訟と給付訴訟の組み合わせですね。
通謀虚偽表示の無効も、これは、形成権によるまでもなく、
誰が訴えるまでもなく、当然に無効です。

ですからこれも詐欺の取り消しとほぼ同じ扱いになります。
訴訟上で、虚偽表示があったと認定されれば十分でしょう。

確認の訴えと言われ、無効、なものですから、権利関係が
不存在であり、従って確認訴訟の対象とされている、権利の
不存在についての確認をするのではないか。とお考え
になられましたか。

いい推論です。しかしここは極めて法律の文言主義的な
においの強いところでして、虚偽表示の無効は、その無効の
対象が「意思表示」にかかっているわけです。
94条をご覧になってください。
いや、文言主義が強い、などと言ってしまうと、
じゃあそうでないところもあるのか。ということになりますから、
とんでもない誤解を植え付けてしまうかもしれません。
ですから、文言を注意しとかないと、非常に誤解しやすい
ところ。という意味であるとお受け取りください。

権利の不存在の確認は、無効である場合、もはや存在
しないことは当たり前なのであって、問題にならないのです。
よろしいですか?意思表示は有効であって初めて
権利関係は存在しうるのです。つまり、確認すべき
権利は無効である以上存在しないのです。契約により
権利義務が発生しますね?そして契約とは意思表示の
合致により生じる。その意思表示自体が無効である。
つまりそういうことです。

ですから、虚偽表示の無効により、悪意の転得者から物を
取り返すにあたり、給付訴訟を提起しておけば、虚偽表示
そして相手方の悪意を主張し、認められれば十分な
わけです。
もちろん、無効という形成の訴えについて、法律が
形成の訴えを定めていれば、形成の訴えという別の
訴訟が必要になるでしょう。

例えば会社の組織に対する行為の無効の訴え
(会社法828条)等です。これは形成の訴えです。

さて、最後の当事者欠席の場合ですね。「欠席」と
聞きますと、当事者が意図的に裁判所に出頭しな
かった。というように受け止められますよね。

確かにこの場合であれば、このような当事者を保護
する必要性はどこにもありません。ですから、法が
定めている通りの擬制が行われた後、判決が
行われることになりますね。民事訴訟法の
244条の但し書きに、「当事者の一方が口頭弁論
の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷した
場合には、出頭した相手方の申し出がある場合に
限る。」これは終局判決をしてくれ。という要求が
できるということです。

これに対し、行方不明であれば、そのような裁判が
発生していることすら知ることができず、さらに
欠席制度が想定している準備書面や訴状などが
全くなくなってしまい、そのままストレートに訴えた
原告が勝利してしまう。ということになりそうです。

一応訴えがなされると訴状のコピーが被告の
元に送られますよね。行方不明者と言っても
多段階ございます。

(1)住所不定者(2)住所はあるが、本人の居場所が
わからず、判断できないため、財産が野放しに
なっている状態。いわゆる蒸発。
(3)請求を受けないために逃亡中(意味なし。)
(4)家族はいる。

おそらく質問者様が望まれているのは、(1)の
住所不定者、全くどこにいるのか皆目見当も
つかない。場合であろうと思われます。

このような人物においては、まず訴状を送達
(原告が被告の住所、宛先を明らかにしている
はずですから底に送達、あるいは戸籍を調べる)
そしてさらに、誰もいませんでした。ってことになれ
ば、そこを調査して近くにいないか、足取り等を
しらべます。しかしさらにいませんでした。って
ことになると、最後は公示送達ということになり、
官報や役所の掲示板に記載し、「貴方の元に
この訴状が届きました」と擬制されることになります。

これ以降、その相手方は、欠席扱いとなり、
やがて訴訟が進行して、それにもかかわらず
現れなければ、敗訴という結果になります。
もう仕方がないじゃん。っていうことですね。

また、家族がいたとしても、民事訴訟で訴えられる人
っていうのは、やはりその訴訟の目的に対しての
知識について熟知している人ですから、いかに
利害関係があるとはいえ、訴訟に関しては知ってる
とはいえませんから、実務では本人が何年も
行方不明です。ということになると、上の場合に
結局結びつくことになります。

(2)の場合も同じです。(3)はいなければ逃げた
と思われることもありますよね。もちろん欠席
扱い。そうでなければ(2)です。あんま分ける
意味ありません。

お分かりいただけたでしょうか(^益^)
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この回答へのお礼

とても、噛み砕いたご説明で分かりやすく、疑問が氷解すると同時に、自分の問題点が
はっきりいたしました。

これについては、「民事訴訟における当事者その2」として、改めて質問をさせていた
だくことを考えております。
その節は、ご都合がよろしければご回答いただければ幸いです。

お礼日時:2011/06/18 00:09

>詐欺取消により悪意の転得者から物を取返す場合には、相手方への取消しの形成訴訟と転得者への不当利得返還の給付訴訟を行うのでしょうか?



 形成訴訟だとすると、取消の判決が確定して、はじめて取消の効果が生じるのですか。

>また、通謀虚偽表示の場合に、悪意の転得者から物を取返すためには、相手方への無効の確認訴訟と転得者への不当利得返還の給付訴訟を行うのでしょうか?

 そもそも確認の訴えの利益があるのか疑問ですが、それは横に置いといて、仮に相手方に対する無効を確認する判決が確定した場合、その判決の既判力は、転得者に及びますか?
 
>また上記の場合の相手方が行方不明になっている場合があると思いますが、その場合には相手方は欠席裁判により敗訴が確定するのでしょうか?

 まず欠席裁判という制度はありません。被告が答弁書等の準備書面を提出せず、口頭弁論にも出席しなかったことにより、原告が主張する請求原因事実について自白したとみなされ(擬制自白)、その自白された事実から、原告の請求に理由があると認められれば、原告の請求を認容する判決がなされます。逆に言えば、請求原因事実が自白されたとしても、法的効果が生じる必要な事実を主張してなければ、いわゆる主張自体失当ということで、請求棄却判決になります。
 それから、被告への訴状の送達が、公示送達による場合は、被告の擬制自白は成立しませんから、原告が証明すべき請求原因事実を証拠により証明しなければ、原告の請求は棄却されます。

>被詐欺者と転得者との間で争われるとしますと、詐欺者は裁判には関与しないわけですが、そうしますと被詐欺者の取消しが転得者との間では認められても、詐欺者との間では効力を持たずに、転得者は詐欺者に対して代金の返済を請求できないのでしょうか?

 とりあえず、民事訴訟のことは忘れて、民法上、転得者が詐欺者に対して、代金の返還を請求する根拠は何ですか。(結論は、返還の請求はできます。)

民事訴訟法

(訴状等の陳述の擬制)
第百五十八条  原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。

(自白の擬制)
第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。
2  相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。
3  第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
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この回答へのお礼

私の物分かり悪さにもかかわらずに、ご丁寧に回答いただきまして
ありがとうございます。
とても参考になります。

「民事訴訟における当事者その2」として、改めて質問をさせていた
だくことを考えております。
その節は、ご都合がよろしければご回答いただければ幸いです。

お礼日時:2011/06/18 00:12

 誤解があるようですが、取消権は形成権ではありますが、実体法上の形成権行使が形成訴訟となるわけではありません。

形成訴訟の詳しい内容は教科書等で確認してもらえたらと思いますが、既存の法律関係の変動をもたらす法律要件が満たされることを主張し、その変動を宣言する判決を求める訴えであり、例としては、株主総会取消訴訟等が挙げられます。

 さて、詐欺取消により悪意の転得者から物を取り返す場合ということですから、これはまさに給付訴訟です。この場合は不当利得返還請求ではなく所有権に基づく返還請求をするのが一般的でしょう。不当利得の場合には、特に因果関係があるかという要件に疑義を生じる可能性があるので、端的に所有権を訴訟物にします。
 つまり、所有権に基づく返還請求権を訴訟物とし、物の返還を求める給付訴訟を提起します。要件事実的には、原告が自己の所有、被告の占有を主張し、相手方としては、原告が詐欺取消の対象となる契約の存在を主張、すなわち所有権喪失の抗弁を提出する。原告が詐欺取消を再抗弁として主張する。被告が善意の第三者であるとの再々抗弁を主張し、そこで原告がこれを否認して争うという形になります。

 通謀虚偽表示に関しても上記と同様、所有権に基づく返還請求という給付訴訟です。主張構造もほとんど同じですので省略します。

 訴訟の相手方の住所等が不明な場合には、最終的には公示送達によることになります。裁判にも出席せず答弁書も提出しなければ、被告は敗訴するということになります。

この回答への補足

いつも懇切丁寧かつ論理明快な回答をありがとうございます。

被詐欺者と転得者との間で争われるとしますと、詐欺者は裁判には関与しないわけで
すが、そうしますと被詐欺者の取消しが転得者との間では認められても、詐欺者との
間では効力を持たずに、転得者は詐欺者に対して代金の返済を請求できないのでしょ
うか?

補足日時:2011/06/17 21:49
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この回答へのお礼

私の物分かり悪さにもかかわらずに、ご丁寧に回答いただきまして
ありがとうございます。
とても参考になります。

「民事訴訟における当事者その2」として、改めて質問をさせていた
だくことを考えております。
その節は、ご都合がよろしければご回答いただければ幸いです。

お礼日時:2011/06/18 00:12

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