お世話になります。
社労士試験の勉強中ですが、遺族厚生年金について質問します。
1.遺族厚生年金において、夫が死亡して子と妻が
受給権者である場合では、「子は遺族基礎年金の受給権を持つが、妻が遺族基礎年金
の受給権を持たないときは、妻に対する遺族厚生年金はその間支給停止される」とあり、
「妻と子が生計を同じくしないとき」がこれに該当すると教科書に書いてあります。
2.ここで、例えば夫、妻、子(夫婦の実子)の3人が夫の収入で生活していたが夫が死亡し、
夫死亡後、子が妻と別居しアルバイト等で自分で生計を維持するようになり、この別居
により妻の遺族基礎年金が失権した場合、妻は『遺族厚生年金の受給権は持ち続けるが、
永遠に支給停止のままである』と考えてよいでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
度々お世話になります。
「永遠に」というのがどれくらいの期間を
指すのかがわかりませんが、
厚生年金保険法第66条第2項において
「妻が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって
子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。」
とありますように、子が当該遺族基礎年金の受給権を有している間、その支給が停止されます。
裏を返しますと、子が当該遺族基礎年金の受給権を有しなくなる(失権する)と
妻の遺族厚生年金の支給停止が解除され、妻に支給されるようになります。
子の遺族基礎年金は第40条第1項または第3項に該当(一番多いのは18歳到達)しますと
失権しますので、子の受給権が失権すると妻の遺族厚生年金の支給が再開されます。
(子の受給権が失権する前に妻が亡くなるとある意味永遠に支給停止のままということになります)
妻と子は同順位者ですので、子のある妻の場合は
妻も子も遺族厚生年金や遺族基礎年金の受給権を有してるのが一般的ですが、
遺族年金の支給は、遺族基礎年金が支給される者が優先されますので
妻に遺族基礎年金が支給される場合は、妻に遺族厚生年金が支給され、(子は支給停止)
子に遺族基礎年金が支給される場合は、子に遺族厚生年金が支給されます。(妻は支給停止)
子に遺族基礎年金が支給されなくなると、妻の遺族厚生年金の支給が再開されるようになります。
このように、子の受給権がなくなると、妻の支給停止が解除されることにご留意くださいませ。
【参考1】国民年金法(昭和三十四年四月十六日法律第百四十一号)
(失権)
第四十条 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 養子となつたとき(直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く。)。
2 妻の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか、第三十九条第一項に規定する子が一人であるときはその子が、同項に規定する子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、同条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
3 子の有する遺族基礎年金の受給権は、第一項の規定によつて消滅するほか、子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき。
二 十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。
三 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
四 二十歳に達したとき。
【参考2】厚生年金保険法
第六十六条 子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、妻に対する遺族厚生年金が第三十八条の二第一項若しくは第二項、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
2 妻に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、妻が国民年金法による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であつて子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
3 (略)
この回答への補足
sakkouさま
いつも大変貴重なご回答を頂き誠にありがとうございます。
今回も分かりやすい解説で大変助かりました。
ここで、もしsakkouさまのお時間が許すならば、今回の遺族基礎年金と
遺族厚生年金について、私なりに具体的なケースを考えてみましたので
これに間違いがないか、sakkouさまのご意見を頂けないでしょうか?
(法律の条文だけではどうしても理解することが難しく、具体例を考えて
イメージしてみることにした次第です。)
もし、お時間がおありになるなら、よろしくお願い致します。
私の考えた具体例;
A.夫(第2号被保険者)、妻(第3号被保険者)、子(夫婦の実子)の3人家族で夫が死亡した場合を考えてみました。
このケースで妻に遺族基礎年金の受給権はないが遺族厚生年金の受給権があり、子に遺族基礎年金と遺族厚生年金両方の受給権がある場合とは、
・子が18歳未満で
・子が妻と生計を同じくしていない
ケースが考えられます。
(子が18歳未満で、妻と子が生計を同じくしている場合は妻に遺族基礎年金の受給権があることになる)
B.子が18歳未満で、子と妻が生計を同じくしていない限りにおいては、
・妻の遺族厚生年金は支給を停止され、
・子の遺族基礎年金は(生計を同じにする母がいないため)支給され、
子の遺族厚生年金は(妻が支給停止中なので)支給される。
C.上記Bの状態のまま、子が18歳年度末に達すると
・子の遺族基礎・厚生年金は失権し、
・(子の失権に伴い)妻の遺族厚生年金は支給停止が解除される。
これで間違いないでしょうか?
No.3
- 回答日時:
生計維持関係の認定に当たっては
「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23.3.23年発0323第1号)」
に基づき認定されますが、
当該取扱いにおいて、生活費、療養費等の経済的な援助が行われている場合には
住民票上世帯を異にしていても、
生計を同じくしている者と認定することとされていますので
お尋ねのように、仕送りが子になされている場合は、
生計維持関係にあるということになります。
(私が事例に挙げた夫と生計維持関係にあるというのも
生活費等の経済的な援助が行われていたという前提のものです)
なお、もう一つの要件である「収入」に関しては子の場合、
前年の収入が850万円以上であることはそうはないので、特に記述しませんでした。
よほど収入がある遺族ではない限り、生計が同一と認定されれば、
生計維持関係が認められることになります。
これは私からの勝手なお願いですが、もし再度のご質問がございましたら
できれば新規にまとめてご質問してくださるとうれしいです(^^;
どうぞよろしくお願いいたします。
【参考】生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2. …
No.2
- 回答日時:
もし、そういったご家族が実際にいれば
お見込みのとおりとなりますが、
夫婦の子であるのに、妻と子の間に生計同一関係が
認められないケースは通常の家庭ではあまりないと思われます。
(妻が別居中、子と連絡をほとんどとっていなかったとか
そういったケースになりますでしょうか。)
よくこの条文で想定されるケースというのは
死亡した厚生年金の被保険者(夫)、
先妻の子(夫と別居)、後妻(夫と同居)という関係で
先妻の子と後妻が生計を同一にしていないケースです。
(両者とも夫と生計維持関係にあると仮定)
この場合、先妻の子には遺族厚生年金と遺族基礎年金の受給権が、
後妻には遺族厚生年金の受給権が発生します。
ここで、遺族基礎年金の受給権者に対する給付が優先されるため、
子が18歳年度末に到達するまで妻に対する遺族厚生年金は支給停止となりますが、
子の遺族基礎年金等の受給権が失権しますと、
妻の遺族厚生年金の支給停止が解除されます。
なお、先妻とその子が同居しているような場合は、
国民年金法第41条第2項の規定により
子の遺族基礎年金は支給停止となり、
遺族厚生年金しか支給されないことになります。
ちょっと横道にそれましたが、
遺族給付は結構複雑なため、ケースを想定するのはなかなか難しいです。
再度どうもありがとうございます。
挙げていただいた例で大変良く分かりました。
ところでとても細かいことで恐縮なのですが、挙げていただいた
想定されるケースの中で再度一つ質問があるのですが・・・
>(両者とも夫と生計維持関係にあると仮定)
夫が死亡時に後妻は夫と同居しているので、後妻が夫と生計維持関係にあることは容易に想像できるのですが、先妻と同居している子が、「夫死亡時に夫と生計維持関係にある」状況とは具体的には、『夫存命時に夫と子は同居していないが、夫が子(及び先妻)に生活維持のための仕送りをしていて、この仕送りをもって「夫と子が生計維持関係にある」と解釈する』という理解でよろしいでしょうか?
(健康保険法には被保険者と被扶養者間の生計維持関係が具体的に規定されているのでよく分かるのですが、遺族年金における、特に別居状態にある者同士が生計維持関係にあるための要件が見つからないため、もしお分かりになればと思いお聞きするものです))
何度も恐縮です。
もしお時間がおありになったら、ご回答いただければ嬉しく思います。
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