No.1
- 回答日時:
当方は工学部出なので、関数解析の下地が必要なやや専門的な偏微分方程式についてはコメント出来ないので、利用する側の立場から(自分で利用してためになっている書物を)挙げさせて頂く。
(教育とは全然縁がないので、大学でよく薦められているのかどうなのかは申し訳ないが分からない!)
# 「物理数学」高橋健人著 (培風館)
・・・B6版でフーリエ積分を利用しての境界値問題などの解法が書かれている。
(教科書っぽい記述のような感じがする)
#「微分方程式の解法」(第2版)吉田耕作著 (岩波全書)
・・・B6版で常微分方程式と偏微分方程式の両方の記述がされている。
# 「物理・工学における偏微分方程式」 コシリヤコフ・グリニエル・スミルノフ著(藤田宏/池部晃生/高見穎郎訳)(岩波書店)
・・・当方が偏微分方程式の学習で良く見開く本!(・・・絶版?)
# 「応用編微分方程式」(コロナ社?)・・・だったか?犬井鉄郎著
・・・当方は所持してはいないが、犬井先生の書籍は、当方が学生の頃に紹介されていたように思う。
# 「偏微分方程式論」ペトロフスキー著(渡辺毅 訳) (東京図書)
・・・これも所持しているわけではないが、昔、学校の図書室で眺めた記憶がある・・・!
また、当方がよくお世話になっている「寺寛(基礎編)」・・の8章と14章にも偏微分方程式に関する記述がある!
もっと「数学」よりに書かれている書籍を欲しているのならば、他の方のアドバイスを待たれると良いと思うが、伊藤清三先生、溝畑茂先生の書籍はよく参考書籍として挙げられるようである。
---どれを読めばいいのか迷ってしまいます----
結局は、ご自分で手に取ってみて気に入った本を選ぶのが最良なのだと思う・・!
回答ありがとうございます。
偏微分方程式論、って何を目的に勉強するのだろう、というのが質問の動機です。ナビエーストークス方程式やシュレディンガーの研究とか、何が目的なのかピンとこず、紹介頂いた本とそこをつなぐ本ががあればいいのですが…。
No.2
- 回答日時:
物理系の方でしょうか?。
自分は工学出身なので、以下は工学系の割り切りになります。今ある偏微分方程式の本は、物理の本ではない、と思った方が良いと思います。偏微分方程式の出自が、物理の問題であったのは事実ですが。物理としての偏微分方程式を議論している本で、今すぐ思いつくのは、ちょっと古いですが、ソリトンや戸田格子の辺りの話です。
ふつうの偏微分方程式の本は数学書ですから、解の存在証明などが中心の理論的な本と、解法テクニックを学ばせる本に大別できると思います。日本の偏微分方程式論は、世界のトップクラスにあるので、たくさん良書が出ていて目移りしますが、出来るだけ新しい本を選んでおけば、当たり外れはなく、けっきょくは自分に合った本という事になると思います。また新し目の本は時代を反映して、記述の要領が良く、読みやすい傾向にあると思います。
解法テクニックは、特性曲線,グリーン関数,フーリエ級数,多項式や特殊関数による級数展開などが代表ですが、これらはケースに応じて使い分けるので、解法テクニックの本で実地にトライするしかありません。理論的な本に進むにしても、解法テクニックは無視できません。一番明快な解の存在証明は、解を計算して見せる事ですから。
#1さんが標準的良書と古典を出されているので、自分は「物理数学,アルセニン,森北出版,1981年」を上げます。理論とテクニックのバランスが良く、マニュアルがわりにも使えるからですが、両者の面倒なところも併せ持つので、読むには骨が折れます。特に特殊関数については、嫌になるほど載ってます。また物理問題からの偏微分方程式の導き方を、初等的な例で説明する章があり、偏微分方程式の分類と特性曲線の方法は、良くまとまっています。(特性曲線を詳述する本は、少ないと思いますので)。
余り話題になりませんが、特殊関数がわからなくて苦労する場面はけっこうあります。そういう場合は「量子力学1(非相対論領域),ランダウ,東京図書」の数学的補講をお薦めします。ランダウ先生らしく、愛想もなにもないですが内容は明解で、さすが「先生」と思えます。
>偏微分方程式論、って何を目的に勉強するのだろう、というのが質問の動機です。ナビエーストークス方程式やシュレディンガーの研究とか、何が目的なのかピンとこず、・・・
原論文(有難い事に、けっこう日本語訳が出てます)や、ちゃんとした物理学史を読んでみるのも手でないでしょうか?。
回答ありがとうございます。
方程式の物理的な意味はよく分からないのですが、いろいろな関数空間上で解の滑らかさや存在を議論している研究が多いみたいですが、どのような意味があるのでしょうか。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>方程式の物理的な意味はよく分からないのですが、いろいろな関数空間上で解の滑らかさや存在を議論している研究が多いみたいですが、どのような意味があるのでしょうか。
常微分方程式でも同じだと思うのですが、微分方程式という物を知ってしまった以上、それは必ず解を持つのか?とか、持たないとしたらどんなケースで、そのケースの判定条件は?とかは、数学的にはやっぱり、ほっとけない所だと思います。
その結果出てきたのがリフシッツ連続条件で、リフシッツ連続程度に滑らかな関数空間を指定すれば、初期値に対して常微分方程式は一意解を持つ、はご存知と思います。連続なので必ずしも全ての点で微分可能ではないですが、それでも一意解はある訳で、このような条件は、ほとんど全ての連続関数が満たします。
そうすると工学屋は、常に安心感満載で、コンピューターにルンゲ・クッタ法プログラムを書けます。常微分方程式は、リフシッツ連続よりもう少し広い関数空間上で、解を持っていたと思いますが、限界条件を与えても(数学者以外は)余り興味を示さないので、リフシッツ連続が標準になったんだと思います。
偏微分方程式論の目的も、概ねこんな所だと思うんです。でもちょっと虚しいですよね?。なのでもう少しライブ感のある話を・・・。ただし専門ではないので、多少嘘書くかも知れません。さらに内容も知ってたら、御免なさい。その場合は、まぁ~こんな割り切り方もあるのか、程度で聞いて下さい。
ナビエーストークス方程式は、粘性流体の挙動を表す基礎方程式です。具体的に解くのは難しいですが、見つかった層流の解はどれも実験的に支持され、順調でした。ところが、流れのレイノルズ数がある限界を超えると、突然流れは無茶苦茶に複雑に乱れ、層など形成しなくなります。この現象は乱流と呼ばれます。
乱流は、それまで見つかっていた層流解のどれとも、似ても似つかず、ナビエーストークス方程式の性質から定性的に予想できるものでもありませんでした。レイノルズは乱流を、実験的に発見します。
そこでまず乱流解は、ナビエーストークスの解集合に含まれるのか?という事が問題になりました。これは解集合になる関数空間の限界条件と、解の存在証明です。ところがどうも、乱流解は、ナビエーストークスの解集合に含まれないらしいのです。
そこで出てきた考えは、初期条件の摂動(微弱な外乱)に非常に敏感な層流解が、現実には不安定化し、カオスのように解が無限分岐して、乱流が起こるという物理機構でした。その指標を示すのが、レイノルズ数の大小です。
そうすると、ナビエーストークスに対して不安定化しやすい関数空間とはどんな物なのか?、それはどれぐらい滑らかなのか?、滑らかでないのか?、その関数空間はナビエーストークスの解集合の中に存在するのか?、存在するとして物理的に可能な解なのか?、また乱流の乱れ度合いをどのように評価するか?(そうでないと、実験と比較できない)、・・・などなど(^^:)・・・、(いかにも関数空間っぽい)色んな問題が沸いてきます。
現在この分野は乱流論と言われると思いますが、自分が大学にいた頃は、乱流論の成書がやっと一冊出た、といった状況でした。内容は半分以上が、偏微分方程式論です。
これが本来の、偏微分方程式論の姿だと思います。古い話題で考えても、静電場の静電ポテンシャルがポアソン方程式になるのは、静電場の特徴付けになってますし、ラプラス方程式の静電ポテンシャルが、内部に最大も最小も持たないという証明は、静電場の一般的分布を読み解くためです。これらだって開発時には、立派な偏微分方程式論だったと思うんです。
問題はあなたの食指は、こういう話題に反応するか?です。自分は乱流に興味がないと言えば嘘になりますが、工学系なので、とりあえずいいやと思います(間違って研究テーマだったら、別ですが(^^))。
だから最初におききしたんです。物理系ですか?(数学系ですか?、工学系ですか?)と。
いろいろな例で分かりやすく解説頂いてありがとうございます。
自分は学生の頃、関数解析や偏微分方程式の初めのほうを齧っていました。
結局何がしたいのか分からず、勉強の意欲がなくなって行きました。
また少し時間に余裕ができ、勉強してみようと思い立ったのですが、田舎に就職したので町の本屋で適当な本がなく、今流行りの偏微分方程式の本をお尋ねしたところでした。
特殊関数、については微積分の初めの方でガンマ関数とベータ関数を習っただけで、偏微分方程式と関係があるとは思いませんでした。
週末、大学図書館で探してみます・・・。
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