こんにちは、いつも勉強させてもらっております。
ある物理の問題で、私の解法が模範解答と異なるため、添削頂き、間違っている点を
ご指摘頂きたく質問させて頂きました。どうか宜しくお願いします。
添付の図の上段をご覧下さい。質量Mの棒abの両端がそれぞれのスライダーの上を
動けるように固定されています。
左端aは鉛直方向に、右端bは水平方向にそれぞれ動けるようなスライダーです。
左端にはスライダーに沿ってバネ(定数: k)が仕込まれております。
はじめ、棒は水平方向に押さえられており、このときのバネの長さが自然長であるとします。
今、「はじめ」の状態から、棒abをリリースして、棒abが図のように水平方向と角度θとなったとき、
左端aの速度を求めよ、という問題です。
私の解法を次に示しますので、どうか検証頂ければと思います。
はじめの状態でのエネルギーをゼロとして、
角度がθとなったときのエネルギーの合計がゼロとなるようにして求めたいと思います。
バネの弾性エネルギー: 0.5k(Lsinθ)^2
重心(abの中点)の位置エネルギー: -Mg x 0.5Lsinθ
重心の運動エネルギー: 0.5MVg^2
棒の回転の運動エネルギー: 0.5Iω^2
これらの総計がゼロであるという式を立てます(式1)
ここで未知数は、
重心の速さVg、棒の慣性モーメントI そして棒の角速度ωとなります。
そして、aとbの速度の向きが規制されている点に着目し、棒の回転について
瞬間中心cを求めました(添付の図の下段: 角acbは直角)。この瞬間、
棒のどの点もこの瞬間中心cを中心に角速度ωで回転しています。ですので、
このことから棒の慣性モーメントを求め、重心の速さと棒の角速度の関係を
求めることができます。
棒の慣性モーメントは、次のようにして求めました。
棒の重心(aとbの中点)を回転軸とした場合の棒の慣性モーメント:Ig = (ML^2)/12
に重心Gからc点までの距離(L/2)の二乗と棒の質量をかけたものを足します(平行軸の定理)。
I = Ig + m(L/2)2 = (ML^2)/3
また、Gから瞬間中心までの距離(L/2)が半径となり、
重心の速さVg = 回転の半径(L/2) x ωとなります。
以上により、未知数はωだけとなり、式1からωが求まります。
ωは点aの点cまわりの回転の角速度でもあり、点cから点aまでの長さ(Lcosθ)も
分かっているため、点aの速度は、大きさがωLcosθで鉛直下向き、となるかと思います。
いかがでしょうか。誤りなどご訂正頂ければと思います。
■なお、模範解答では、
やはり瞬間中心を求めて、gとその距離からVgとωの関係をもとめて
Vg = (L/2)ω
としているまでは同じなのですが、
運動エネルギー = 0.5m(Vg^2) + 0.5Ig(ω^2) = (1/6)m(Lω)^2
と記されており、Ig = (1/12)mL^2 で計算されれています。
これは、私の知る限り、重心を回転軸とした棒の回転の慣性モーメントであり、
模範解答では回転の中心が重心Gであると言っているのではないかと思っています(模範解答自体には
特にそのような記述はなく上の運動エネルギーの式が示されているだけです)。
いかがでしょうか。長くなってしまい申し訳御座いませんが、真剣に悩んでおりまして、
どうか宜しくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
誤りはきわめて基礎的な部分にあります。
運動方程式を,重心運動と回転運動に(相対的に)独立に分ける場合,
「回転運動は,重心まわり」
なのです。したがって,慣性モーメントは重心まわりのものを使わなければなりません。
重心の運動は,重心の運動方程式(から得られるエネルギー原理)で独立に記述しているのですから,当然の話です。もちろん,重心は常に瞬間回転中心にはなっておらず動いています。したがって,もし瞬間回転中心まわりの運動を方程式に立てるならば,その中に重心運動を含んでしまうことになりますね? それでは重心運動と独立な回転を取り出したことにはならない(重心の運動エネルギーを2重にカウントしてしまう)のです。
ちなみに,回転軸をどこに置こうと回転の角速度は同じであることに留意して下さい。
回答下さいましてありがとう御座います。
回答を拝読しまして、yokkun831様のおっしゃられている内容を理解できておらずにおります。すみません。
なんとなく、こうかなという思うことを申し上げますと、
回転の運動エネルギーを求める際に、棒の回転だけに注目しなければならないところ、
[重心から瞬間中心までの距離]と角速度から得られるいわば棒の重心の線速度まで回転の運動エネルギーに
加えてしまっている、ということでしょうか(図示できず、分かり辛くすみません)。
だとすると、私の解法から、重心の運動エネルギー: 0.5MVg^2
は除いて、
瞬間中心を軸とする、棒の重心の回転の運動エネルギー: 0.5Iω^2
だけを全運動エネルギーの項にすることで問題を解くことはできないでしょうか。
Iは先ほどと同様、平行軸の定理から求め、
I = Ig + m(L/2)2 = (ML^2)/12 + m(L/2)2 = (ML^2)/3
となり、これをつかって、全運動エネルギー = 0.5 x (ML^2)/3 x ω^2
ということであります。
と思って、計算してみると、全運動エネルギー = (1/6)M(Lω)^2
となり、模範解答と同じになりました。
これは偶然でしょうか、それとも上記のyokkun831様の内容についての私の理解が正しかったと
判断してよいでしょうか。
>>ちなみに,回転軸をどこに置こうと回転の角速度は同じであることに留意して下さい。
なんと、そうなんですか。ならば瞬間中心を求める意味は一体どこにあるのでしょう。
瞬間中心は、対象の剛体中のどの点もその瞬間中心を軸として同じ角速度で回っている、
ということで定義されると思っていました。
この点がとても気になっています。ここでyokkun831様がおっしゃっていることは、
考える軸を、瞬間中心にしようとも、他の点(たとえば、a, b g どれでも)でも、角速度ωは
変わらない、ということでしょうか。これを証明する手立てが分からずにおります。
これがその通りだとすると、私の最初の解法で回転エネルギーを求める際の角速度にこのωが使え
納得がいくのですが。
No.7
- 回答日時:
精読したところ,静止摩擦力の仕事に関する各回答の記述には誤りはありませんでした。
ここにお詫びして前言を撤回させていただきます。申し訳ありませんでした。リンクを貼られたページで回答を試みて失敗し,こちらでだいぶジタバタしてしまいましたが,OKWaveで確認できたのでそちらにあらためて回答させていただきました。混乱させてごめんなさい。
お詫びなど、こちらが恐縮してしまいます。
yokkun831様のおかげで、静止摩擦に関する議論が収束して結論がでてこの上なく助かりました。重ねて御礼申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
No.6
- 回答日時:
訂正です。
-f1が板にする仕事 + f1がコロにする仕事 + f2がコロにする仕事 = 0
の中にはコロを加速回転させる仕事も含まれますので,前2項の和が負であるというのは誤りでした。コロの速さをvとするとき,
-f1×2v + (f1×v + f1r×ω) = 0
ですから,f1が系にする仕事はゼロ。
-f2×v + f2r×ω = 0
より,f2が系にする仕事もゼロ。
つまり,それぞれの静止摩擦力が「系に」する仕事がゼロであるという結論は正しいものですね。
No.5
- 回答日時:
残念ながら,さっと見たところ回答されたみなさんはきちんと解析されておらず,摩擦力は回転の加速方向であるとか,静止摩擦力がする仕事はゼロであるとか,初歩的限定的な条件のもとでのみ成立することを拡大適用されて,正確な結論にいたっていないようです。
解析は思ったより簡単でしたが,その結論を解析なしに定性的に予想するのは,様々な思い込みが邪魔をして,なかなか難しいものですね。床から受ける摩擦力が回転加速方向と逆向きであることは,私にとっても意外でしたが,これは定量的に解析してようやく納得できるものです。
仕事については,計算してみればわかりますが
-f1が板にする仕事 + f1がコロにする仕事 + f2がコロにする仕事 = 0
になるということです。変形とすべりがなければ,力学的エネルギーが熱となって散逸する原因がありませんから,当然の帰結といえます。このことをもってよく「静止摩擦力は仕事をしない」と表現されたりしますが,個々の摩擦力の仕事は決してゼロではありませんから,誤解のないようにしなければなりません。
実は,前の2つの項の和が負であることは板の移動距離の方が大きいことからわかりますので,f2がコロにする仕事は正。つまり,個々の摩擦力がする仕事をきちんと調べれば,計算しなくてもf2の向きが進行方向であることは予想できたわけです。
No.4
- 回答日時:
コロが1個の簡単な場合について解析してみました。
http://www14.atwiki.jp/yokkun/pages/570.html
なお,余談ですが仕事というのは単に
力×物体の移動距離 (ただし,力と移動方向が平行のとき)
であって,作用点が動かないから仕事はゼロとかいうことはありません。何かその類の回答内容がご紹介のページに見られたので,老婆心ながら付け加えておきます。一般に静止摩擦力が仕事をしないというのは誤りで,単に力学的エネルギーの散逸はないというだけです。
No.3
- 回答日時:
「もうひとつ」のご質問については,手順の誤りかご紹介のページで回答を書きこむことができませんでした。
なかなか単純ではなく難しい問題です。とりあえず動画のみつけてみます。シミュレーションでは,円盤が受ける摩擦力は上下で同一方向になっています.yokkun831様、
いつも私の質問にお付き合い頂きありがとう御座います。
私の質問は時にとても基本的なことや当たり前(と思われていそうな)のことを含んでおりまして、ほかの回答者の方からは「そんな当たり前のことを聞くな」的な回答を頂く事もございます。yokkun831様はいつも真剣に私の質問をお読み下さり、明確に丁寧に優しくお答え下さる方でとても頼りにしております。件の静止摩擦のことについても、yokkun831様が回答下さらなかったら、ほかの回答者の方に呆れられて見放されていたかと思います。
yokkun831様のおかげて物理が益々面白くなり、そのおかげで多くの疑問に当たり、質問頻度が増えることも御座います。今後ともどうぞお付き合い下さいますととてもうれしく思います。
よろしくお願い致します。
No.2
- 回答日時:
>瞬間中心を軸とする、棒の重心の回転の運動エネルギー: 0.5Iω^2だけを全運動エネルギーの項にすることで問題を解くことはできないでしょうか。
その理解でよいと思います。平行軸の定理の式から
Iω^2 = Igω^2 + M (L/2)^2ω^2
右辺第1項が重心まわりの回転のエネルギー,第2項が重心運動のエネルギーを表していますね?
まさに平行軸の定理はそのようにできているわけです。ですから,剛体の運動エネルギーは
(1) 重心まわりの回転エネルギー + 重心運動のエネルギー
(2) 瞬間回転中心まわりの回転エネルギー
のいずれで記述しても全く同じです。
>瞬間中心を求める意味は一体どこにあるのでしょう。
運動方程式が成立するのは,加速度をもたない座標系=慣性系のみです。たとえばa点から見た重心の運動はこの場合たまたま半径L/2,角速度ωで重心の速さは同じになりますが,向きが全然違います。もし,a点でなく棒上の半端な位置を基準にとれば,重心の速さも変わってしまいます。棒上の任意点は加速度を持ちますから,その点から見た運動は運動法則を満たさないのでエネルギー保存も保証されないのです(慣性力を考慮しなければならなくなる)。
もちろん,瞬間中心を求めたのは,重心の絶対速さVgを求めるのが目的だったわけです。瞬間中心を考えない方法もあります。水平右方向にx軸,鉛直下方向にy軸をとって重心位置を(x,y)とすると,
x = L cosθ/2
y = L sinθ/2
x' = -Lθ' sinθ/2
y' = Lθ' cosθ/2
Vg^2 = x'^2 + y'^2 = L^2θ'^2/4
∴Vg = Lω/2
yokkun831様、
回答下さりありがとう御座います。
とても勉強になりました。平行軸の定理をよく理解するきっかけにもなり重ねてお礼申し上げます。
実は私、もう一点質問をさせて頂いていることがありまして、やはり回転のお話で、
円盤が床を転がるケースでの静止摩擦力の向きについてです。
色々とお教え頂いておりまして、お願い申し上げるのは恐縮なのですが、
どうしても理解できず、どうかご意見、ヒントなど頂けないでしょうか。
「回転する円盤、摩擦の向きと摩擦のする仕事。なぜ」というタイトルでリンクはこちらです。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7414478.html
宜しくお願い致します。
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