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何度もすみません。皆様のおかけで大体解けたのですが・・・肝心なところが理解できてないような気がして、終わった気がしません。
【1】
非相対論では手で入れたスピンがディラック方程式では何で自動的に入っているのかわかりません。
【2】
もしかしたら【1】と同じことかもしれませんが、非相対論のときは普通にSchrodingerの方程式を解いても、スピンは出てきませんよね?何かを無視したから出てこなかったのですか?何を無視したんですか?
【3】
γ行列は最低4×4行列ってあるんですが、もし6×6行列としたらどうなるのですか?やろうとしたのですが、6×6行列のγの関係式を満たすエルミート行列の作り方がわからなく、手も足も出ませんでした。

と、ディラック方程式をほとんど理解できない状態です。エネルギー固有値を出しても、結局何をやっていたのかサッパリです。
1つでもいいので教えていただければ助かります。

A 回答 (4件)

>肝心なところが理解できてないような気がして、終わった気がしません。



ディラック方程式にたどり着くまでの足跡を簡単に整理して相対論的量子力学の理解の一助にでもなればと,以下に蛇足のコメントを書いておきます。尚,以前ご紹介したテキストも参照してください。

A)相対論的量子力学へのアプローチ
Einsteinの関係式
 E^2=p^2+m^2  (1)
でE→i∂t,p→-i∇と置き換え,時間に関する1階の微分方程式にすると
 i∂tψ=±sqrt(-∇^2+m^2)ψ  (2)
となりますね。この方程式の問題は右辺が微分を含む演算子の√という点にあります。テイラー展開して√を外すと高次の微分演算子が無限個でてきますが,これは遠方の場が遠隔作用として効いてくることになり,Einsteinの因果律を破る結果を招きます。

B)Klein-Gordon方程式
ならば,無理して時間微分の回数を下げることをやめ,(1)をそのまま使うと次のK-G方程式が得られます。
 (∇^2-m^2)ψ=(∂^2/∂^2t)ψ  (3)
ところで(3)は2成分の波動関数ξ(φ,χ)を考えると時間について1階の連立微分方程式に焼き直すことができます。当然,この方程式の解は2つ存在し,それぞれ正と負のエネルギーを与えます。この解を使って連続の方程式を立てると,Sh.eqでρ=ψ*ψで確率密度と解釈できたものが,今の場合ρは
 ρ∝ψ*∂tψー∂tψ*ψ (4)
という形となり,また,ψは正負エネルギーの波動関数であるからρは正定値とはなりません。このことからρを確率密度と解釈することはできないという困難にぶつかります。
この困難は負のエネルギー解の存在が原因しているのですが,負のエネルギーは物理的に意味がないと簡単に捨てるわけにはいきません。こうするとEinsteinの因果律を破ってします結果となることが知られています。そこで負のエネルギーを積極的に考えなければならない。ということからPauliとWeiscopfは反粒子という概念を導入し,負のエネルギー粒子は反粒子であると解釈しました。この観点からρを確率密度としてではなく電荷密度として捉えなおすと全電荷が保存されることが導かれます。これで上手く切りぬけたように見えますが,正電荷の粒子が負電荷の反粒子に変化すると電荷の保存則に反してしまう,つまりそのような遷移は禁止されるということになりますが,相対論的な高エネルギー領域では現実に起こっている(←本質的に多体問題で,これを1粒子の運動を記述する量子力学で取り扱うことの困難がある。場の量子論ではじめて満足な回答を得ることができる,となります)。

C)Dirac方程式
A),B)はいずれも時間微分についての1階化に取り組んだわけですが,Diracは相対論を満たすK-G方程式を直接変形するのではなく,変形結果こうなるだろう,つまり
 H=αμpμ+βm (μ=1,2,3) (5)
として,その式の係数(αμ)がK-G.eqと帳尻あうように関係式を付け加えるというやり方でDirac方程式を導いたのですね。これからDiracの方程式は正負のエネルギー解を持ちますが,それぞれの解にはさらに独立な2つの解が含まれていることが分かります。この意味を調べるために粒子の角運動量L(4行4列の演算子となる)を調べる。非相対論での角運動量l=-ir×∇を拡張してLを次のように定義すると
 L=|l  0|
   |0 l|  (6)
dL/dt≠0となって角運動量Lは保存量でなくなるということになります。これは困ったということで,粒子は固有の角運動量スピンを持つと仮定して(6)と同様に4行4列のスピン演算子Sを導入してやると,Lと同様Sは保存量ではないが,全角運動量L+Sは保存量であることを示すことができます。つまり,Dirac方程式にはスピンの存在が自動的に組み込まれていることになりますね。
ところで正負エネルギー解の解釈は既によくご存知ですから省略します(←いずれにしてもこの問題の追及には場の理論が必要となります)

>スピンがディラック方程式では何で自動的に入っているのかわかりません。
ご質問の”何で”の疑問に対する数学的な回答は#1の gotzemannさんが答えられていますので,以下に物理的にはどう考えればいいのかについての私の考えを書いてみます(間違っている可能性が非常に高いので注意して吟味してくださいね)。
・無限小回転の母関数は角運動量
・Lorentz変換(本義)は(4次元空間での)無限小回転の積み重ね
・方程式がLorentz変換不変ということは,したがってすべての無限小回転の母関数を含んでいなければならない。つまり,スピン角運動量も含んでいる必要がある(←ずいぶん強引だが)。
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この回答へのお礼

う”~ん。なんとなく理解できた気がします。ありがとうございました。

お礼日時:2004/02/17 23:35

>そうの通りだと思うのですが・・・。

もう大学卒業で、これが最後の課題でして、どうしても理解したいのです。

そういう事情でしたか。

>【3】大貫義郎「ポアンカレ群と波動方程式」、岩波(1976), p.105に乗ってるって事ですか?でも、私の大学の図書館にはないんですよね・・・。

#2でgrothendieckさんが言っていることが私の言いたかったことです。
「可約」とは基底を適当にとると表現行列をブロック対角化できるということです。
「既約」とはそうでないもの、つなわち、どのような基底の取り方をしても、
表現行列をブロック対角化出来ないことを言います。
従って、既約表現が4×4行列に限られるとを認めれば、
(その証明自体を理解することは別として)
6×6行列の既約表現はないのはほぼ自明ということが分ります。
説明不足でした。申し訳けありません。


なお、反交換関係{γ^μ ,γ^ν}=η_{μν}
を満たす4つの2×2のエルミート行列は存在しない
ということを証明するだけなら簡単です。
以下に1つの証明を与えます。


反交換関係
{γ^μ ,γ^ν}=η_{μν}
をみたす4つの2×2行列のエルミート行列があったとします。
このとき、
γ^5 =i γ^0 γ^1 γ^2 γ^3
を定義すると、それは、他のすべてのγ行列と反可換で、自乗が単位行列1です。
すなわち、
{γ^5 ,γ^μ}=0、(γ^5)^2=1

このとき、γ^μ (μ=5,0,1,2,3)の5つの行列の1次結合が0行列
になったとする:
a_μ γ^μ = 0 (μ=5,0,1,2,3)

ここで、上式と、γ^μ (μ=5,0,1,2,3)との反交換関係をそれぞれとると、
各係数が0になることが容易に分ります。
すなわち、γ^μ (μ=5,0,1,2,3)の5つの行列が1次独立。

ところが、2×2行列のエルミート行列の基底は
単位行列1(これが#2の補足では抜けていますね)及びパウリ行列の計4つ。
したがって矛盾です。


http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=764957
の#2で私が答えたのは基本的にこの線での回答で、
γ(^5)だけでなく、

1,γ(^μ),γ(^μ)γ(^ν),γ(^μ)γ(^5),γ(^5)

の1+4+6+4+1=16この行列が1次独立になるので、
表現する基底は最低16次元の線型空間でなければなりません。
これは、4×4のエルミート行列がなす線形空間の次元になっています。
従って、4×4のエルミート行列で表現できる可能性があり、実際にできるわけです。
もちろん、既約表現がそれに限るということをきちんと証明するのは、
もっと難しい話ですが。


ちなみに、たしか、
佐藤 光 (著) 物理数学特論 群と物理 パリティ物理学コース
に、ローレンツ群や回転群のスピノール表現について
比較的分かりやすい説明があったような気がします。
【1】【2】に関して、私が#1で書いたことの理解の助けになるかも知れません。
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この回答へのお礼

わかりやすい説明ありがとうございます。
2×2に関しては理解できました。6×6以上は間に合いそうにないのであきらめます。また機会があったら挑戦してみます。いろいろありがとうございました。

お礼日時:2004/02/17 23:34

ガンマ行列の反交換関係を満たす6×6行列は作れないと思います。

すでに前のご質問でお答えした様に、この反交換関係を満たす既約な表現は4×4行列に限られます。従って6×6行列があるとすればそれは可約でなければなりません。特にユニタリ表現であるとすると完全可約になります。しかし6をどう分割しても4より小さい数が含まれるので、これは既約な表現は4×4行列に限られることと矛盾します。

この回答への補足

同じような質問に回答していただきありがとうございます。
2×2だけがだめってことじゃなかったんですね。その証明も大貫義郎「ポアンカレ群と波動方程式」に乗ってるのですか?その本見たいんですが・・・図書館に置いてないのが残念です。
私なりに2×2のエルミート行列がないことを証明しようとしたのですが・・・
2×2はパウリ行列の線形結合で掛けるので
α_i=a_iσ_x_i+b_iσ_y_i+c_iσ_z_i(i=0,1,2,3)
ただしα_0=β
と置いて、α、βの満たす関係式に代入したのですが、
x_0^2+y_0^2+z_0^2=1
x_0x_j+y_0y_j+z_0z_j=0
x_j^2+y_j^2+z_j^2=1
j=1,2,3
となったのですが、このあと何をすればよくわかりませんでした。上の式を満たす(x_i,y_i,z_i)は存在しないことを証明すればいいのですよな?よくわかりませんでした。

たとえこの方法でできたとしても、6×6以上の場合はこの方法じゃ無理っぽいし・・・。
grothendieckさんが答を言ってるのかもしれませんが、初学者のためわかりません。「可約」「既約」の意味がよくわかりません。ちょっと検索してみます。

補足日時:2004/02/15 10:38
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【1】、【2】


Dirac場はLorentz群のスピノール表現として構成され、
Lorentz群は3次元回転群を含むためです。
非相対論的な場合でも波動関数を回転群のspinor表現と
することでspinを入れたわけです。
「素粒子はLorentz群の既約表現として記述される」
というのが現在の場の理論の定式化における出発点になっていると思います。
(例えばワインバーグ場の量子論 (1巻) 参照)

【3】
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=764957
のNo.5でgrothendieckさんが答えてくれていることを読みましょう。


おそらく、以上の説明だけでは分かった気にはならないと思いますし、
参考書を調べてもなかなか理解するのは難しいと思いますが、とりあえず参考まで。
場の理論ははっきり言って難しいですから、
私が思うに、これらの疑問を頭におきつつも、取りあえず先に進み、
学習が進んでからまた戻って考えるようにするのも1つの方法だと思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
【3】大貫義郎「ポアンカレ群と波動方程式」、岩波(1976), p.105に乗ってるって事ですか?でも、私の大学の図書館にはないんですよね・・・。
【1】【2】もよくわかりませんでした。

>場の理論ははっきり言って難しいですから、
私が思うに、これらの疑問を頭におきつつも、取りあえず先に進み、
学習が進んでからまた戻って考えるようにするのも1つの方法だと思います

そうの通りだと思うのですが・・・。もう大学卒業で、これが最後の課題でして、どうしても理解したいのです。
とりあえずワインバーグ場の量子論 (1巻) を探してみます。

お礼日時:2004/02/15 09:43

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