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電気炉内で試薬を加熱する際の状況です。
金属酸化物(Al2O3,CaO等)を還元雰囲気中で融点以上に加熱すると、還元により金属のみが残留すると考えて良いのでしょうか。
酸化物生成自由エネルギーの大小も関わってくるとは思いますし、また、全て還元または酸化物のまま、といった議論でもないと思います。

還元雰囲気中での一般的な挙動でも結構ですので、教えて下さい。

A 回答 (1件)

ご質問の「還元雰囲気中での酸化物の加熱」について、意見を述べさせていただきます。



正直申し上げまして、非常にお答えしにくい質問であります。回答する側として失礼かも知れませんが、少なくても以下の点を明らかにしておく必要があるかもしれません。

還元雰囲気の種類。(一酸化炭素や水素ガス等の還元ガス雰囲気と考えてよろしいでしょうか)
金属酸化物の種類と純度。
電気炉内の圧力。
「融点以上に加熱」とありますが、具体的に何度までの加熱をお考えですか?

少なくとも以上の情報が与えられていないと、適切なお答えを提供することは難しいと思われます。

ここでは一般的な挙動を概念的に説明させていただきます。基本的に金属の酸化物生成自由エネルギー(負の絶対値)は温度の増加とともに減少します。したがって、酸化物は高温では低温に比べ不安定になります。例えば、酸化銀は還元雰囲気中でなくとも約200度に加熱すれば、還元されます。還元雰囲気中でなくとも、無限に高い温度では原理的にはあらゆる金属酸化物は還元されると思います。
さて、質問は「還元雰囲気中での酸化物の加熱」でした。還元雰囲気中とは、還元剤の酸化物生成自由エネルギー(負の絶対値)が、金属酸化物のそれより大きい状態であると理解しています。(酸素は金属より還元ガスが大好きな状態)そのような状態にある金属酸化物は、当然還元されるはずです。ここで重要なことは還元剤として選んだガスが、ある金属酸化物に対して還元雰囲気となり得るかどうかは温度によって変化するということです。たとえ還元剤として選んだガス中で、金属酸化物を融点以上に加熱しても、そのガスの酸化物生成自由エネルギーが金属のそれより小さかったら(酸素は還元ガスより金属と一緒に結びついていたい状態)、その金属酸化物の還元は生じないでしょう。
長々となりましたが、ポイントは還元ガスと金属の酸化物生成自由エネルギーの相対的な差です。この差は、温度、圧力、活量等で大きく変化します。はじめにお答えしにくいと断ったのはそのためです。

金属酸化物の還元を議論する際に有用なものの一つとして、エリンガム図があります。各種金属および還元ガスの酸化物生成自由エネルギーの温度変化を示したものです。物理化学、金属製錬工学等の参考書にほぼ間違いなく載っていると思います。まずはそちらを参考になさってみてはいかがでしょうか?


少しでもvibisukeの質問の参考になれば幸いです。
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