2,3日前に「エネルギーE=(h~k)^2/(2m)について」という質問をさせてもらいました。エネルギーEの正負の事とそれに関連する内容で理解できない事があります。
バンド構造では価電子帯から励起された電子が伝導帯へ移る事で電流が流れるという記述で、あまり価電子と自由電子の振る舞いについて書かれていなかったのですが、ただ私はてっきり、全ての元素に対してボーアの水素原子モデルのようにE=-A/n^2 (Aは定数)のように量子数nで不連続な値をとるエネルギーの式があるのかと思っていました。もしかして水素原子にしか無いのでしょうか・・・。
【衝突電離のように原子(電子)を大きく励起させてn→∞でエネルギーE=0になりイオン化して、軌道から離脱した後の電子のエネルギーの大きさがE=(h'k)^2/(2m)のように固体中の自由電子のエネルギーとなるのかと思っていました。つまり束縛電子E(<0)→大きく励起→イオン化E=0→自由電子E(>0)と、光電効果でいう仕事関数を引いた分が自由電子のエネルギーとしてE(>0)だけ残ると考えていました。】
この考えが以前質問した、元は離散的な値をとる電子のエネルギーE=-A/n^2 が固体では原子が密集してエネルギー準位が連続的になり、その値がE=(h~k)^2/(2m)で表せると思っていた理由です。
例えばFe金属固体中のある1つのFe原子Aが大きく励起されて、電子が軌道から離れて自由電子となり、また別のFe原子Bの軌道内に入って安定するか原子核に衝突するかでエネルギーを失う。また再び電子が励起されて…を繰り返して電子が移動する。これが定常電圧を掛け続けても電子が等速で移動し、定常電流が流れる過程だと思うのですがこの考え方はやっぱり変ですか?
電子が原子核によって散乱され運動エネルギーを失い、再び電場で加速されて…と電流が流れる過程については参考書の内容ですので間違ってはないはずですが、原子に束縛された電子が軌道から離れて自由電子となるまでの過程(【 】の内容の事です)は本に載って無くてよく分からず、勝手に思い込んでるだけなので自信がないです。
質問内容
1、E=-A/n^2のような形のエネルギー準位の式は水素原子以外の他の元素にもあるのか
2、上の【 】の考えは間違っているのかどうか
3、束縛された電子が軌道から離脱して自由電子となるまでのメカニズム
以上の点についてどなたか説明や訂正をお願いします。m(__)m
またそういった内容が詳しく書かれたサイトがあれば教えてもらえると非常にありがたいです。
No.8ベストアンサー
- 回答日時:
間違えないようにしてください。
図はエネルギー主体の説明で、左の図の横軸の次元は[L](長さの次元)で、右上の図の横軸は[L^-1](端数の次元)です。
ポテンシャルエネルギーは距離、運動エネルギーは波数に依存するということから、両者は切り離して考えなければなりません。
図に拡大と書いてあったので、上に凸の曲線を下に凸の2次関数と近似的に見てるのかと思いましたが、よく考えてみればこの二つは別の物でしたね。
数日間にも渡って質問に付き合って下さって本当に有難うございました。おかげ様でモヤモヤが晴れました。
No.7
- 回答日時:
>>・図の両端は上に凸の曲線に見えますが、下に凸の2次関数と近似してE=(h'k)^2/(2m)と表す。
図の上に凸は、-(e^2)/(4πεr^2)によるポテンシャルの壁を表しています。
>>・E=-A/n^2 のように量子数nで不連続な値をとるエネルギー準位の式は水素以外の他の元素にはなく、それらのエネルギー準位の値は実験から求めた値である。
そういうわけではありません。原子番号の大きな原子だと複雑になるだけです。
δ関数的な準位は存在します。
>>・電子の運動エネルギーK(>0)がE=(h'k)^2/(2m)で、万有引力のように原子核が電子を引きつけるクーロン力のポテンシャルU(<0)が水素でいうE=-A/n^2の式で表せられる。またU+K=0の時に完全に電子は原子核からの束縛を抜けてイオン化する。
イオン化するのは原子の方です。電子は原子核の束縛を離れて飛んでいく(放電管内の空間を飛び回る電子といったもの)ことになります。
No.2
- 回答日時:
金属結合:
電子の波動関数が隣接原子間の距離に比べてはるかに広がっている。
原子の充填密度の方が隣接原子の位置よりも重要(結合は方向性をもたない)
---------------------------------
シュレディンガー方程式を解いていくと、波動関数の広がりが計算できます。
エネルギーが負であるのは原子核と電子の電荷の関係のもとでの束縛を意味するため。
自由電子でも原子核との吸引力が存在するため、自由電子のエネルギー準位を基準にしてE=(h~k)^2/(2m)を足します。
エネルギースケールを考えてみてください。
エネルギーが正になった場合、原子核の束縛を抜け出すということになります。
イオン化エネルギーは調べてみればわかりますが、一番小さい原子でも5eVという大きなものになります。
E=(h~k)^2/(2m)≒5.5*10^-39 k^2[J]≒3.4*10^-20 k^2[eV]
勝手に電子がどこか行ってしまうには、k≒10^10[m^-1]という大きさの波数にならないと実現しません。
k=2πn/Lと高調波を考えていくと、原子を多く集めていくほどLが大きくなるということに注意して考えればわかるでしょう。(フェルミ波数と比較するとわかるかも↓参考URL参照)
参考
http://www.slab.phys.nagoya-u.ac.jp/uwaha/statii …
この回答への補足
わざわざ丁寧な図まで書くのに時間を割いて下さって有難うございます。この図のおかげで「なるほどぉ...」と思わず言ってしまう程納得しました。電子が軌道から抜け原子核から離れた自由電子をイオン化(E=0)したと言えるのだと思っていました。最後に誤解をしないために確認をお願いします。
・図の両端は上に凸の曲線に見えますが、下に凸の2次関数と近似してE=(h'k)^2/(2m)と表す。
・E=-A/n^2 のように量子数nで不連続な値をとるエネルギー準位の式は水素以外の他の元素にはなく、それらのエネルギー準位の値は実験から求めた値である。
・電子の運動エネルギーK(>0)がE=(h'k)^2/(2m)で、万有引力のように原子核が電子を引きつけるクーロン力のポテンシャルU(<0)が水素でいうE=-A/n^2の式で表せられる。またU+K=0の時に完全に電子は原子核からの束縛を抜けてイオン化する。
No.1
- 回答日時:
横軸をエネルギー、縦軸を状態密度(状態の数)にすると、
水素原子の場合にはE=-A/n^2で決まる位置にδ関数的なピークが現れる訳ですが、
原子が集まるとこの1個1個のピークが有限の幅を持つようになるんです。
その中の1つのブロードなピークの上端または下端だけに注目した時にはkの2次関数になっているという話なのですがひょっとしてこの点を勘違いされていた?
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