下記につき、よろしくお願いいたします(初歩のレベルですので、やさしくご教示お願いいたします。)。
(公聴会)
第四十八条 経済産業大臣は、第三条、第十七条第一項又は第十八条第二項の規定による処分をしようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見を聴かなければならない。
(公聴会の開催等)
第十条 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
記
(1)行政手続法10条にある「申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合」とは、具体的にやさしくいうとどういう場合でしょうか。
(2)例えば、ガス事業を行っている会社が料金等の供給約款を変更しようとするときは、行政庁から認可を受けなくてはならず、この場合に、行政庁はガス事業法48条の規定により、公聴会を設けなくてはならないこととなっているようですが、公聴会を設けることについて、同条(ガス事業法48条)では、「義務」となっていても、行政手続法10条で「意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。」として「努力する義務」となっているので、結局は「努力すれば足りる」つまり、「ガス事業法48条の『公聴会を開き、広く一般の意見を聴かなければならない。』とする義務は、考慮にいれなくてもよい。」ということでしょうか。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
ご指摘のご理解でよろしいかと思います。
若干補足しますが、公聴会の開催が、特別法で義務とされている例としては、ガス事業法48条のほか電気事業法108条にも同様の定めがあります。
このほか、バス事業などについては、道路運送法15条の2第2項(新規参入に関して)で、自治体や利害関係者の意見聴取、89条(運賃改定)で、利害関係人の意見聴取などの手続を求めており、意見聴取の方法は公聴会に限られるものではありません。
これに対して、既述した原発設置については、原子炉規制法24条で原子力委員会の意見を聴くこととなっており、原子力委員会は、自ら策定した「原子炉の設置に係る公聴会開催要領」(昭和48年5月22日)により、”必要と認めるとき”に開催すればよいので、開催の有無は原子力委員会の裁量にゆだねられていることになります(但し、この場合であっても、裁量に他事考慮が認められる場合には、違法な裁量行使に当たるとして、抗告訴訟の対象となる場合があります)。
いずれにせよ、行政手続法10条に定める、「申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているもの」とは、条文の規定ぶりからは努力義務を定めたものと読めるものの、立法趣旨に照らせば、各別の法令において意見聴取の履践が義務とされている場合はもちろんのこと、義務ではない場合であっても、利害関係者の意見聴取に触れられている以上は、何らかの形でその方途を追求することが望ましいというふうに考えます。
長文、失礼いたしました。
補足を含め、重ねてご丁寧な回答をいただき、誠にありがとうございます。
お陰さまで、納得することができ、大変助かりました。
また、何卒よろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
僭越ながら…(^-^)ゞ
(1)について
行政手続法10条の公聴会の規定は、ある行政手続がなされた場合に、その行政手続の当事者以外の第三者に影響が及ぶ場合の救済を規定したものです。
行政手続は、公共的な性格が強いので、ある手続を執行した場合に、広く、第三者が影響を被ることがあるのですが、行政法の特性上、こうした影響は付随的、反射的なものとして、個別の救済が得られない場合が少なくありません。
例えば、電力会社が、お住まいの地域に原子力発電所を造りたいとの申請をする…、或いは、鉄道会社が電車の運賃値上げを申請する…、といった行為は、その当事者は電力会社だったり、鉄道会社だったりするので、民事上は、それぞれの事業者と許認可の権限を有する行政庁(前者であれば経産大臣、後者であれば国交大臣)を当事者とする問題に収斂されて、許認可の当事者ではない周辺住民や電車の利用者がこれに関与する余地はないはずです。
しかし、近くに原発が造られたり、電車賃が値上げされたりすれば、地域住民にとっては不安材料になったり、電車の利用者にとって経済的負担が増えることになったりするので、このような場合であっても、行政上の手続きによって影響を受ける第三者たる一般市民の意見を吸い上げる機会を設けましょう…というのが、本条の趣旨なのです。
最近では、原発の再稼働のほか、秘密保護法の是非についても、公聴会が開催されましたが、これらはいずれも当事者ではない一般市民であっても、その決定に一定程度の影響を受けることがあるため開催されたものと理解してよいでしょう。
ちなみに、行政手続の当事者については、行政手続法13条1項で、聴聞、弁明などの機会が与えられています。
(2)について
お尋ねの、ガス事業法は、法律の目的として、ガス事業者としての事業の執行について定めたものですが、ガス料金は、ガス会社の原料調達価格やガスのカロリー量、地域の価格水準等を総合的に勘案して経産大臣に対し申請したうえでその認可事項となっていて、ガス利用者との需給関係で決まるものではありません。
ガス料金は、(1)ガスの使用が日常生活に不可欠な公共的な性格を帯びていること、(2)ガス会社が地域独占企業であって市場原理に基づく競争が生じないこと、(3)したがって、利用者が自由にガス会社を選択する自由を持たない(利用者は、ガス会社と契約するかしないかの自由しかない)こと、などの理由により、その料金設定は許認可制になっているのてす。
従って、(1)で述べたこと(電車の例)に引き付けると、ガス料金の改定には、本来はその料金設定についての当事者ではない利用者の意見を聴取する機会が、ガス事業法にいう公聴会ということになります。
そこで、ガス事業法48条と行政手続法10条との関係ですが、行政手続法は行政手続きにかかる一般法であるのに対して、ガス事業法はガス事業者について定める特別法という関係に立ちますから、法の一般原則により、特別法が優先されて、公聴会の開催は努力義務ではなく一般義務としてガス事業者を拘束することととなります。
従って、お尋ねのうち、ガス事業法48条の義務は、ガス事業者として履践しなければならない義務となります。
この回答への補足
「(1)」の「申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているもの」については、下記のとおりでの解釈でよいでしょうか。
お忙しい中誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
記
ガス事業法48条のように、「公聴会を設けること」も許認可等の要件とされているものについてはもちろんのこと、「申請者以外の者の利害を考慮すべきこと」が、それ(許認可等の要件)になっているもの。
回答をいただき、誠にありがとうございました。
お陰さまで、納得することができたようです。
なお本件につき、再度、確認等で補足をするかもしれませんが、その際は、ご了承いただくとともに、何卒、ご返答などもらえましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
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