水道水に亜鉛板と銅板を入れると電池ができるかどうかを確認するために、次のような実験をしました。
【実験操作】 http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8487883.html のNo.12の添付写真を参考にして、実験1~実験4を順に行った。
実験1:水道水と亜鉛板と銅板の組み合わせで電位差を測定した。
実験2:食塩水と亜鉛板と銅板の組み合わせで電位差を測定した。
実験3:もういちど、水道水と亜鉛板と銅板の組み合わせで電位差を測定した。
実験4:もういちど、食塩水と亜鉛板と銅板の組み合わせで電位差を測定した。
【実験結果】実験1~実験4のすべてで、電位差は0.8Vだった。
この実験結果をどのように解釈したらよいのか、教えてください。
「食塩水に亜鉛板と銅板を入れると電池ができるのと同様に、水道水に亜鉛板と銅板を入れると電池ができる」ということなのでしょうか。
それとも「このような実験では、電池ができるかどうかを判断できない」ということなのでしょうか。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>「このような実験では、電池ができるかどうかを判断できない」ということなのでしょうか。
の方だと思います。また「用いられた物質が電池の構成要素になっている」ともいえないのです。
「電池になる」という言葉があいまいに使われていると思います。
(イ)電位差が生じていれば電池ができているということができる
(ロ)電流が実用的な大きさで取り出せて初めて電池ができているということができる
この2つは似ていますが同じではありませんね。
電池はもともとは道具ですから何かの仕事をさせるために利用するものです。
それでいうと電流が取り出せるということが大きな条件になると思います。
もちろん電位差がなければ電流は流れませんが、電位差が生じていれば電流が取り出せるとは限らないのです。電位差というのはエネルギー論的なものですが電流が流れるという場合には速度論的なものが付け加わります。反応熱と反応速度の違いのようなものが関係してきます。水素と酸素の反応は大きな発熱反応です。でも単に混ぜただけでは反応は起こりません。燃料電池ではこの反応が実用的な速さで起こるように工夫されています。(ロ)の立場で考えるほうが紛れがなくていいと思います。
>食塩水に亜鉛板と銅板を入れると電池ができるのと同様に、・・・
と書かれていますので食塩水を使った電池で考えてみます。
200mLのビーカ、食塩水、ソーラモータ、亜鉛板、銅板、リード線を用意します。金属板は5cm×10cm程度の大きさのものだとします。回路を組んで電極を挿入します。モータは回ります。でも数分間で止まります(豆電球であればもっと短い時間で止まります)。
モータが回っているとき、電池ができているというのは曖昧さはありません。
モータが止まってしまった時の状態が問題です。これも電池だと言うことができるかどうかです。
電流を流すことができていた電池が電流を流すことができなくなってしまったのです。電池の働きに必要な何かの成分が不足してしまったということになります。でもこれは2つの状態を比較してみることができているという立場から出てくることです。単に電圧を測ったということだけであればもともと電位差の小さい反応であったということなのか、電池の構成要素のどれかに不足をきたしているということなのかの区別がつかないのです。モータの回らなくなってしまった電池でも起電力を測ればたぶん0.8Vぐらいになるでしょう(私は測っていません)。
モータが回らなくなったら銅板を取り出します。数分間おいてまた挿入します。モータがまた回るようになります。これは何回でも繰り返すことができます(長い目の銅板を使うと上下をひっくり返して入れるという操作だけで連続的に何回でも電池として働かすことができます)。空気中に銅板をさらしたということが電池の機能復活に関係するということですから空気中の物質(酸素)が反応の決め手になっているということがわかります(肉眼的には2つの銅の状態は区別がつきません)。この電池の起電力は銅板と亜鉛板の間のものではありません。銅板の表面の付着物と亜鉛板の間に生じているものです(どういう付着物であるのか、どういう反応をしているのかはまた別の問題です)。
現在の化学の立場では物質を化学式で表現して現象を考えています。その立場で言うと銅はCuです。銅板の表面の付着物はCuではありません。この付着物が反応しているとするとそれは銅板の反応ではありません。銅板は電池を構成している導体(電線、電極)としての意味しかないことになります(ボルタの時代には銅板といえば銅が主成分であれば表面がどうなっているか、何が混ざっているかはほとんど問題にされていません。だからこそ2種類の金属と電解質溶液という構造に対する表現が出てくるのです。)。
付着物が問題だということは電流を取り出すという作業の中で見えてきたことです。電位差の測定だけではわからないことです。したがって電池の構成を考えるときには電流が取り出せる構造を想定してのものになります。電圧の測定で0.8Vが得られたということだけではどういう電池になりうるかという判断はむつかしいということです。
0.8Vという数字について考えてみます。
亜鉛が酸化される反応の標準電極電位は0.76Vです。これは平衡電位(電流が流れないようにして測られた電位)ですから実際はこの値以下のはずです。また反応の相手の存在も必要になります。0.76Vという値は水素電極が相手になっています。食塩水、亜鉛板、銅板という電池構成では水素電極に対応するものは存在しません。Cuが相手であると考えるのは水素が相手になっていると考えることと同じですから 0.8Vという数字は出てこないのです。0.8Vが出たということ自体、Cuでない相手が存在しているということを表しています。使われた電極は写真を見てもわかりますがさびています。ピカピカに磨いてやってみてください。値が変わるはずです。モータを取り付けてみるのも試してみてください。
とにかくこんな議論をしなければいけないということ自体がボルタ電池は授業で扱うのには適していないということを表しています。
この回答への補足
ごめんなさい。お礼欄の最後に間違いがありましたので、訂正します。
間違い:無電流時(0.1μA未満)の電位差は0.75V~0.81V
正しい:無電流時(0.1μA未満)の電位差は0.75V~0.83V
ありがとうございます。
電極からある程度の電流を流せるものが電池、ということですね。
> 「電池になる」という言葉があいまいに使われていると思います。
> (イ)電位差が生じていれば電池ができているということができる
> (ロ)電流が実用的な大きさで取り出せて初めて電池ができているということができる
辞典で「電池」を引いてみました。
化学変化、温度差、光などの作用によって電極間に電位差を生じさせる装置(理化学辞典)。
化学電池と物理電池に大別される。前者は化学変化を利用して物質の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変えて持続的な電流を外部回路に取り出す装置で,単に電池という場合には一般にこれをさす(百科事典マイペディア)。
http://kotobank.jp/word/%E9%9B%BB%E6%B1%A0?dic=m …
化学変化にともなって発生するエネルギーを電気エネルギーにかえることによって,電流を得る装置。および,光エネルギーによって電気エネルギーを得る装置(ニューワイド学習百科事典)。
http://kids.gakken.co.jp/jiten/5/50011280.html
理化学辞典では(イ)、マイペディアは(ロ)、学研の学習百科事典も(ロ)ですね。電位差と電流のどちらが必要なのかを明確に記述してあったのは、調べた限りではこの三つだけでした。
> 使われた電極は写真を見てもわかりますがさびています。ピカピカに磨いてやってみてください。値が変わるはずです。
結論を言うと変わりませんでした。
写真というのは、http://oshiete.goo.ne.jp/qa/8487883.html のNo.12の添付写真のことですね。私が使ったのは、東急ハンズで買ってきたばかりの下ろし立ての銅・亜鉛電極板セットです。見た目はきれいでした。ある程度の電流を流すと、銅の表面がピンク色に変色したのが分かりましたので、酸化皮膜が銅の表面についていたのは確かですが、いずれにしても無電流時(0.1μA未満)の電位差は0.75V~0.81Vでした。
No.5
- 回答日時:
htms42さんがおっさhるように、電池の定義があいまいなのが原因でしょう。
(イ)電位差が生じていれば電池ができているということができる
(ロ)電流が実用的な大きさで取り出せて初めて電池ができているということができる
ただし、この(ロ)の定義の「実用的な」という部分に全ての曖昧さが集中します。
銅板と亜鉛板と水道水の電池ではモーターを回したり、豆電球を点けることはできません。
しかし、メモリー保持などのバックアップ電池としての役割はできるはずです。
(大きさと重さと溶液を使う点から実用的ではありませんが)
要は電池を使うユーザーがどれだけの電流を求めているかです。
また、この電池は単位面積当たりの電流は大きくありません。
しかし、それを言うと鉛蓄電池も単位面積当たりの電流は大きくありません。
電極を折りたたむことによって面積を増大させ、電流量を稼いでいます。
どうしても、この電池でモーターをまわしたいならば、2~3m^2くらいの
電極を作ってはどうでしょうか?
実用的な電流というのは実験スケールでも変わってくるのです。
マイペディアも「持続的な電流」と書かれていますが、この電池も値が非常に小さい
だけで持続的な電流は流れます。
ただ、実用上の電流とはどれくらいかの定義がなく、スケールを大きくすることで
カバーができるので、単純に電位差だけを見た方がすっきりするように思います。
ただ、その「電位差」も無いV以上有れば電池になるのかの定義はありません。
チョコレートについているアルミニウムを噛んでしまうと歯に激痛がはしることが
あります。これは口内に電池ができるからですが、電流量は0.1μA以下だと
推定されます。これがあのような激痛になるのです。
人間に多大な苦痛を与えるには十分な電流量だと言えます。
ありがとうございます。
ある程度の電位差が電極に生じていれば、多かれ少なかれ電流を流すことができるのだから電池である、という理解でよろしいでしょうか。
> 口内に電池ができるからですが、電流量は0.1μA以下だと
> 推定されます。
ネット検索したところ Basic Dental Materials という本の28ページに
"Some patients may feel pain at 10 u amp and other at 110 u amp (average: 20 to 50 u amp)."
という記述がありました。
http://books.google.co.jp/books?id=56t5Zez5cCwC& …
0.1μAは0.1mAの間違いでしょうか。それとも本の方が誤植なのでしょうか。教えてください。
No.4
- 回答日時:
>世間的には、電極からある程度の電流を流せるものが電池、となっているようなのですけど、
ある程度は全く個人の嗜好の範囲でして・・科学でそんなこと気にしません。
ある現象が実現できれば十分な電池足りうるのですよ。
貴方の簡単な実験でもテスターの針を振らせるだけの電池として働いているのですから。
事実「傷の部分が局部電池となり、亜鉛が“犠牲電極”となって鉄を守っているのです。( http://www.tdk.co.jp/techmag/inductive/200711/ )」のように一般的に使われています。
かって「ゆとりの時代」にボルタの電池--厳密にはガルバニ電池は姿を消してしまいました。ちょうど「円周率は3でよい」と同じ発想です。割り切れない--分数に出来ない数の存在に気付く数なのですが、教師のゆとりのために・・
ボルタの電池(電堆)が発明されて、ダニエル電池の登場までの40年・・化学も物理も大きな飛躍をしました。メンデレーエフが周期表で予測した多くの元素--アルカリ金属やハロゲンが単離されたのも、多くの電磁気学の重要な現象もボルタの電堆に負う所が極めて大きいですね。
ボルタが「ガルバーニの生物電気から、推論と実験によって生物に依存しないことを証明し、さらにその結果から電池を発明した」こと、それが文明に与えた影響を考えると「自然の事物・現象に進んでかかわり,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。( http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youry … )」理科教育の減点でもあるのです。
貴方が試されたように、ボルタの電池はダニエル電池よりはるかに置くが深い現象です。ボルタの電池を教材にすることで、「分極と言う化学電池の最大の壁の説明」の取っ掛かりになりますし、さまざまな日常で接する酸化還元現象
・トタンがなぜ錆びないのか
・ブリキに傷がつくとなぜ錆がすぐ発生するのか
・果物電池でなぜ電気が起きるのか
・海水に立っている鉄橋がなぜ錆びないのか
・ステンレスの流し台に置いた庖丁がなぜ錆びるのか
・10円玉が電解液で擦るとなぜピカピカになるのか
授業での話題にも事欠きませんし、より発展した現象へ進むきっかけになります。
そしてなによりも「科学とは何か」を指導するのに最適--身近ですからね。
私は教科書にボルタの電池が掲載されていないときも、ボルタの電池は時間を割いて指導してきました。果物電池、スライム電池なんて小学生相手の教室でも人気です。
貴方がすばらしいのは、疑問に思ったら実際に試すこと。調べられる限りの事は自力で調べられることです。ダニエル電池だけではきっとそこまではできなかったでしょう。
私の生徒に欲しい(^^)
ありがとうございます。
> 事実「傷の部分が局部電池となり、亜鉛が“犠牲電極”となって鉄を守っているのです。( http://www.tdk.co.jp/techmag/inductive/200711/ )」のように一般的に使われています。
装置である必要すらない、ということでしょうか。素人目には、一般的というよりもむしろ専門的な使われ方のように見えるのですが。
> ボルタの電池を教材にすることで、「分極と言う化学電池の最大の壁の説明」の取っ掛かりになりますし
そうですね。
・ボルタが「異種の導体を単に接触させるだけで電気が起こること」を実験的に示すために電池と電堆を作製したこと
・電堆が発明された当時から、ボルタの「異種の導体を単に接触させるだけで電気が起こる」という説(接触説)に対して、「酸化還元反応により電気が起こる」という説(化学説)もあったこと
・実験的な決め手がなかったために、50~100年くらいの長い間、どちらの説が正しいのか決着がつかなかったこと
・原理が明確でなかったにも関わらず、多くの技術者・科学者の手によって実用電池がどんどんと改良されて発達していったこと
・接触説が棄てられ、電極界面で起こる酸化還元反応が電気のもとだ、ということがようやく広く受け入れられたころにはすでに、電池産業が大きくなっていたこと
・そのために、化学的な視点からは意味不明の「分極」とか「減極剤」とかいう言葉が、現在も生き残っていること
・間違った説が忘れ去られた後でも、慣れ親しんだ言葉というのは なかなか捨てられなかったりするものだということ
ということが教えられていない現状では、ボルタ電池の闇は深い、と言わざるを得ないとと思います。
あと、揚げ足を取るようで申し訳ないのですけど、「メンデレーエフが周期表で」は、「ラボアジェが元素表で」の間違いですよね。
No.2
- 回答日時:
すばらしいです。
疑問に思ったら試すこと。ひょっとして説明と異なる現象が観察された・・・
なら、条件を変えて
電池は出来ます。超純水では難しいのじゃないかと
それから電流を取り出せるかとは別の話です。
トタン(亜鉛メッキ鋼板)は
___ _ _ _ _ _ ____
___\____/____Zn
Fe
と傷がついても、そこに電池が形成されるために、亜鉛が溶け出すことで鉄の酸化を防止します。
高抵抗、数数100kΩの抵抗を接続して電圧を測定する。二酸化炭素が溶け込んでいない湯冷ましを使うなど色々試してください。
ありがとうございます。
ある程度の電位差が電極に生じていれば電池、ということですね。
世間的には、電極からある程度の電流を流せるものが電池、となっているようなのですけど、そのようには考えない分野や業界があるということでしょうか。
No.1
- 回答日時:
電池ができると言えば全部できますよ。
電位差というのは2種類の金属によってきまるものです。
間の水溶液に少しでも電解質があれば電位差は生じます。
ただし、実用的な電池かというとそうではありません。
電流がほとんど流れていない状態では、0.8Vの電位差があるかもしれません。
しかし、水道水の場合は水中のイオン濃度が薄いので、少しでも電流を流すと
電位差は激減します。
すなわち、電位差は発生するが電流としてほとんど取り出せない電池なのです。
ありがとうございます。
ある程度の電位差が電極に生じていれば電池、ということですね。
世間的には、電極からある程度の電流を流せるものが電池、となっているようなのですけど、そのようには考えない分野や業界があるということでしょうか。
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