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微分積分や線形代数の初歩を自習している初心者です。松坂和夫先生の初心者向けの本が分かりやすいので、他の本も勉強したくなり、Amazonのレビューを参考にしています。

松坂先生の『集合・位相入門』のレビューで、Jimmy_N_Aという人が☆2つ評価で、「空写像を軽視したので、論理的に不整合が多い」と書いています。レビューの主張が正当かどうかはまったくわかりませんが、AからBへの写像で、AあるいはBが空集合ということがあるようです。

手元にある数学序論(柴田敏男著、共立出版)によると、

 Eの各要素xに対応して、Fの要素yが定められているとき、この対応をy=f(x)と書き、EからFへの写像(mapping)fが与えられているといい、f:E→Fあるいは
f
E → Fと表す。 p.31

とあります。この定義ではEとFは空集合ではないことが前提となっているようであり、EやFが空集合のときの写像の定義が読み取れません。そもそも写像とは、EとFの各要素の対応関係を示すものではないのでしょうか。要素がないのに対応関係が考えられるのでしょうか。さらに、空写像というものを考えないと理論として未完成になるのでしょうか。この分野に詳しい方、教えてください。

A 回答 (3件)

この分野に詳しい方ではないですが、



× 「定義域が空集合の写像(関数)は存在しない(定義できない)」
と思い込んでいる数学者が多いのですが、実は
○ 「定義域が空集合の写像(関数)は唯一存在する」
ことは公理的集合論における定理です。(この元を空写像(関数)とよぶ。)
のようです。参考まで。

http://www.ma.kagu.tus.ac.jp/~abe/sub6.html
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
さっそく教えていただいたサイトを見ましたが、専門知識がないのでまったくわかりません。公理的集合論というものを勉強しないといけないのですね。今後の目標の1つとしたいと思います。
それにしても、普通の写像の定義はすごくわかりやすいのに、空写像なるものの意味がまったく分かりません。元がない集合の対応関係って、いったい何を意味するのやら・・・素人なりの素朴な疑問です。それとも論理的形式的な証明ができることで十分で、意味などは考える必要がないということでしょうか。詳しい方教えていただければ幸いです。

お礼日時:2016/07/09 18:41

f を集合 X から Y への写像とするとき, べき集合 P(X) から P(Y) への写像 g を,


A ⊂ X で f(A) = B ⊂ Y ならば, g(A) = B, で定めるとします.
特に, A = {a}, B = {b} のとき, g(A) = B は f(a) = b を意味します.
これにより, f ∈ Map(X, Y) と g ∈ Map(P(X), P(Y)) を同一視できます.
そうすると, X が空集合の場合, Map(P(X), P(Y)) は元を 1 つだけ持つので,
その 1 つと同一視される Map(X, Y) の元を空写像と考えれば, 混乱しないと思います.

ただし, X が空集合でなく, Y が空集合の場合, Map(P(X), P(Y)) は空集合です.
よって, その場合は Map(X, Y) も空集合, すなわち, X から Y への写像は存在しない, と考えてください.
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この回答へのお礼

回答をありがとうございます。申し訳ありませんが、基礎知識が不足しているようで理解できません。今後この分野を勉強したいと思います。

お礼日時:2016/07/10 08:38

f: E→F が写像であるということの定義 (いろいろな定義の仕方がありますが, そのうちの一つ) を, もう少し厳密に書くと, 次のようになります:



f は E と F の直積 E×F の部分集合であって, 次の2条件を満たす:
(1) 任意の x∈E に対し, ある y∈F が存在して, (x,y)∈f である.
(2) (x,y_1)∈f かつ (x,y_2)∈f ならば, y_1=y_2 である.

要するに, 任意の x∈E に対して ただひとつの y∈F が存在して (x,y)∈f となるわけです. そこで, この y のことを通常 f(x) と書きます. これが写像です.
(ちなみに, (x,y)∈f といった書き方はあくまで定義のときに必要というだけで通常は使いません. y=f(x) と書いたほうがわかりやすいので. また「f が E×F の部分集合である」というのもあくまで定義の都合であり, 通常は f⊂E×F と書いたりしません. したがって, 普段学習される際はお手元の本の定義の方を頭に入れておけば十分です.)

E が空集合であった場合, E×F もまた空集合です. したがって, その部分集合もまた空集合以外にはありません. そこで, f を空集合とした場合, (1) (2) の条件が共に成立します. なお, (1) が成立するのは, 一般に「任意の x∈E に対し ○○ である」という形式の命題は, E が空集合の場合 ○○ の内容にかかわらず成立する (vacuously true などと呼ばれます) ためであり, (2) が成立するのは「AならばBである」という形式の命題は A が偽のとき B の内容にかかわらず成立するためです.
もし以上の説明がよくわからない場合, 適切な書籍などにあたられることをおすすめします. たとえば『論理と集合から始める数学の基礎』(嘉田勝著) などは多分このあたりを詳しく説明しているはずです (vacuously true は「空ゆえに真」と訳されている).
ちなみに, 公理的集合論は数学を専門とする人でも学んだことがなかったりするので今の段階では気にしなくてよいかと思います. それに対し, vacuously true などの概念は (名称はあまり知られていませんが) 数学をする上での基礎事項です.
なお, お手元の本の「E の各要素 x に対応して、F の要素 y が定められているとき」という説明も, べつに E が空集合でないことを前提としているわけではなく, E が空集合の場合でも可と捉えるのが自然 (「各」が「任意の」と同じ意味だと考えられるので, ここでも vacuously true の概念があてはまる) かと思います.
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この回答へのお礼

大変明快な説明をありがとうございます。

写像の定義は手持ちの 集合論入門(赤摂也著、培風館) に同様のことが書いてありました(p.31-42)。写像を直積の部分集合ととらえると、空集合の定義から空写像の存在がいえるわけですね。定義に立ち返って理解することの重要性を学びました。vacuously trueがなぜ成立するかは分かりませんが、紹介いただいた本で勉強したいと思います。完璧にお答えいただいたので、ベストアンサーにさせていただきます。

お礼日時:2016/07/10 08:22

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