No.2ベストアンサー
- 回答日時:
ご質問における言葉の使い方(表現)を間違っておられますので、まずはそこから。
一口に「扶養」と言っても、税制上の扶養(配偶者の場合は「扶養」ではなく、「控除対象配偶者」という)と社会保険上の扶養とがあるからです。
それぞれは全くの別物ですから、絶対に混同してはいけません。基準も全く違います。
また、社会保険控除(正しくは「社会保険料控除」)と表現してしまうと、税制上の扶養とは無関係です。
社会保険料を各人(扶養うんぬんとは直接的な関係がない)が納める税額から差し引けるか、という意味ですから、社会保険上の扶養とも無関係です。
要は、控除うんぬんは、扶養とは関係ありません。
つまり、このご質問は、夫が妻の社会保険上の扶養の対象となるか(=妻の健康保険の被扶養者になれるか)ということを問うだけのものです。
上述の社会保険料控除とも無関係です。
言葉の使い方を誤ると全く違った意味になってしまいますから、今後は十分に注意なさって下さいね。
さて。
健康保険上の被扶養者の範囲等についてです。
健康保険法第3条第7項と、昭和52年4月6日付け旧・社会保険庁通達である保発第9号・庁保発第9号が根拠で、以下のとおりです。
http://goo.gl/gRPonC も一緒に見て下さい(図が載っています)。
<健康保険法第3条第7項の定め>‥‥ 被扶養者の範囲(平成28年10月法改正後)
1 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚[内縁関係]を含む。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
2 被保険者の3親等内の親族で1以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
3 被保険者の事実婚[内縁関係]の配偶者の父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
4 3の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
<昭和52年4月6日付け 保発第9号・庁保発第9号>‥‥ 「生計を維持する」の定義
◯ A 被保険者と同一世帯に属している場合
ア 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上のとき、又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者であるときは180万円未満)で、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満であるとき
イ アに該当しないときでも、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上のとき、又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者であるときは180万円未満)で、かつ、被保険者の年間収入を上廻らない場合で、世帯の生計の状況を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるとき(たとえば、認定対象者の失業・傷病などのとき)
◯ B 被保険者と同一世帯に属していない場合
ウ 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上のとき、又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者であるときは180万円未満)で、かつ、被保険者からの援助(仕送りなど)による収入額より少ないとき
◯ C その他
エ 前記AおよびBによって被扶養者の認定を行うと実態と著しくかけ離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められるときは、その具体的事情に照らして最も妥当と認められるとき
年間収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金給付、健康保険の傷病手当金・出産手当金も含まれます。
被扶養者に該当する時点(および認定日の時点)から先の年間の見込額をいいます。
1か月あたりの収入が10万8千333円(1日あたりの収入に直すと3千611円)を下回ることが必要になります。
以下、ご質問のQ1からQ3についての回答をまとめます。
Q1
「夫が退職し妻の社会保険に扶養家族として加入する場合、夫が失業保険を貰うことはできますか?」
正しくは、「夫が失業等給付を受けるとき、退職した夫が妻の健康保険の被扶養者となれるか?」です。
考えるべき順序が逆です。また、「社会保険の扶養家族」などという言い方も存在しません。
上で書いたことを踏まえていただくとすぐにわかるかとは思いますが、失業等給付の日額が3千611円を超えるときはNGです。
そのようなときは、夫だけ自ら国民健康保険に入らないといけません。
失業等給付の日額が超えないときは、OKです。被扶養者になれます。回答1は完全な誤りです。
Q2
「夫が妻の社会保険に扶養家族として加入する場合、夫が自営業をはじめても扶養家族になれますか?」
いいえ。
社会通念に反しますので、まず認められることはありません。
このようなときには自営業の収入で生計を維持すべきものですから、妻から扶養してもらう(生計を維持してもらう)というのは、自営業の意味がなくなってしまうからです。
Q3
「もし扶養家族になれる場合の条件を教えてください。」
上述したとおりです。
なお、妻の健康保険で被扶養者となれたときは、夫は国民年金第3号被保険者となれますから、夫自身が自ら国民年金保険料を負担する必要はなくなります。
このとき、保険料の負担をすることなく、国民年金に入っているものと見なされます。
健康保険での被扶養者の届出を行なうときに、必ず、併せて、国民年金第3号被保険者該当届を出します。
逆に、妻の健康保険で被扶養者となれなかったときは、夫は自ら国民年金保険料を納めなければならなくなります(国民年金第1号被保険者といいます)。
実際の運用については、妻の健康保険が健康保険組合である場合(=協会けんぽではなく、組合健保のとき)には、各々の健康保険組合ごとに微妙な差があります。
上述したことは最低限のガイドラインのような位置づけであって、さらに実際の運用となると、協会けんぽや組合健保にゆだねられているからです。
そのため、必ず、妻の健康保険のほうに実際に問い合わせてもらって下さい。
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