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専門家のこんな文があります。「物価上昇率2%達成時名目金利がそのままだと実質金利がマイナスになってしまう。金利が上がれば日銀保有の国債に評価損が生まれる。そこで満期落ちをすれば、その場合当座預金の超過準備に対し付利をせざるを得ない」とありますが、なぜ満期落ちの時は付利を上げないといけないのでしょうか。金利を上げないと当座預金が逃げるからもとありますが、と言うことは、「出口戦略として付利を上げる」という戦略の合理性は何でしょうか。付利を上げればインフレ防止につながるかもしれないが日銀の財務はどんどん悪くなるのではありませんか。この辺のことについてお教えいただけないでしょうか。

質問者からの補足コメント

  • HAPPY

    大変むづかしい話なんですね、でもよく分かりました、皆さまのていねいなご説明ありがとうございました。

    No.2の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2018/02/20 00:13

A 回答 (2件)

日銀は、市中短期金利を上げる決定をする(出口戦略の開始)ときには、「無担保コール翌日物」のレートを上げると同時に、日銀当座預金(具体的には超過準備のプラス金利分)の付利も同程度あげる必要があります。


その理由は、銀行同士の短期の融通をするのが「無担保コール翌日物」ですが、同じことが日銀当座預金の付け替えでも可能だからです。日銀当座預金の付利の方が低ければ、銀行同士は当然そちらを利用することになり、短期金利を上昇させるとの日銀の決定が浸透しないことになってしまします。これでは日銀のメンツと存在価値がなくなります。
このため、日銀が短期金利を上げる時には、日銀当座預金の付利も同程度あげる必要があるのです。

しかし、この日銀当座預金の付利を上げることは、日銀の収支に大きなマイナスになります。特に、日銀当座預金の額は350兆円程度もあり、例えば金利が1%になったら、それだけで日銀の収益はマイナスになります。
このほか、マイナス金利で購入した国債(満期まで保有して、利息と元本償還を受けても購入金額に満たない国債)の損出しが、今後、毎年0.5-1兆円も発生し続けるという問題もあります。

このように、日銀が出口に向かう時には、日銀の収支は大きなマイナス決算をすることになります。
しかし、日本の金融を担う日銀は、自身に損失が出るから金利の正常化をためらうことはないと、私は思います。
問題は、その時に世界が日本経済と日本円をどこまで信頼してくれるかです。
そこで失敗すると、大きな円安、日本の国富の流出、悪性インフレ発生となります。
この回答への補足あり
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    • 2

付利を上げる戦略の合理性は、「金融環境を正常なものに戻し、日本の金融政策の信認を保つ」ことに他なりません。



(回答者でありながら申し訳ないのですが、)必ずしもその専門家の意図が完全にわかっているわけではありませんが、現状のマイナス金利をはじめとする「異次元量的緩和」は、決して正常な金融の姿ではありません。なんといっても、「お金を預けたら利子を取られる」んですから。当然、その異常な状態からの出口戦略は、「預けたお金にプラスの利子をつける」という方向になります。基本的には、この点だけわかっていれば良いと思います。


で、質問者様は、「日銀の財務が悪くなる」ことを心配しておられますが、金利上昇下でマイナス金利を続けていれば(コレ、思いっきり矛盾する表現ですが)、その当座預金を持つ民間金融機関の財務が棄損します。
当然ですよね、他のプラス金利の資産(例えば企業への貸し出しや国債等の有価証券)を持っていれば、金利分儲かるのに、逆に金利取られるんですから。したがって、当座預金にお金を預けるなどバカバカしく、貸し出しや国債購入に資金を回すわけです。「金利を上げないと当座預金からお金が逃げるから」というのは、そのことを指しています。

そもそも、マイナス金利導入の目的の一つが、これだったんです。当座預金からお金を逃がして、そのお金を企業への貸し出しに回してほしい。失われた20年でどんどん深刻化したデフレ下、企業は事業拡大や設備投資をやめ、スパイラル状に不況が悪化しました。それで、マイナス金利などという、普通では考えられない仕組みを当座預金の一部に導入し、当座預金から民間企業への貸し出しへとお金が巡りやすくした訳です(結局、この試みは成功ていません。期待ほどの資金需要は喚起できなかったんです。さらに、その結果、民間金融機関の財務も悪化してしまった、というのが現状の副作用です)。

上記のように極めて副作用がきついうえ、さらに、金利低下は円安要因であり、これが不当な輸出促進策と判断されやすいため、あくまでこういう緩和政策は「緊急避難」的な政策なんです。当然、この金融環境には国際的な正常化圧力がかかります。


更に、当座預金に関しては、ご質問にもある国債との関連もあります。
国が発行した国債は、まずは民間金融機関が買い上げます。 
異次元緩和は、この金融機関が保有する国債を日銀が買い上げ、その購入代金を各金融機関の日銀当座預金口座に振り込む、という流れになります。

日本の財政は、よく言われているように、GDP比で2倍以上の累積債務を抱える大幅な赤字状態が続いています。
通常であれば、そんな国が発行する国債には、それなりの金利を付けないと買い手がいない...という状況になってもおかしくないです。それにもかかわらず、極めて低い金利状態が続いている..というのは、(「日本の財政は実は悪くない」という意見があることは知っていますが、それ以上に)日銀が金融機関を通じて大量に国債を買い上げているからであり、国債需要があるからこそ、金利が低いわけです。(バックに日本国がついている需要ですので、ちょっと反則ギリギリです。やはり、「正常」ではないんです)

民間金融機関が、これほど低い金利でも国債をまずは買うのは、それなりの利息が取れる貸出先がないからで、このこと自体、まだまだ経済環境が良くない(一言でいうとGDP成長率が低い)ことの裏返しです。

しかし、何らかの要因により物価上昇率2%を達成する場合には、この異常な金融政策の出口戦略が必要となり、上記の仕組みが逆回転を始めます(逆回転「させます」)。このあたり、因果関係が複雑に絡み合っており、「何が原因で何が結果か」を順を追って明確に説明することは(私には)難しいのですが、例えば、既存の国債価格は、金利上昇により低下しますので、質問文の専門家が言うように日銀の財務状況が悪化します。

また、物価上昇率(インフレ率)が上がると、通貨の価値は低下しますので、民間金融機関は個人や企業から預かったお金を「通貨」の形では持っていたくないので、物価上昇率プラス・アルファの名目金利が付く国債等に変えるようになります。デフレ時は日銀が最終購入していた国債を、民間企業が欲しがるようになるわけです。そのため、日銀は持っている国債を市場で売って民間の通貨を回収し(売りオペ)、過剰に流動し始めた通貨の量(マネーストック)を減少させることになります。(この際に、値下がりした国債を売ることで、日銀の損失が確定します)。さもないと、インフレ率がどんどん上がって行って、物価が高騰してゆく流れになります。
出口戦略で当座預金にプラス金利をつけて正常化するのも、マイナス金利下では市場に過剰な通貨を供給することになるので、それを引き締める(当座預金に金融機関の金を引きつけておく)効果があるわけです。


ちなみに、日銀が金融緩和をしている(デフレの)間は、日銀の保有する国債の償還期限が来ても、国は日銀に元本を支払う必要はありません。償還費には税金も投入されるため、ただでさえ経済を活性化させたいときに、そんなことで国民負担を求めることはできません。そこで、ただ単に償還期が来た国債を新しく借り換える(日銀乗り換え)という手法を使い、元本償還を求めません。これが、現在の日本の債務が異常に多いにもかかわらず、財政破綻が起こっていない理由の一つです。このことを指して、「日銀が国債を永久に引き受けて借り換えて行けば、国に借金問題なんてないじゃん」という主張をする人もいます。

ただし、上記のように、インフレ率が上がってくると、ダメなんです。日銀は、「売りオペ」をしなければなりません。売りオペや新発債購入により民間に所有された国債に関しては、当然「元本償還」をしなければなりません。もし、国の借金問題解決のために「売りオペをしない」、という選択肢を取ると、過剰に流動する通貨のために、激しいインフレに見舞われ、これが庶民の生活を直撃すると考えられます。日銀の本務は「物価の安定」です(注:ここ大事です)ので、この選択肢は「ない」訳です。物価上昇時に金利を上げるのも、日銀の本務がコレだからです。

さて。今現在、デフレ不況(脱却しつつありますが)です。これに対して日銀が異次元緩和しているからこそ、国の財政問題が表面化していないわけです。ところが、デフレ脱却時にはどうでしょうか。日銀がもう国債を買えない、という状況になり、現在の国家予算の多くを占める国債を、「どこかの誰かが買わないといけない」わけです。
最大の買い手がいなくなるわけですから、当然、金利を上げないと国債全てを消化できなくなります。
「自国通貨建ての国債では財政破綻など起こりえない」という向きもありますが、国債消化ができなければ、公務員給与の未払い、公的機関の閉鎖、公的サービスの停止・縮小、社会保障の削減等を通じ、国民生活に影響が出ます。(中には「ザマミロ」と思われそうな影響もありますが、経済はつながっていますので、民間が無傷、なんてことはありえません)

日銀が国債を買い続ければインフレによる生活への影響、買わなければ財政を通じて生活への影響。これが、リフレ策の出口戦略に関するジレンマです。もちろん、金利や物価等を通じ、外国との利害関係も出ます。決して「日銀の財務云々」という問題だけではない、というのが悩ましいところですね。

(ちなみに、インフレになっても日銀が国債を買い続けていれば、インフレが加速しますが、それによって国の借金の実質価値が低下して財政健全化する、という考えもあります。税収も増加しますしね。ただし、この時同時に、民間の預金も目減りします。俗にいうインフレ税ですね。高インフレ化で、それに追随した給料上昇がなかったら...考えるのも無残な状況になります。)

ちょっと纏まりない記述ですみません。
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