現在の形式主義/機能主義的な言語論、文法論の誤りについてご意見を伺うべく、「形容動詞という誤り」「接続助詞《ので》という誤り」「付属語、自立語という誤り」を提起しましたが、その根底にある品詞定義自体の誤りについて指摘したいと思います。
まず今回は、名詞から。
早速、辞典を紐解いてみましょう。
名詞(めいし)
noun
品詞の一つ。意味のうえから,事物の名称を表わしたり,状態,性質,存在などの概念を表わしたりする単語と定義される。「虎」のように類概念を表わすものを普通名詞,「加藤清正」のように個体名を表わすものを固有名詞,これらの具象名詞に対して「勇気」のように抽象概念を表わすものを抽象名詞と,意味のうえで分類することが多い。名詞のなかに代名詞や数詞を含めることもある。文の主語になる。性,数,格の範疇で語形替変する言語も多い。伝統的なラテン語の文法では,ここでいう名詞を実体詞とし,それと同様の替変をする形容詞を合せて nomenとして扱った。なお国文法で「事件が起ったことを知らなかった。」の「こと」のように実質的な意味をほとんどもたない名詞を形式名詞と呼ぶ。
【ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説】
https://kotobank.jp/word/%E5%90%8D%E8%A9%9E-141071
より。
ということですが、<事物の~【状態,性質,存在】などの概念を表わし>でいう、「状態,性質」を表わすのは動詞、形容詞であり、「存在」を表わすのは<動詞>「ある/いる」であるのは明白でしょう。
文の主語になるのは文における機能の問題で、名詞自体の問題ではありません。
さらに、「実質的な意味をほとんどもたない名詞を形式名詞と呼ぶ。」などと記していますが「実質的な意味をほとんどもたない」のであれば、語ではあり得ず、そもそも名詞とする根拠もないことになります。
この定義に根本的に欠けているのは、<名詞(めいし)>がどのような概念を表わしているのかが全く理解されていないところにあります。「意味のうえから」ではなく、話者にどのような概念の規範として認識されているかを明らかにしなければなりません。そもそも、別に問題にしようと思っていますが、「意味」とは何かが正しく理解されていません。
語は概念を表わすもので、これは意義であり意味は文が表すものというべきで、名詞がいかなる概念を表わすかが明らかにされなければなりません。
結論から言えば、<名詞>とは実体概念を表わす語です。
「ブリタニカ国際大百科事典」という仰々しい名の事典の、この小項の筆者はここには記されていませんが、言語研究者であることは間違いなく、現在の言語学、文法論の欠陥を露出しています。これは、「伝統的なラテン語」と記しているように、国内だけの問題ではなく西欧言語学、文法論にも共通した欠陥ということです。
そして、残念ながら本欄などの質問の回答者等も、この程度の知識に依拠し、回答、議論しているのではと推察されます。
こうした現状を危惧し、本問を提起するものです。■
No.3
- 回答日時:
こちらでも一言書いておきます。
あんまりだと思いますので。ということですが、<事物の~【状態,性質,存在】などの概念を表わし>
でいう、「状態,性質」を表わすのは動詞、形容詞であり、「存在」を表わす
のは<動詞>「ある/いる」であるのは明白でしょう。
というところ、まったく事典の執筆者の意図を誤解していますね。頓珍漢の見本です。
状態・様子・有様・状況・様態・様相
性質・性状・特性・特質・属性・弾性
存在・実在・現存・共存・潜在・偏在
などは、「状態,性質,存在などの概念を表わしたりする単語」ではないのですか?
そして、これらは、言うまでもなく、「名詞」ですよね?
勝手に執筆者の意図を読み違えて、「「状態,性質」を表わすのは動詞、形容詞であり」なんて書いて、それで執筆者をバカにしたつもりでいるなんて、恥ずかしくありませんか??
執筆者としては、その前に「事物の名称」と書いたので、「事物」では抽象概念が含まれないかと心配したのでしょうか。「状態,性質,存在などの概念」で抽象的な名詞を代表させたのでしょう。(なんで私が執筆者の気持ちを代弁してやらなきゃいけないのか)
でもしかし、「状態,性質,存在」というのは、いかにも文法で品詞の説明に使うような語ではありますね。
ん?? もしかすると、もしかすると、ですが、こんな単純な内容を書かされる執筆者として、そして同じような他の項目をいくつも書かされてうんざりしている時の、ちょっとした遊びとして、わざと誤解させるような語を選んだ!?
そしてそれに引っかかったのが・・・・?
いやまあ、そんなことはないでしょう。
一言、といいながら長くなりますが、もう一言。
それにしても、なんで「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典」なんですか。
日本語文法の用語を調べるなら、もっとほかにあるでしょうが。
『日本語学大辞典』『国語学大辞典』
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%97%A5%E6%9C%AC% …
『日本語文法大辞典』『日本文法大辞典』
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E6%97%A5%E6%9C%AC% …
『日本語文法事典』
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A …
これらはそれぞれ定評ある、あるいは権威ある?事典と言っていいでしょう。
特に、最後のものは(どれも似たような名前でわかりにくいですが)現在の日本語文法学界が出した本格的な文法事典で、「名詞」の項は二人の執筆者がそれぞれの学問的立場から書いています。それぞれ2ページ以上。
そういう、学問的なものを避けて、あえて執筆者名のない、一般向けの百科事典を選んだ理由はなんでしょうか。
百科事典でも、平凡社や小学館のならば、項目の執筆者名があったと思いますが。
まあ、百科事典の文法関係の、あるいは言語学関係の項目は、執筆者名を見れば、ああ、この人が書いているのか、それなら内容はこうなるよな、というようなもので、あえて調べるほどのものではありませんよね。専門事典を見るのが当然です。
名詞などの品詞について論じようとすると、長い長い話になるので、まあ、上の論のそれ以下のところについては述べません。
この程度の項目の内容を批判して、何かを言ったつもりになるのは、まあ、無意味ですね。(それも頓珍漢な誤解を含んで!)
saburoo
早速の貴重な御指摘を有難うございます。
最初に、
>>一般向けの百科事典を選んだ理由はなんでしょうか。
単に比較的良く纏まっており、権威ある?事典と何ら変わりないためです。筆者も同様であるに過ぎません。
『日本語文法事典』といえど五十歩百歩ということです。現在の辞書類を盲信されているのがここにも表れていると感じる次第です。
さて、本題ですが、
>> 状態・様子・有様・状況・様態・様相
:
などは、「状態,性質,存在などの概念を表わしたりする単語」ではないのですか?
そして、これらは、言うまでもなく、「名詞」ですよね?
名詞であることは間違いありませんが、「状態,性質,存在などの概念を表わしたりする単語」というのは単なる同語反復に過ぎません。これらが名詞であるのは、対象を実体として捉え表現する語であると云う所に、その本質があるということです。当方の表現が言葉足らずであったのはお詫び致しますが、「状態,性質,存在などの概念を表わし」という、いかにも項目執筆者の名詞認識の誤りが表現されている格好の見本なので指摘したものです。
しかし、存在の意義を表わすのが動詞「ある/いる」であり、客体の静的な属性表現の語が形容詞であることは御理解いただけると思いますが。
それにしても、貴コメントは辞書の権威?を語り、「論証のしかたの誤りの指摘」をされ、「名詞などの品詞について論じようとすると、長い長い話になるので、まあ、上の論のそれ以下のところについては述べません。」と、肝心要の論点を毎回避け、藪睨みのコメントばかりを寄せられるのは何故なのでしょうか。
これでは、「文法に関してはこちらのほうがいろいろ知っていますから。」というのが、空文句に過ぎないのではないかと云わざるをえませんが。■
早速の応答ありがとうございます。
世界大百科事典内の言及
semantics
【意味論】より
…ふつうセマンティクスsemanticsのことをさす。記号(言語を含む)の意味に関する科学で,言語学,哲学,論理学などにおける研究領域として取り扱われる。…
pragmatics
【記号】より
…セマンティクスの用語もときに用いられる),結合論syntactics(記号と記号の関係,結合法則。構文論,シンタクティクスの用語もときに用いられる),実用論pragmatics(記号とそれを使用する人との関係。語用論,プラグマティクスの用語もときに用いられる)の3部門に分けられる。…/
ということで、問題提起でも触れたように、意味と意義の区別もつかず、真理意味論という誤りに依拠し、西山佑司『日本語名詞句の意味論と語用論―指示的名詞句と非指示的名詞句』(ひつじ書房)が提起するような現在の言語論の誤りを指摘するもので、semanticsとpragmaticsの違いではなく両方勉強し、両方とも誤りであると提起するものです。
”残念ながら本欄などの質問の回答者等も、この程度の知識に依拠し、回答、議論しているのではと推察されます。”という事実を裏付ける事例ではと感じます。■
No.1
- 回答日時:
「立ち居、ふるまい」形容動詞の説明に使われる言葉と思っています。
これは、動詞の連用形との複合語・・・・・だから、という理由で形容動詞を否定。
確かに「立ち居」自体は形容動詞ではありません、でもこれでなぜ形容動詞が否定できるのか、少しも倫理的ではありません。
文法に倫理的を求める人の言葉とは思えません。
動詞についての説明は感心しました、でもそこまで理解できる人が、形容動詞については、この程度(程度にも該当しません)?。
私の感じた内容は、動詞についての説明は、自身が考えた内容ではなく、どこかに出ていた説明を借りただけ。
形容動詞は倫理的ではない、広辞苑もその立場?、形容動詞を否定しています。
その広辞苑で「真面目」を引いたところ、品詞の表示がありません。
巻頭部分に。名詞、連語については品詞の表示は省略とありました。
広辞苑では「真面目」はあなたの主張と異なり、名詞扱いです。
主張の内容に一貫性がなく、とらえどころがqありません、なぜ?、これも私の勝手な判断ですが借りものの知識をつぎはぎしただけ?。
早速の回答ありがとうございます。
若干私見を記させていただきます。
>>「立ち居、ふるまい」形容動詞の説明に使われる言葉と思っています。
具体的に何を言われているのか不明です。
>>形容動詞が否定できるのか、少しも【倫】理的ではありません。
→「【論】理的」では?「倫理」の話しをされているのでしょうか?
>>広辞苑では「真面目」はあなたの主張と異なり、名詞扱いです。
辞書の誤りを指摘しているのであり、『広辞苑』の説明が誤りです。
>>主張の内容に一貫性がなく
上記の通り、理解に誤りが見られ、感覚的な評言ではなく、論理的、具体的な指摘をいただきたく。
■
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なお、補足させていただければ、
西山佑司『日本語名詞句の意味論と語用論―指示的名詞句と非指示的名詞句』(ひつじ書房)
のタイトルにあるように、「指示的名詞句」と句が指示するという機能主義的な発想に根本的な誤りがあるということです。言語は表現であり、意味を表わすもので、「指示」などするものではありません。
ここに、根本的な発想の誤りがあります。■
なお、「接続助詞《ので》という誤り」で辞書の混迷について、権威?を認め信頼を寄せらている、『日本国語大辞典』も俎上にのせ、「形容動詞という誤りNo.2」では、内容を噛み砕いて現在の文法論の誤りを説いていますので、是非藪睨みではなく、ストレートなコメントを戴けることを期待致しております。■
これは、話者、聞き手は無意識に規範として習得しているもので、それを論理的に解明し科学として理解するということです。
4.
>>b では顔が「赤い」という属性をさらに実体的に捉えなおして「の」と表現しているので、実体を捉えているわけではないのです。
>>「顔が赤い」というのは「状態」ですから、これも『実体』になりませんかね?
これが、正にブリタニカの説明的解釈ですね。「顔が【赤い】」という「属性(形容詞が表す)」を媒介的に抽象的な実体として捉え直し「の」と表現しているということです。「顔」自体を捉えているのではありません。
「リンゴの赤いの」の「の」は実体であるリンゴの捉え直しです。
先の、形式名詞の「ほとんど意味を持つ必要がない。」という解釈とどちらが論理的かを考えて下さい。↓
>>a-1.君の前にいる顔の赤いのがほしい。
という表現はありでしょう。
赤いのは猫でしょうか。持ち主でしょうか?
矛盾というのが何を言われているのか判りませんが、助詞は実体を表わすのではないというのは以前から指摘していますが。助詞の項を読んで下さい。
ましてや、準体助詞というのは、貴「形容詞性名詞」と同じ発想のネーミングですね。
まず、言語実体観を超克し、言語は表現であり、話者の個別認識の表現であると云う点を実感として理解できないと、中々頭に入りません。
と云っても、簡単ではないのですが。■
若干、補足させていただきます。
>>形式名詞は、常に具体的な内容を示す連体修飾語を受けるために使われます。
連体修飾語が体言化されることで、結果的に連体修飾語の内容を強調的に表すことができる。
1.「連体修飾語を受けるために使われます。」→「受ける【ため】」とはどういう意味でしょうか。
2.「「連体修飾語」ということは、「の」は名詞だということを前提にしていますよね。
3.「連体修飾語が体言化される」→これは具体的にどういうことでしょうか。
もともと「の」が名詞でなければ、「「連体修飾語」などと言えないと思いますが。
これらを、論理的に説明できますか?■
No.3 へのコメントに補足させていただきます。
>>『日本語文法事典』
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A …
これらはそれぞれ定評ある、あるいは権威ある?事典と言っていいでしょう。
そういう、学問的なものを避けて、あえて執筆者名のない、一般向けの百科事典を選んだ理由はなんでしょうか。/
という御指摘をいただきまし。
この理由は、お礼コメントの通りですが、氏の薦められる『日本語文法事典』を見て気付いたのですが、これは以前他の事項に関し検索し、欠陥事典ではないかと感じたものでした。
手元にはないので現物を確認した所、正にその事典でした。その名詞に関する、2頁以上に亘る内容はお粗末というしかないもので、当方が引用したブリタニカの内容に比すべくもありません。↓
↑
回答者は良く内容を確認したのではなく、その権威と頁数にいかれたに過ぎないのではという感が拭えません。
名詞の内容の批判はさておき、まず何故この事典を欠陥と感じたのかを別項で問いたいと思いますので宜しくお願い致します。■
>>格助詞「の」を使って形式名詞「こと」につなげ、「彼女のこと」と表現するわけです。
確かに、結果としての形(形式)はそうなっていますね。
であれば、「彼女のを貰った」の「の」の品詞は何で、どうつなげているのでしょうか。語自身が繋げるという機能は持っていませんが。
(2)
>>違うようです。
「ようです」などと曖昧なことは言わないで下さい。
>>「こと」が名詞であることが前提です。
「の」は格助詞ですかね。
では、「リンゴの赤い【の】を下さい。」の場合はどうなりますか。
連体修飾というのは表現された文の結果の中の関係を言うもので、発話時点では連体修飾などという関係はなく、語の意義を基に、話者の個別の概念認識を表現するものです。
因果関係を逆転することはできません。↓
(3)
>>「彼女の」が「彼女のこと」で体言化されているでしょう。
それは結果論です。「リンゴの赤い【の】を下さい。」の場合はどうなりますか。
言語実体観という発想の誤りを克服しない限り理解できないと思います。
といってもピンとこないかもしれませんが。
本当に疲れます。秋まで、よく『日本語は~』を読まれ、それからにしましょうか。■
「付属語、自立語という誤り」で、
論理、つまり筋の通った言説を旨としていただくようお願いいたします。
と記されていますが、当方がどのような論理に基づいているかは、
三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』 (講談社現代新書: 1968/9/16)を参照下さい。詭弁を弄しているのではありません。ここでは、認識論が説かれており、言語の表現過程について説明されています。■