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本書は、「まえがき」によれば、「日本文法学会が総力をあげて取り組むとともに、学会外からも積極的な適任者の強力を得た。」と称する、日本語【文法】に関する事典である。

内容紹介にも、「20世紀後半以降格段の多様化・深化を遂げた日本語文法研究の成果を集大成。」と謳われている。

しかし、編集者(編集主幹:仁田義雄)は続いて次のように記している。

本事典には、「文法」という項目がない。あえて項目化しなかった。本事典の内容でそれに答えている、という思いがある。

これは、詭弁ではなくて何であろう。何故か。

ごく単純に考えても、【文法】項目を論じる【事典】にその概念内容、意味の説明無しで済むと考えるのは馬鹿げている。たとえば、『国語事典』『国語辞典』の見出し項目に「国語」の無いものはないであろう。少なくとも、ネットで確認できる「辞書」「事典」類には見当らないのであるが、当然であろう。

とりあえず、編者の言である「本事典の内容でそれに答えている、という思い」を容れて、いくつかの内容を確認してみよう。

「名詞1」の項は最初、次のように記している。(当方注:1は上付きで表示された項目番号、【】の強調も)

1.名詞とは何か (執筆:村木新次郎)
 名詞は主要な品詞の一つである。品詞とは、語彙・【文法】的な特徴によって単語が分類されたものである。文の中でさまざまな機能をはたす品詞である。

活用についての一部は、次の通り。

活用2
●活用をどうとらえるか―述語となる単語の【文法】的な意味・機能をはたす諸形式の体系。【文法】的な意味・機能は、単語が文の中ではたす役割に応じて、分化したものである。

形式名詞は次の通りである。

形式名詞 (執筆:村木新次郎)
実質的な意味を欠き、もっぱら【文法】的な機能をはたす
名詞。

さらに、機能語を見てみよう。

機能語 (執筆:菊池康人)
〔「が」「は」を例に挙げ〕
このように、実質的な内容(「語彙的意味」といってもよい)を(それほど)もたずに、【文法】的な機能を果たす語(または形態素)を機能語という。

このように、「【文法】事典」なので当然と言えば当然であるが、「【文法】的」という用語が頻出する。しかも、ここに引用した例を見ただけでも、項目毎に【文法】の意味が異なっているというしかない。本来ならば、当然この事典内での【文法】の統一見解と、それを外れる部分についての解説項目がなければならないのは明らかであろう。

通常の辞書の【文法】記述を見てみよう

大辞林 第三版の解説
ぶんぽう【文法】
① 言語を文・語などの単位に分けて考えたとき、そこに見られる規則的な事実。文法的事実。
② ① の事実を体系化した理論。文法論。
③ 文章の作法。文章を作る上でのきまり

これが常識的な所である。すると、「品詞とは、語彙・【文法】的な特徴によって単語が分類されたもの」というのは、同語反復に過ぎず、常識的に言えば、この事典内で述べられている事項は全て、【文法】的なことというしかないのである。であればここに引用した解説は何も新たな情報を齎さないということでしかない。

つまり、編者の言である「本事典の内容でそれに答えている、という思い」は読者には全く理解不能なのである。

この事実から判明するのは、【本事典には、「文法」という項目がない。あえて項目化しなかった。】というのは、「文法」とは何かが判らないので、書こうにも書けないという事実の弁解、告白であると解するしかない。そして、各執筆者も何か良く判らないが取り敢えず文法と云っておけという安易な発想でしかなく、各自其の抱くイメージが異なるというお粗末の一席となるしかない。言葉が遊んでいるのである。

引用した解説からでも明らかなように、本書は極端な西欧追随の機能主義的な内容となっており、国学の豊かな伝統だけが全く否定的に記述されているが、この点は別途指摘したい。

これが、「日本文法学会が総力をあげて取り組むとともに、学会外からも積極的な適任者の強力を得た。」成果というのであるから、何をか言わんやである。

このような体たらくの欠陥事典を上梓する「日本文法学会」とは一体何なのであろうか。

是非、諸賢の御意見を御伺いしたいものである。■

質問者からの補足コメント

  • 誤入力の訂正をさせていただきます。

    誤:学会外からも積極的な適任者の【強力】を得た。→正:【協力】

    失礼、致しました。■

      補足日時:2019/07/31 22:02

A 回答 (1件)

>このような体たらくの欠陥事典を上梓する「日本文法学会」とは一体何なのであろうか。



 なんなのでしょうね。固有名詞はよく調べましょう。
 こういう内容の質問(なのか?)で間違いだらけだと、内容の信憑性が……。
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この回答へのお礼

早速のご指摘有難うございます。

誤:「日本文法学会」⇒正:「日本語文法学会」

です。恐れ入ります。気にはしていたのですが。

でも、「日本語文法学会」とは一体何なのでしょうね?

日本語学会は、2004年1月に「国語学会」から「日本語学会」に改称し、「日本語文法学会」は、2000年に設立されています。

「国語学会」の中では活動し辛い等、何か事情があったのですかね~?

貴見解を御伺いできれば幸いです。■

お礼日時:2019/08/04 17:54

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