
No.1
- 回答日時:
難しいと思います。
所有権保存登記を申請することができる者は,不動産登記法74条に規定されている者,つまり
74条1項1号:表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
74条1項2号:確定判決によりその所有権が確認された者
74条1項3号:収用によって所有権を取得した者
74条2項:区分建物について,その表題部所有者から所有権を取得した者
に限られます。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ことから,包括受遺者は,他の相続人とともに遺産分割協議をすることができ,その協議の結果,相続財産を承継することができます。しかしながら,この「承継」は相続ではありません。相続人が「相続という事実」によって自動的にその「地位(または財産)を承継する」のに対し,包括受遺者は「遺言者の包括遺贈するという意思表示」があってはじめてその「地位(または財産)を承継する」ためで,ゆえにその「承継」の法律的な解釈は「遺贈」となります(相続人以外の受遺者は「相続」するわけではないということですね)。
そのことから,相続の開始に伴う所有権移転登記申請をする際,相続人が相続する場合の登記原因は「相続」で,申請構造は相続人による単独申請になりますが,受遺者が承継する場合には登記原因は「遺贈」で,申請構造は受遺者が登記権利者,相続人全員(遺言執行者がいる場合には遺言執行者)が登記義務者となる共同申請になるという違いが生じます。
このことからすると,法的な解釈としては包括遺贈と相続を同一扱いとはしないので,74条1項1号の「その他の一般承継人」は法人が合併した場合の合併承継法人は含まれる(所有権移転の場合も,合併の場合には合併承継法人の単独申請になる)ものの,包括受遺者は含まれないものと解されるものと考えられるので,74条1項1号申請ではできないものと思います。
2号の「確定判決によりその所有権が確認された者」であれば可能性はあるかもしれませんが,その判決の内容によって登記方法が決まってきますし,弁護士及び裁判官が登記実務を知らないで裁判を行ってしまうと,判決は得たけど登記ができないなんてことも起きかねません。この方法を考えるのであれば,どのような判決があれば登記できるのかを,事前に登記所とよく相談したうえで進める必要があると思います。
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