小松英一郎・川端裕人著の「宇宙の始まり、そして終わり」を興味深く読んでいます。小松英一郎は宇宙研究者です。その本には下のような説明がしてあります。
この内容は完全に定説になっているどうか分かりませんが、ここまで踏み込んだ説明に出会ったのは初めてですので、このカテでも紹介します。
<「僕たちは宇宙が始まった瞬間、もうここに生まれることがすでに決まっていた。それは量子論の法則に従ってランダムに選ばれたものだということです。
中略
僕たちの起源は宇宙が始まって10のマイナス36秒後の時点での量子ゆらぎだと。すべてはそこで決定されていた。どこに銀河ができるか、どこに天の川ができるか、どこに太陽系ができるかも全部決まっていたというわけですね。」
上記を少し補足します。ビッグバンという言葉は敢えて回避します。
量子ゆらぎ(ランダム、気まぐれ)によって小さな宇宙は生まれました。
次に、この宇宙は、次第に拡大しました。量子ゆらぎは働いています。
宇宙が生まれてから10のマイナス36秒後の時点で、インフレーションという大拡大がありました。この間も量子ゆらぎが働いていました。
このインフレーションが一段落した以降は、ニュートン力学と相対性理論が働き、未来までもすべて決定された。
すなわち<すべてはそこで決定されていた。どこに銀河ができるか、どこに天の川ができるか、どこに太陽系ができるかも全部決まっていたというわけですね。」
哲学カテ参加の皆さんは、「この世(宇宙)のすべては、宇宙が生まれてから10のマイナス36秒後に起きたインフレ―ション以降は、すで決定してしまっている」という「決定論」にどのような感想をお持ちですか?
1. 否定する。(主にどこが?)
2.一考に値する.(どこが?)
3.納得する
No.15
- 回答日時:
量子ゆらぎを(ランダム、気まぐれ)と評していることから質問者は量子論を理解しきれていらっしゃらない可能性可能性あることからそれを踏まえて再回答致します。
物質には相反する根元的な性質を有しています。
それが確定性(安定性)と不確定性です。
確定性(安定性)について
物質には楽な状態=最もエネルギーを使わない状態を取ろうとする性質があり、その性質によって外的影響を受けない限り同じ状態を取り続けようとします。これを慣性といいこのような状態こそが物質とって「安定した状態」であることから「安定した状態」を維持しようとする性質の事を安定性と言います。
物質が何らかの外的影響を受けたために「安定した状態」ではない状態=不安定状態に陥った場合、不安定状態を維持するにはエネルギーが必要ですが、上記の通り物質は楽な状態=最もエネルギーを使わない状態を取ろうとする性質によって物質は不安定状態を嫌い安定状態に向かいます。その際最もエネルギーを使わないで済む安定した状態に向かうのです。
上記によって物質は外的影響を受ける受けないにかかわらず常に一つ状態を取ることから物質の現在の状態に応じて未来の状態が一つの状態に確定するのです。
これを確定性と言います。
物理学者小松英一郎氏が川端裕人氏との共著の中で「全部決まっていた」と論じたの物質には確定性(安定性)と言う性質があるからです。
但し確定性(安定性)はマクロにおける物質の根源的な性質です。
不確定性
素粒子=量子(物質)には未来の状態が確定しない性質があります。この性質の事を不確定性と言います。
不確定性によって物理的に示唆された事それは素粒子=量子は外的影響を受けなくても同じ状態を取り続けることは出来ないと言うことです。故に素粒子=量子は絶えずその状態を変え続けるのです。
加えて状態を変えるにしても不確定性によってその取りうる状態が複数ありかつそのいずれの状態をとるかは実際に取るまで決まらないのです。但し不確定性はミクロにおける素粒子=量子(物質)の根源的な性質です。
マクロにおける物質の根源的な性質とミクロにおける根源的な性質は相反して異なる事からそれぞれにかかる物理法則が異なります。
質問文中に記されている小松英一郎氏の主張の問題点を指摘する前にいくつか補足をします。
量子ゆらぎとはエネルギーが現在の状態から別の状態に変化すること。
空間・物質問わず全ての本来の姿であるエネルギーは不確定性を有していることからミクロの世界においてその状態を維持し続ける事はできず確率論的にその状態が変わります。
その変わった状態の一つがミクロサイズの宇宙です。
よって宇宙が誕生したその物理的理由はエネルギーが持っている不確定性でありその結果として生じた物理現象が量子ゆらぎです。
同様に高エネルギー状態においてもエネルギーが持っている不確定性によって量子ゆらぎが生じそれによって相反する電荷有する2つの物質が確率論的に誕生します。これを対生成と言い一方の物質が正物質(物質)もう一方が反物質となります。
話を戻して
誕生直後のミクロサイズの宇宙がインフレーションによってマクロサイズに膨張するまで間宇宙空間話はミクロサイズであったことからミクロサイズの空間に誕生した物質(素粒子=量子)は不確定性によって未来が確定しない状態にありました。
よって「僕たちは宇宙が始まった瞬間もうここに生まれる事はすでに決まっていた」は量子物理学では間違った解釈です。
他方「僕たちの起源は宇宙がはじめって10のマイナス36秒後の時点での量子ゆらぎだと」とについてはその時点の宇宙のサイズがマクロサイズならば正しいとい得るでしょう。
但し物理法則が恒久不変と科学的に証明されてはいないことから宇宙誕生から10のマイナス36秒後の宇宙の物理法則と現在の物理法則が同じであると断言し得ないのです
早速のご解答ありがとうございます。
「僕たちの起源は宇宙がはじめって10のマイナス36秒後の時点での量子ゆらぎだと」とについてはその時点の宇宙のサイズがマクロサイズならば正しいとい得るでしょう。>ですね。
同書に、インフレーション理論について触れている個所で、
<原子1個分くらいの空間が太陽系くらいの領域に引き伸ばされたといわれています。>と書いてあります。
再度の質問になりますが、太陽系くらいの領域は、<マクロサイズ>とみてよいですか?
No.14
- 回答日時:
こんにちは。
楽しい話題ですね。私は「2」です。
もっとも、だからどういう・・・ことはないのですが。笑
他の方からもご意見があるように、この問題は現代の真面目な科学(量子論等)の分野では概ね否定の方向にはありますが、現段階で証明が不可能である以上、「真面目には」論じても仕方がないところでしょう。
他方で、このような決定論的な考え方は、ともすれば直感と硬直に陥る物事への考察に多様な方向性を与えてくれる意味で個人的には楽しんでいます。
例えば...
① 数学なんて面倒でまっぴら→ 理由が明確でどの国の人でも納得させる予測を与えてくれる道具でもあるね。(究極の決定論。少なくともマクロ物理学では現実に役に立つ)
② この機械でこれ以上の精度は絶対無理→ でも誤差が生じるにも理由があるはず。絶対探してみせる。あ、精度が上がった!
③ こんな事故にあうなんて、あの人が5分話しかけてきたせいだ、この人が割り込んで電車が遅れたせいだ・・・
→ あの時間に交差点を渡っていたのはもはや決定論的運命。誰を恨んでも仕方がないのでリハビリ頑張ろう。
etc.
特に①や②においては「決定論」=「的確な作業により明確な結果を得ることができるはず」と自分に言い聞かせることでモチベーションを上げることができ、③においては他人への攻撃や責任転嫁を軽減することができます。
さてさて、いかがでしょうか。
(たぶん、質問者さんも、「多面的視野」の一つとして楽しんでおられ、物理への興味や勉強のモチベーションに利用しておられるのではないでしょうか?でも、それは科学の進歩の大きな原動力でもあります。)
早速のご回答ありがとうございました。
<この問題は現代の真面目な科学(量子論等)の分野では概ね否定の方向にはあります>ですね。
旗色を明確にはっきりさせない分野で、著者が踏み込んで主張していることに驚き、このカテに紹介した次第です。
科学や哲学ではまずこの主張は認めにくいのでしょうが、なかなか有意義な回答が続いています。
No.13
- 回答日時:
んんんんん~~~~~と考えても 因果律を信じているので
決定しているとしか言いようがないですね
歴史は一つしかないし 真理に従って変化してると思います。
人間に分からないだけだと思います
明日の天気は人間には詳しくはわからないでしょうねえ
AIの方が幾らか分かるのかも AI使ってる人間のほうが・・・
兎に角1億年後どうなってるかなんて分からないです。
しかし歴史は一つしかない。
早速のご回答ありがとうございます。
<因果律を信じているので
決定しているとしか言いようがない>ですね・。
私は、この世(宇宙)を動かしているのは、(狭い意味の)因果律だけでなくランダム性もある、と思っていますが。
No.12
- 回答日時:
決定していると、云えるかも知れないと思うのは、この世が物理で運動しているからです。
あれとこれとがぶつかればこうなる、という事が分かるのは“物理”を通してですよね。
、、、と、ここまで来て“ゆらぎ”という言葉を思い出し、ムカリンさんの回答を丁寧に見たら、ああ、このムカリンさんの回答でいいのでは無いかと、思ってしまいました。
再度のご回答ありがとうございました。
<このムカリンさんの回答でいいのでは>ですね。
私もムカリン様のご説明は、難しくてまだわかりませんが、勉強していこうと思っています。
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