初めまして。阪大医学部1年の者です。
「大学への数学から大学での数学へ」という講義を
受けているのですが、次の誤答と
正解の違いがはっきりとわかりません。
そこで参考書を探しているのですが、これが
どういう分野(線形代数、解析学など)に属するのか
わからないためどんな本を読めばいいのかわかりません。こういった、論理面で高校までの数学と大学での数学とのギャップを埋めるような本を探しています。私にぴったりの本の分野、または具体的に本の
タイトルを教えてください。
(問)xy平面上を直線 y=tx-t^2 が動く。tが全実数を動くとき、この直線の通りうる範囲Wを求めよ。
(誤答)tの2次方程式 t^2-xt+y=0 が実数解を持つ条件を考えればよい。よって、判別式を考え、
x^2-4y≧0、すなわちy≦1/4 x^2を得る。したがってWはy=1/4 x^2より下の部分である。
ただし境界も含む。
(正解)Wの点(a,b)を任意にとる:(a,b)∈W …(1)
Wは直線y=tx-t^2族の和集合であるから(a,b)は
ある実数sについてb=sa-s^2 …(2)
をみたす。よってa,bを実数係数とするtの2次方程式
t^2-at+b=0は実数解を持つ。 …(3)
逆に、(3)なら(2),(2)なら(1)が成り立つ。よって、(1)⇔(3)すなわち
(x,y)∈W ⇔ t^2-xt+y=0は実数解を持つ
が成り立つ。したがってtの2次方程式 t^2-xt+y=0が実数解を持つような
(x,y)の条件を求めればよい。判別式を考え、y≦1/4 x^2を得る。
したがってWはy=1/4 x^2より下の部分である。ただし境界も含む。
No.1
- 回答日時:
これは誰しもが体験することですね。
とくに数学では
・中学→高校
・高校→大学
のいずれかでつまづかれる方が多いようです。
私も質問者さまと同大学の物理系の博士課程を出ており
一般教養時に同じような経験をしました。
経験上分かったことは、理学部の数学科でなければ正解を導くのが
困難であるということです。
大半の方は、理論の追求よりも、その知識をどのように活かすかというほうを
重視しますので、残念ながらギャップを埋められるような本はめったに遭遇できません。
なお、医学部の方であれば、統計学をみっちりを勉強されることをオススメします。
とくにロジスティック分析、疫学(ケースコントロール研究、オッズ比、相対危険度など)を学ばれるとよいでしょう。
ある疾患の有無に影響を及ぼす要因の探索などで適用されます。
ご参考になれば幸いです。
お早い解答ありがとうございます。高校の時から数学は結構好きだったので、あまり妥協はしたくなかったのですが、医学部に入った以上この辺で妥協すべきなんでしょうね。bicbicさんの仰る通り、今のところあまり興味はわきませんが統計学をとりあえず頑張ってみることにします。
No.2
- 回答日時:
∀と∃の問題ですね。
誤答だと「全実数」ということに対して必要十分条件になっていません。実数解が存在する、といっているだけですから論理的にはそれがただひとつの実数でしかない、ということもありえます。
高校数学ではここのところを実際そうなっているからいいじゃん、という感じ(教師としてはさらりとすりぬけて)ですが、論理を大事にするならやはりこのあたりが大切なんですね。
特におすすめの参考書はありません。初歩の参考書ならまずこのあたりは解説してあるからです。
No.3
- 回答日時:
単純には、論理の飛躍をしてはいけないということですね。
与えられた仮定から、求めたい結論を論理的に隙間なくつめるように記述する必要があります。
結論が範囲Wを考えるものなので、そのWが表される領域を定義するところからはじめないといけないということでしょう。
高校数学では、なぜそうなるのかという厳密な定義を省略して、簡易な形でとりあえず答えが求められるように習うので、そこにギャップがあるということでしょう。
大学で習う数学の講義を受け続けるだけでも、収束、連続、微分可能性とかの厳密な定義を知るうちに、わかるようになってくると思いますよ。
No.4
- 回答日時:
追伸。
分野としては解析か、集合と位相、といったあたりで解説されることが多いです。
もっとも確かに1の方の仰る事も一理あって、数学科でなければ正解を導くのが困難、とまではいいませんが、そこまでの厳密性を必要とするか、といわれれば確かにそうでしょう。まあ知っていて損は無いけどね。
あと医学と工学の境目あたりでは数学は必須ですね。たとえばCTとかの信頼性っていうのはどんなもんかとか。積分や幾何学びしばしの世界です、実は。
ということで数学科以外の人には厳密さより幅の広さを追求されたほうがいいんじゃないか、と思います。通り一遍の知識でもあとあと役に立ちます。あとは専門との兼ね合いで必要に沿って、となるでしょう。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
これをズバリ解説した本があるかというと…厳しい気がします。
数学の本は、想定する読者のレベルから見てわかりきったことは書かないのが普通だからです。その意味では、ご質問中で(誤答)と書いてあるその解答が、状況によって正解であることは大いにありえます。これで誤答というなら、数学の書物はみんな誤答の山です。
では、《この講義では》なぜ前者を誤答とし、後者を正解とするのか。それは、両解答を比較することによって学んでほしいことがあるからです。そこをくみとることが大切です。後者の解答に書いてあることを《理解した上で》、《前者の解答を見て後者の論理を想起できるレベルの読者を想定して》前者の解答を書くことは誤答ではないのです。《この講義での学習の目的から見て》前者の解答では《説明不足である》ということです。
逆に、集合としての実数の性質や公理にまで掘り下げた議論をしているのなら、後者の解答でもまだ説明不足だ、という状況も考えられます。
講義の流れがわからないので的確でないかもしれませんが、ここでは
(x,y)∈W ⇔ t^2-xt+y=0は実数解を持つ
これが肝心の部分で、これを示すには→と←の両方を示さなければならない。それを確認せずに安易に「実数解を持つ条件を考えればよい」と書くな、という意図のように思います。
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