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No.3ベストアンサー
- 回答日時:
判例を読む、特に専門的に読む場合は、その判例が、その事件について、どのようなロジックを立てて判断をしているのか、そしてそれが今後どのような影響を与えうるのか、といったことを考えながら読む必要があります。
もちろん、法曹の方が「専門的に読む」というのと、学者の方が「専門的に読む」というのとでは、ちょっと違うところがありますが、それでも、基本的なところに違いはないと思います。判例というのは、ごく大雑把に言えば、具体的な事件に法を当てはめて判断をした、その判断のことを言うのですが、じゃあ、ある判決において、その「具体的な事件に法を当てはめて判断したといえるのは、どの部分か?」という問題があります。「判決理由」と「傍論」というコトバを、お聞きになったことはないでしょうか?当該事件について法的な判断を下すに際して、必要不可欠な部分を「判決理由」、そのほかの、(極論すれば)さしあたり関係のない部分を「傍論」というのですが、その区分をするのは、簡単なように見えて案外難しかったりします。また、その「判決理由」が今後、どの程度似通った事件にまで影響を及ぼすのか、といったことを推測する作業をすることがありますが、そうした作業も結構難しかったりします。法学を研究する場合、こうしたことをある程度踏まえる必要があります。無論、判決のロジックが、ロジックとして果たして説得的といえるかどうかを批判的に検討することも要求されます。
そういう意味では、「技術的」というかどうかはわかりませんが、ある程度、訓練を受ける必要のあるものだということは、いえるでしょう。残念ながら、法学部にいたからといって、自動的に身につく、というものでもないように思われます。
確かに、法学の教科書を開くと、ある事件について何が「判例」か、を示してくれているでしょう。しかし、たとえば大学院で法学の研究をする場合、そればかりを頼るわけにはいきません。たとえば、最新の最高裁判決が下された場合、関連する文献や判決は見つかっても、その最高裁判決を解説するものはどこにもありません。ですから、自分で上述のような分析をしなければならないわけです。もっとも、大学院に進学される、という場合は、おそらく判例の読み方について、訓練を受ける機会を得ると思われますが。
なお、判例の読み方については、自覚的に勉強すれば
それほど長い時間をかけなくともそれなりに「体得」できると思います。
そのために、たとえば、
中野次雄編『判例とその読み方〔改訂版〕』(有斐閣)
弥永真生『法律学習マニュアル〔第2版〕』(有斐閣)
を読まれるみることをお薦めします。前者は、元裁判官で理論家としても高名な先生方による、文字通り判例とその読み方についての概説書です。後者は、商法の先生の手になるものですが、法学初学者の方向けに、法学の勉強の仕方(テキストの読み方から判例・論文・資料等の集め方、読み方、さらにはテストの受験の仕方まで!)をアドバイスしたものです。もし、これから法学を本格的に学ばれる、という場合には、後者のほうから読まれることをお薦めします。
長くなりましたが、参考になれば幸いです。
判例の読み方の訓練について、その必要性はわかりました。
また、その必要性が他人に頼らざるをないのものなのか、自力で解決できるのかというもの気になりましたが、自力で訓練としての読み方を意識していくと、少しは解決できそうなきがします。
弥永真生氏の本で、会社法に関する本を持っていますが、読みやすく気に入っていました。
教えていただいた本も今度購入して読んでみたいとおもいます。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
その教授は判例を読むときの姿勢について述べたのではないでしょうか。
実務(特に行政実務)では判例=前例として理解し、その意味では通達と同じようなものとしてその結果を素直に受け入れます。それに対して学問として法律学を研究する場合は常に批判的な姿勢で判例を読むことが必要であり、判例が出した結果に至る過程を十分に吟味し多角的な検討を加えなければなりません。したがって、ときには学説が判例を痛烈に批判することもあります。法律を法学部などで体系的に勉強した人はそうした姿勢が自然と身に付くので敢えて特別な技術だとは感じないと思いますが、そうでない人はそのような技術が身に付いていないと判例を鵜呑みにしてしまう危険性があります。
法律の勉強をしたことのない人でも判例に対する論文や解説を読み込むようにすれば自然にそのような技術は身に付いてくると思います。
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