一回も披露したことのない豆知識

私の友人が経営する会社で困ったことが起きました。

(背景)
前社長Aが、他社よりヘッドハントしたBを高待遇にて採用。1年後、業績不振を理由としてAが辞任、C(友人)が社長に就任。Bは、Cにより新たに提示された待遇で勤務することを拒否。Cはこれを受けてBを解雇。後日、Bは給料の支払を求めて会社を提訴。Bは、雇用時に交わした「5年以内に解雇した場合は、以後、雇用開始より5年経過するまで給与の9割を保証する」旨の雇用(給与)保証契約が存在すると主張。

・雇用保証契約の存在はAとB以外、誰も知らなかった。会社側に契約書は残っていない。Cは訴状により初めてこのことを知った。
・前社長Aの辞任の際に、AとCの間に感情のもつれが生じた。このことから、AとBが示し合わせて雇用保証契約を捏造したとも考えられる。しかしその証拠はない。
・Bの破格値の人件費は会社の経営を圧迫していた。仮に今後、会社が給与の9割をBに支払い続けるならば経営の継続は困難である。

(質問)
(1) 会社は、存続が危ぶまれる状況においてもなお、契約どおりBに給与を支払わなければならないでしょうか。
(2) 会社は前社長Aに対して責任を問うことができるでしょうか。
(3) 雇用保証契約が捏造であると仮定した場合、このような詐欺行為を防止するために会社は何をしておくべきだったのでしょうか。

以上3点につき識者の方々のお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

(1) 会社は、存続が危ぶまれる状況においてもなお、契約どおりBに給与を支払わなければならないでしょうか。



本当にそのような契約をしたのであれば、払わなければいけません。公序良俗に反するものでなければ契約は拘束力を有するのであり、5年間の雇用保証が公序良俗に違反するとは思えません。

(2) 会社は前社長Aに対して責任を問うことができるでしょうか。

前社長は代表取締役だったわけですよね。

商法の規定に基づき、取締役は会社に対して善管注意義務という義務を負っています。会社に対して損害を与えるような行為をした場合は会社に対してその損害を賠償する責任を有します。

したがって、今回の雇用保証という契約の締結を、会社に損害を与える行為だったと主張することもできなくはありません。

しかし、契約締結という行為はビジネス上の決定であり、明らかに違法な契約をしたような場合はともかく、そうでない場合は取締役の経営者としての裁量の範囲内であるから責任を負わないと判断される場合が多いです。したがって、今回も微妙だとはいえます。

そのような契約をすれば会社の経営が破綻することは予見できたという確実な証拠をそろえて損害賠償請求するほかないと思います。

(もし本当にその契約というのが捏造なら、前社長に、「雇用保証が認められたらその分を前社長に損害賠償として請求します」と予め予告しておけば、尻込みして雇用保証を否定するかもしれない、とも思いますが。)

(3) 雇用保証契約が捏造であると仮定した場合、このような詐欺行為を防止するために会社は何をしておくべきだったのでしょうか。

今となっては遅いですが書面による契約書を作っておくべきでした。口約束でもたしかに契約は成立しますが、書面による契約書があり、それに雇用保証が書いていなければ、別途口約束による雇用保証があったという主張はなかなか認められないでしょう。

さて、今回の件、すでに訴訟になっているということですが、訴訟において、保証契約の存在を立証しなければならないのは相手方です。雇用保証の額が通常ありえないくらい高額であること、経営の苦しい会社がそのような契約をするはずがないこと、契約締結の事実を客観的に証明するものがないこと、前社長との軋轢などにより反論して、保証の事実はなかったことを主張するほかないかと思われます。

この回答への補足

すみません、お礼の欄に書ききれなかったもので・・。

(1)に関して、会社側には契約書が残っておらず何ともいえないのですが、契約解除の条項があってもよさそうですね。いくら何でも、一方的に辞めて賃金だけ取る、ということがまかり通るようでは困ります。上の質問では「解雇」と書きましたが、実際には一方的な解雇ではなく、交渉の場で、本人が新しい待遇(賃金は据え置きで、より責任のあるポストにつくことが条件)では働けないので辞めます、と言ったようです。友人は、交渉自体はまったくスムーズで、雇用保証のことも全く話に出なかったので、訴状が届いたときは「騙された」と思ったようです。友人も脇が甘かったことを認めていますが、相当相手も狡賢いものだと思いました。仰るとおり、こういう交渉の進め方も違法ではなさそうですね。世の中厳しいですね。

補足日時:2005/08/03 20:13
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この回答へのお礼

大変ご丁寧な回答をいただきありがとうございました。回答の一部を以下に引用させていただいております。

(1)
>5年間の雇用保証が公序良俗に違反するとは思えません。

なるほどそうですか。私はそもそも雇用保証契約なんて有効なんだろうか?ということから疑っていましたが、確かに世の中には複数年契約で働くプロ野球選手もいるのですから、こういう契約があってもよさそうではありますね。

(2)
> そのような契約をすれば会社の経営が破綻することは予見できたという

予見性がポイントですか。これは難しそうですね。事業がうまくいっていればおそらく問題にはならなかったでしょうから、経営者の裁量の範囲という気もします。前社長自身、退陣間際にはお金に困っていたようですので、請求しても払ってもらえない可能性が高いそうですが・・・。だからこそ前社長とその人が結託して、退陣間際に過去日の日付で契約書を捏造したのではないかとの疑念が出てきたわけです(取り分は山分け・・?)

(3)
> 今となっては遅いですが書面による契約書を作っておくべきでした。

すみません、これは私の質問が舌足らずでした。社長交代時に友人は何をしておくべきだったのか、ということが知りたかったのです。雇用契約自体は前社長時代のものですので、友人はその内容を知りようがありませんでした。しかし、例えば、その人を解雇するときに本人から念書をもらっておく、あるいは前社長から引継ぎを受ける際に書面を交わしておくなどの方策が取るべきであったのかもしれません。つまり、悪意を持った前社長の「退陣間際の悪行」を阻止することはできなかったのか、ということが私の疑問でした。

一般的には、事業引継ぎに際して、企業の抱えるリスクを十分に調査しなかった友人に責があるのは理解できます。では、具体的に何をすれば、少しでもこのようなリスクを回避できたのか・・・。

おっとここはお礼の場所でした・・。長々と失礼いたしました。
おかげさまで要点が整理できました。私の質問への回答に多くの時間を割いていただきましたことを重ねて御礼申し上げます。

お礼日時:2005/08/03 20:12

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