はじめまして。25歳の子持ちの主婦です。
昨日から受験に関する質問をさせていただいております。
来月史学科考古学専攻を受験します。(ちなみに他大学の史学科日本史専攻既卒です) 志望書提出・面接にあたり下記のことで悩んでいます。。
●文献資料のある歴史分野と考古学分野の関係について、あなたがどうお考えなのか、ご教示ください。
→私が今までやってきたことは『日本書紀』『続日本紀』と遺物を突き合わせた研究でした。考古よりの古代史とでもいうのでしょうか??それと純粋な考古学(?)の違いがイマイチよくわかりません。
●なぜ「フィールドワークを重視」することを重視するのか?
詳しい方がいましたら是非ご意見おねがいしたいです
No.3
- 回答日時:
大学の考古学専攻を5年ほど前に卒業しました。
●考古学と文献史学の違いをシンプルに言うと、考古学は「物」から
歴史を考えて再構築する。
文献史学は文献から、ということになります。
考古学の専門家は、「文献のない時代は文献史学では手に負えない。それに、文献は人が書いたものだから、書き手の主観が入ってしまうため、歴史を正しく捉えることができない。考古学は人類誕生以来のすべてを客観的に捉えられる学問だから素晴らしい」という考えをもっています(基本的に)。
文献史学の専門家の方は、「物(土器や石器や住居址などなど)をどう捉えるかなんて個人差が激しすぎて、正しく歴史を捉えることはできない」と考えていることが多いようです。
どちらも一長一短ですが、両者を組み合わせることができればベストなのでしょうね。ただ、やはり文献のない時代は考古学の独壇場になりますが――。
いや、それすら、地質学などと絡めて考えなければいけないのでしょう。本来。
●フィールドワークについてですが、考古学はすべてにおいてフィールドから始まるといわれるほど、重視されています。
考古学を英語でアーケオロジーと言いますが、フィールドに出て、たくさん自分の足で歩きなさい、というメッセージを込めて、考古学は「アルケオロジーだ」ということを言う教授もいます。これは、ある世代よりも上になると、決まり文句のようです。
確かに、物から始まる学問ですから、発掘をしてなんぼです。
しかし、重要なのは、フィールドワークよりも、むしろその後の机の上の作業なのです。発掘に掛けた時間の3~5倍は整理作業に費やすのが理想と言われるくらいですから。
フィールドワークはすべての始まりであり、基本。
しかし、最も重視されるのは、その後の机の上の作業。
これが考古学の実態です。整理作業をしなければ、それはただの盗掘ですから。
社会人入学、素晴らしいですよね。頑張ってください。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
何度か質問をされているようですが、社会人枠での受験の面接のようですね。
この場合の面接というものがどのような目的で行われるかが、また受験における比重も定かではないので何とも言えないのですが、面接が受験生の人となりをみるものであるならば、他人からの借り物の言葉ではなくご本人自らの思いを伝える方がいいのかな、とも思います。
その上で一般的なお話をさせていただきます。
●文献史学と考古学について
「考古学は、歴史学の補助学」と言われたこともありましたが、現在では歴史学の一分野(手法)として考古学や文献史学、地質学、理化学などがあるというのが学界的な認識であると思っています。
考古学の重要性としてよく取り上げられるのが「告朔」です。告朔とは毎月1日に朝廷で行われていた月例事務報告だと言われていますが、日本書紀での最古の記録が676年のこととされます。これはこの時に雨のために中止になったために記録されたのです。
記録というは概して「その当時にはあたりまえのこと」は記録されにくく、「なにか異常・特異なこと」であった場合に記録に残りやすいのです。
くわえて「絶対客観的な歴史書」というものは存在しません。編著者の歴史観や立場、思想、歴史書の編纂を命じた政体やその時の政情などにより歴史的事実にフィルターがかかってしまうのです。
その点、考古学で発見される遺構・遺物についてはこうしたものが入り込みにくく生の資料として見つかることが多いことから重視されることもあります。
奈良・長屋王邸の発掘調査でみつかった「長屋親王」の木簡なども正史からでは確定できなかったものでしょう。
このように考古学と文献史学は対等な関係であり、双方の情報をつき合わせて歴史を解明していくものだと思います。
『日本歴史考古学を学ぶ』という一般向けの図書がありますのでこれを読まれると私の説明よりもはるかによく理解していただけると思います。
●フィールドワーク重視について
考古学が対象とする遺跡・遺物の多くが「生活痕跡」です。従って現地での地理が重要になります。
むろん地形図を読めばわかりますし、開発されて地形が残っていない場合もありますが、現地に立ってみることが重要であることは間違いありません。
例えば縄文時代中期の集落は、目立つ山が見えるところにあるとも言われます。これなどは現地に立たなければわからないことでしょう。
また、古墳なども図面で見るよりも現地で見た時の感じとはかなり異なると思います。
いずれにせよ遺跡とはなんらかの理由によりその場所を選んだ結果であり、その環境が選地の理由であること少なくありませんし、またその地形によって制約も受けるものです。
このようなことからフィールドワークが重視されるということになります。
言葉ではなかなか伝えにくいものですが、実際に遺跡のある場所に行ってみるとよく実感できると思います。
●蛇足
No1の方の回答は、間違ってはいませんが正しくもありません。
確かに日本の考古学は基本的には「物」と「遺構」から研究する学問です。それは日本では考古資料としての文字資料が7世紀以降にならないとほとんど出土しないためです。
また、「発見されないこと」が「存在しないから発見されない」のか「遺物・遺構として残っていないから発見されない」のかということは日本考古学では一般的に認識されていることであると思います。
それに「小さなモノ(単純なモノ)から大きなモノ(複雑なモノ)へ年代順に発展していく」という「発達主義史観」が考古学研究の妨げになっていると批判する研究者もいますから少なくともNo1の回答にあるような「ある偉大な文明がある日突然生まれたことになる」などとは考えられてはいません。
考古学では「物」と「遺構」から歴史を研究する学問であるため、精神文化に関する部分には言及しにくいということは確かです。考古資料から精神文化を復原しようとすると「類推」が多くなりすぎ単なる「想像」になり、学問的でなくなってしまう可能性があるからです。
大変参考になりました!もっといろんなお話を聞かせていただきたいくらいです(〃 ̄ー ̄〃)
>「絶対客観的な歴史書」というものは存在しません。編著者の歴史観や立場、思想、歴史書の編纂を命じた政体やその時の政情などにより歴史的事実にフィルターがかかってしまうのです。
そおですよねぇ。
>その点、考古学で発見される遺構・遺物についてはこうしたものが入り込みにくく生の資料として見つかることが多いことから重視されることもあります。
>奈良・長屋王邸の発掘調査でみつかった「長屋親王」の木簡なども正史からでは確定できなかったものでしょう。
実は長屋王家木簡と出土文字関係(金石文・僕書土器)が一番興味ある(あった)分野なんです。東野治之先生と森公章先生の本は私のバイブルだったりしますw 家政機関と「贄」の問題を趣味で調べたいと思っています。
>『日本歴史考古学を学ぶ』という一般向けの図書がありますのでこれを読まれると
早速明日ゲットしに行こうと思います!
>例えば縄文時代中期の集落は、目立つ山が見えるところにあるとも言われます。これなどは現地に立たなければわからないことでしょう。
時間が許す限り現地に行ってみたいと思います。
ありがとうございました☆
No.1
- 回答日時:
門外漢ですが考古学や文化人類学に興味があります。
常日頃、日本の発掘だけの考古学を不思議に思っています。日本の考古学は人がいつ、どこで、何をしていたかを遺物だけを頼りに研究するので、「物」が発掘されない限り「ある民族、ある時代」は存在しなかったことになります。つまり、ある民族の伝承、伝説、宗教、慣習などを通じて、ある時代以前の生活の姿が想定されても、考古学では、遺物が発見されなければ、そのような時代は存在しなかったことになります。したがって、考古学だけで研究すれば、ある偉大な文明がある日突然生まれたことになるでしょう。(遺物が発見されるまでは)実際にはある偉大な文明が誕生するには、先行する文明が500年単位ぐらいで遡って存在するはずですが。
このように他の学問との違いは物証(遺物、遺跡、遺構)主義にあります。したがって、考古学(特に日本の)にとってフィールドワークがすべてになるわけです。研究室で文献で比較研究などを行う人は考古学者として認められないでしょう。
以上は私の偏見かもしれません。
回答ありがとうございます!
>つまり、ある民族の伝承、伝説、宗教、慣習などを通じて、ある時代以前の生活の姿が想定されても、考古学では、遺物が発見されなければ、そのような時代は存在しなかったことになります。したがって、考古学だけで研究すれば、ある偉大な文明がある日突然生まれたことになるでしょう。
難しい問題ですね。藤村氏の捏造事件を思い出してしまいました。。
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