No.3ベストアンサー
- 回答日時:
どのような熱機関についてのご質問なのか不明ですので、あくまで概論程度にとどめます。
実際には各種の機関ごとその特性上、実際に行えることと行えない事がありますし種別によっても効果の程度も異なります。もっとも基本的なことは冷却損と機械損を減らすことですが、これではあまりにも漠然としすぎているので、機械損の部分は割愛し、熱の利用についてのみ、ごく触りの部分だけを書いておきます。
熱機関とは熱エネルギーという物理エネルギーを運動エネルギーに変換する一種の変換装置です。この変換装置には必ず動作の仲立ちとなる動作流体が必要ですので、まず第一に燃料をできるだけ高い温度で燃焼させ、できるだけ無駄なく動作流体に伝達しできるだけ高い温度の動作流体(動作流体の持つエネルギーを利用できる下限の温度はほぼ決まっているため、温度を上げることで利用できる幅が広がる)を作りできるだけ低い温度で動作流体を排出する事が肝心です。この温度差自体が熱機関において利用可能なエネルギーとなるからです。ただし、いくら排出される温度が低くても機関その物の冷却や動作機構外での温度の低下は無意味であることは言うまでもありません。
さて、内燃機関では動作流体=燃焼ガスという構造が成り立ちますので動作流体への熱エネルギーの伝達という項目に関してはあまり問題がありませんが、外燃機関では燃焼によって得た熱エネルギーを動作流体(水蒸気やガス)に移動させる必要があります。これにはボイラーや熱交換器が利用されますが、この部分での熱のロスが大きな問題になります。これらの顕著な例が蒸気機関でこの部分でのロスがあまりにも大きいため、現在ではほとんど使用されていません。外燃機関といえるかどうかは判りませんが、燃焼以外の熱エネルギーを利用してはいますが原子炉もこの類です。これらの外燃機関で熱効率の向上を取るためには、機関の運転に直接利用できない温度の低い状態の熱源(タービンやレシプロ機関などの排気やボイラー外壁から逃げる熱や燃焼ガスの排気など)を如何に無駄にせず利用するかと言う事に尽きるでしょう。もちろんタービンやレシプロ機関そのもの効率の向上も重要ですし、できるだけ高い温度の動作流体を作ることも大切です。内燃機関ではできるだけ高い圧縮比で、できるだけ高圧の状態にし高温で燃焼させることが重要な点ですが、熱機関を構成する材料が耐えられる範囲の温度である必要があります。また、ここで機関の破損を防ぐために冷却を行うと冷却による熱の損失が発生します。したがってできるだけ高温の動作流体を扱いつつできるだけ冷却を行わないという極めて難しい(ほぼ無理といってもいいでしょう)条件が要求されます。機関そのもの動作としては動作流体の持つ圧力や速度をできるだけ低い圧力や速度になるまで利用する必要が生じますが、これは機関その物の大型化・重量化を招く要因であり定置型(発電用など)以外では大きな障害になります。このような定置型の内燃機関では廃熱を再利用したいわゆるコジェネレーションも行い熱効率の向上を取っています。
環境面での問題ですが高温での燃焼に伴う窒素酸化物(NOx)の発生の増加が主でしょう。また、熱機関の効率が向上するということは同じ仕事を発生する機関で消費する燃料が減少するということであり。その面での環境負荷は軽減されるといえるでしょう。
おまけにちょっと変わり種のディーゼルエンジンを紹介しておきます。ディーゼルとガスタービンのあいのこのようなエンジンで、基本的にはディーゼルエンジンですが排気の持っている速度エネルギーでタービンを回し(ここまではターボーチャージドエンジンと同じ)このタービンの回転を減速器で減速し、ディーゼルエンジンの回転軸に戻すというもので、カミンズエンジン社というメーカーが作っていました。
もし、特定の種類の熱機関についてご指定があれば、もう少し詳しく説明できるかと思いますが、いずれにせよ、このサイト上で記述できるのは、概論程度にならざるを得ないでしょう。
どのような熱機関かは指定がなかったんです。
だから概論程度でOKだと思います。
概論程度といっても、けっこうな量なのでびっくりしました。
詳しいご回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
雑学的な回答ですが、2つばかり。
1.膨張比を上げる(下記例の蒸気機関車では圧縮比というものがないので、こう呼ばせていただきます)
あまり知られていないことですが、蒸気機関車でも復水器付き再加熱式2段膨張エンジンを持ったものがあります。 しかし、効率は上がるけれど、ほとんどの機関車では使われていません。
・復水器の容積が大きいため、ボイラを小さくせねばならず、出力や安定性が低くなる。
・2段目のエンジンの容積も大きく、機関の重量が増大する。
・ただでさえ複雑な蒸気機関車の整備が、さらに難しくなる。
技術上の問題というより、運用上の欠点ですね。
2.熱を逃がさないようにする
内燃機関には、熱伝導率の高いアルミ系の素材が使われたりしていますが、セラミック素材で作る場合は熱伝導率の低いものが使われます。 作動流体に熱がこもってくれた方が効率は上がるのですが、金属は高温に弱いため積極的に放熱しています。 これに対しセラミックは高温に強いので放熱せずに済みます。
問題点といえば、セラミックエンジンは作るのが難しくて高価ですね。 また部品同士の接合とか破損が一気に進むとかの問題もあるようです。(10年ぐらい前に傾斜性素材で解決する話もあったが、さらに高価になりそう)
No.1
- 回答日時:
まずお詫びを。
これは、この掲示板で書ききれない物ですね。(^^;)
□
例えば、熱機関の元となる状態変化の過程(これをサイ
クルといいますが)、その種類だけでも
【ガスサイクル】
カルノーサイクル、オットーサイクル、ディー
ゼルサイクル、サバテサイクル、ブレイトン
サイクル、エリクソンサイクル、スターリング
サイクル
【蒸気サイクル】
ランキンサイクル、再生サイクル、再熱サイクル
【その他のサイクル】
冷凍サイクル
なんて数があります。
そして、これらを理解するためには、
【熱力学の第一法則】
エネルギー保存の法則、第一種の永久運動
内部エネルギー、エンタルピー、可逆変化
絶対仕事
【熱力学の第二法則】
エントロピー
【熱力学の第三法則】
最大仕事、閉じた系、開いた系、有効エネルギー
【理想気体と実在気体と湿り空気】
等温・等容・等圧・断熱の各変化
飽和蒸気(乾き度、湿り度)
T-s・h-s・P-Vの各線図
相対・絶対の湿度
なんて知識が必要です。
□
で、参考までに代表的なサイクルの効率の上げ方を。
【ディーゼルサイクル、オットーサイクル】
効率を上げるためには圧縮比εを上げる。
【ランキンサイクル】
膨張過程入口での初温・初圧を上げる。
膨張過程出口での終温・終圧を下げる。
再生or再熱サイクルの採用
【再生サイクル、再熱サイクル】
膨張過程入口での初温・初圧を上げる。
膨張過程出口での終温・終圧を下げる。
□
環境問題は、熱機関の熱源(燃料)に依存します。
石油なら石油の問題、原子力なら放射性物質等に関わる
問題です。
なお、熱機関を理解するための入門書を紹介します。
これを理解できたら、熱機関の効率については楽勝。
逆に言えば、合計で400ページ程の容量がないと、熱
機関の説明は出来ないって事でお許しを。
○熱計算入門 1~3
財団法人 省エネルギーセンター
定価 各1,900円 (内税)
できたら、この本もしくは他の本で、先に書いた項目
の知識を得ていただいて、エネルギーへの理解を深めて
ください。
これほどもの知識が必要だったとは。(^-^;
さっそく紹介していただいた本を探して読みたいと思います。
どうもありがとうございました。
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