No.2ベストアンサー
- 回答日時:
委任は民法で定める「委任契約」という定型契約の成立を書面に記した文書でしょう。
民法第643条(委任)委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
民法第644条(受任者の注意義務)受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
委任は本来、信頼できる人に対しするものですから、信頼できない人に委任するのは、そもそも論理矛盾です。
悪人はこれを逆手に取ってくるのが問題なのです。「白紙委任状はそもそも貴方が私を信頼したから書いたのでしょう。それを突然、何の理由もなく(あるいはささいな理由で)取り消すことはできないし、困ります」と迫ってくることが大いに予想されます。後半はウソです。
第651条(委任の解除)委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
次に委任でもめるのは「委任」と「代理」は同じか違うかです。悪人はこの点をつき代理権を主張しはじめます。
第99条(代理行為の要件及び効果)代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
第100条(本人のためにすることを示さない意思表示)代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
第101条(代理行為の瑕疵)意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
「委任」と「代理」はどこが同じでどこが違うかについては、実は私も詳しく知りません。詳しい人の応援を期待します。
私は親切な不動産屋から聞いた話では次の問題です。「何らかの状況であなたから白紙委任状をもらった悪人が、本心を現して、この白紙委任状を、あなたの所有するマンションを譲渡処分する権限を委任することにして、誰か適当な第三者に譲渡(転売)したとします。そうすると善意無過失の第三者はあなたのマンションの所有権を取得できます。大金を手にした悪人は会社を退職し、住所をくらませば、貴方はなすすべがなくなります。詐欺に逢ったと警察署に駆け込んでも、あなたは白紙委任状差し出したんでしょう。ということは民事の領域ですね。警察としては、あなたのために出来ることは何もありません、でおしまいでしょう」
No.4
- 回答日時:
No.2さんが委任契約と代理の異同について言及しているので、補足します。
私の回答でも委任契約と代理をごっちゃにして説明していますが、厳密には違うものです。確かに、委任契約に基づいて代理権が発生することはよくありますが、すべての委任契約において代理権が発生するわけではありません。代理権が発生するかどうかは、まさに委任契約の内容によります。
また、委任契約以外にも、たとえば雇用契約にもとづいて代理権が発生することもあります。
ですから、委任契約と代理は違いますが、白紙委任状で問題になるのが、多くの場合、表見代理に代表される代理制度に関するものなので、厳密に分けないで回答しました。
No.3
- 回答日時:
本人が代理人に白紙委任状を渡すのは、通常、代理人が何でもして良いという趣旨ではなく、本人に代わって代理人に、ある一定の事項を処理させる趣旨でしょう。
代理人が本人から委任を受けた事項について事務処理をする上で必要な範囲内でしたら、白紙委任状に必要事項を記入することは当然、許されます。反対に代理人が委任事項の範囲外のことを好き勝手に書いたら、それは私文書偽造罪にあたります。
ところで、白紙委任状が有効かどうかというご質問ですが、白紙委任状が有効かどうかと考えるのではなく、代理人の行った行為が有効(本人に法的効果が帰属するか)かどうか考えた方がよいです。なぜなら、原則として、委任状のような文書がなくても、口頭により代理権を与えることが可能だからです。そして、口頭により与えられた代理権であったとしても、その範囲内で代理人が代理行為する限りにおいては、その代理行為が有効であることは当然のことです。
もっとも、委任状は、代理権の存在及びその範囲を証明する有力な証拠であることは否定できません。白紙委任状といっても、本人による署名(押印)があるのが通常です。そのような白紙委任状に、代理人が委任の趣旨を逸脱して勝手に加筆した場合、それが偽造された委任状であることを証明することは、一般的に困難であり、裁判の証拠としてまかり通ってしまう可能性はあります。
仮に、その委任状は偽造されたものであり、代理人の行為が代理権の範囲外であることが証明できたとしても、本人が白紙委任状を代理人に渡すことにより、一定の代理権を与えたような外形を作っていますので、そのことにより相手方が代理人の代理権の存在を信用し、信用することについて過失がなければ、表見代理が成立し、相手方に対して無権代理行為の無効を主張できなくなる可能性もあります。
白紙委任状にはこのような危険性があります。
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