初心者です。特許法上の「無効審判」に関して質問です。特許法123条3項に、特許権消滅後でも特許無効審判の請求が可能である、との規定がありますが、なぜ消滅後の特許権にも無効審判を請求することができるのでしょうか?
これは、甲さんがかつて所有をし、現在は既にその権利が消滅している特許権Aを有していたとして、(甲さんは原特許権者(?))乙さんが現時点で無効審判を請求し、審決が確定した場合、そもそも甲さんは特許権を所有していなかった、とみなされるということでしょうか?
また、この場合、甲さんが本特許権を実施して得た利益(消滅前の実施により)なども、何らかの処分の対象になってしまうのでしょうか?
どなたか詳しい方、ご回答いただけると助かります。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
>ちなみに、損害賠償請求の他には、どのような例があるのでしょうか?
損害賠償しか聞いたことないですね。
消滅してしまっているので差し止めはできませんし。
>また、損害賠償は、民法の規定を元にしていますが、消滅後のものであっても過去の侵害について請求ができるというのには、その根拠になる条文などがあるのでしょうか?(民法?特許法?)
侵害時には権利として有効であり損害を受けていた以上、民709条の規定で十分だとおもいますが。
ただし消滅時効が知ってから3年または発生から20年だからそれ以上あとに無効審判を請求することは利益がないため許されないと思います。
No.3
- 回答日時:
今までの回答の通りだと思います。
>また、損害賠償は、民法の規定を元にしていますが、消滅後のものであっても過去の侵害について請求ができるというのには、その根拠になる条文などがあるのでしょうか?(民法?特許法?)
特許権侵害による損害賠償請求権の根拠条文は民法709条です。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法709条が、一般民事で適用される典型例は交通事故です。例えば、交通事故があってしばらくしてから、被害者は加害者に対し、過去の交通事故による損害について損害賠償を請求できますよね。これに対して、将来の起こっていない交通事故に対しては、損害賠償は当然、請求できません。
ですから、過去の不法行為に対して、損害賠償ができるのは当然のことです。
また、特許権を侵害する行為が、不法行為であり、損害賠償の訴えを提起した時点で、特許権が消滅しているかいないかは、不法行為の成立とは無関係です。
ただし、下記の規定があります。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
即ち、「不法行為の時から二十年を経過したとき」は、損害賠償は請求できなくなります。
御丁寧に有難うございました。
損害賠償は、請求時の状況がどうであれ、過去に侵害があった、という事実に対して行われるのですね。
時効の件も良く分かりました。有難うございました。
No.2
- 回答日時:
1.現在、存続期間満了とか放棄、後発無効で権利が消えていても、有効だったときの侵害について損害賠償請求などできます。
したがって、訴えられたほうは、無効審判を請求して、遡及消滅させる(はじめからなかったものにする)利益があるのです。
2.特許権が遡及消滅した場合に、その特許権でライセンス許諾などで利益を得ていた場合はどうなるか。
許諾を受けていた人は金を返せといえるか?
これはいえないというのが通説です。
権利があるということで実施が担保されていたので、
損害はないということです。
損害賠償を取っていたらどうなるか?
これはむずかしいところです。(だれか教えてください)
逆に特許権者は特許庁に収めた登録料を返せといえるか?
これはいえないらしいです。
この回答への補足
有難うございました。
ちなみに、損害賠償請求の他には、どのような例があるのでしょうか?
また、損害賠償は、民法の規定を元にしていますが、消滅後のものであっても過去の侵害について請求ができるというのには、その根拠になる条文などがあるのでしょうか?(民法?特許法?)
民法の損害賠償規定では、損害賠償ができる、との記載しかないようなので、もし、根拠を御存知でしたら教えていただけると助かります!!
No.1
- 回答日時:
なぜ無効審判を請求できるようにしているかというと、特許権消滅後であっても、
消滅前の期間における侵害行為に対して消滅後に損害賠償請求等を行えるからです。
瑕疵のある特許権ならば遡及的に消滅させることが妥当でしょう。
特許権の無効審決前に受け取っていた実施料の返還義務は原則ありません。
実施者は、特許権の存在によって排他的権利による利益を享受していたからです。
また、契約書に「返還しない」と通常書きます。
この回答への補足
なるほど。。。有難うございました。
つまり、消滅前に原特許権者である甲さん(上記の例による)の特許を、第三者である乙さんが侵害していた疑いがあるとする
→侵害されていたとする甲さんは、その特許権が消滅した後であっても、過去の乙さんの侵害行為を対象として損害賠償を請求できる
→乙さんは、無効審判を請求することにより「甲さんの(消滅した)特許権の登録は無効であるため、自分の実施は侵害にはあたらない」として、損害賠償請求を回避することができる
という流れで有効な規定ということでしょうか?
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