楽器や演奏の歴史をたどってみると、楽器は昔はいろいろな種類があったのに、次第に淘汰され、今は何の楽器にしろ画一的になってきている。私は管楽器の世界しかほとんど知りませんが、例えば昔はフルートやサックスにいろいろな調性があったり、指のシステムが違ったものが並行的に流通していたりしたんです。それが、画一化し、メーカー自体は増えても、楽器構造そのものはひとつです。調性もヴァリエーションが決まってきた。
演奏の世界でも、フランスのオーケストラだとかドイツのだとか特徴があったと聞きます。それが没個性になってきたと。
こういう現状では、なにか音楽の硬直化みたいなものが起きていないでしょうか。それとも、メリットがどういうところにあるかわかりませんが、益するところのほうが多いのでしょうか。
また、これは音楽だけの問題ではなく、世界共通語が英語に統一されつつあるように、世の中全体の雰囲気にも触れなければならないです。
No.1
- 回答日時:
管楽器の構造という観点で見れば、昔はキーシステムがそれほど
複雑に作れず、ある調性の曲では運指が容易でも、転調すると
とたんに運指が難しくなってしまう、そこで様々な調に対応する
楽器を作ったのではないでしょうか。
それが技術の発展にともない、合理的なキーシステムの発明や
製造技術の向上によって転調があってもそれほど運指が難しく
ならないようなキーシステムになってきたのではないでしょうか。
また演奏者の技術の向上というのもあると思います。昔の演奏者が
必死になって演奏するパッセージを現代の演奏者がもっと速い
テンポで軽々演奏してしまう例はたくさんあります。それはさきほど
書いた楽器の発展とも重なるとは思うのですが、演奏者自体の
技術向上で、調性による運指の難易に関わりなく、ひとつの
楽器で演奏できてしまうようになった、ということもあると
思います。
そうですね。管楽器の発祥はそういう事情でしたようです。そして、ベーム式という画期的なものがあらわれたんです。ただ、その中でも細かいところで雲竜型と不知火型みたいな流派があったようですが、一方が淘汰された感じです。
技術向上はやはりあるのでしょうね。
No.2
- 回答日時:
>フランスのオーケストラだとかドイツのだとか特徴があったと聞きます。
音楽を聴き始めた頃,音楽評論家の影響で,そのような特徴があるものと
思っていました。それで,ご本家というか,
チャイコフスキーなら,レニングラード・フィル(当時),
サン=サーンスやラヴェルなら,パリ管(当時),
スメタナやドヴォルザークなら,チェコ・フィルが良い…
というような感覚がありました。
でも,その特徴は,オーケストラの国籍によるものではなく,
それぞれのオーケストラの性格だと思うようになりました。
その性格が国民性と関係するかどうかは分かりません。
オーケストラによって性格の違いは若干感じますが,
フランス的とかドイツ的といったものは分かりません。
一般的にドイツは厳格で,フランスは楽天的とか言われますが,
フランスのオーケストラが演奏するブラームスは楽天的かと言うと,
そうでもありません。今から思えば,フランスのオーケストラは明るくて,
ドイツのオーケストラは厳格でと,特徴付けるために簡単にラベルが
貼られていたようにさえ思えます。
グローバルなスタンダード化が進んでいるというよりは,
ブラームスの曲は,どう演奏すべきかという研究が,
国籍に関係なく,ずっと以前から同じ方向を向いてきたと思います。
ドイツのオーケストラがスペイン音楽を演奏すれば,
ドイツ的ではなく,やはりスペイン的になります。
演奏するオーケストラの国籍によって,スペイン音楽が
イギリス風になったり,日本風になったりすると変ですから。
(バグパイプや三味線とかを入れて編曲しないと無理ですが)
また,クラシックだけでなく,ハワイアン,フラメンコ,フォルクローレなど,
現地人による演奏であろうと,日本人による演奏であろうと,
その音楽の特徴が崩されることなく,守るべきものは守られていると
思います。
確かに、曲のスタイルは演奏する国籍によってそれほど影響されないのでしょうけど。確かにラベリングという作用は大きいのかもしれません。でも一方で、使用楽器による雰囲気の差というのがやはりあった気がします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
昔も今も、工業化の波と並行して
楽器は発展してきました。
手工業によってヴァイオリン属はもたらされ、
金属の質のいい精錬法によって、
すぐれた管楽器やピアノなども
もたらされてきました。
それと同時に、汎用性のある規格も生じてくるのは、
ある意味必然的なものなのかもしれません。
いろんな表現の進歩がないように感じるのは、
産業技術が高止まりしていることもありますが、
新しい表現の可能性を発信する方法が画一的だと、
進歩がないので、そこで堂々巡りが起こってしまい、
発信するほうも聴くほうもそういったものに対して
及び腰になってしまいがちです。
私たちは往年の巨匠の再臨を待っていますが、
文化はグローバルスタンダードのように、
輸入したりパッケージ化した表現を
繰り返すのではなく、
時間をかけて、個性を普遍へと成熟させるまで、
自分の手で育てるという態度が必要です。
今まで淘汰されてきたサリュソフォーンや、
ヴィオールなどの楽器製作者の精神に、
感じるところは多いですね。
はい、やはり画一性やグローバル性の波というのはあります。それは楽器製作でも演奏でも、技術の成熟ということに負うところが大きいと思いますが、一方で精神性を犠牲にしている面はあると思われます。
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