
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
原子炉で発生する熱エネルギーは、『核分裂』と『崩壊』によるものです。
核燃料物質が、核分裂を起こすと、質量数が90前後(クリプトン87、ストロンチウム90など)の物質と、質量数が135前後(よう素131、セシウム137など)の物質に分裂します。
これらの分裂した物質を『核分裂生成物』と呼びます。原子炉で発生するエネルギーの約93%が、この核分裂生成物の運動エネルギーによるものです。(核分裂の際同時に発生する、中性子の運動エネルギーとガンマー線のエネルギーもわずかに含まれます)
また、この核分裂生成物は非常に壊れやすく、『ベータ崩壊』と『アルファ崩壊』(崩壊は壊変ともいいます)と呼ぶ現象を起こし、また、新たな他の物質に変わっていきます。
『ベータ崩壊』は、物質の原子核の中の中性子が、陽子と電子(この電子をベータ線と呼びます)及びニュートリノに分かれてしまう現象です。
『アルファ崩壊』は、原子核が壊れる際に、ヘリウムの原子核を放出(これをアルファ線と呼びます)する現象です。
原子炉の中で発生する崩壊は、ほとんどがベータ崩壊です。 ただし、このときも中性子やガンマ線を発生します。これらのエネルギーは原子炉で発生するエネルギーの約7%になります。
原子炉を停止すると『核分裂』はほとんど起こらなくなりますが、『崩壊』はまだしばらく続きます。(急速に減少しますが、この崩壊による熱(『崩壊熱』)がほとんど無視できるほどになるには、数ヶ月e以上かかります) 従って、使用済み核燃料は、熱交換設備があるプールの中で冷却します。
前述のように、原子炉を停止した直後の崩壊熱は、原子炉の出力の約7%あるということになります。
実験式による計算上では、1時間後には約1.3%、1日後には約0.7%程度となっています。
『原子力電池』は、物質が崩壊するときの崩壊熱を利用し、ペルチェ素子などの特定の物質に温度差を与えることにより電気を発生させる原理(ゼーべック効果と呼びます)を利用したものですが、ガンマー線による人体への影響が大きいなどの難点があります。
人工衛星などに搭載することはありますが、その効果からいって実用的ではありません。実験レベルではあっても、一般的にはあまり使われていないはずです。
この回答へのお礼
お礼日時:2006/11/13 22:01
大変専門的な回答を有り難うございました。
カッシーニで使われているプルトニウム電池の原理も分かりました。
でも発生する熱が利用されていないのはもったいないですね。
恐らく貴殿以上の知識は得られないと思うのでこれにて締め切りますが大変参考になりました。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
プルトニウムの半減期について
-
震災の瓦礫(がれき)受け入れ...
-
VA(ボルトアンペア)とは??
-
受電設備の機器
-
三相電力のUVWとRSTの違いについて
-
入社早々、病欠する人の扱いに...
-
電気点検の会社?
-
AC100Vの許容電圧変動について
-
キュービクルのCT比ってどうや...
-
単相3線で30Aと表示されてい...
-
力率が進みすぎたときの障害に...
-
契約設備電力とは何でしょうか...
-
KVAとkvarの違い
-
職場に新しいパートさんが入っ...
-
B種接地工事における接地抵抗...
-
受電方式
-
電線・電話線等の必要間隔について
-
周波数の、位相合わせをどうや...
-
PASの扱い方
-
貧乏な人はとにかく問題が多過...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
プルトニウムの半減期について
-
原子力潜水艦って沈没したら放...
-
ガレキ受け入れは愚策では?
-
震災瓦礫の座込みで逮捕。これ...
-
核融合発電はクリーン?
-
重油タンカーに排水を吸い出せ...
-
子供が兵庫の海へ臨海学習に行...
-
放射性物質について
-
震災のがれきを日本全国に分散...
-
放射性物質による、体調不良に...
-
放射線と汚染水
-
長崎の被爆者団体のがれき受け...
-
震災の瓦礫(がれき)受け入れ...
-
日本人の「絆」感覚について
-
政府を非難するとある島国の国民性
-
震災瓦礫受け入れ反対の人
-
海の魚本当に食べても安全なの?
-
放射能に蝕まれる福島のこどもたち
-
運動、労働、受験勉強で苦労す...
-
無職とかひきこもりとか普通に...
おすすめ情報