本来は「オーディオ」のカテゴリーで質問するべきなのでしょうが、マニア諸氏には多分難解?と思い、あえて専門的に物理に詳しい方のご回答を頂けたらと思いました。
パワートランジスター(特にメタルキャン型)は相当発熱しますよね。
特にA級アンプなどでは触るとマジで火傷するくらいです。
入力(ベース)は増幅されてコレクタから出力されること、またコレクタ損失というくらいなので金属ケース自体がコレクタであるということは分かっていますが・・・
本来、シリコンやゲルマニウムといった半導体は熱に極端に弱いはず。
それなのに動作しているときにあれほどの熱を出すのは一見、矛盾しているように思えます。(発熱によって素子自体破壊しないの?)
長年のこの疑問にお答え頂けると喜びます。
No.7
- 回答日時:
#1です。
半導体が熱に弱いと言うのは、金属(導体)、絶縁体、半田、抵抗・コンデンサ・コイル等の部品に比べて弱いと言っているだけで、生物などと比べて弱いと言っているわけでは有りません。
トランジスタは半導体と言われるように金属と絶縁体の間の特殊な性質を持っています。
抵抗が発熱することはご存知ですね。
I=V/R 、 P=IXV の電力で発熱します。
トランジスタも同じです。
P=IXV
Iはトランジスタに流れる電流、Vはトランジスタのコレクタエミッタ間電圧になります。
厳密に言うと、上記電力から出力した電力を除くものが、トランジスタで消費される電力(コレクタ損失という)で、熱に変ります。
例えば、トランジスタをスイッチング回路として使う場合は、ONの時はVがゼロに近く(約0.2V)、OFFの時はIがゼロですから、電力は小さくなります。
アンプはA級(バイアス)アンプだと出力に比べて効率が悪く、C級アンプは効率が良くなります。その為大電力アンプにはC級アンプやプッシュプルアンプが使われます。
半導体は、電子機器の部品の中ではやはり自ら熱を出しかつ熱に弱い部品ですから、熱設計が非常に重要なものとなっています。(つまり、壊れないように設計されているということです)
LSIのようにスイチング回路ばかりの集まりでも、やはり集積度が上がると熱の発生が無視できずに放熱フィンをつけたりFANをつけたりして対策をしています。身近な例だとパソコンのFAN。
また、大電力アンプは、大きな放熱フィンやFANで熱対策をしています。
再度のご回答ありがとうございます。
>半導体が熱に弱いと言うのは、(中略)・・生物などと比べて弱いと言っているわけでは有りません。
このことを誤解しておりまして・・・半導体にとって100℃位は何ともないのですね。我々は50℃で、もはや相当熱く感じますので。
Trの主な働きは電力増幅とスイッチングですね(一応知っております)。
半導体は、電子機器の部品の中ではやはり自ら熱を出しかつ熱に弱い部品です・・・ここなんです。あれほどの発熱をするので自らデバイスが自己破壊しないのかと懸念しまして・・・A級アンプのパワーTrやPCのCPU(LSI)などはフィンやファンによる強制空冷しないと破壊してしまうのですね。まさにソリッドステートのエンジンそのもの!といった印象です。
No.6
- 回答日時:
こんにちは。
トランジスタが発熱する理由というのは,意外と説明が難しいですね。物質に電流を流すと発熱する,というのは電気のもっとも基本的な性質なひとつです。(超電導体は除きますが)
消費電力,という言葉はもちろんご存知かと思いますが,電力を消費する,とはいったいどういう現象を意味するのか,想像してみた事はおありですか?
実は,「電力を消費する」と「発熱する」は,電気・電子回路にあっては,ほぼ同じ意味なのです。動作中の電気製品がすべからく何かしら暖かいのも,熱を発生させる電気製品(電気ストーブ,炊飯器,ホットプレート,電気ポット,ヘアドライヤーなど)に消費電力が大きいものが多いのも,このためです。(電球や真空管のフィラメントは,光っているから熱いのではなく,いうなれば発熱したオマケとして光っています)
逆の言い方をするならば,「大きな電力を消費しているものは必ず熱くなっている」という事でもあります。
では,なぜ電流を流すと物質が発熱するのか?
この理由を説明するのもまた難しいですが,大ざっぱに言うと,電子が物質の原子核にぶつかって,原子核の振動が大きくなるからです(たくさん体を動かすと温かくなる・・・とはいろいろ違いますが,何となくそんなイメージでお願いします,笑)。
これは,真空管も,裸電球も,トランジスタなどの半導体も同じです。
また,トランジスタの金属部分が熱いのは,トランジスタ本体で発生した熱が金属部分まで伝わってきているからであって,金属部分が発熱しているのではありません。金属部分が熱いからトランジスタが壊れるというのは考え方としては逆で,金属部分が熱いのはトランジスタから発生した熱を奪っているからで,そうやって熱に弱いトランジスタが高温になる事から守っています。(熱くなるからこそ,熱を伝えやすい性質を持つ金属をケースに使ったメタルキャンタイプなのです)
高出力のオーディオパワーアンプで巨大な放熱板や冷却用のファンがついているのも,そこまでしてトランジスタから熱を逃がしてやらないと,トランジスタが壊れてしまうからです。
(なお,金属部分がコレクタ電極であるというのは誤解で,メタルキャンのメタル外装部分は,電気的にはトランジスタとはつながっていません。単なる放熱用です)
以上,疑問にうまく答える事ができたかどうか自信がありませんが,まとめると,
・物質に電流を流せば発熱するのが当たり前
・消費電力が大きい(ハイパワー)ほど発熱が大きいのも当たり前
・金属部分が熱いのは,発熱によってトランジスタが壊れないように熱をそこに逃がしているから
という事になります。
長文,失礼いたしました。
ご回答ありがとうございます。
ご丁寧な解説、感謝致します。
>なお,金属部分がコレクタ電極であるというのは誤解で,メタルキャンのメタル外装部分は,電気的にはトランジスタとはつながっていません。単なる放熱用です
このことですが、ケースはコレクタです。ヒートシンク取り付けの際はショートしないように絶縁板(マイカ板)を介する筈ですが・・・
参考http://homepage2.nifty.com/~mhitaste/audiotop/dc …
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
金属は自由電子があるため、自由電子の移動により電流が流れます。
絶縁体は自由電子がないため電圧を加えても電流が流れません。
半導体は不純物を入れることによりキャリアを作ることができ、キャリアの移動により電流が流れます。
トランジスタは小さい信号でキャリアの量を加減することができ、それにより出力電流値をコントロールします。
トランジスタに掛かっている電圧(直流電圧-出力電圧)と電流を掛けたものが電力損失になります。つまりトランジスタは直流電源からの電力を出力に伝えますが、あまった電力がトランジスタ内で熱に変わってしまうわけです。
身近なところでは半田ごてがありますね。20Wの半田ごてでもはんだが溶けるわけですから200℃はあります。それを60℃程度に下げるには、そこそこ大きいヒートシンクが必要なことも納得いただけるかと思います。
コレクタ側(ドレイン側)の電圧の方が高いので、電力はコレクタ側(ドレイン側)のほうが大きく、発熱も大きいと思います。
しかしトランジスタのケース温度は金属部もプラスチック部も実際はほとんど変わらないと思います。同じ温度でも金属の方が熱く感じるものなのだと思います。
シリコンコンパウンドなども比較的よく熱を伝えるものを使っているはずです。そうでないと熱がトランジスタ内にこもってしまい、小電力でも破壊してしまいます。
ご回答ありがとうございます。
とても分かりやすく説明して頂き納得しました。
半導体(Tr等)に不純物を入れることで(キャリア)を作り、その移動で電流が流れかつ小さい信号で加減し出力電流をコントロールするのですね。その余った電力がTr内で熱に変り、自らの破壊を防ぐ為に効率的にヒートシンクが必要になるということ、コレクタ側の電力が高いので発熱も大きい理由が分かりました。
No.1
- 回答日時:
発熱による半導体が壊れる部分は、接合部の破壊になりますが、その破壊温度は最大ジャンクション温度としてハンドブックなどで定義されています。
(物にもよりますが、175℃(150℃~200℃)ぐらい)その温度を超えないように、放熱対策(放熱フィンに取り付けるなど)をして使用します。また、寿命を考えると、ディレーティングといって上記温度より下げて(半分ぐらい)使用します。
触って熱く感じるのは、高出力用などのトランジスタは放熱をするところ(温度が高いところ)が出ているからです。
ご回答ありがとうございます。
#1さん始め、他の皆様のご回答には感謝致します。が、今ひとつ当方の質問の趣旨からは外れているように思えます。
まず、ジャンクション温度というものが思いの外高いのでこれには驚きました。なるほど、その手前といえども相当な温度になるので触れないくらい熱いのは当然ですね。ゲルマニウムやシリコンが一般的に熱に弱いとは聞きますがあの程度の温度は大丈夫なのですね。(ハンダごてはもっと温度が高いのでしょう・・・加熱に注意と書かれていますよね)
しかしながら、そもそも高出力Tr自体が発熱するというのが今ひとつ分かりません。真空管ならば、真空のガラス管内でフィラメントを点灯しているので丁度、裸電球と同じ原理だからあれほど熱くなるのは理解できます。それと同時に、電子を飛ばしているのですね。
Trの場合、触って熱いところは金属ケースなので、=すなわちコレクタの電極ということでしょうか。現在主流の樹脂でモールドされたバイポーラ型ではなくて、昔の合金接合型ではシリコンやゲルマニウムの結晶片(B)にコレクタ(C)とエミッタ(E)が接触しています。それがどういった仕組みであれほどの発熱をするのか?その基本的な原理が知りたいのです。
また、参考までに・・・昔、2SA○○とか2SB○○といったメタルキャンの小型ゲルマTrを使って、イヤホン式のラジオを小型スピーカーを鳴らす位まで増幅するプッシュ・プルのアンプを製作したことがあります。
その時、実験的にTrにかける電圧を上げたらパワーも上がり何と、そのTrが触れないほど熱くなったのです。勿論、専用のパワーTrではなくて構造上も外部の金属ケースにはいずれの端子も非接触です。(一応、内部はシリコンコンパウンドが充填してありますが)
いまでも不思議な思いがしています。何だか、細かくなりましたが、私の言わんとしている所をご理解頂き、ご回答して頂ける方がおられましたら宜しくお願いします。
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