
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
戦国時代の前の室町時代(室町幕府が政治権力を全国に及ぼしていた時期)には、「国司」による地方統治は既に消滅していました。
律令制度による国司制度というのは「守、介、掾、目」の四等官とその下僚による地方統治ですが、これがある程度機能していたのは鎌倉時代前半、承久の乱の頃までです。それ以降は、地方の支配は「守護」と「地頭」が実権を持つようになりました。
だいたい、守護が現代の県知事、地頭が現在の市町村長のようなものと考えると分かりやすいです。中央の将軍や執権は総理大臣のようなものです。
ご質問ですが
「(1)同一国内に守護と国司が混在していることはあるのでしょうか?」
先述したように国司制度は既に実態をなくしており、地方の大名が室町幕府や朝廷に献金して「**守」の官位を得るだけになっていました。国司制度が戦国時代に実体を持っていたと考えておられるのでしたら大間違いです。
そして、守護制度も、戦国時代になると必ずしも機能しなくなっていました。
例えば、織田信長が生まれた頃、尾張国の守護は斯波氏でしたが、守護代の織田氏が実権を把握し、守護の斯波氏は全く名目だけの存在でした。
信濃国では小笠原氏が守護でしたが、信濃のうち今の松本氏を中心とする筑摩郡くらいしか支配できず、北信は村上氏、諏訪湖周辺から伊那谷は諏訪氏、木曾谷は木曽氏、小諸や佐久は中小領主が散在、と言った形で、小笠原氏は「信濃守護の地位にあるが、信濃全体に守護権力を及ぼしているとは全くいえない」状況でした。
越前国では、もともと斯波氏が守護でしたが、守護代の朝倉氏が実権を握り、幕府に献金等をして越前守護職を奪っています。これは、「越前支配の名目を守護職に求めた」ということになるでしょうか。
武田氏は、甲斐守護職にありましたが、郡内地方を支配する小山田氏、富士川流域を支配する穴山氏とは「武田氏が優位の同盟」の関係にありました。これも、武田氏が小山田氏・穴山氏と武力で争って勝ちを収めた結果で、「甲斐守護職を有するから」という単純な理由ではありません。
「(2)国司は大名では無いので権限は違ったものになるのでしょうか?」
伊勢では、南朝が任命した国司が土着し、武士化した北畠氏が「国司大名」となり、伊勢の南部を中心に志摩を制圧、大和と紀伊の一部にまで領土を広げました。これは、「伊勢国司」という名前によるものではなく、北畠氏の武士としての実力によるものです。権限も何も関係ありません。
北畠氏は同時に公家の顔も持ち、正三位中納言や大納言といった朝廷での高い官職を得ています。この辺は面白いところです。
北畠氏は公家と武士の両方を兼ねる、ほぼ日本唯一の「有力戦国大名」でしたが、尾張・美濃を制して100万石の大名となった織田信長が伊勢に侵攻すると、戦わずして降伏する道を選び、織田家に併合される結果となりました。
回答ありがとうございました。ANo1の方の回答の「その後」のようで参考になりました。確かに守護職(幕府)でさえ無力化していたのではそれ以前の国司がチカラがないのも納得ですね。しかも鎌倉幕府前半まで、とは大方の国司とは短命だったのでしょうね。逆に北畠氏が「国司大名」となり戦国の世を生き抜いたのは回答者様のおっしゃるように武家としての実力があったのですね。
武力に自信の無い国司が時代に淘汰されないためには、官位を金でい、現政権に摺り寄って生き残るしかなかったのですかね。でもせっかく守護に任じられても、結局実力主義の戦国の世には通じなかった。朝倉氏のえぐさも面白い話です。ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
国司は天皇、貴族側の制度。
守護は頼朝が各地に置いたのが始まりの役職(県警本部長みたいなもの。後に権力拡大)のはずです。ちなみに、地頭は義経追討名目に公領などに置いた役職で実務は地区税務署長(泣く子と地頭には勝てない)。関白と征夷大将軍のような関係で、戦国期にも実際に関白などはいたわけですから、国司も守護と並立していたと思われます。但し、国司は戦国期以前に名目だけとなっていたようですが。とはいえ、貴族にはその名目だけでも大事なわけですし。
戦国期には、守護そのものも名目になりつつあり、特に守護であり戦国大名でもある人は「守護大名」などと言われているようですね。とはいえ、守護の肩書きをもらおうと運動したりしていますし、それなりの力がないともらえないので、有り難い肩書きではあったようですが。
回答ありがとうございました。鎌倉幕府に遡る話である、とは以前の回答者様もおっしゃっていましたが、関白と征夷大将軍の例はわかりやすかったです。お金で官位を買うのが武家の通例であり、それも政治の道具と考えれば、国司が官位が高いと言うのも武器とまでは言えないかもしれませんが魅力だったんでしょうね。ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
伊勢の北畠氏、飛騨の姉小路氏、土佐の一条氏を「三国司」といいますが、土佐の一条氏は国司になっていません。
これらの家は公家としての家格と武士団としての実力により戦国大名化した家です。
この中でもっとも高い地位を誇っていたのは土佐一条氏で応仁の乱を避けて土佐に下向した一条兼良の子孫ですが、権大納言、近衛大将、近衛中将、権中納言などに任じられていました。
北畠氏、姉小路氏は南朝を奉じ伊勢と飛騨の国司となった家です。
北畠氏は織田家と対峙するまで勢力が維持されましたが、姉小路氏は三木氏に取って代わられています。
回答ありがとうございました。一条氏は国司ではなかったのですか?なぜ「三国司」と呼ばれる中に一条氏が入っているのでしょうか?ものの本では長曽我部国親が幼少のころ、家が断絶しかけたのを一条氏が保護した、とありました。公家としての家格や官位が高いので土佐の七大名から一目置かれて、調停役をしていたのでは、と勝手な想像をしています。北畠氏は織田信雄が養子に入ったのでしたっけ。姉小路氏はなぜ三木氏に乗っ取られた(?)のでしょうか?
国司として生き残ったのでは無く実力も(多少は)あったので生き残れた。戦国時代は名前だけで残れるほど甘くはありませんものね。
No.1
- 回答日時:
守護職は、室町幕府が任命
国司職は、朝廷が任命
これが基本で、南北朝の争乱の時に、南朝側は幕府体制を否定しているので、南朝側の地方支配は国司職が基本に行われた。北朝は室町幕府支配下なので、守護職制度となります。
北朝の守護のように、実際の軍事権限と行動を起こしていたものは南朝の国司になります。南北朝の合体は、建前上は対等合併だったので、南朝経緯の国司で、地方に於いてそれなりの軍事力を保持しているものもあった。
それぞれそこから戦国大名への成長を遂げるわけですが、南北朝に於いて 南朝<<<北朝 でしたので、確率的に 南朝由来の国司大名より、北朝由来の守護大名から戦国大名になった方が多かった。
ということになります。
1)混在
あります
2)権限
南北朝時代は似たようなもの。
3)戦国大名への成長
確率的なもの
ということになります
早速の回答ありがとうございました。私の認識では応仁の乱で京を追われた公家が自領である荘園を頼って結果在地領主化した、との認識でしたが、南朝(朝廷)任命であると言うことは、私の認識とは少しずれがあったようです。北朝(足利氏)任命の守護職が強い権限を握っているというのも良く解りました。
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