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ユークリッドの原論は後世に多大な影響を与えた。
その最大の理由は何か?
できるだけ具体的に教えていただけませんか?

A 回答 (3件)

 


記憶になるのですが、エクレイデスの「幾何原論」は、無定義概念、公理、公準、定理、系という整然とした形で展開されています。

それまで、幾何学については、多くの知見や、定理的命題、また定理の証明法などが知られていました。

プラトンは、人間の霊魂がかつてイデアー界にいたことを証明するため、幾何学についての知識のない少年を使い、ヒントとなる言葉を与えて、少年に考えさせると、少年が正しい推論において、正しい答えを出すということを実演してみせました。

つまり、幾何学について知らないはずが、何故正解を出せるのか、それはイデアー界の記憶が、霊魂に残っているからである、とプラトンは主張するのです。(これを、「再想起」とも言います)。

アリストテレスも論理学を作り、思考や概念や判断のカテゴリーについて説明しました。論理的に考える、また「理性・ロゴス」とはどういう性質のものか、かなり系統的にアリストテレスは明らかにしたとも言えます。

エウクレイデスの「原論」は、幾何学という分野において、従来は断片的な知識としてあった命題や定理や推論過程を、公理論的系統構成という形で、基本となる「原理的公理」が真理であるとすると、推論のための、明らかに「真理」と考えられる、論理操作・推論のプロセスによって、色々な定理が系統的に導出されることを示し、幾何学という学問を、ここに「学」として樹立してみせたのです。

これは重大な意味を持ち、エウクレイデスの「原論」のなかでは、「矛盾」は発生していません。つまり、幾何学についての従来の断片的な知識や、推論過程について、ごく少数の基本公理を立て、推論規則である公準に従って、公理を組み合わせて展開して行くと、アリストテレスが妥当としていたような「推論規則」で、幾何学の定理が、すべて系統的に導出されるということを、構想ではなく、実際に、体系を作って示して見せたのです。

これは、1)論理の思考、理性・ロゴスの推論のシステムは、幾何学という広大な学の分野のなか全体で、「矛盾」が起こらないで、体系が存在しているということを、実地に証明提示してみせたこと。

従って、理性の推論は、展開して行っても「矛盾」は起こらない、普遍的な真理を反映しているものであるということを、実際に示して見せた。

2)幾何学のような色々な要素を持ち、色々な命題が従来あった学問が、基本的な公理と演繹規則で、体系的に導出されるということは、驚くべきことであり、幾何学だけではなく、世界についても、基本原理が少数あって、そこより、演繹によって、真理を導出できるという展望を開いて見せたこと。

3)「学問」とはどういうものであるのか、「理性の規則」に準拠する学の実例を提示することで、学問体系構築の模範例を作ったこと。

古代論理学で、基本的な真理を元に、理性的に妥当と思える演繹規則を使うと,色々な真理命題が演繹できるということは、構想としてあったが、「原論」は、それを具体化し、実際、そのような構造の学問が存在することを示したこと。

このように、基本的な真理命題を元に、妥当な演繹規則で、一つの学問の真理命題を系統的に導出できるということは、「原論」が始めて具体的に示したので、後代の学問構築は、この「原論」を手本とするようになったのです。

ニュートンの「プリンキピア」は、「原理」という意味で、数学的な真理命題(法則)によって、物体の運動が、系統的に計算・導出できることを示した体系でした(これは、それまで得られていた様様な物理学的知識を、基本法則から演繹して導出する体系でもあったのです。物理学における「原論」に該当するのです)。

「原論」のように学問を構成するというのは、その後、色々な人が試みましたが、うまく行かなかったのですが、ニュートンは、物理学の世界で、「法則」という公理を元に、現象の定理を演繹する理論を作ったのです。

スピノーザは、哲学・倫理学を、エクレイデスの「原論」に倣って構成し、自己の哲学的主張は、公理的に証明されており、系統的に真理や倫理の規範が演繹されるとしましたが、これは少し無理があります。

(しかし、こういう公理論的構成は、スコラ哲学の命題集成集が、トマスの「スンマ」のように、系統性を持って記述された時、すでに、哲学の公理的構成ということも、ヴィジョンとしてできていたのです。スピノーザは、それを実際に試みたということです)。

近世以降、代数学なども、「原論」と同じように構成できるのではないかという考えが当然発想され、数学を公理論的に構成するということが、数学者の課題にもなったのです。

基本的な真理命題から、演繹規則で、多数の真理命題(定理)が系統的に導出できるということの提示は、理性の普遍性に対する信頼を後世の人々に与えたのです。

学問は、ばらばらな経験的事実や真理命題や、技術の集積ではなく、系統的にまとめられたものがそうであるというモデルとなったのです。
 
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公理という概念を導入し、憶測を完全に排し、論理だけで定理を証明した

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大学で習ったのに忘れてしまいましたーー!!



でも、たしかまだ「数学」について
はっきりとした確約のようなものがなかったので、
この原論によって共通概念ができて
より深い研究ができるようになった・・とかも
あった気がします。
すみません・・専門家の方の回答を待ちましょう。
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