
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
#1さんの証明では、運動量 P がエルミート演算子である事実を使って証明してありますが、何故 P がエルミート演算子であるかの証明はしてありませんので、不完全な証明と言えます。
以下で完全な証明をするための手順を書き連ねておきます。キーワードは部分積分です。
先ずエルミート共役の意味を理解して下さい。これは例えば、座標表示での2つの波動関数を使って、その座標に関する積分で表現されていますね。
運動エネルギー演算子は微分演算子ですから、運動エネルギー演算子のエルミート共役を表す表現のなかで、ある関数を2回微分した関数の積分に成っていますね。そこで、この表現に部分積分を実行して下さい。
エルミート演算子はヒルベルト空間に属する波動関数に作用する演算子として定義されていますから、その波動関数は座標の絶対値が無限大のところでゼロに成っていますね。従ってその部分積分の上限と下限のところからくる寄与はゼロに成っていますね。
そこで、この結果を眺めると、それが元の運動エネルギー演算子と完全に同じになり、従って、エルミート演算子の定義を満たしていることが確認できます。
この手順で、自分で手を動かして、証明して下さい。
===
蛇足:
この証明法から、次の重要な事実が判ります。もし波動関数が積分領域の上限や下限でゼロでない関数まで含めて定義された関数空間の要素であり、従って、ヒルベルト空間に属していない関数だったとすると、その拡張された関数空間の中では運動エネルギー演算子はエルミート演算子ではなくなります。
多分、貴方ももう教わったと思いますが、エルミート演算子はヒルベルト空間内では、必ず実数の固有値を持ちます。ですから、ヒルベルト空間内では、運動エネルギーの値は必ず実数になります。ところが、同じ運動エネルギー演算子でも、それが上に述べたような、ヒルベルト空間よりも拡張された関数空間の関数に作用すると、最早エルミート演算子ではないので、複素数の固有値を持つことができるようになります。
多分貴方は今量子力学の入門編を習っている段階だと思いますので、一先ず、波動関数はヒルベルト空間に属するものとして、従って、エネルギーの値は実数であるものとして理解しておいて下さい。そしてその理解で、いろいろな練習問題を解いて量子力学に慣れ親しんで下さい。
しかし、貴方が量子力学に大分上達した後で、もし将来、まだ未解決な物理学の基本問題の一つである、「時間の向きの対称性の破れ」の問題(即ち、何故この世の中に過去と未来の区別があるのかという問題)に興味を持つことがあったら、その段階で、「波動関数を果たしてヒルベルト空間だけに限ってよいのか」という問題に戻ってきて、貴方のここでの質問を思い出して下さい。もしかしたら、貴方の寄与によって物理学が進歩するかも知れませんから。
No.1
- 回答日時:
H=P^2/2m+U (Pは運動量演算子、Uはポテンシャル(スカラー))
HとPは演算子です(以下^を付けて読んでください)
Pがエルミートであることを使います(って、この前提で納得?)
以下f,gは適当な関数。*は複素共役
∫f*・H・gdx=∫f*・P^2/2m・gdx
Pはエルミートだから
=∫1/2m・(Pf)*・(Pg)dx
Pはエルミートだから
=∫1/2m・(P^2f)*・gdx
=∫(P^2/2m・f)*・gdx
よってP^2/2mはエルミート、もちろんUはエルミート。
よってHはエルミート
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