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なぜ量子力学は、古典的なハミルトニアンの一般化座標と一般化運動量を演算子に置き換え、正準交換関係を導入することで(ハミルトニアンを完全に決めることは出来ないとは言え)上手くいくのでしょうか?
初めて量子力学を学んだときには、そう疑問とも思わずスルーしていたのですが、最近になって非自明なことであるように感じてきました。
量子力学の問題が解けるようになっても、こういう基礎的なところが曖昧で理解できていないので、どなたか解説お願いします。

gooドクター

A 回答 (4件)

大変良い質問ですね。



私が知っている限り、ハイゼンベルグが何故古典的なハミルトニアンの一般化座標と一般化運動量を演算子に置き換え、正準交換関係を導入すれば良いかを気が付いたのかを詳しく説明しているのは、朝永振一郎の『量子力学 I』だけです。私の読んだ限り他の全ての本は、専ら粒子の力学を波動と考えてみたら良いではないかと言うドブロイの提案を最終的にシュレーディンガーが完成させた波動力学の説明ばかりです。そして、ハイゼンベルグの神憑った議論を紹介しておらず、ただ、そう置いてみたらミクロな自然現象の実験結果がうまく説明でき、さらに、シュレーディンガー方程式とハイゼンベルグの正準交換関係が数学的に等価であるとのシュレーディンガーの論法を紹介しているだけです。だから、私にとっても、どうしてハイゼンベルグが正準交換関係式に到達したかは、他の本をいくら読んでもわかりませんでした。

朝永の教科書の説明によると、その当時原子から出てくる光の振動数に関しての実験結果を整理している過程で、RydbergとRitzによって、それがどの原子から出る光でも2つの異なる輝線の周波数の和か差として表されることが発見されていました。これを「Rydberg-Ritzの結合原理」とか「Rydberg-Ritzの2項則」と呼ばれています。その原理をハイゼンベルグは荷電粒子と結合している電磁波に対する古典的マックスウェル方程式を数学のフーリエ展開の方法で解くことによって説明することを試みました。その数学的な表現の中で、粒子の座標xと運動量pの積、xpが現れてくるのですが、それを今まで通り、pxと等しいと置いてしまうとどうしてもRydberg-Ritzの結合原理が出てこないのでした。しかしハイゼンベルグがその式を眺めているうちに、神憑りが起こり、xpのxとpの積は交換できないものとして

   xp=px+c

として、ある定数cを足せば、そのマクスウェル方程式からRydberg-Ritzの結合原理が出てくることにことに気が付いたのです。そして、その計算結果が実際の観測値と等しくなるためにはその定数cがプランク定数hを2πで割ったものに虚数のiを掛けたもの、すなわち、

   c = ih/2π

でなくてはならないことを見出したのです。

これが、ハイゼンベルグによる行列力学の発見です。すなわち、ハイゼンベルグは古典のマックスウェル方程式の解をとことん計算し、それに加えて、xpがpxと等しくなければいいじゃないかという神憑りを加味るならば、今まで通りにxp = pxとした場合には古典のマックスウェル方程式からは絶対に説明のつかないRydberg-Ritzの結合原理が説明できることを示して見せたのです。

その後、この正準交換関係が上記の考察とは全く独立な他の現象の説明のために提案されたシュレーディンガーの波動方程式の主張と数学的には全く同じものであることが、シュレーディンガーによって証明されたのでした。

しかしながら、ハイゼンベルグとシュレーディンガーの量子力学が提示された後でも、その理論とは全く独立したもう一つの理論として、古典力学にゾンマーフェルトの量子化条件というものを併用する計算法が提案されていました。そして、水素原子に関してゾンマーフェルトの量子化条件の方法で計算した結果は、ハイゼンベルグとシュレーディンガーの量子力学で計算した結果と完全に同じものになることが示されていました。ですから、この段階ではハイゼンベルグとシュレーディンガーの量子力学とゾンマーフェルトの量子化条件の方法のどちらが正しいやり方であるかは解らなかったのです。

しかし、その後、重水素原子の計算やヘリウムイオンの計算に対して、ゾンマーフェルトの量子化条件の方法で計算することが原理的に不可能であるのに対して、それとは反対にハイゼンベルグとシュレーディンガーの量子力学では、それが原理的に計算可能であり、さらにその計算結果で実測値がよく説明できることが確認されたのです。その結果、やっと、量子力学が物理学者の間で受け入れられるようになったのです。

ちなみに、何故ゾンマーフェルトの量子化条件の方法では重水素原子の計算が原理的に不可能であるかの理由は、いわゆる古典力学のカオスの理論と呼ばれる理論に関係しています。重水素原子の場合、電子と陽子と中性子という3つの粒子でできていますので、これは力学で言う3体問題になっています。ところが、古典力学では3体問題が原理的に解けない問題である(もっと正確には正準変換によっては原理的に解けない)ことが、ポアンカレによって証明されていたからです。そして、その「原理的に解けない」と言う意味の考察から、カオスの理論が発見されたと言う歴史的な経緯があります。
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この回答へのお礼

x,p をフーリエ級数展開したときに、Rydberg-Ritzの結合原理、つまり E=hν よりエネルギー保存則が成り立っているためには x,p を行列だと見なしてそれらの間に [x,p]=ih/2π が成り立つ必要がある、すなわち古典的ハミルトニアンにおいて、その一般化座標と一般化運動量を行列(演算子)に置き換えて [x,p]=ih/2π の条件を課す(正準量子化)必要があると言うことですね。
朝永先生の本も今度読んでみます。

お礼日時:2018/12/22 18:04

No.2の補足です。



> x,p を行列だと見なしてそれらの間に [x,p]=ih/2π が成り立つ必要がある

と質問者さんはお書きになっていますが、この表現だとハイゼンベルグは x,p を行列だと考えなさいと言っているように聞こえてしまいますが、そのように捉えると、科学者がどのように新しいものを発見してきたかの真髄が判らなくなってしまいますので、その補足を書いておきます。

ハイゼンベルグが言い出したのは、

  xp-px = ih/2π

だとするとマックス方程式という力学の原理から観測事実がうまく説明できると言っただけです。でも、その事からxやpが行列であると言うことはハイゼンベルグは知りませんでした。しかし、この式を見せられて、

「これって行列のことだよね」

と言い出したのは、ジョルダンです。

このように、ハイゼンベルグは行列という数学を使えば話がうまくいくということを見つけた訳ではなく、神憑って、x やpが上式が成り立っているような得体の知れないものとすれば話がうまく行くことを見つけ出したのです。その神憑りを後に勉強のできたジョルダンが、

「それって俺知ってるよ。あの時勉強した行列のことじゃん」

と言い出したのです。要するにハイゼンベルグはジョルダンほどには、勉強から得られる知識がなかったのです。このように、科学の大発見は、ほとんどの場合、勉強が出来て既存の知識を豊富に知っている人によってなされたのは稀で、それらの発見は勉強が良くできるという能力とは別な能力が生み出してきたのす。

しかし、自然科学ではそれが発見されるまでは誰もそのことに思い至らなかったのに、それが解ってしまったらあまりにも当たり前なことばかり、すなわちコロンブスの卵のようなものばかりなのです。また、それだからこそ自然科学の発見は信用が置け、影響力があるのです。だから、それが発見された後では、後出しジャンケンのようにちょっと頭が良ければ誰でも簡単に論理付けができるのです。この後出しジャンケンをするときには、既存の知識を誰よりも効率良く使いこなせる、いわゆる勉強ができる人の方が有利になるのです。

別の言い方をすると、研究者としての能力は、既知の知識を誰よりも効率よく咀嚼できる人よりも、ハイゼンベルグのように神憑ることによって、既知ではなく、未知のものを見出してくる能力という、いわゆる勉強ができる人の能力とは別な能力を持った人の方が優れているのです。
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全く、


量子力学を 信頼していない、
門外漢なので 不穏当なのでしょうが、

私論ながら、
様々な トライアンドエラーの後、
合いそうなもの、近似的なもの、
此を選んだから、

合うものを 選んだから、
合う。


間違いかも 知れませんが、

量子力学は 100%、
相対性理論が 起源と、
思います。


一方、
其の相対性理論は、
ご存じの通り、

光速一定、
全ての 事象伝播は、
光速を 越え得ない、
此より 立脚しています。


が、他方、
此等はもう 観測で、
反証が 確認されています。


と、成れば、
基礎理論が 崩壊しているのに、
何故 合うか、

其れは 正しく、
科学ではなく、観測内容利用技術、

詰まり、
工学だから、

言い変えれば、
合うものを 選んだから、
合う、
でしょう。
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なぜ量子力学は、古典的なハミルトニアンの一般化座標と一般化運動量を演算子に置き換え、正準交換関係を導入することで(ハミルトニアンを完全に決めることは出来ないとは言え)上手くいくのでしょうか?



と考えている方々は物理学を正しく理解していません。
物理学は自然現象を数式化する仕事です。より広く同じ数式で表現できる理論は優れた理論になります。
これらの理論は実験値と一致しないと数学上矛盾はなくとも、間違った理論になります。
数え切れないほどの物理に関する理論が考えられて来ましたが、今生き残っているのは自然現象を上手く表現出来る理論のみです。
量子力学は、古典的なハミルトニアンの一般化座標と一般化運動量を演算子に置き換え、正準交換関係を導入することで(ハミルトニアンを完全に決めることは出来ないとは言え)上手くいくので、この手法が支持された訳です。もし、上手くいかなければ日の目を見ることはなかったでしょう。
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