右上下肢に障害があり、
先日肢体の障害用の診断書を書いてもらいました。
診断書には
(16)手(足)指関節の自動可動域に
「右手指は痙性のため自動運動不能(屈曲拘縮)
左手は正常」と書いていました。
これは法令等データベースの
「国民年金・厚生年金保険障害認定基準について」の
肢体の障害2級「一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
(一上肢のすべての指の用を全く廃したもの)」に
あてはまるということでしょうか?
またこの「一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの」は
併合判定参考表の3級6号区分8にもあり、
単独では2級にはならないということ?
教えてください。
※障害基礎年金の申請です。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
------------------------------------------------------------------------
国民年金法による上肢の障害 2級[国民年金法 別表]
● 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
(= 一上肢のすべての指の用を全く廃したもの)
指の著しい変形、
麻痺による高度の脱力、
関節の不良肢位強直、
瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等 により、
指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう
例:
親指と他の指のセットで指を使ったときに、
物を全くつかむことができない、全くつまむことができない
------------------------------------------------------------------------
上記の状態に該当すると認められたとき、
もしもほかに障害を何1つ持っていない状態であれば、
上記の状態単独で、上肢の障害として、
年金法でいう2級の障害の状態に該当します(単独で該当します)。
(質問者さんの場合、障害基礎年金2級に相当します。)
------------------------------------------------------------------------
しかし、ほかにも障害を有する場合には、
上述の見方(= 単独で2級、という見方)はしません。
複数の障害が併存する場合には、上記に拠らず、
まず最初に、個々の障害について併合判定参考表における該当番号を求めます。
質問者さんの場合、もし、右手の全指以外の部位にも障害を有すれば、
右手の全指の障害については「6号-8(3級相当)」へと変えます。
※ ここでいう「3級相当」とは、障害厚生年金3級を受給し得るか否かとは無関係。
あくまでも、障害の状態としての「3級」です。以下、囲み部分段落内については同じ。
次に、別の障害に対して、
同じように、併合判定参考表における該当番号を求めます。
たとえば、一上肢のうち、肘関節と肩関節が全く用を為さない状態になった、としましょう。
この状態は、併合判定参考表の「6号-4(3級相当)」とされます。
「一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの」になるからです。
ここまで調べましたら、最後に、併合(加重)認定表を用い、
該当番号がクロスしている箇所に記されている併合番号を調べます。
上述の例の場合で言えば、1つ目の「6号」ともう1つの「6号」がクロスする箇所の番号です。
すると、この結果は「4」となります。
つまり、併合番号は「4号」です。
併合番号(4号)によって以下の障害等級が割り当てられるので、
この例の場合の最終的な障害等級(年金法でいう障害等級)は「2級」となります。
なお、このようにして求められた最終的な障害等級が
国民年金法 別表に示されている障害等級と比較して均衡を欠く、
などと判断される場合は、併合(加重)認定表に拠らず、
そのまま国民年金法 別表の障害等級を適用できる場合がある、とする特例があります。
(個々の状況毎に判断されるので非常に複雑です。そのため、説明は割愛します。)
------------------------------------------------------------------------
● 併合番号と最終的な障害等級
併合番号「1号」
1級 ⇒ 障害基礎年金、障害厚生年金
併合番号「2号」~「4号」
2級 ⇒ 障害基礎年金、障害厚生年金
併合番号「5号」~「7号」
3級 ⇒ 障害厚生年金のみ(障害基礎年金不該当)
併合番号「8号」~「10号」
障害手当金のみ(1回限り。初診日に厚生年金保険の被保険者だった者のみ。)
併合番号「11号」~「12号」
いずれも不該当
------------------------------------------------------------------------
以上は、初診日を同じくする複数障害のケースで、
既に障害(前発障害)を有している者にあとから障害(後発障害)が生じた、
という場合においては、さらに、輪をかけて非常に複雑になります。
これは「差引認定」と言います。
差引認定では、併合判定参考表の「号」(第1号~第13号)ごとに
現在の障害(前発+後発)による活動能力減退率をまず求め、
そこから前発障害だけによる活動能力減退率を差し引いて求められる差引残存率を出し、
その数値の結果によって、最終的な障害等級が決められます。
(これ以上の詳細な説明は非常に複雑になるため、割愛します。)
------------------------------------------------------------------------
3つ以上の障害が併存している場合も、上述の記述全てに準じます。
なお、内科的疾患がある場合には、これらの認定方法は採らず、
総合的・個々に判断して認定されます。
質問者さんの場合には、上肢だけではなく下肢にも障害を有するため、
後段の併合判定参考表を用いなければなりません。
また、障害年金の裁定請求書や医師診断書等についても、
併存する全ての障害についての状態が記されなければなりません。
さらに、それぞれの障害の初診日にずれが大きい場合には、
それらも考慮されなければなりません。
以上のように、実に複雑怪奇な内容となっているため、
ひと口で「○○級」になる、とは断定できません。
この回答への補足
丁寧でわかりやすい回答ありがとうございます。
私の場合、右上下肢が併合判定参考表8号-4と8号-5
「一上肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの」
「一下肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの」
にあてはまりそうです…。
あと、診断書(19)日常生活動作の障害の程度が
つまむ(右×)(左○)
握る (右×)(左○)
タオルを絞る(両手×)
ひもを結ぶ (両手×)
さじで食事(右×)(左○)
顔に手のひら(右×)(左○)
用便・ズボン(右×)(左○)
用便・尻(右×)(左○)
上衣着脱・かぶりシャツ(両手×)
上衣服着脱・Yシャツ(両手○△)
靴下を履く(両手○△)
と書かれているのですが、
これは肢体の機能の障害
「一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」で
「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、
又は労働に著しい制限を加える程度の障害を残すもの」7号-8に
あてはまるくらいのものですか?
回答への補足に書き忘れがあり、こちらで書かせていただきます。
すみません…。
診断書(19)日常生活動作の障害の程度
片足で立つ(右○△)左(○)
座る(○)
深くおじぎ(○)
歩く・屋内(○)
歩く・屋外(○△)
立ち上がる(できる)
階段を登る(やや不自由)
階段を降りる(やや不自由)
…です。
これは「一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの」、
「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、
又は労働に著しい制限を加えることを
必要とする程度の障害を残すもの」7号-8に
該当する程度のものでしょうか?
No.5
- 回答日時:
補足です。
MPとPIPについては、以下を参照なさって下さい。
MP
中手指節間関節のこと。
図で、中手骨(水色)と手根骨(ベージュ色)の間の関節のこと。
PIP
近位指節間関節のこと。
図で、親指(母指)以外は、指骨(ピンク色)の基節骨と中節骨の間の関節のこと。
(親指では、指骨の中節骨と末節骨の間の関節(IP。指節間関節という。)のこと。
図
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/irisiris/stud …
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/irisiris/stud …
この回答への補足
返事が遅くなってすみません。
手の指はすべて痙性のため
強く握ったままの状態なので
MPとPIPの自動可動域の数値を測らなかったのかも
しれません。
※手指診断書の(16)手(足)指関節の自動可動域には
「右手指は痙性のため自動運動不能(屈曲拘縮)
左手は正常」とは書いています。
でも測定する必要があるなら
医師にお願いしようと思います。
No.4
- 回答日時:
ROMおよびMMTとは、調べていただいたことそのものです。
ただし、これだけではダメで、手指のMPとPIPの自動可動域のデータが記されている必要があります。
手指に障害をお持ちのはずですから、おそらく数値が記されているはずだと思うのですが、そちらはどうなっていますか?
(障害の重い箇所を優先的に見てゆくので、こちらのデータのほうが、実は、重要かつ優先的事項になります。)
No.3
- 回答日時:
補足です。
質問者さんの場合には、手関節(手首の関節のことで、指の関節のことではありません)の関節可動域検査(ROM)や徒手筋力テスト(MMT)も必要かと思われます。
というのは、これらの結果次第では、関節の疾病の有無にかかわらず、「一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を有する」という状態にあてはまる可能性が考えられるからです。
逆に言えば、ROMやMMTの結果が示されないと、障害認定の際に不利益が生じかねない可能性も高くなります。
上記の状態は、障害を持つ右手首の関節の自動可動域が健康な左手首のそれと比較して3分の2以下である、という状態を言います。
手首の状態にこのような異常が見られずあくまでも手指だけに障害があるのであれば、該当しません。
いずれにしても、ROMやMMTについても調べてみて下さい。
お医者さまならば、ROMやMMTと言えばすぐにわかるはずです。
まだ調べていないのであれば、早急に調べた上で医師診断書等に所見等を記入していただくほか、既に調べが済んでいる場合には、それを裁定請求時に反映させて下さい(医師診断書等の記載内容の修正、併合(加重)認定の考え方の修正等)。
要は、可能性があり得る障害についてはできるだけ網羅されたほうが良い、ということに尽きるでしょうか。
なお、下肢の関節についても考え方は同様ですので、そちらに関してもROMやMMTを調べたほうが良いと思います。
参考:
http://www.beppu-nrh.go.jp/no4_rm.PDF
この回答への補足
親切、丁寧、そして詳しいご回答本当にありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです。
関節可動域検査(ROM)や徒手筋力テスト(MMT)とは
診断書(17)関節可動域及び運動筋力のことでしょうか?
診断書には以下のように書かれています。
関節可動域(角度)
右・他動可動域に
肩関節 屈曲(160)伸展(40)内転(0)外転(160)
肘関節 屈曲(120)伸展(0)
手関節 背屈(-20)拳屈(40)
股関節 屈曲(100)伸展(0)内転(0)外転(30)
膝関節 屈曲(130)伸展(0)
足関節 背屈(-20)底屈(40)
※強直肢位・自動可動域は書かれていません。
右・関節運動筋力が
肩関節・肘関節共にすべて半減
手関節すべて著減
股関節・膝関節共にすべてやや減
足関節すべて著減
※左は「左は筋力、可動域制限なし」と書いています。
また診断書
(21)その他の精神・身体の障害の状態には
「右上肢の筋力は半減・著減に分布するが痙性のため実用性に乏しい」
(22)現症時の日常生活活動能力及び労働能力には
「痙性(筋緊張)が強い時は右上肢、下肢(特に上肢)
の実用性が劣るので介助必要。両手を使う動作は困難」
(23)予後
「大きな変化はないと思われる」
と書かれていました。
これで何かあてはまる状態のものになるのでしょうか?
やはり私の場合、総合的に2級に
当てはまることが難しい障害の状態なのでしょうね…。
No.2
- 回答日時:
haruhibikiさんの過去のご質問(以下のURL)を拝見すると、
生まれつきの脳性麻痺のために右半身の上肢と下肢にそれぞれ障害がある、
ということになりますよね。
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4267625.html
障害年金における肢体不自由の障害認定においては、
「上肢の障害」「下肢の障害」「体幹・脊柱の機能の障害」「肢体の機能の障害」の
4つに区分して、それぞれの障害等級をまず考えてゆきます。
上肢の障害は「機能障害」「欠損障害」「変形障害」に、
下肢の障害は「機能障害」「欠損障害」「変形障害」「短縮障害」に、
体幹・脊柱の機能の障害は「高度麻痺を有する脳性小児麻痺等」「脊髄損傷等」「脊柱炎等」に
それぞれ区分されます。
また、「肢体の機能の障害」は、脳卒中や多発性関節リウマチ、進行性筋ジストロフィー等が対象で、
上肢・下肢・体幹・脊柱それぞれに区分して認定することが適切とは言えない場合にのみ、
適用される区分です。
------------------------------------------------------------------------
ところで、併合判定参考表において示されている肢体不自由の個々の状態を考えるときには、
「労働に著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする」とは
上述した「肢体の機能の障害」の認定基準(3級相当)を準用します。
この状態を例示すると、以下のような状態である場合に該当します。
1.一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2.一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
3.両上肢に機能障害を残すもの
4.両下肢に機能障害を残すもの
5.一上肢および一下肢に機能障害を残すもの(注:上肢と下肢のどちらにも機能障害があること)
「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、
日常生活動作のほとんどが「1人では全くできない状態」であるか、
または「1人でできるが、非常に不自由である状態」を指します。
日常生活動作の障害の程度を拝見すると、
上記1(一上肢)には該当すると思われるものの、上記2(一下肢)には該当しないと判断されます。
一方、「機能障害を残すもの」とは、
日常生活動作の一部が「1人では全くできない状態」であるか、
または「1人でできても、やや不自由を伴う状態」を指します。
日常生活動作の障害の程度を拝見すると、
一下肢の状態としては該当するものの、上記1~5のいずれも満たしていません。
したがって、一下肢については、
「労働に著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする」とは
認めることはできません。
一下肢の状態については、
「労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする」という状態だと考えられ、
上述した「肢体の機能の障害」の認定基準では「障害手当金相当」です。
この状態は、一上肢又は一下肢のいずれかに「機能障害を残すもの」であるため、
日常生活動作の障害の程度を拝見する限り、こちらには該当すると考えられます。
------------------------------------------------------------------------
以上をまとめますと、haruhibikiさんの場合には、以下のようになると思われます。
A.一上肢の障害
併合判定参考表 6号-8相当
(一上肢のすべての指の用を廃したもの)
上肢の3大関節とは肩関節・肘関節・手関節ですが、
質問者さんの場合には手関節そのものに疾病があるわけではありませんので、
「一上肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの」とは認められません。
B.一下肢の状態
併合判定参考表 10号-15相当
(労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの)
下肢の3大関節とは股関節・膝関節・足関節ですが、
質問者さんの場合にはこれらの関節そのものに疾病があるわけではありませんので、
「一下肢の3大関節のうち、1関節の用を廃したもの」とは認められません。
A+B ⇒ 併合(加重)認定
6号 × 10号 = 併合番号は「6号」⇒ 総合で「3級」相当
下肢の状態の軽さがネックになり、全体(総合)としての等級が下がってしまっています。
3級では障害基礎年金には該当しないため、
結論としては、「障害年金不該当」ということになってしまわざるを得ないのではないか?、
と考えられます。
お断りしておきますが、当回答は不該当を断定する性質のものではありません。
実際に裁定請求を進める中で決定付けられるものですから、
当回答はあくまでも参考にとどめて下さるようにお願いいたします。
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