有機合成で、よく出てくる「当量」についてです。例えば、
A + 2B → C
の反応に対して、Aを10 mmol仕込むとします。Bを20 mmol仕込めば1当量、30 mmol仕込めば1.5当量(1.5 eq)ですよね。これは、特に学校で習ったわけでもなく、用語辞典で「当量」を調べてもそのようには載っておらず、合成の論文や、試薬の説明書などに、よく“2 eq”や“1.2 eq”などと載っていることから、文脈から判断して、そう考えてきました。この場合での「当量」については、どこか、国際的な有機合成学会とか国際機関での取り決めとか規約で、きっちりと定義されているものでしょうか、それとも、慣用的にただなんとなく使われてきたものなのでしょうか。
よく分かりませんので、私は、実験ノートには、上の場合だと、
A 10 mmol
B 10×2×1.5 mmol
などと書いています。物質量で書けば、間違いはありませんので。ここでの「当量」についての知見をお持ちの方、上の疑問について、ご教示をお願い致します。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
学生時代は有機合成の研究室におり,現在は天然物化学の研究をしているものです。
お書きのように,有機合成では「eq.,当量」は普通に出てきますが,その場合,何に対しての当量かが示されているはずです。あるいは,内容からハッキリ分かるとか。例えば,お書きの反応で「B○当量」とあれば,Aに対するのは分かりますよね。あるいは,「試薬B○当量」とあれば原料に対してだという事も分かります。分かり難いのは,原料としてAとBを用いる反応に「試薬C○当量」等の場合ですが,その場合は「原料Aに対して試薬C○当量」の様に「何に対しての当量か」が明記してあるはずです。
で,当量の定義ですが,上に書いた「●に対して」の『「●」の全量とちょうど反応する量』が1当量です。つまり,今まで考えてられたものであってます。
ただ,このように『●に対して』と言う事を明示しないと,誤解を与える表現ではあります。そのため,実験ノートなどには物質量で明記されるのが間違いがなく正しいやり方だと思います。
ご回答ありがとうございます。合成のご経験がおありなのですね、ありがたいです。
「eq」、「当量」は、使われますよね。私の経験では、「何に対しての当量かが示されて」はいませんでしたが、「内容からはっきりと分かる」タイプでしたね。
当量の定義を再確認いたしました。ありがとうございます。さらに、その定義が、どこかできっちりとなされているものかどうか、それを知りたかったのです。Kemi33様も、経験上、文脈から判断されたのですよね。
有機合成化学、さらに言えば、化学には、この「当量」のように、経験から、きっちりと定義されないで使われているものが多いように感じます。「物質量」も、「モル数」とか、「グラム分子」など、呼び方がいろいろ変わってきましたが、言いたい事は分かりますし、そういう概念が必要なんですよね。化学で権威をもった団体は、日本なら日本化学会、国際的にはIUPACでしょうが、よく使われ、また使う必要のある「当量」なども、「物質量におきかえる」ということで済ますのではなく、一定の見解を示して欲しいものだと思います。ご意見ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
#3です。
>この測定で分かるのは[H+]だけです
と書いたのは正しくありません。
これだとpHの測定と同じように受け取ってしまいます。
NaOHと反応する酸から提供可能な全H+の濃度という意味でないといけません。「HClに換算して~mol/L」という表現の方がいいでしょう。
pHの測定は簡単です。溶けている酸の全体が関係します。でも強酸と弱酸が混ざればpHには強酸が強く効いてきます。pHでは酸濃度を決定することが出来ません。同じpH=3でも塩酸と酢酸では濃度に約100倍の違いがあリます。酸濃度はやはり中和滴定でないと決まりません。この時決まるのは当量濃度です。廃水処理や水質検査でpHの測定だけで済ましてしまうと不十分な事になります。
ご丁寧にありがとうございます。
おっしゃる意味、よく分かります。系中に解離しているH+の量ではなく、系内に潜在的に存在するH+の量を含めたH+の総量、という意味ですね。廃水処理や水質検査での貴重な御知見を得、大変参考になりました。ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
#2にも書かれているように当量は「相当する量」、「等価な量」という意味です。
反応ごとに定義が異なってきます。中和反応や酸化・還元反応でよく使っていました。物質は変わっても同種の反応をするという場面ででてきます。
有機合成についてはよく知りませんので中和反応の場合について書きます。
反応に関係する物質が分かっていれば当量を使う必要はありません。
mol/Lで表現できます。
当量がでてくるのは物質が分からない時です。
酸性溶液を水酸化ナトリウムで中和して酸の濃度を決めたとします。酸の種類が分からなければこの測定で分かるのは[H+]だけです。「塩酸に換算して~mol/L」といってもいいでしょう。「塩酸~mol/Lに相当する」という量が「当量濃度」です。
「当量濃度」で表しておけば「塩酸に換算して」という言葉が必要なくなります。
酸の種類が分かっていても混ざっていると同じ事情です。
塩酸、硫酸の混合溶液で混合比が分からなければ同じことです。mol/Lで表すことは出来ません。
水質検査などではこういう事情が出てきます。
そういうことを見越してあらかじめ濃度を[N]で表しておくということが行われるのです。
ある酸を別の酸に置き変えて実験したいと言う場合にも当量がでてきます。中和反応において当量が同じであれば酸としての働きは同じなのです。2Nの塩酸の代わりに2Nの硫酸を使うときには必要な体積は同じですから一々換算しなくてもいいのです。よく使う試薬は[mol/L]ではなくて[N]で表しておくと便利ということがあります。「相当量」ですから2種類以上の酸があって初めて意味を持ちます。
酸化・還元反応でも事情は全く同じです。
中和反応で[H+]について考えたことを電子の移動について考えると「相当量」が決まります。
有機合成での
A+2B→C
という反応の場面で「相当量」がでてくる事情はよく分かりません。
「相当量」を考える必要がなくて、mol/Lで表すことが出来るのに「当量」を使っているのであれば「使わないほうがいい」という場面に当てはまります。
#1で示されている例はここで書いた「中和反応での相当量」とは異なるものだと思います。
ご回答ありがとうございます。中和反応や、分析化学での使われ方ですね。
> 当量がでてくるのは物質が分からない時です。
(中略)
> 酸の種類が分かっていても混ざっていると同じ事情です。
> 塩酸、硫酸の混合溶液で混合比が分からなければ同じことです。mol/Lで表すことは出来ません。
> 水質検査などではこういう事情が出てきます。
なるほどと思いました。
私が知りたかった、合成の仕込み比としての「当量」とは違いますが、「当量」について、新たな知見を得ました。ありがたく参考にさせて頂きます。ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
「当量」は「equivalent」の訳だと思いますが、equivalentは単位でも術語でもなくて、普通の単語ですよね。
化学の授業でmol/LやN(規定)なんかと一緒にならうので「当量」という特別な術語があるように思ってしまいますが、実際はごく日常的な「equivalent」という言葉であって、「~に相当する」とか「~に等価である」ということでしょう。ですから、SI系とは全く別の話で、科学の文脈で出てくるふつうの形容詞としてこれまでも、これからも使われ続けるとおもいます。M (molar) やN (Normal, 規定)は慣習的に使われてきた「単位」で、現在のSI系では使用しないように勧告されているはずですが、それとは性質がことなると思います。物質量がわかり、物質量で表現すれば済む場合はそれでいいですが、いつでもそうとは限りませんね。物質量は測定できないけれど、AというものとBというものは、ある反応(例えば中和反応)において1:2で等価 (equivalent)であるとか、ある量の材料から得られる量と等価であると規定するとか。もともとそういう文脈で使われ始め、これまで使われてきたものだと思いますが、そう言う場面は現在でも少なくないと思います。
丁寧なご回答、誠にありがとうございます。まず、「当量」、“equivalent”は単位ではない、とのご意見ですが、合成の論文で、普通に「EtONa 1.2 eq」などと、よく書かれています。実質的な単位として、使われていると思います。「~に相当する」、「~に等価である」という意味では、「1.2 eq」という表現にはならないと思います。文章でなく、化学反応式の矢印の上に、試薬名の隣に並べて書かれるのです。単位として使われる規定(N)に触れられましたが、実質的に、
N=eq/L(もしくは、N=eq/dm^(-3))
であると、関係付けられます。「規定」(N)も「当量」(eq)も、実質的に単位として使われていると思います。
「当量」についての知見をお持ちの方を募りましたので、geneticist12様のご経験に基づく貴重なご意見を頂きました。大変感謝いたします。が、私が今回挙げたような使われ方を、geneticist12様は、ご覧になった事がないようにお見受けします。「当量」の語源についてのご意見として、ありがたく頂戴します。ありがとうございました。
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