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解除権の期間制限に関して、債権に準じて10年の消滅時効にかかるとする見解、20年の消滅時効にかかるとする見解、10年の除斥期間に服するという見解などがあると思います。
このうち最後の見解に関して、解除権は形成権であるから中断は観念しえず除斥期間であるといった説明を目にした覚えがあります。
どこで目にしたか覚えていないのですが、この意味がわかりません。さらに、消滅時効であると述べる判例・通説はこの批判をどのように乗り越えているのでしょうか。どなたかご教授いただければ幸いです。

A 回答 (1件)

はじめまして。



解除権と消滅時効の問題はいまだ判例上も解決しているとは言えず、争いが多いところのようですが・・

まず判例は、民法167条にいう「債権」は、厳格な意味においての債権のみならず、形成権も含むと解しています。解除権が「特定の人」に対する権利であることを理由としています。
したがって形成権たる解除権においても消滅時効が観念でき、それは167条1項の10年間ということになります。
この場合、解除権行使において発生する原状回復請求権(債権)の消滅時効(この場合も債権なので10年となる)とのバランスがとれます。

質問者様がおっしゃる見解は、川島先生のものでは?と思うのですが・・・この見解はむしろ判例法理への批判として出てきているようです。
債権は行使の意思表示をしても、相手の履行があって始めて消滅するものですが、解除権などの形成権は、単なる意思表示でその目的を達して消滅します。そうするとそもそも時効中断を認めることは無意味、ということと思います。となると中断を認める消滅時効の規定とはとらえられず、「権利関係を速やかに確定させるために、一定期間の経過で権利を消滅させる」除斥期間と解さざるを得ないというところではないでしょうか。
あえて私見で誤解を恐れずに言えば、「線」は途中で切れるが、「点」は途中で切れないだろう、というような印象を受ける理論です。

なお、川島先生は、ドイツ民法が日本民法の契約解除権にあたる権利を請求権と規定している点に着目し、形成権自体は除斥期間にあたるとしても、形成権の行使の結果生じた債権については時効の対象ととらえておられるようです。そうすると、川島先生の考え方からも、判例の結論自体とは相いれないものではないようです。
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この回答へのお礼

お礼が遅れまして大変申し訳ありません。
大変よく理解することができました。
丁寧なご回答ありがとうございます。

お礼日時:2009/12/16 23:41

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