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権利外観法理として、94条2項や、表権代理がいわれますが、94条
2項はいわば、権利外観法理の一般規定のような役割を果たしていて、
表権代理は代理に関する特別規定のような位置づけになるのでしょう
か?

A 回答 (2件)

こんにちは



結論から言うと、例えば
94条第2項と110条を併用して第三者を保護した事例は
少し探しただけでも幾つか見つかりました
(最判昭43.10.17/最判昭45.11.19/最判昭52.12.8など)


1.背信行為介在型(最判昭43.10.17など)

民法94条第2項類推適用の場面は、例えば、
未登記建物の所有者AがBに所有権を移転させる意思が無いのに
B名義の所有権保存登記を行った場合とか、
BはAから所有権を取得していないのにB名義の所有権移転登記が行われ、
そのことをAが知りながら放置している場合のように、
作出された登記の外観の内容と真実の権利者の関与意思の内容とが
一致している場合に限られているようです。

これに対し、最判昭43.10.17の判決は、売買の予約がなされていないのに
相通じて、その予約を仮想して所有権移転請求権保全の仮登記手続きを
したところ、これによって作出された外観上の仮登記権利者がほしいままに
この仮登記に基づいて所有権移転の本登記手続きをした場合に、
民法94条第2項類推適用と、民法110条の法意にかんがみて
本登記の無効を善意無過失の第三者に
対抗することができないとしています。

すなわち、真実の権利者の関与意志に基づく外観作出は
所有権移転請求権保全の仮登記に過ぎなかったのが、
背信的行為が加わって所有権移転の本登記の外観が作出された点に注目して、
民法110条を援用するという法理を用いているようです。


2.その他の例(最判昭45.11.19)

真実の権利者の意図内容と作出された外観内容とが一致していない場合、
110条が併用されうる。というのも、この場合その登記の外観作出については、
真実の権利者が意図したものではないことから、その有責性は弱い。
そこで94条第2項類推適用の場合には、相手方の要件として善意でよいとするのが
通説・判例であるのに対し、このように真実の権利者の有責性が弱い
場合には、相手方に無過失をも要求すべきであるとの考えからです。




(なお、条文では109/110条に相手方の善意・無過失要件を規定しておりませんが、
判例では、相手方の善意無過失要件を認めています(最判昭35.10.21))

参考文献 別冊ジュリスト No.159 民法判例百選I p.56-p.57
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この回答へのお礼

的確かつ論旨明瞭な回答有難うございます。

そうですね。94条2項と110条の併用というのがあるのですね。
これも以前から気になっていまいした。

ただ、これは、本来は94条2項の場面であるけれど、94条2項は善
意としているので、無過失まで要求するために、110条の無過失の文
言を借用したくて併用しているということはないでしょうか?
素直にみますと110条を類推するような状況がないように思えます。

それとも110条は、本人が基本代理権を与えているものの無権代理の
作出を意図していないので、虚偽の外観があってもそれが真実の権利者
が意図したものでない場合には、その点が類似することから、110条
の無過失を類推し得るのでしょうか?

既に40点満点回答を頂いているにかかわらず恐縮いたします。

お礼日時:2009/10/25 00:12

こんにちは



私は単なるロースクールの学生に過ぎず、
以下は私個人の見解に過ぎないことを予め申し上げておきます

権利概観法理を具体化した条文として、
虚偽表示における善意の第三者保護(民法94条2項)
表見代理(民法109条、110条、112条)
などがあります

権利概観法理そのものを規定した条文がないために、
・真実と異なる外観が存在すること
・真の権利者に外観作出の帰責性があること
・その外観を信頼(第三者の善意・無過失)したこと
の3要件を満たした場合は、94条第2項を類推適用する
のが一般的、と言うことになっているものと思われます

ですので、ご質問文にあるロジックに近い形で書くならば、

「権利外観法理を具体的に定めた条文、特別規定?として、
94条2項や、109条、110条、112条(表権代理)等があります。
ただし権利概観法理そのものを規定した条文はないために、
94条2項を類推適用するのが一般的になっており、権利外観法理の
一般規定のような役割を果たしているといえなくも無い」

となると思われます
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この回答へのお礼

懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。

とてもよく分かりました。
既に20点満点の回答を頂いていて恐縮なのですが、一点質問させてい
ただきます。

94条2項と表権代理が競合することがあり得るでしょうか?
表権代理は代理制度の信頼を守るための制度で、無権代理人と取引した
人を守るということで、第三者が相手方と94条2項の第三者とは構
造?が違うことから両立しないものなのでしょうか?
(一方、相手方から転得者は94条2項の第三者と聞いております。)

結局、両者は棲み分けをしていて、表権代理が類推適用される場合も、
代理でなくて代表であるとか、代理人でなくて使者であるとか、代理権
でなくてなんらかの権限である場合の代理類似と言える場合や、個々の
条文では対応できない場合の重畳適用(これも類推と聞いております)
等の場合に限定されているのでしょうか?
宜しくお願いいたします。

お礼日時:2009/10/24 15:54

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