実験の温度、浮力の補正について。
ホールピペット(10ml)の検定を行いました。
ピペットで量り取った純水を秤量ビンに入れて
水の重さを出し、考察するというものです。
そこで温度と浮力について補正しようと思います。
補正後の質量は
(見かけ上の重さ)=(真の重さ)-(浮力分の重さ)
より、(真の重さ)={見かけ上の重さ-ρ(空気)×体積}
だと思うんですが
この時の体積は(真の重さ)÷(ρ(水))でしょうか
それとも(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))ですか?
私は真の重さかと思ってしまったんですが、
何かの本では違うように書いてあった気がして不安になりました。
どうか回答よろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
(見かけ上の重さ)=(真の重さ)-(浮力分の重さ)
を変形すると
(真の重さ)=見かけ上の重さ+(浮力分の重さ)
となりませんか。
浮力分はρ(空気密度)×体積
ですが、
その際空気を排除している体積は、見かけの体積になります。
従って、(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))となります。
回答ありがとうございます。
「-」は記入ミスです。すみません。。
なるほど…。
やっぱりそうなんですよね。
質問を重ねて申し訳ないですが、
ホールピペットで初めに量り取った水もみかけの体積なんでしょうか?
No.2
- 回答日時:
> この時の体積は(真の重さ)÷(ρ(水))でしょうか
> それとも(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))ですか?
どっちでもいいです。
理屈から言えば、化学便覧などに載っているρ(水)はρ(水)=(真の重さ)÷(体積)で定義されていますから、(真の重さ)÷(ρ(水))を使うのが正しいです。しかし、教科書などに載っている浮力補正の式
(水の真の重さ)=(はかりの表示)×{1+ρ(空気)×(1/ρ(水)-1/ρ(分銅))}
では、式の導出の途中に近似が使われているため、(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))を使う形で書かれています。
実用上は、水の真の重さと見かけ上の重さは0.1%くらいしか変わりませんから、どちらを使っても結果は変わりません。それよりも、電子天秤の校正に使われている分銅の密度を浮力補正に含めることのほうが大事です。
浮力分の重さを
(浮力分の重さ)=ρ(空気)×(量られるものの体積)
で定義すれば
(浮力分の重さ)=ρ(空気)×(真の重さ)÷ρ(量られるもの)
ですから
(見かけ上の重さ)=(真の重さ)-(浮力分の重さ)
=(真の重さ)-ρ(空気)×(真の重さ)÷ρ(量られるもの)
=(真の重さ)×{1-ρ(空気)÷ρ(量られるもの)}
になります。ここで重要なことは、水だけでなく、電子天秤を校正するときに使われた分銅もまた、分銅に働く浮力の分だけ軽くなっている、ということです。
(分銅の見かけ上の重さ)=(分銅の真の重さ)×{1-ρ(校正時の空気)÷ρ(分銅)}
(水の見かけ上の重さ)=(水の真の重さ)×{1-ρ(秤量時の空気)÷ρ(水)}
たとえば、電子天秤の校正時の空気の密度が0.00121g/mL, 分銅の真の重さが200.0000g, 分銅の密度が8.0g/mLだったなら
(分銅の見かけ上の重さ)=200.0000g×(1-0.00121/8.0)=199.9697g
になります。天秤で量られる重さは、分銅に働く浮力の分だけ軽くなっているんですけど、ふつうはこのときの表示が200.0000gになるように天秤を校正します(天秤の管理者に確認してください)。このように校正された天秤で、はかりの表示と見かけ上の重さが比例関係にあると仮定すれば、
(はかりの表示)=(見かけ上の重さ)÷{1-ρ(校正時の空気)/ρ(分銅)}
となりますから、はかりの表示は見かけ上の重さよりも大きくなります。
この天秤で水の重さを量ると、はかりの表示は
(はかりの表示)=(水の見かけ上の重さ)÷{1-ρ(校正時の空気)/ρ(分銅)}
=(水の真の重さ)×{1-ρ(秤量時の空気)÷ρ(水)}÷{1-ρ(校正時の空気)/ρ(分銅)}
≒(水の真の重さ)×{1-ρ(空気)÷ρ(水)}÷{1-ρ(空気)/ρ(分銅)}
になります(校正時と秤量時で室温と大気圧と湿度がさほど変わらないとすればρ(秤量時の空気)≒ρ(校正時の空気))。この式から水の真の重さを求めると
(水の真の重さ)
=(はかりの表示)÷{1-ρ(空気)/ρ(水)}×{1-ρ(空気)/ρ(分銅)}
≒(はかりの表示)×{1+ρ(空気)/ρ(水)}×{1-ρ(空気)/ρ(分銅)}
≒(はかりの表示)×{1+ρ(空気)/ρ(水)-ρ(空気)/ρ(分銅)}
=(はかりの表示)×{1+ρ(空気)×(1/ρ(水)-1/ρ(分銅))}
になります。これが教科書などに載っている浮力補正の式です。式変形の途中の近似は、ρ(空気)/ρ(水)≪1なので上式の{}の中では
(見かけ上の重さ)≒(はかりの表示)≒(水の真の重さ)
と考えていることに相当します。つまり、簡単のためρ(分銅)=∞とすれば、
(水の真の重さ)=(はかりの表示)×{1+ρ(空気)×(1/ρ(水)-0)}
=(見かけ上の重さ)×{1+ρ(空気)/ρ(水)}
=(見かけ上の重さ)+ρ(空気)×(見かけ上の重さ)/ρ(水)
になるので、浮力補正の式の中では、体積は(真の重さ)÷(ρ(水))ではなく、(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))で与えられていることになります。
【結論】1/{1-ρ(空気)/ρ(水)}≒{1+ρ(空気)/ρ(水)}なので、体積を(真の重さ)÷(ρ(水))としても(見かけ上の重さ)÷(ρ(水))としても、結果は同じ。
すごく丁寧に回答してくださってありがとうございます!
式の導出までしてくださって、感激です。
全部ノートにメモしとこうと思います(・ω・)
ところでひとつ疑問があるのですが、
電子天秤には分銅はあるのでしょうか。
私の使ったものは、中にコイルが入っていて重さの分だけ
補正電流を流して位置を保ち、その電流の量を重さに変換する
という仕組みだった思います。
この場合は量る水自身の浮力だけ考慮すれば
問題ないでしょうか?
重ねての質問申し訳ありません;
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
> 電子天秤には分銅はあるのでしょうか。
10mLホールピペットの検定に使われるような精密電子天秤には、校正用分銅が内蔵されているのがふつうです。質問者さんが使った天秤が0.1mgの桁まで量れる電子天秤なら、ほぼ間違いなく内蔵されていると思います。電子天秤の管理者に確認してみてください。あるいは、最近の機種ならば、メーカーと型番でネット検索できますので試してみてください。
> 私の使ったものは、中にコイルが入っていて重さの分だけ
> 補正電流を流して位置を保ち、その電流の量を重さに変換する
> という仕組みだった思います。
分銅は“電流の量を重さに変換する式”を校正しているんだ、と考えればいいです。電流の量を重さに変換する「理論式」があれば校正は不要と思われるかもしれません。しかし、例えばコイルの直径がその理論式に含まれていたなら、校正なしで1ppmの正確さで重さを量るためには、コイルの直径が1ppmの正確さで測られてなければならないことになります。これは、とても大変なことです。それよりも、天秤の皿に何も載せないときの電流値がIo、皿に分銅を載せたとき[注1]の電流値がIwだったなら、皿に試料を載せたときの電流値がIsのとき液晶には200.0000×(Is-Io)÷(Iw-Io)と表示する。という「経験式」を使うほうがずっと楽です。1ppmの正確さの「理論式」を用意するよりも、1ppmの正確さの分銅を用意するほうがずっと楽だからです。
[注1]200gの外部の分銅を使って校正したとき。内蔵分銅を使うときも理屈は同じ。あと、説明のための大雑把な話だ、ということにも注意。
> この場合は量る水自身の浮力だけ考慮すれば
> 問題ないでしょうか?
ケースバイケースです。ケースバイケースですが、分銅で校正されていない電子天秤は存在しない、と考えるのがいいです。質問者さんが使われた電子天秤がどのように校正されているのかは、天秤の管理者に確認してください。ふつうは比重8.0±0.1程度の分銅を使うんじゃないかとは思うのですけど、確かなことは私には分かりません。
なお、10グラムの水の重さを量るとき、水自身の浮力だけ考慮したときと分銅の浮力も考慮したときの浮力補正の「差」は、1.5mgくらい(0.015%くらい)です。これが大きいと思うか小さいと思うかは、ホールピペットの使用目的にも依ります。0.05%の精度で十分ならば、どっちの方法で浮力補正しても問題ないです。
なるほど。そうですよね。
校正用の分銅があるほうがよっぽど便利ですよね。
納得です。
今回は一応検定の実験だったので
0.015%は大きいような気もしますが…
あとはなんとか頑張ってみます。
本当にどうもありがとうございました。^^*
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