すみません皆様、再びお手数お掛け致します(礼)。
先の当方愚問「米陸軍 M1エイブラムスに至るまでの不思議」でも少し触れましたが、表題、旧日本海軍の航空母艦における、カタパルト実用化の失敗。これは単純に、技術的な問題に起因するものでしょうか。
福井静夫氏の著書によれば、
「加賀の改造以来、多くの空母には、艦発促進装置が完成すれば、ただちにとりつけられるよう、その関連船体部工事のみは完成済みであった」
とのお話しでありました。ということは旧海軍、やはり最終的にはカタパルトの装備を視野に入れ、各航空母艦を建造していたものと思われる次第であります。
しかしながら「量」には「質」で対抗しようとしていた旧海軍、空母個艦の能力を高める上で非常に重要なこの装備を、なぜ実用化できなかったのでしょうか。ましてや小型低速の改装空母も、どうにか「使える」戦力としたかった旧海軍だけに、この辺り尚更の疑問を感じます。
当時の技術においては、「火薬式」「圧搾空気式」「油圧式」の三種が存在とのことでありますが、艦載機の大型重量化を考慮すると、その中では「油圧式」が当時最も適当というお話しであります。
ということは旧海軍、主だった水上艦艇や潜水艦では広く装備できた「火薬式」「圧搾空気式」カタパルトに対し、単純に「油圧式」装置を実現するための技術を確立できていなかったものと推察致します(というより、その頃の我が国の、油圧関連底辺技術の低さが原因と思われます)。
皆様、この辺り何かしらご存知でしたら、よろしければ諸々のご教授、何卒よろしくお願い申し上げる次第であります。
おそらくは単なる技術レベルの問題、これに尽きると思われる次第ですが(苦笑)、もしかするとその他、何か別の深い理由があったのかな?とも考えてしまいます。
皆様、お暇な時間にでも、お手数ですが、ひとつよろしくお願い申し上げます(礼)。
No.6
- 回答日時:
>旧日本海軍 航空母艦用カタパルト未装備の実情
ぶっちゃけると日中事変や太平洋戦争での戦費負担が大きくなりすぎて、金と人材が足りなくなって、カタパルトの開発止めちゃったんですよね…。
(まあ、当時の日本の技術を考えると完成したかは…。)
一応の海軍では、発艦促進デバイスとしてRATO(Rocket Assisted Take Off.)を考えていまして昭和19年には、ほぼ実用化(中規模以下の空母で雷装の天山、流星を発艦可能だったとか)まで漕ぎ着けています。
(ようするに使い捨てのロケットを飛行機に付けて、滑走距離を短く or ゼロ滑走で飛び立たせる。)
まあカタパルトは、1機故障したらそれだけで発艦能力が激減(そして当時のカタパルトは良く故障した…。)する、発艦サイクルが数十秒から数分(RATOなら通常の発艦と殆ど変わらない)もかかるなど、問題も多いので開発を継続しなかったのにも一理有るとは思います。
(エセックス級だと、機体を甲板に並べた後、滑走距離が短くなる前方の機体だけカタパルトで発艦し、残りは普通に滑走する。)
なお、戦中クラスのカタパルトだと、対G性能は火薬式(試験中にテストパイロットの首が折れるほど強力)でなければそこまで必要ではないかと…。
圧縮空気(日本海軍が潜水艦用等に開発)や油圧式のカタパルトは、掛かってしまうGを下げるのが目的でしたし…。
(火薬式なら打ち出し能力だけなら容易に強化できるのですが…。)
飛行機が壊れる程のGを掛けたら、飛行機が壊れる前に中の人間が持ちません…。
(艦載機って着艦時の時速100数十Kmから一瞬で時速ゼロKmにまで減速する衝撃に耐えられるのですから…。)
pri_tama様、ご回答、お手数お掛け致します。
そうでありますか、やはりご多分に漏れずお金と人材の不足、これもかなり影響したようでありますね(当然と思われました)。
加えてこちら、戦闘に直接かかわる印象の装備ではありませんから(当時の我が国の、レーダーや無線等に対する概念、これに近いものに思えます)、単純に開発の優先順位を下げられたものと推察します。それにpri_tama様仰るところの、信頼性確保の見込み。まずこれも、おそらく心の底から自信が無かったのでしょうね(苦笑)。
油圧式カタパルトが工業技術的にも難易度が高いことは、軍部も十分承知していたことと思いますが、他方攻撃のための兵器には、技術諸々の無理を承知でお金と人材を無駄に投入(妄想に近い超大型の爆撃機等々)。これが当時の陸海軍の一面であったと考えます。
ところでpri_tama様、RATOは母艦での運用もテストされていたのでありますか(いやー、存じませんでした。勉強不足でした)。なるほど、これは様々な面において、見事に現実的な選択であります。
コスト、手間、信頼性、どれも優秀でありますし、またお話しの能力レベル(中規模以下の空母で雷装の天山、流星を発艦可能)であれば、まずは素晴らしい策と思われました。
ちなみにpri_tama様、ご指摘の機体強度につきましては、これも全くもって資料が少ないところであります(苦笑)。油圧式カタパルト自体が画餅でしたから、それを前提とした機体側云々のお話し等、本当に何も見当りません(当然ですよね。苦笑)。おそらく当方、対戦中期以降の艦載機は、まずはおおむね同装置での運用が、問題のない機体強度であったと想像致しております。
pri_tama様、おかげさまで当時の実情や試行錯誤、また諸々を知ることができました(礼)。ご教授、改めて深く御礼申し上げます(ありがとうございました)。当方なりにこれら、以降も様々勉強致したく思います。
pri_tama様、重ねて、御礼申し上げます!
No.5
- 回答日時:
すみません、3番です。
アメリカの空母が飛行機タクサン、なのは、1番さんの油圧技術が関係しています。
アメリカは飛行機の翼を根元から油圧機械で畳んでぐるっとまわしてコンパクトにできたのです。で、小さくした飛行機を天井のレールにもつるす、といった方法をとって、目一杯つみこみます。
エレベーターは甲板の真ん中に穴開けてつくると格納庫の運用に困るので、船の横につけました。あと、壁に穴をあけて、翼とか尾翼とかだせるようにしてあります。この穴は、火がついたものを捨てたり、万が一爆発があっても爆風がぬけたり、といいことが多いのですが、天気があれると大変になります。
実際、戦争末期には日本の攻撃より台風でこわれる飛行機の方が、夏場は多かった、なんてことがありました。
でも、こわれた飛行機はサクサク穴からすてて、かわりを本土から持ってこれるわけです。
お金持ちと戦争してはなりませぬ。
いやはやk16399638様、重ねてのご配慮、本当にすみませんです(礼)。
実はk16399638様、以前に当方もテレビ番組(ヒストリーチャンネルだったと思います)にて、現存するF6Fの主翼折り畳み及び展開の作業を拝見致しまして、そのあまりの簡単さにびっくらこいた経験がございました(苦笑)。
しかしながらこの映像、今回賜りました皆々様からのご回答を基に考えますと、まずもって基礎工業技術の高さ、そして合理的発想。根本的にはこれら全てを要約具現化したものが、まさにあの折り畳み機構であると再認識致した次第でした。
米海軍航空母艦における様々な工夫、当方も福井静夫氏や豊田穣氏の著書にて拝見致しましたが、これら本当に徹底した合理主義の賜物でありますですね。
しかも米軍、最強の物量を誇る軍隊であります。まさにk16399638様のお言葉通り「お金持ちと戦争してはなりませぬ」、この一言に尽きると思われる次第であります。
ちなみにk16399638様、当方は旧海軍の批判ばかりしておる感でありますが(すみません。苦笑)、しかし旧日本海軍、この組織が強大な米英軍を相手に死力を尽くして戦った事実には、当方も深い尊敬の念を抱いております。
特に今回の質問に関連する、航空母艦や艦上機。これにおける日米機動部隊の死闘は、おそらく今後の人類の歴史において、まずはこのような戦いは生起し得ないものと考えます。
優秀な人材と装備を持つ大規模な空母艦隊同士が、互いに全く相手の見えない遥かに遠い距離から、航空機という最強の兵器を駆使して凄まじい激闘を繰り広げる。このような戦いを過去に成し得た存在は、後にも先にも旧日本海軍と米海軍のみであります。
戦争自体は実に悲惨なものであり、今後とも絶対避けねばならないことでありますが、しかしながらこのような戦いが存在した事実、これはある意味日本人として、実際に携わった方々に対し、心よりの敬意を払うものであります。
まずは戦争してはなりませぬ、これを心に強く持ちまして、以降の世の発展を祈念致す次第であります。
k16399638様、重ねてのご配慮、誠に誠にありがとうございました(礼)。
No.4
- 回答日時:
漫談であります。
まず、1番さんの答えがすばらしいのに、敬意を表します。で、カタパルトを作ったとしましょう。搭載する空母をどうしましょう。戦争している真っ最中に、内地で改装工事できるでしょうか。
あと、カタパルト発進するためには肝心の航空機がそのGに耐えなくてはなりません。
で、カタパルト発進できる機体強度をもった飛行機がないです。困ったもんです。
で、フネの装備品であるカタパルトを開発している部門と、飛行機を開発している部門が、ほぼ別組織です。
カタパルトも飛行機もダメというわけです。こういうありさまのなかで、
「陸軍の飛行機もつくるのであるっ(`・ω・´)」
どうしろと。
天山と彗星は「できる」という説もありますが、「できた」わけではない「たら、れば」の話なので、やめておきます。
あるギャグ戦争マンガで、
「うわっ、カタパルトだめじゃん」
「だって、『1メートルおきに火薬を発火させ、それが作る圧搾空気をチャージしながらソリが前進する』というしかけですからねぇ」
というのが出てきましたが、笑うに笑えませんでした。
まあ、日本に「空母の造り方おしえてください」と言ってきたのが、科学が世界一のドイツなのですから、それでよしとしましょう。
日本の海軍は、空母以外の軍艦から偵察の飛行機をカタパルトで撃ちだして、その飛行機が敵を探している間に、空母が攻撃部隊を組織する、というのが前提なんです。大和に至っては10機以上運用できるので、下手したら攻撃部隊が編成できちゃいます。
もともとは戦艦の弾着観測に飛行機を使うつもりで積んでいたのですが、気がついたら空母の目となっていたわけです。
これは空母の発進能力が低い(カタパルトがない)ことを前提にした、ビンボウ故のやりかたで、実は軍艦に飛行機の燃料などの可燃物を積み込むことになるので、よくありません。アメリカは早々に飛行機を下ろしてしまっています。
k16399638様、ご回答、心より感謝致します。
受け皿側の台所事情(母艦の少なさ)、及びその中身(艦上機の機体強度)、ともに現実問題が山積でありますね(苦笑)。
真面目なお話し、装置が完成しても、それを装備している余裕は全く無かったかもしれませんですね(しかも問題洗い出しの個艦試験運用など、到底無理だったと思います。とにかく母艦の絶対数が足りない、そんな状況ですものネ)。
そしてk16399638様ご指摘の通り、組織の風通しの悪さであります。陸海軍同士の仲の悪さに加え、同じ軍の内部においてすら、意思がしっかり統一されていない印象です(これは我が国だけではありませんが・・・)。
流星艦攻においては主脚短縮の努力や前方視界確保に配慮した機首構造、彩雲艦偵においては母艦のエレベーター寸法を考慮した特異な形状の垂直尾翼等々、こういった細かいこだわりが好きな割には、根本的な運用(カタパルト射出への対応)における部分は恐ろしく曖昧であります(苦笑)。艦政本部と空技廠、緊密な連携は、まずなかったものと思われる次第であります。
しかしながら単純な興味として、彗星艦爆や天山艦攻、これらがカタパルト射出に耐え得るだけの機体強度を持っていたのか(と申しますより、それを想定した強度設計であったのか)、少々気になるところではありますよね(多分、考慮していないと思われますけれど。苦笑)。
ちなみに航空戦艦に改装された「伊勢」「日向」においては、彗星艦爆の運用を計画とのことでありましたが、搭載予定の二二型というタイプは、やはりカタパルト射出装備以外に機体の補強強化が施されたようであります(ということは、原設計ではその想定でないものと推察致します)。
それにしましても、艦隊規模での索敵。これにおける当時の実情を考えますと、なるほどk16399638様の仰る通りであります。こちらまさにご指摘の通り、母艦のカタパルト未装備の結果を端的に示す、実にわかりやすい事例と思いました。
確かに確かに仰る通りでありまして、故に下駄履きの低速水上機中心で、索敵を行わざるを得なかった訳でありますね。
いやいやk16399638様、当方、今回も、また勉強させて頂きました(礼)。皆様からお話しを賜ることで、様々な視点からの分析に、改めて気付く次第でありました(ありがとうございました)。
ちなみにk16399638様、独海軍グラーフ・ツェッペリンに関しましては、これまた本当に怪しさ満載のカタパルト仕様でありますね(苦笑)。ワルタータービンといい、このカタパルトといい、ドイツの方は何故か妙に凝ったシステムがお好きであります(これもまた、ひとつ不思議なところであります)。
k16399638様、ご回答、誠にありがとうございました。また今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます!
No.3
- 回答日時:
航空機の発達が目まぐるしかったからです。
空母赤城がフューリアスを真似て3段空母にしたのは有名ですが、当時の複葉機段階では使用可能と判断していました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A5% …
運用が難しくなるとその都度改装していたようです。
日本軍は上記から、運用可能な機体の重量を熟知していました。
それに対して米軍機は超重量級の機体を採用します。
日本軍と米軍を比較しますと、
米空母の排水量は空母赤城の半分程度です。
搭載機数は赤城と互角です。
つまり、飛竜程度の船に赤城並の機数を搭載していたんです。
その上、機体の重さは2倍です。
米空母は相当窮屈でしたし、機体の失速限界も高く
飛び立つ速度も相当高かったと想像出来ます。
カタパルトが無ければ運用自体がが難しかった。
それが理由だと思います。
また、窮屈でしたのでエレベーターの数も検討されました。
isa-98様、ご回答、誠に恐れ入ります。
なるほど、「必要は発明の母」でありますね。米海軍の艦載機、黎明期より伝統的にゴツイつくりのようですから、その流れを考えれば、母艦用カタパルトも当然必須だったものと思われます。
それに対して旧日本海軍、こちらは軽量の機体がこれまた伝統でありますので(苦笑)、カタパルトに対する真剣なニーズ、これは用兵側も比較的薄かったのかもしれませんですね。
それにisa-98様、米海軍は艦載機を相当数露天パーキングする形でありましたから、発艦の滑走距離もあまり稼げないケースが多かったようです。となると、重い機体の上にこの運用スタイルですから、やはりカタパルト前提でコトを考えていたものと思われます。
しかしながらisa-98様、一般的に米海軍の母艦、こちらの搭載機数は補用も含めると本当に凄い数ですよね。旧日本海軍においては零戦等で思い切り翼面荷重にこだわっておりましたが、本来母艦の艦載機(特に艦戦)というのは、数を積んでナンボだと思うのですよ。
多少の重量増大は犠牲にしても、主翼の大幅な折り畳み機構等の装備。こういった思考は特に艦上戦闘機において全くなかったようでありますね(米海軍とは真逆です)。
とにかく理想理想の追求で、防弾や実用性を軽く見た旧海軍。誠に失礼ながら当方は、米海軍の方が遥かに先見の明と広い視野を持っていた組織と思われる次第であります。
ちなみにisa-98様、米海軍においては、ガソリン等への引火を考慮し、当時からエレベーターも油圧式を採用していたそうです(それに対し我が国は、スパークの可能性がある電気式。思わずため息であります)。
本題の油圧式カタパルト、旧海軍においては技術面のみならず、大局的な思考においてもその価値を真剣に考慮しない環境であったものと思われました(突き詰めていくと、isa-98様仰るところの、軽い機体であります)。
isa-98様、当方これら、いままではバラバラに考えていた部分も多いのですが、今回のご回答を拝見致しまして、自分なりにそれらのパズルを組み合わせることができました(かなり強引な面もございますが。苦笑)。やはりこういった場での質問、本当に有益と改めて実感致した次第であります。
isa-98様、重ねて御礼、ご回答ありがとうございました!
No.2
- 回答日時:
ANO,1です。
訂正。
製品制度X 製品精度○です。
すみませんm-twingo様、ご配慮ありがとうございました。
ちなみにm-twingo様、先のご回答のおかげで、戦時中のガスケットやシール材に興味をもちまして、昨日図書館へ行った娘と息子に資料を探して貰いましたが、やはりこれらの詳細な記載は、ナカナカ少ないようでありますね(苦笑)。
最近こちらのカテゴリにてご質問がありました戦時中のネジ製造技術、これも先日図書館で諸々調べてみましたけれど、横須賀海軍工廠関連の資料に申し訳程度の記載があったのみでした(こちらも興味があったので、少々残念でした。苦笑)。
兵器に関する資料は世の中誠に豊富でありますが、その底辺を支えるところの各分野においては、やはりもっと手広く資料を探してみないとダメなようでありますね。
こちらまた当方、今後の楽しみとして、じっくり探したく思います。
m-twingo様、それでは失礼致します(礼)。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
大戦中の旧海軍の空母に詳しいわけではありませんが、機械技術的見地で回答させていただきます。
仮に油圧式のカタパルトの装備を考えていたとしても、当時の日本の機械工業力では実現不可能だったでしょうね。
なぜなら、油圧で2t以上もある航空機をわずか数十メートルで離床可能な速度まで加速させるには瞬間的にかなりの高圧状態まで上昇させる技術力が必要です。
そのために一番必要なのは油圧オイルの「漏れ」をなくすこと。どんなに油圧ポンプで高圧状態を作り出せても、その圧力を維持するためには漏れの無い循環経路が不可欠です。
ましてや高圧状態ですから、少しでも隙間の開いているところ、または耐圧性の低い箇所があったらその部分から高圧オイルが吹き出して圧力を維持できません。
ですから高圧の油圧回路を製造するためには高精度のオイルシール、oリング、パッキンといった充填財が必要なのです。
中でも重要なのがシリンダーロッドのシール材としてのオイルシールですが、戦時中の日本の基礎工業力は今で言う普通のオイルシールすら実用化できていませんでした。当時ドイツやアメリカなどはすでに規格化された合成ゴム製のオイルシールが実用化されており、エンジンなどの油圧を使う機器に利用されていましたが、日本の場合、皮を何層にも重ねて圧縮して製造したオイルシールを使っていました。これは配管の継ぎ目などに使うパッキンも同様です。合成ゴム製と皮製のオイルシールやパッキンではその製品制度や耐久性、利便性などがまったく違います。
また当時の日本の基礎工業力には製品制度の統一化と言ったマスプロダクションにもっとも必要な概念が希薄でしたから、同じ部品を複数製造したら、すべて寸法が違うといった状態だったのです。それら寸法の違う部品を、職人がヤスリなどを使ってひとつづつ調整を行いながらひとつの製品を作っていったのです。そんな状態ですから、最も基本的な兵器の小銃でさえ、部品が破損したからと他の小銃からその部品を取り外して使うといたこともできない程度の工業力だったのです。そんな状態ですから、かりに高精度高性能のオイルシールやパッキンが合っても、それに組み合わさる加工部品の制度が低いですから本来の性能など発揮できるはずもありません。
ですから、どんなに優れた設計ができても、それを実現可能な基礎工業力が無いのですから、あれだけ高出力高性能の油圧機器など実用化できるはずがありませんよ。
高出力であっても、戦艦の砲塔などの低速の装置(確か本物の砲塔旋回装置は水圧利用だったと思いますが)ならまだ対処方法もあるでしょうが、瞬間的に最高出力を出す装置など当時の日本の工業力では実現不可能な装置です。
この回答への補足
m-twingo様、補足の場をお借り致しまして、再度御礼であります。
機械や装置、その中身は細かな部品の集合体ですし、よって目的とする機構を実現するためには、やはりそれら構成部品の質がまず根本と考える次第です。
当方も前間孝則氏の著書等にて、戦時中のこれら諸問題、幾度か具体的ケースを学ばせて頂きましたが、今回の質問においてはm-twingo様より頂戴したお話し、これは改めて当時の実情を慮ることができる、非常に素晴らしい機会となりました(ありがとうございました)。
加えて本題につきましても、実用化に至らなかった要因や背景。皆様から賜りました様々のお話しで、当方十二分に納得であります(礼)。
isa-98様、k16399638様、pri_tama様、そしてm-twingo様、多々ご知識のおすそ分け、改めて心より深く御礼申し上げます。また当方のお礼における一部誤字、これらもこの場をお借りし皆様にお詫び申し上げる次第であります(失礼致しました。汗)。
改めまして皆々様、重ねて御礼、誠にありがとうございました!!
m-twingo様、早速のご回答、心より御礼申し上げます。
油圧式カタパルト、関連技術詳細のご教授、いやはや誠に参考になりました(ありがとうございます)。
お話しの通り、能力的に高度な動作を要求される装置と思われますので、まずは構成部品の根本的な性能や信頼性、やはりこれが問題であったのですね(なるほどなるほどでありました)。
ご回答拝見致しまして、当時の油圧系関連技術、これは欧米との技術格差が本当に根深いところに起因するものと思いました。
仰るところのシール材、これにおける質の格差はそれほど酷かったのでありますね(苦笑)。確かに戦史本等を拝見致しますと、鹵獲した敵飛行機などはエンジンにオイル漏れの一つもなく、それに対して我が国のエンジンはオイル漏れが例外なく持病であったと伺っております。
加えて素材の格差のみならず、工業における根底の部分でも、諸々が「後進国」の印象でありますね。しかもこの状況にもかかわらず、陸海軍で無用な規格差を乱発。これはもう問題外のレベルでありますですね(哀しいかな)。
m-twingo様、本質的なところでの様々な問題、詳細なご教授誠にありがとうございました(礼)。当時の我が国、燃料系の気密でさえ問題のあった工業技術力ですから、本題の油圧式カタパルトにおいては何をか言わんやであります。
我が国における一個人の職人的技術においては、今も昔も非常に優秀な方が数多く存在するものと考える次第ですが、しかしこのような根っこの部分に関しては、個々の技量どうこうで解決できるお話しではありませんものね。
改めまして密なる内容の素晴らしいお話し、m-twingo様、本当にありがとうございました(勉強になりました)。
ご回答、重ねて、御礼申し上げる次第であります!
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