なぜ? 摩擦力の向き
こんにちは、大学出のものですが物理を勉強しなおしております。
力学の問題で悩んでいるものが御座います。
図をご覧下さい。
角度60度で一箇所が屈折したロッドがあります。
その下側一端は回転装置の固定部分に鉛直に繋がれております。
もう片側(上方)の先端付近には輪(スライダー)が通っており、輪とロッドの間にはある程度摩擦があるとされております(静止摩擦係数0.2)。
この際、輪が動き出さないという条件を満たす、最大の角速度(図のω)を求めなさい。というものです。
なお、輪の重さは1kgです。
模範解答に輪にかかる力が示されており、図2のように描かれております。
ここで疑問です。
なぜ、摩擦力は左下向きなのでしょうか、なぜ右上向きではないのでしょうか?
繰り返しになりますが、どうして摩擦力の向きを左下向きと決めてかかることができるのでしょうか。
模範解答では、
ロッドに沿った方向とロッドに垂直な方向についてそれぞれ運動方程式を立てております。
すなわち、
(1) 向心力 mrω^2 sin60 = 静止摩擦力 + 重力 x cos60
(2) 0 = 垂直抗力 - 重力 x sin60
もし静止摩擦力の向きを逆にすると(1)の式が全く変わってしまうため、答えも変わります。
すると、静止摩擦力の向きは、運動方程式を立てる段階で確定しておかないと、間違えてしまいます。どうやって静止摩擦力の向きを確定したのでしょうか。
また、併せて質問させてください。
回転速度を増していくと、スライダーは静止摩擦力を振り切って、左下方向、右上方向のどちらに
動き出すのでしょうか。式を見ただけでは、ちょっと想像ができないのですが・・・。
左下、右下、どちらなのか。またその理由は、どう運動方程式や図から理解できるのか。
どうかご教示下さい。
日常的な感覚では、スライダーは上方に離れていってしまいそうですが、どうでしょうか。
どうこれを運動方程式もしくは図から確定するのか、どうかお教え下さい。
真剣に悩んでおります。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
最初、たとえば静止摩擦力fを未知数として、外向きが正と決めて式を立てたとします。
mrω^2sinθ=-f+mgcosθ
問題文が、「輪が動き出さないという条件を満たす、最大の角速度を求めなさい」となっているので、この式を見て、ωが最大になるのはいつか?と考えます。
それは、fが負で絶対値が最大のときですね。ですから、fは負で、つまり向きは内向きだということが分かります。
(ωが小さいときには、外向きに静止摩擦力が働くこともあります。極端なのはω=0のときで、このときスライダーは重力で中心に落ち込んでゆこうとしますね。すると摩擦力は外向きに働きます)
>回転速度を増していくと、スライダーは静止摩擦力を振り切って、左下方向、右上方向のどちらに
>動き出すのでしょうか。式を見ただけでは、ちょっと想像ができないのですが・・・。
>左下、右下、どちらなのか。またその理由は、どう運動方程式や図から理解できるのか。
円運動に何故向心力が必要なのかは理解していますでしょうか?
もともと、物体は円の接線方向の速度を持っているので、ほうっておくと円の接線方向に飛んでいってしまいます。これを、中心に向かう力で無理やり中心に引き戻して、円運動させています。
いまの場合は、重力と静止摩擦力の合力が、スライダーを中心に引き戻す役割をしています。
mrω^2というのは、その「中心に引き戻して円運動させるのに必要な力」の大きさを表しています。
ωを大きくしていくと、その必要な力が大きくなってゆきます。そのため、そのうち、重力と摩擦力では足りなくなります。そうなると、もはやスライダーを中心に引き戻しきることはできません。
そのために、スライダーは外側に移動していってしまいます。
この回答への補足
他の回答者様にも申し上げたのですが、物理って本当に面白いですね。納得のいくところまで説明できるところが凄いです、美しいです。分かったときの喜びは大きいですし、日常生活にマッチしていて楽しいです。化学や生物だと、そういうものだ、経験上そういわれている、ということが多く「納得せざるを得ない」状況が多々あります。物理や数学はトコトン納得できるまで詰めていけるのが学問的に美しいと思います。もっと勉強して参りたいと思います。
これからも、色々と質問することがあるかと思います。初歩的なことや度忘れ、数学的ミスなどもあるかと思いますが、どうかお付き合い頂ければと思います。宜しくお願いします。
No.8
- 回答日時:
#6です。
#6でスライダーがあるところで止まるためにはストッパーが必要であると書きました。
なければr=0にまで落ちてしまいます。
図のようにロッドが曲がっているのであればそこがストッパーの働きをします。ストッパーに接触しているときであれば摩擦力の値、方向は不定です。角速度を大きくして行ってあるところで飛び出すという事が起こればその時点での静止摩擦力は静止最大摩擦力になっているでしょう。向きは飛び出す方向の反対です。その直前であれば静止最大摩擦力に近い値の静止摩擦力が働いているでしょう。向きは飛び出す方向の反対でしょう。でもこれは飛び出す直前についてしか言う事が出来ないのです。ストッパーからの抗力と摩擦力の和が向心力のロッド方向成分に等しいというだけしか分からないからです。
回転を上げて行ってあるところで飛び出したとします。rが大きいところで釣り合いが実現するということはありません。一度動き出したらスライダーはロッドから飛び出してしまいます。
静止状態から徐々に角速度を大きくしていくという設定である限りもう一度釣り合いが実源するということは起こりません。#5様が書いておられるような場面は実現しないのです。
No.7
- 回答日時:
非常に簡単な話なのではないかと思います。
そもそも静止摩擦力というのは動かそうとする方向が決まらないと摩擦力の向きが決まらないからということではないですか?水平な机の上に物を置いたとして、その物を引っ張ろうとする力によって静止摩擦力はどの向きにもなり得ます。例題では遠心力で斜め上へ動かそうとする力を静止摩擦力が抑えるから斜め下向きになると思います。ちょっと簡単過ぎて心配です。ご質問の意図を外していたらごめんなさい。No.6
- 回答日時:
問題の内容についてよく分からないところがあります。
条件不足であるような気もします。
普通こういう問題では回転させていない時には摩擦だけで斜面に止まっていることができるという設定になっています。その状態から角速度を増やしていきます。どこかで上向きに動き始めます。可能な運動の方向は斜面の上向きしか考える必要がありませんので摩擦力の方向で悩むこともありません。
水平に対する角度が30°ですから、回転のない時に斜面に止まることができる条件は
μ>tan30°=(√3)/3≒0.58 です。
この問題ではμ=0.2となっていますから回転のない時に斜面上に止まることができません。
中心から斜面に沿って0.6m上のところにスライダーがあるという初期設定を実現させようと思えばストッパーが必要なのです。飛び出さないという条件はストッパーからスライダーに働く垂直抗力>0です。
まず摩擦のない場合について飛び出さない条件を考えてみます。
回転軸に垂直な方向に働く力について運動方程式を考えます。
斜面からスライダーに働く垂直抗力をN1、ストッパーからスライダーに働く垂直抗力をN2とします。
rを回転軸に垂直な方向での回転半径とします。
回転軸に垂直な方向: mrω^2=N1sin30°-N2cos30°
回転軸に平行な方向: 0=N1cos30°+N2sin30°-mg
N1を消去してN2>0とすると
rω^2<gtan30°
これで飛び出す時の角速度が分かります。
(上の2つの式にN2=0を直接代入しても同じ結果が出てきます。この結果は模範回答の式(1)で摩擦力がないとした時と同じです。ところが垂直抗力は(2)で決まるものとは一致しません。N1cos30°=mgです。回転している時と止まっている時とでは垂直抗力の値は異なるのです。N1=mgcos30°は回転していない時の値です。模範回答は回転の加速度を斜面に平行な成分と垂直な成分に分けています。
斜面に垂直な方向の加速度はrω^2sin30°です。0ではありません。
摩擦力は垂直抗力から決まりますからN1の内容が異なるというのは結果に大きく影響してきます。)
摩擦があれば少しこの条件がずれるだろうという予想はできます。
ずれるのはωが大きくなる方向にです。
右辺に摩擦力の成分fcos30°を加えればいいです。
mrω^2=N1sin30°-N2cos30°+fcos30°
0=N1cos30°+N2sin30°-mg-fsin30°
(fの向きを斜面下向きだとしています。動き出す直前の式だと考えて下さい。)
動き出す時の条件を考えます。
N2=0を代入します。この時、静止摩擦力は静止最大摩擦力になっているはずです。f=μN1 です。
これで式を解くことができます。
rω^2=g(sin30°+μcos30°)/(cos30°-μsin30°)
μ=0.2ですから分母は正です。
μ=0とするとrω^2=gtan30° になりますから上で求めた結果と一致します。
これが答えではないでしょうか。
模範回答の答えとは異なっています。
No.5
- 回答日時:
摩擦係数0.2ですか、、、、
回転していなければ左下にすべり落ちますよね。
つまりスライダーに働く摩擦力は右上方向です。(この段階ではね!)
だんだん回転を上げていきます。遠心力が加わって何とかすべり落ちない、最小の角速度になります。
こちらが質問者が出したもうひとつの解です。
さらに回転を上げていくと遠心力と抗力と重力だけで釣り合い、摩擦力がプラスマイナスゼロの角速度になります。
さらに回転を上げていくと、遠心力遠心力が勝ってきて、ずり上がろうとします。ここでスライダーに働く摩擦力はずり上がろうとする逆、つまり左下方向です。そして静止していられる最大の角速度になると、これが問題の解です。
どうでしょう?判りました?
No.3
- 回答日時:
>(角速度が十分大きい場合には)重力と摩擦力および垂直抗力がそれを抑え,円運動を持続させる向心力の働きをしています。
誤解を招く表現でした。正確には,上記の力の合力が向心力を構成します。ただし重力は向心成分を持たないので直接には無関係ではあります。
ともに回転する立場(非慣性系)では,この合力と遠心力とがつりあっているからロッド上にとどまっていると解釈されます。
補足頂きありがとう御座います。物理って面白いですね。納得のいくところまで全く説明できるところが凄いです。化学や生物だと、そういうものだ、経験上そういわれている、ということが多く「納得せざるを得ない」状況が多々あります。物理や数学はトコトン納得できるまで詰めていけるのが学問的に美しいと思います。もっと勉強して参りたいと思います。今後も、色々と質問させて頂きたいと思いますが、どうかお付き合い下さい。
No.2
- 回答日時:
>角速度を上げていったところで、ロッド中心から離れていく力がないので、…
スライダーとともに動く座標系(非慣性系)では,スライダーは慣性力すなわち遠心力を受けるように見えます。つまり,遠心力のロッド方向成分がスライダーをロッドの上方へと持ち上げようとするわけです。
これを外(慣性系)から見たらどう解釈されるか…これはなかなか難しく見えますが,円運動をしているスライダーは,もともと円の接線方向へ行こうとする慣性を持っています。これは,運動の慣性すなわちはずみによって坂を上るのと同じであり,それが自然な運動方向であるということに過ぎません。(角速度が十分大きい場合には)重力と摩擦力および垂直抗力がそれを抑え,円運動を持続させる向心力の働きをしています。
なるほど、勉強になります。慣性を理解する、思い出すのはなかなか難しく、いつも苦労しております。毎回、分かりやすくお教え下さりありがとう御座います。
No.1
- 回答日時:
>どうして摩擦力の向きを左下向きと決めてかかることができるのでしょうか。
「最大の角速度」を求めようとしているからです。
最小の角速度を求めるためには,逆向きの静止摩擦力を考えることになるでしょう。
>日常的な感覚では、スライダーは上方に離れていってしまいそうですが、どうでしょうか。
常識的で,かつ力学的に正しい「感覚」です。だからこそ,下向きの摩擦力を考察したのです。しかし,ωが十分小さければ左下に滑り出すこともあり得ますね?
再び回答頂きありがとう御座います。
まず、一点間違えました。
(1) 向心力 mrω^2 sin60 = 静止摩擦力 + 重力 x cos60
(2) 0 = 垂直抗力 - 重力 x sin60 - 向心力 x cos60
でした。最後の「- 向心力 x cos60」を書き忘れました。
さて・・・摩擦力の向きについて、
むむ・・・仰られていることはなんとなく分かるのですが、式的に図的に理解できずに悩んでおります。
すみません、今しばらく悩んでみるのですが、その間にもしもっと分かりやすいご説明を頂けましたら幸いです。
どこが分かっていないかをご説明するかも難しいのですが、たとえば、(1)の式で、角速度を上げていったところで、
ロッド中心から離れていく力がないので、「速度を上げると輪(スライダー)は離れていく」ということが視覚的に理解できずにおります。
分からない点を明確にしめせずにすみません。ご理解頂ければ幸いです。
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