代理に関連する質問をさせてください。
A(本人)がBに「甲物件に関する売買を内容とする代理権」
を授与(授権行為)したとします。
その上で、B(代理人)がC(相手方)と甲物件に関する売買
契約を締結したとします。(もちろん顕名あり)
そこで、BC間の売買によって債権債務関係が発生するわけ
ですが、代理の効果として、具体的には、Aには甲物件に関
する代金債権および引渡債務が、対して、Cには甲物件に関
する引渡債権および代金債務が効果帰属するわけですよね?
ここで、Bが甲物件に関する移転登記をして、また、CがB
に対して代金を支払った後に、Bが金を持ってトンズラして
しまったとします(この点に関してBC間に通謀はないとし
ます)。
このような事例の場合、甲物件に関する所有権はCに有効に
移転しているし、またCも弁済をしている以上、AはCに
対して所有権に基づく返還請求権を有さない、とあります。
しかし、この場合、厳格に考えれば、AがBに対して与えた
代理権はあくまで「甲物件に関する売買」を内容とするもので
あって、BはCからの弁済に関する受領権限まで有していな
いはずで、そうだとすれば、CのBに対する弁済がAに対す
る弁済として認められるかに関して、いわゆる債権の準占有
者への弁済が問題となるような気がするのですが、法律の試
験問題等を調べるに、そのような構成を検討しているものが
ありません。
そこで、質問なのですが、売買に関する代理権を授与するこ
とは、当然に受領権限を包含していると解釈すべきなのでしょ
うか?
わかりにくいかもしれませんが、よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>ちなみに、このことの根拠はどこにあるのでしょうか?
試験問題で、甲物件の売買に関する(一切の)件という代理権の内容であれば、売買に関する一連の行為の権限を含むと考えて良いです。仮に出題意図が、表見代理で処理するのかあるいは債権の準占有者で処理するのか論じさせることにあるのであれば、代金受領の権限がないことを明確に問題文に書かれているはずです。
もし、現実の取引の話であるのであれば、それは事実認定の問題ですから、具体的な事実関係によるとしか言えません。
ただ、「君は、今日からこの店で働いてもらうが、来店のお客様に商品を売ることはもちろん構わない。(代理権の授与)しかし、君には代金を受領する権限はないから、私が店にいないときに、商品を売った場合は、「ただ今オーナーが不在で、私は代金を受け取ることできませんので、明日、代金を持って商品の受取にご来店下さい。」とお客様に言うように。」なんていうオーナーがいたら、余程の変人ですよね。(笑)
>それとも代理行為とはそもそも代理人の法律行為に限ったものではないのでしょうか?
確かに民法の代理の規定は、法律行為の代理を前提にしています。しかし、意思表示の代理以外の「代理行為」、「代理制度」の存在を否定しているわけではありません。条文に書れないと存在が否定されるのであれば、「私的自治の原則」や「物権的請求権」の存在も否定されてしまいます。
重要なのは、第三者の行為が、あたかも本人が行為を行ったかのような効果が生じるという代理の基本構造、原理を押さえることです。このような構造や原理の共通性があれば、意思表示の代理とパラレルに考えて良いわけです。(準用あるいは類推適用)そういう視点からすれば、弁済の代理受領も、意思表示の受働代理と似ていますよね。なお、登記の申請行為は、事実行為ではなく、公法上の行為です。
度重なる回答感謝します。
今回の一連の質問でもご推測いただけるように、私は(1)そもそも
受領は法律行為ではないのに代理の対象になり得るのか(通説
にならって準法律行為としたとしても勝手に類推してしまっていい
ものなのか、また有力説のように事実行為と把握した場合にはど
うなってしまうのか)、という点でモヤモヤ、加えて(2)仮に弁済が
代理(行為)の対象になりうるとしても、代理権の目的(内容)が、
(例えば)土地に関する売買だった場合に、どこから弁済に関する
代理権が導かれるのか、およびその根拠が不明な点で二重に
モヤモヤしていたのですが、おかげさまで、一挙に解決ができそ
うです。
それと、登記の申請が公法上の行為というのは仰るとおりです。
頭の中で事実行為の代行権限が110条の基本代理権になり得る
かという論点と混同していたようで…恥ずかしい限りです。
No.1
- 回答日時:
>そこで、質問なのですが、売買に関する代理権を授与することは、当然に受領権限を包含していると解釈すべきなのでしょうか?
そう理解して良いです。Bに代金代理受領権限がないと解釈するのであれば、BがCに甲物件を引き渡したり、移転登記手続をする権限もないことになりませんか?
回答感謝します。
なるほど。やはりそういうことになるのですか…。
ちなみに、このことの根拠はどこにあるのでしょうか?例えば、
そのことをにおわせる条文ないし判例とかありますか?それと
も、いわば慣習として、「事実上(ないし実務上)」当然のことな
のでしょうか?
それと、これは追加の質問なのでもしよろしければでいいの
ですが…
売買に関する授権行為に代金受領の権限が内包されていた
としても、そもそも代理人の代理行為とは要するに法律行為の
ことだという理解をしているのですが、そうだとすれば、代金の
受領は法律行為ではないですよね?さらにいえば、移転登記
手続にいたっては法律行為でないどころか単なる事実行為で
すよね?
このようなものに対しても代理権というものは付与できるものな
のでしょうか?
それとも代理行為とはそもそも代理人の法律行為に限ったもの
ではないのでしょうか?
もしよろしければご教示いただけると助かります。自分はどうも
理屈で考えすぎるきらいが強いようで…頭でっかちはダメだとわ
かってはいるのですが…。
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