美学または哲学を専攻されていた方に質問です。
興味のある分野について文献を調べていくと、邦訳が出ていない
外国語文献にいきつくことがあると思います。
たとえばある論文(邦訳)を読んで興味を持ち、同じ筆者の違うものを
探したら邦訳がない場合など。
たとえばある本はイタリア語、ある本はドイツ語、ある本はフランス語、
といったこともあるかと思うのですが、
その道にすすまれた方はこういう場合どう対処するのでしょうか。
自分の読めない言語は無視する?
英訳版などを探す?
その言語を読める人に訳してもらう?
読めない言語をその本のためにマスターする?
理想論ではなく、現実的にどうされているのか、
学生、卒業生、研究者、先生におうかがいしたいです。
回答お待ちしております。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
理想論は、一から勉強する、でしょうね。
セルバンテスを読むために、ベルグソンは六十になってスペイン語を勉強したなど、様々なエピソードがあります。論文を書くためだけに、外国語を修得した方は、偉いと思いますよ。しかし、付け焼き刃だと間違うことも多いのです。五カ国語以上を駆使した論文の審査を聞いたことがあります。ラテン語、ギリシア語、英語、フランス語、ドイツ語、そして日本語。この方は、英独仏は母国語のように話せます。それでも誤字脱字が百五十カ所あまりあったとか。ここまで多いと、ケアレスミスというより、チェック機能が限度に達していた、という気がします。大変優秀な彼でさえ、難しかったのだな、という感想を持ちました。現実にはどうするか。まず、その文献の位置づけを考えてみてください。中身が分かれば良いという範囲なのか。それとも、一字一句、厳密に意味を分析しなければならないのか。以下では、場合に分けて考えてみましょう。
まず大雑把に、中身が分かれば良いという範囲の場合。これはNo1の方が指摘なさっているように、英訳が出ているものが多いでしょう。中身が分かれば良いなら、英訳をささっと読んで、それで終わりで良いのです。
次に、その文献を論文に引用して、分析しなければならない場合。これはその言語を習得している必要があります。基本的に、論考の中で引用してくる資料は、その言語をある程度読めないと、先生に怒られてしまうことでしょう。とはいえ、完璧に訳せなくても良いのです。どういうことかといえば、自分の訳文では不十分と判断して、他人の訳文を引用する方が、論考の書き方として誠実であるという意見もあるくらいです。「完璧に訳せる」レヴェルというのは、とても高度なことなのです。
しかし、大研究者が訳したならともかく、普通の訳文は間違っていることもあります。最低限、訳出をチェックできる程度には語学ができないとなりません。これがエチケットだそうです(ウンベルト・エーコの「論文作法」など参照してみてください)。
最後に訳が無い場合はどうするのか。無いとなれば、ものすごく専門的な資料ということになりますね。一次資料というべき資料で、今まで普通の学者が等閑視していた資料を見つけ出し、光を当てようという訳です。こうなると・・・その言語が読めて当然というべきでしょう。読めないのに無理をして(友達や翻訳家に訳してもらって?)挑んでも、責任ある論述とは思えません。無責任なことを発言してしまうよりは、黙っていた方が良いということになります。
結局、語学がその研究者の視野の大きさを決めてしまいます。たとえば、英訳がある=研究者なら誰でも知っていることである、ということになりますね。新発見を狙うなら、その枠内から抜け出さないとなりません。注目している芸術に関する一次資料が何語かとを考えて、外国語の学習プランを立てたら、どうでしょうか。
将来的には、誰かとチームを組んで論文を書いても良いかもしれません。しかし最低限、英語と、もうひとつ、独仏のどちらかが、母国語級に運用できる必要があると思います。独仏ができるくらいの語学センスがつけば、ラテン語などは、辞書を片手に読めるようになるでしょう。でもこうした学習プランは西欧中心主義の上で成り立っています。そうした枠組みは抜け出していくべきだという考えを私はもっています。第三外国語としてアフリカやアジアの言語を修得した方が、幅が広がるような気がしますね。
文献の位置づけを考える。なるほど!と思いました。
自分にとっての重要性を決める上でも、英訳の出ているものは読んで内容の検討をつけようと思います。
引用するにはやはり言語の習得が必要というのが最低限のルールなのですね。
かなりつらいところですが、頑張ろうと思います。
語学がその研究者の視野の大きさを決める・・・!痛い言葉です。
英語ですらあやふやな私にとっては。
最後の第三外国語のセレクトについては大変共感します。
現在私の興味はヨーロッパ一直線ですが、母国語が日本語(アジア)というのはもしかしたら強みなのかもしれませんね。
ありがとうございました。大変参考になりました。
No.1
- 回答日時:
たいがいの著作は英訳されているので、英語は基本だと思うけど、
原著のニュアンスが大事という人があるなら、美学・芸術学関係も
哲学の一翼として、ドイツ語(ゲシュタルト心理学とかヴィトゲンシュ
タインとかいかにもドイツ語を勉強せよ!)だよね。
僕も第二外国語はドイツ語とった‥‥原著を読むまでには至らなかった
けど、キーワードとなる単語を理解したり、やたら長い(複数くっつけて
1つの単語にする)ドイツ語の特徴を解読できるなど、メリットはありました。
哲学、美学を勉強するなら基本はドイツ語!というのはきいたことあります。
そういう場合イタリア語やフランス語の著作は英訳ですませる、ということなのでしょうか。
それともたまたま他の言語の内容には興味がわかなかった、ということでしょうか。
外から見ている印象では(私は美学も哲学も専攻していません)、ドイツ系哲学、イタリア系哲学、
フランス系哲学、といった風に言語ごとに専攻が棲み分けされているような気がします。
psytexの場合どうでしたか?
原著を読めなくてもその言語の特徴がつかめるだけでもだいぶ違うでしょうね。
私は英語以外は雰囲気すら察することができません。
これから少しでも前に進めるようがんばろうと思います。
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