D・リーン監督の映画を見ました。
(題名はちょっと違ったかも知れません)
戦後の英国の民間航空機メーカーが競って超音速のジェット機開発を手がけるストーリーです。
たぶん事実に基づいた物語なのだと思いました。
最大の山場はテストパイロットが音速を超える場面ですが、簡単に「舵を逆にきったら成功した」ということで終わりました。いくらなんでもええ加減です。もっとわかりやすい技術的な解説が欲しかったです。ええ加減だった理由として
1)軍事的な制約があって出せなかった?
2)説明できるだけの事実を(台本家が)知らなかった。
3)難しいので説明を省いた。
4)誰もわからなかったのでええ加減にしておいた。
のどれでしょうか?
ウィキを見たら、超音速にするときは今でもまっすぐ飛ぶと書いてありましたので、4)なのかなあとも思います。つまり今でも舵がきかないのだろうと思ったのですが、ご存知のかたがいらっしゃったら教えてください。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.3です。
少々付け加えます。これをフィクションだと見る向きもあるようですが、「機体剛性不足による操舵
の逆転」がある事は事実であり、現代の飛行機でも機体設計・製造上や機体破損、
速度超過する等原因があれば起こり得ます。前回答で記述したエルロンリバーサル
は「逆効きが起こることが解っている」ので大型旅客機は防止策を取っています。
『壊れた尾翼』(加藤完一郎、技報堂)には雫石全日空機事故で破損した
水平尾翼が捩れてこの舵の逆効きが生じたためダイブし続けた(パイロットは
アップを引いて降下を止めようとしたが実は機首下げを助長した)のではと
いう推測が書かれているそうですし、結果的に亜音速程度の筈の旅客機が降下を
続け音速突破してしまっています。
私が見た本(失念)とは明らかに違うのですが、前回答中のリンクにある文面中、
「(引用)『壊れた尾翼』の著者は、「映画はこれを胴体の剛性不足による舵の
逆効きとして説明している(実話ではないと思う)」と書いている。」と
あります。つまり複数の飛行機の書籍ではこの映画の内容を「胴体剛性不足に
よるエレベーター操舵の逆転現象」が描かれたものとして紹介しています。
「超音ジェット機(原題The Sound Barrier)」が全て事実に基づいているとは
思いませんが、エレベーター舵の逆効きの描写は超音速飛行の黎明期で予測不能
であった、という設定ならば航空力学上の考証としては全く正しいものです。
その映画、どこかでこの「胴体剛性不足が原因で生じた舵の逆効きだった」との
説明があるのではありませんか?
付け加えれば、遷音速域では主翼から剥離した境界層が尾翼に当たって振動が
発生するバフェット(バフェッティング bufetting)という現象で操縦困難
になりますが、舵の逆効きとは本質的に無関係です。現代の超音速機では
この領域を一気に通過してしまうことで極力回避します。
何度もご丁寧な回答いただきありがとうございました。エレベーター舵による逆効き現象として説明の出来ることだったのですね。まだ「胴体剛性不足による」というところがすっきりと理解できてないのですが、水平タブをあげると空気の流れが変わって機首が上向きになるという力よりも、むしろ反動として機体全体がぐにゃりと下向きに曲がる傾向になって全体に降下傾向を強めるという理解でいいのでしょうか。それとも尾翼あたりのローカルな現象として、タブと同じ方向に水平尾翼も下がるということなのでしょうか。
いずれにせよDVDが手元にないので、この説明が映画の中にあったのかどうか(あったとすれば伏線として成功したパイロットが事前にぶつぶついっていたことに含まれていたのかもしれないと思いますが、スーパーには出なかったと思います(英語は理解できません (恥;;;))。
No.5
- 回答日時:
>スピードは十分出ていました。
ただ、コントロールが効かなくなったのです。逆(降下を強めるほうへ)に舵を切ったら、浮上したという筋です。スポイラーの話は出ませんでしたが、下げ舵に関係するのでしょうか?そういう事ですか、ならば、「空気の剥離(はくり)」による、{きりもみ}に発展する現象ですね。
割と亜音速(音速未満)の戦闘機などでも同じ問題がありますよ。
旋回が急激すぎたりすると、「空気の剥離」が起こり、{きりもみ}に突入する。
この状態になると、高度を維持できないので、急激な降下を始めます。
この状況では、パイロットに過重な「G(加速度)」が掛かり、パイロット自体が気を失うケースがあります。(原因が中々つかめなかったハズです。)
また、機体が「G」に耐えられず、空中分解する可能性が出てきます。
んで、「舵を逆に切ったら・・・」というセリフになったんでしょう。
なので、「マニア向け」のセリフだったんじゃないかな。
あとね、音速を超えると、速度に比例して、円錐状(えんすいじょう)に衝撃波(ソニックブーム)が発生したりするんです。
その形状が翼に掛かると、衝撃波で翼が破壊されたりします。
んで、速度が速いほど、翼の位置が機体後方になり、小さくなります。
マッハ2以上の戦闘機は、みんな後ろ側に翼があります。
民生向けでは、「コンコルド(運用終了)」がマッハ2の超音速旅客機でしたね。(乗ってみたかった)
【参考】ソニックブーム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%8B% …
何度もご回答いただきありがとうございます。
>また、機体が「G」に耐えられず、空中分解する可能性が出てきます。
んで、「舵を逆に切ったら・・・」というセリフになったんでしょう。
映画では、パイロットはある程度確信的に逆に舵を切ったような描写でした。
参考にさせていただきます。
No.4
- 回答日時:
5)映画を面白くするために入れた『嘘』
ではないかと思います。
空気中を飛行するには上方向に働く揚力で浮くわけですが、これには必ず進行方向に対して逆らうように働く抗力が伴います。
これは、実は一つの向きに働く力を、垂直の上方向と水平の後ろ方向に分解して、そう区別しているのですが、二つに分けたほうが考えやすいので。
抗力以上に揚力があれば、飛行機は飛んでいられます。そのために翼は進行方向に対して迎え角と呼ぶ、斜め上の方向を向いています。低速ほど迎え角は大きく取る必要があります(前輪を後で着地させる旅客機の着陸姿勢などは、それがよく分かる例)。
抗力が揚力に勝つようになると安定して浮いていられません。落ちて行く状態になります。
音速に近づいて、そういう状態になり、逆舵で逃れられたとすると、迎え角が大きすぎるような現象が生じていて、その大きすぎる迎え角を減らすべく、機首を下に向けるようにして、揚力が抗力より大きくなるよう回復したことになります。
これは機体設計が間違っていることを意味します。そんなことを知る由もないパイロットに判断できることではありません。高速飛行時に落ち始めれば、上昇操作を試みるのは、鉄則といえるほどのセオリーです。落ちる方向への操作をすることは、現実にはあり得ません。
ではなぜ、そういう現実のセオリー破りを、あえて取り入れたかです。推測ですが、すべてが技術的な計算尽くで成功しては、映画として面白くないからでしょう。
パイロットを英雄として扱うには、当時の航空技術が知りえなかった障壁を、熟練のパイロットの直感で打破するというのは、クライマックスの盛り上げ方としては、映画のセオリーの一つだと思われます。
教えられた通りの操作で成功しては、なんだか自動操縦に近くて、パイロットが引き立ちにくいでしょうから。
言い換えれば、超人がかっこよく活躍するようなものですね。超音速試験機は人間ではないから、感情移入しにくい。危険な飛行をせずに地上にいるだけの技術者に感情移入してもつまらない(技術屋は別でしょうけど)。管制官も同様。
やっぱり、憧れのパイロットに感情移入して、危機を乗り越えて、土壇場で最大の危機を、思いもよらない方法で大逆転して成功したら、スカッとする人は多いんじゃないかと思います。
ご回答ありがとうございました。
>ではなぜ、そういう現実のセオリー破りを、あえて取り入れたかです。推測ですが、すべてが技術的な計算尽くで成功しては、映画として面白くないからでしょう。
一面では妥当な見解ですね。
映画理解の参考にさせていただきます。
No.3
- 回答日時:
その映画は観てないのですが(邦題は「超音ジェット機」の様です)、以前
何かの本でこれに関する記述を見たことがありました。
「逆に切ったら成功した」というのは、音速付近で空気の力に対し、機体剛性
が不足して「舵の逆効き」が発生し、通常エレベーターアップで上昇に転じる
筈が、エレベーターダウン(操縦桿を押す)で上昇側に効いたことを指して
います。これを理解するには飛行機の「タブ」の効き方を知っている必要が
あります。舵面の後端にあるタブを曲げた場合、「タブに働いた空気力で
動いた舵面の方向に舵が効く」のです。エレベーターであれば、トリムタブ
あるいはコントロールタブを「上」に向けると、エレベーター舵面はタブに
よって「下」に下げられ、ノーズダウンとして効きます。
これが、機体(胴体)剛性が不足の際、エレベーターをアップに引くと
後部胴体そのものが水平尾翼と共に下げられ、水平尾翼取り付け角が
変わってしまい、水平尾翼全体としてノーズダウン舵として聞きます。
その映画では、この「舵の逆転」に気付いたパイロットのみが墜落を
免れて音速突破に成功するという筋になっている様です。この場合、
エレベーターは水平尾翼の「タブ」になってしまったということです。
ここに記述があります。
http://www9.ocn.ne.jp/~imt47/hikoukiga.html
似た現象に「エルロンリバーサル」があります。エルロンが主翼に対して
タブのように作用し、主翼が捩れて迎え角が変わり、本来切った方向と
逆に横転します。これを防ぐため、大型旅客機では高速域では翼端側の
エルロンを使わず、内側にあるエルロンのみ使います。(ロールモーメント
発生の大半はフライトスポイラーで行うのもこれを防いでいます。)
選択としては3)ということですかね。
No.2
- 回答日時:
その映画は知りませんが、スポイラーか何かが「抵抗」になっていた。
というオチだったんじゃない?超音速になると、空気が当たる部分は、全て抵抗になるので・・・。
ご回答ありがとうございます。
>スポイラーか何かが「抵抗」になっていた。 というオチだったんじゃない?
このあたりをもう少し詳しくご説明願えないでしょうか?
スピードは十分出ていました。ただ、コントロールが効かなくなったのです。逆(降下を強めるほうへ)に舵を切ったら、浮上したという筋です。スポイラーの話は出ませんでしたが、下げ舵に関係するのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
5)舵をきったことにしないとつまらないから
ジェット推力のみです。要するにまっすぐ飛んでパワーだけあれば音速超えます。
映画だと事実そのまま描写したところではただつまらなく飛んでいるだけです。
早速のご回答ありがとうございます。
>ジェット推力のみです。要するにまっすぐ飛んでパワーだけあれば音速超えます。
そうですね、成功するには推力が十分あればそれでいいのですね。でも当時のエンジンは水平に音速突破するだけの力がなかったようです。それで重力を利用して速度を稼ごうとしたのです。
当然地面が近くなり、まっすぐなままだったら地面に激突してしまいます。しかし上げ舵が効かず、それで(映画では)2人のパイロットが亡くなりました。それで、今度は逆に切ったら上昇したので記録が達成されたまま生還した(成功した)というストーリーなのです。私が聞きたかったのは、それは事実だったのか?なぜ逆に切ったら上昇したのか?ということです。
これはドラマを盛り上げるだけのフィクションだったのでしょうか?
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