全長200メートルのひゅうが型護衛艦(いわゆるヘリ空母)を考えると、同じ全長200メートルで甲板面積を広く取るためには細身の船体を二本つないで、双胴船にすれば良いと思います。
実際のところ、広い甲板面積を必要とする航空母艦に関して世界をみわたしても、双胴船にして広い甲板面積を確保している例は見当たりません。
双胴船にするメリットを考えてみると、
1.甲板の横幅を確保し、ランウェイ(2本?)と広い駐機場・エレベーターを確保するのに有利
2.同じ全長、同じ排水量の艦船同士で比較すれば、細身の船体を二本つかう双胴船の方が、横幅の広い単胴船よりも造波抵抗を少なくでき、燃費に有利。通常兵器で作戦行動期間を延長できる。
3.2万トン級の艦船ならば、どのみち機関は二重化されるので、双胴船の機関二重化も、大きなコスト増にはならない。
4.スタビライザーの被弾など、非常事態においてもローリングが少なく、着艦安全性は高い。
しかし、現実の世界には双胴船の空母は建造されません。
私が気付かない根本的な理由がありそうなのですが、その理由が知りたく質問しました。
船舶の設計や研究をされている方から技術的なアドバイスを頂ければありがたいです。
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
私も素人であり詳しくはありませんが、考えられる幾つかの理由とデメリットを書いてみます。
1.双胴船の建造・運用実績がない。軍艦は血税で出来ているので実績のないものを簡単に作るわけにはいかない。試験艦を建造するにしても作って散々テストした後『あんまり使い物になりませんでした』では許されない。税金を無駄に使ったとして誰かが糾弾され責任を取らされる。日本では試験艦の建造そのものが多大な政治的問題を生む。
2.運動性能が落ちる。
下の動画のように空母と言えどもこれほどの運動性能を要求される。
双胴船にこれは厳しい。
また、直進するのであれば造波抵抗は少なくなるが、旋回する時には船のサイドに掛かる水の抵抗は増えるため回避運動時には抵抗になるだけである。
3.甲板面積を大きく取るために艦幅が広くなるなら入渠できるドックが限られてくるため運用効率が落ちる。戦時下で遠く離れたドックまで点検・修理・改修に向かうのは非効率すぎる。場合によってはドックの順番待ちをしなくてはならない状況になる。入渠できるドックを増やすにも多大な費用が掛かる。
4.艦載機の離発着の運用効率を上げるならばそれに見合うクルーの増員も必要になる。
F1のピットストップが他のレースに比べて速いのはシステムや器具が優れているのではなく、単純に作業する人員が多いだけである。乗艦しているクルーの人数が増えれば食料等の補給の面で長期の作戦行動には不向きになる。
5.日本のヘリ空母のような対潜作戦を目的とした場合、速度の遅い相手に航空機の離発着の速度を上げてもたいした効果はない。
音速を超える航空機を相手にするならば即応性をあげることに意味はあるかもしれないが、時速100キロ以下の相手に発着時間が5分延びた所であまり影響はない。発着時間の短縮よりもヘリの速度を上げたほうが効果が高く、開発によってヘリコプターの航行速度を上げれば、その効果は軍全体に波及する。
6.今後の軍事的な方向性として、軍用機(ヘリも含む)は無人化・小型化の方に進む可能性が高く、広い
発着甲板を持つ大型艦よりも、少ない人員で運用できる中型艦・小型艦が増えてくると予想される。
この場合、一つの艦に大勢のクルーを乗せ離発着の効率が高い空母を一艦配備するよりも、トータルの人員は増えるが、離発着の効率が低く、かつ航空機の搭載数が少ない空母を二艦配備する方が運用効率が高いようになるでしょう。これには実績もあり建造・修理・点検が簡単な(構造上簡単なのではなく、実績が多く蓄積されているので情報が豊富・スタッフが慣れていると言う意味で)単胴船の方が向いていると思われます。
こんなところでしょうかね。
意外と双胴船にするメリットは無いと思います。
この回答への補足
皆さんからいろいろなコメントをいただきましたが、空母などの戦闘艦は、幾ら20世紀的トラウマに過ぎないとは言え、魚雷回避行動に劣る提案は受け入れられないので、双胴船にいくらメリットがあろうとも、実際に建造される可能性が無いと思うようになりました。
STM003様が、巨大空母がリーンアウトで旋回する貴重な映像を教えていただきましたので、ベストアンサーとして締め切らせていただきます。
素人で余り詳しく無いと仰りながら的をついたご指摘ありがとうございます。
私も、軍備は小型化し、同型艦を量産することで、コストを下げ、インターオペラビリティを確保する事が将兵の訓練まで含めた場合に一番効率的であるという考えですから、日本の自衛隊が“大艦巨砲主義”に陥って大型の空母を持つよりは、小型のフリゲート艦や小型の潜水艦を大量に保持するのが賢明と思います。
しかし、しつもんは、もし空母を必要とし、空母を設計するとした場合、です。
素人でも結構ですので、同規模の空母を設計する場合に、双胴船にすることのメリットとデメリットを思いつかれた場合、ぜひまたご教示ください。
No.19
- 回答日時:
NO10です
まず、残念、魚雷の脅威というか
貧者、北朝鮮とかアラブのテロで活躍するのが
高速艇で接近してバズーカとかで喫水線にロケットでドンなんです
高速艇でも、200ノットぐらい出るのもあるので
ファランクスとかの射撃とともに、旋回性も必要なんです
というか、そういうことができないとなると軍艦の存在価値はないのです
で私自身は、ひゅうが級はヘリ空母としても認めていないのですが
固定翼、回転翼ともに空中給油があるから
航空作戦として空母である必要はないのです
では、空母としての存在理由は
戦線の先頭に配備され、移動基地以上に
もう、移動国家として存在する
だとすると最前線にいてもいろいろ対応する速度運動性が必要
かつ、そういう運用をする国家は、現状アメリカだけです
でも、大きさが小さいということは
運動性や必要な機関、目視のしにくさから
軍艦に必要不可欠、ただやみくもに大きければいいわけではない
非常時の着艦といっても
アメリカの正規空母による固定翼と
ヘリ空母のヘリだと考え方がえらい違いますよね
固定翼なら非常時の着艦を考えるといっても
アメリカの空母ならそれだけ生き残る生存性が必要だから
双胴でない
日本みたいな、ヘリなら
日本の護衛艦、ほぼ全館着艦の雨量はあるから問題ないでしょ
参考URL:http://blog.livedoor.jp/dogadogadouga/archives/3 …
回答ありがとうございました。
ご指摘の通り、20世紀的な魚雷攻撃に対する回避能力を重視する限り、20世紀的な単胴空母が好ましい回答策となりますね。
No.18
- 回答日時:
>小さな排水量で広い甲板、広大な格納空間を確保できる双胴船のメリットが大きい
この部分が間逆で、単胴船のほうが同一排水量なら広い甲板を確保できるため、
空母に双胴船は使われないものと思われます。
計算根拠は以下の通り。
ひゅうがの寸法は、概ね以下の通り。
長200m、幅30m、全備排水量19000t (本当は、幅33m。計算しやすいように30mとする。)
※全備排水量は、船の重量+燃料満タン+荷物満載での合計重量。
飛行甲板面積を増やすだけなら、両側に10mずつ張り出せば、飛行甲板だけは200m*50m
となる。張出梁10m*200m*2つで、仮に1000tとする。合計20000t。(もっと重いと思うが.....)
これは、ニミッツやドゴールがこうやっている。
で、200m*50mを双胴で実現する。
船体幅を半分にして、長200m、幅15m、9500tを2つ作り、間を支間20mの単純梁でつなぐ。
この状態で、排水量計算を行う。
支間20mの単純梁と支間10mの片持梁の比較は、荷重が同じならモーメントが等しいため、
この部分の重量は同じ。
船体幅を半分にした場合、船体の側壁厚を半分にしないと、重量が半分にならない。
しかし、コレは無理。軍艦の側壁厚は平均2cm程度なので、
200m*15m×2cm×2枚(約1000t)の重量増。
そこ以外にツッコミ満載にかかわらず、既に同一飛行甲板面積で双胴船のほうが重い。
つまり、長200m、幅100mの飛行甲板の船をつくろうとしたら、単純計算で4万t+αの船になる。
で、ツッコミ部分を考慮した場合。
1.支間20mの単純梁でつないでいる。要するに、船の間を板を渡しただけ。ぶつからないようなつっかえ棒の役までは果たす(一応は。)が、右甲板、左甲板、渡し板は、互いに勝手に揺れる。
制振用ダンパーをつけても、勝手に揺れることは変わらない。ゆえに、頑丈に作る必要があるが、当然ながら重量増。
2.頑丈に作るついでに、船の間に格納庫や居住室を作ってしまう、というのはアリ。
重量が増えた分、全体を縮小したとする。(この時点で、広い甲板、が更にアウト。)
広い格納庫が確保できるか?格納庫の体積でなくて、収納物資の重量で比べる。
今度は、フェリーのデータを使う。
単胴:ほるす 137*21m 7200総トン
双胴:なっちゃん 112*30.5m 10700総トン
両方とも、青函航路に使われたフェリーなので、建造目的は同じなので比較可能とする。
総トンなので、単純に貨物重量と読み替えてよい。
甲板面積を、単純に長*幅とする。
ほるすをなっちゃんに面積換算すると12200t積める計算のところ、そこまで積めない。
※そりゃまあそうで、単胴:甲板面積=海面の船面積 双胴: 甲板面積>海面の船面積
浮力を考えると、喫水変化を(たとえば1mに)固定すると、海面の船面積が同じ場合で
貨物重量が同じになるから、これは仕方ない。
結論:甲板面積が同じなら、双胴のほうが貨物重量が小さい。
よって、
>双胴船は小さな排水量で広い甲板、広大な格納空間を確保できる
という部分が間逆であり、
・双胴船は大きな排水量で狭い甲板、狭小格納空間しか確保できない
となる。
No.17
- 回答日時:
自分はなんか、#1さんの回答で納得できたのですが、あなたの言う事もわかる。
でも工学屋の感覚で言うと、あなたの言うメリットもわかるのだが、なかなか採用する気になれない。兵器というのは、限界設計しなければならない。限界設計というのは、非常に危険だ。もちろん船舶など設計した事はないのだが、それでも限界設計の危険さを、どこかで埋め合わせる必要がある。
例えば通常の構造物などはどうだろう?。それらは限界設計しない事が基本だ。そこでは許容強度を、理論上の強度の1/√(3)にするなどの手厚い措置が講じられる。事故が起こったら、人が死んじゃいますからね。1/√(3)は、ガウス分布(確率)に基づいた標準偏差が、一つの根拠です。
潜水艦の耐圧深度は理論値の2/3くらいだそうです(百科事典に書いてあった)。エレベーターのケーブル許容強度も、理論値の2/3です(エレベータ屋の友人に聞いてみた)。
2/3や1/√(3)の逆数を工学的には安全率と言います。ところが飛行機の安全率は1に近い。飛行機なんていう無茶なものは、もともと限界設計しないと空なんか飛べないからです。でもそのかわりに、着陸するたびに点検しなければならないというバックアップシステムがある。こんなのは、飛行機だけです(自動車と比べてみて下さい)。
こういう状況を踏まえて兵器仕様の限界設計に挑むとなったら、どうなるでしょう?。一番安全な方法は、レガシー技術(古典的な既存方法)を可能な限り取り入れる事です。その基盤の上で、ちょっとだけ新しい事(最先端)を試す、となりませんか?。
限界設計する代表的分野が、もう一つあります。ロケット開発です。日本のH1,H2はレガシー技術を無視して燃焼効率最大を目指したために、当初はさんざんな失敗に終わりました(無人でよかった(^^;))。しかも肝になる部品は、日本の町工場しか作れないというし・・・。ハヤブサもそうです。危うく行方不明になりかけた。ロケットも実は、レガシー技術の塊なんですよ。
でもそれらが成功したのは、用意周到に準備されたバックアップシステムがあったからです。しかし兵器は、単独で自立できる事が前提です。そういう意味で、あなたの想定する革新技術は現状では、ちょっと無理かな?と思いました(^^;)。
投稿ありがとうございます。
私も大学1年の時に、限界設計の実習講義をうけましたので、機械設計の安全率は身にしみております。
大学1年の設計の講義では、ある荷重で破壊しなく、其の荷重の2倍では必ず破壊する「橋」を作れという課題で、研究室が支給するバルサ材でトラス構造などの「橋」をつくり、錘で橋を破壊し、破壊荷重が耐荷重の2倍以内であれば単位をくれるとう講義でした。
私は、構造全体を充分に強固に造り、真ん中に破壊点をつくって、その破壊点が耐荷重の2倍以内で破壊されるよう実験を繰り返して合格したので、限界設計法は身にしみたのでした。
まったく前例のない設計課題で初めから限界設計をすることを経験させられたので、限界設計に関する臆病さがなくなっているのかもしれません。
今の私であれば船舶に安全率=2を適用するのに何も躊躇することが在りません。
No.16
- 回答日時:
ちょっと調べてみましたが、現在の技術では双胴船はあまり大きなものは
作れないみたいですね。
大きくすると構造上、荒天時、波でよじれて壊れてしまうのだそうです。
No.15
- 回答日時:
>なぜ、自衛艦「ひびき」や「はりま」のような形状にしないのでしょうか?
>逆に言えば、自衛艦「ひびき」や「はりま」はなぜ双胴船にしたのでしょうか?
ひびき型音響測定艦( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%B3% … )は、音響測定艦ひびき型 画像集( http://j-navy.sakura.ne.jp/gallery-hibiki.html )を見られたら分かるように、一般的な双胴船ではなく、SWTH( http://en.wikipedia.org/wiki/Small-waterplane-ar … )と言って二隻の潜水艦の上に板を渡したタイプです。
水面での断面が少ないほど造波による雑音が少なくなるからです。
当然、積載量の差によって喫水が大きく変わりますから、お空に飛び立つ飛行機を載せたり、積載量が大きく変動する用途には不向きかと。
色々情報ありがとうございます。
双胴船の空母もSWTHで良いと思います。
艦載機の離発艦による重量の増減による喫水線変化を嫌うのであれば、潜水艦と同じようにバラスト水を注入したり、排出したりして喫水線を一定に保つ制御を入れます。
潜水艦と異なり、排水に使用する高圧空気ボンベを搭載しなくても、水面上から空気を吸入してバラスト水を排出できますので回数制限もなく、コストも少ないです。
No.14
- 回答日時:
>それが解らないから質問してるのですけど、、、。
双胴船にすると、ふたつの船体の間隔が全長と同じ程度離さないと大きな抵抗になります。 200mの正方形の甲板なんて要らないです。
双胴船は、広い甲板--(長いじゃない)--が必要な用途です。圧倒的に広い--正方形に近い甲板が設けられるのです。
小さな排水量で広い甲板が必要なときに双胴船です。
色々と情報ありがとうございます。
ひびき型音響観測船は全長67m、全幅29.9ですから、縦横比が100:45程度の双胴船ですが、広い甲板を必要とする空母やヘリ空母も縦横非が100:45程度で全然問題ありません。
双胴船空母も甲板も正方形に近い形状でなくても大丈夫です。
空母は甲板下の二層構造、三層構造に巨大な格納庫や整備上、住居区などをとれるので、小さな排水量で広い甲板、広大な格納空間を確保できる双胴船のメリットが大きいですね。
No.13
- 回答日時:
#11の者です。
>片側が浸水したときにはもう片方にバラストを入れてバランスを
>とらねばなりませんんが、これは単胴船でも双胴船でも同じです。
浸水した反対側に注水して傾斜を回復する方法ですね。
武蔵はそれで、転覆せずに海に突っ込む形で沈没しました。
大和はその反省から、注水ではなく転舵によって傾斜を回復
したので、最終的に転覆しました。
双胴船は、真ん中に浮力がないので、片側の浸水が大きく
影響します。
また、転舵による傾斜回復もできません。
再度の投稿ありがとうございます。
どうせ最終的に沈没するときには、あえて大和方式で旋回する必要はありません。
双胴船型空母が魚雷攻撃で片側浸水した場合には戦艦武蔵方式でバラストを導入してバランスを取ることにしましょう。
No.12
- 回答日時:
No.5です。
>滑走路の長さは同じ200メートルと言う同条件です。
幅は??
双胴船、あまり近いと返って抵抗増しますよ。
航空母艦ってとっても細長い( https://www.google.com/search?hl=ja&q=%E7%A9%BA% … )です。これをどうやって双胴船に乗せるのか??
護衛艦 ひびき( https://www.google.com/search?hl=ja&q=%E8%AD%B7% … )なんて、ほとんど正方形に近い四角形・・
このふたつの画像を見比べるとなぜ空母が双胴船でないかはすぐ分かるかと思います。
空母は旋回も風上に旋回等実戦時は必要ですが、巡航速度は極めて重要です。
再度の投稿ありがとうございます。
>このふたつの画像を見比べるとなぜ空母が双胴船でないかはすぐ分かるかと思います。
それが解らないから質問してるのですけど、、、。
なぜ、自衛艦「ひびき」や「はりま」のような形状にしないのでしょうか?
逆に言えば、自衛艦「ひびき」や「はりま」はなぜ双胴船にしたのでしょうか?
No.11
- 回答日時:
ローリングが少ないといいますが、その代わりに
双胴船は、2点(2線?)で海面に支えられている
ので、海面の上下動の影響を受けやすくなります。
民生用としては昔からありましたが、軍用となると、
スリムな双胴の防御は比較的難しく、一方が浸水
した時の復元も難しくなります。
回答ありがとうございます。
たしかに、二輪車と四輪車の違いのようなもので、双胴船は片側がうねりに乗り上げた場合、傾きますね。
>軍用となると、スリムな双胴の防御は比較的難しく、一方が浸水した時の復元も難しくなります。
これは単胴船でも似たような問題があり、戦艦大和を攻撃するときには片側だけに魚雷を打ち込みましたね。
片側が浸水したときにはもう片方にバラストを入れてバランスをとらねばなりませんんが、これは単胴船でも双胴船でも同じです。
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